山本一力のレビュー一覧
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第126回直木賞受賞作です。
全体としてとても読みやすいまとまっている時代小説でした。
1762年のある日
江戸深川蛤町の長屋に住む桶屋の娘おふみは、
長屋に引っ越すつもりで京都から来た若者、永吉と知り合います。
永吉は京都南禅寺前の豆腐の老舗「平野屋」で修業を積んだ
豆腐職人でした。
平野屋の豆腐を江戸でも売ろうとしてやって来たのです。
借りた店舗で「京や」と名付けた豆腐屋を始めます。
永吉の作る京風豆腐は江戸豆腐とは、味も大きさも違っています。
江戸豆腐に慣れた人々には京風は馴染めないようで
なかなか庶民に受け入れてもらえません。
そんなとき、商売仇である、豆腐売りの嘉次郎から
品質がい -
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漁に出て遭難し、アメリカ漁船に救われてアメリカで育つジョン万次郎。
その活躍ぶりは、
すでに、ムーミン2号さんがレポされています。
ジョン万次郎は、航海術専門学校を首席で卒業、
1846年5月、フランクリン号に二等航海士として雇われます。
大西洋を渡り、アフリカの喜望峰を回り、東南アジアへ。
体長3メートルぐらいあるウミガメをとらえたり、
飲み水を浄化する装置を備えさせたりと、
航海中、学校の座学で学んだこと以外に
万次郎が土佐で体験してきた漁師の知恵が
この航海で役立ちます。
万次郎が海へ出て
故郷の土佐への想いを募らせているのと同時進行で、
故郷の母親や妹たちの様子なども書か -
Posted by ブクログ
ネタバレまだ完結しない長編『ジョン・マン』の著者
山本一力さんの自伝。
と言っても、堅苦しくなく読ませる力量は
山本さんならでは、かもしれない。
山本さんは、戦後のアメリカ軍関係の建築ラッシュで
毎日のように建築関係の父がポケットから札束を持ち帰る
日々も経験しながら、父の博打癖で貧困に。
『明日は味方』は母の口癖。
高校生時代、アルバイトで東京ワシントンハイツで新聞配達。
そこはアメリカ軍が広大な土地を戦後接収していた場所。
アメリカ人の少年たちが雨の日も庭先に新聞を
放り投げるやり方をしてるのを横目で見
自分は日本人のやり方で一軒一軒ポストに。
そんなやり方で住民には喜ばれ
ワシントンハイツで -
Posted by ブクログ
ネタバレ山本一力の小説久々に読んだが、やっぱ上手いなぁと思う。古き良き昭和演歌的な人情風景を描かせたら天下一品。少々昭和が鼻につく(笑)部分があるにはあるが、それを臭みととるか味わいととるかで、評価分かれるかもなぁ。
俺は、体調エエ時なら好みです。
小説としても十分オモロいが、長距離ランナーのウンチクが詰まっているのも良い。江戸時代的カーボローディング、タンパク源をたやさないこと、極力身体を冷やさないこと、熟睡が疲労回復には欠かせないこと、少量飲酒の効果…、今走ってる人(俺なんかもそうだけど)にもなるほどと思わせることが結構出てくる。
猪汁やブリアラの粕汁なんかも美味そうだが、明日からでもできそう