山本一力のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「情け」を知る真の大人たれ!(帯より)著者の人情と気風にあふれた60余りのエッセイ集。ほろ苦くもあり面白い!!
新聞配達をしていた高校卒業までの4年間、毎年用意してくれたクリスマス・プレゼント、その配達先の奥方への感謝の想いを綴る「賢者の贈り物」。『生きるのがいやになったとき、読む本があります。一緒に探しませう』と店の横に貼り紙がある古書店のご主人の「人生、ええもんや」。
iPodに浪曲、落語、ベートーベン交響曲全集、オールディーズなど収め「iPodへの冒瀆だあ」と長男に詰られ、熟知したら、相当過激なユーザーにと豪語する「これは便利だ」。
ロードレーサー用ジャージーに長ズボン、サングラスに帽子 -
Posted by ブクログ
お伊勢参りを巡るファンタジー。敵役の出てこないロード・オブ・ザ・リングのようなお話。他の作品で取り上げられていた水売りや両替屋さん、一膳飯屋、火消し人足など、山本作品でおなじみの江戸の職業がいろいろ出てきて風俗がわかって面白い。短編連作の方が良かったのでは?!とも思う。伊勢屋隠居と大工の棟梁との絆や、鯨組と公儀のお役人とのやりとりの妙などは読みごたえがあるのに対して、御師(おんし)という伊勢参りの指南役がどれほど敬われていたか、その人らのぬきんでた資質、不思議な跡目の継ぎ方、選ばれし子供<朝太>という主題になるとなんだか軽々しく、いつもの丁寧な時代もの人情ものというより、大きな資本で華々しく製
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Posted by ブクログ
読後感の爽やかな小説です。これは登場人物の人柄によるものでしょう。それぞれが才気に満ち、人に温かく、矜持を胸に凛とした生き方をしています。その魅力に周りが引き込まれてゆき、大きな力となり企画が実現した時、人々の心に感動の波がひろがる。今回、四人衆が広目(広告)しようとした土佐の酒『司牡丹』は現存する酒です。どうやら作者・山本一力氏はけっして媚を売ることなく人の心を捉えていく主人公たちに、自分の出身地の酒『司牡丹』のもつ「剛直な辛口でいながら、ふっとひとの和みをいざなう旨さ」を重ね合わせたようです。
司牡丹酒造の酒は私も何度も飲んだことがあります。キリッとした辛口で切れ味鋭くいくら飲んでも飲み飽 -