山本一力のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すっごく面白かった!
老舗の大店のあるじと賭場の胴元の、大人の友情物語なんだけど、この二人が出会った場所というのが書道教室(筆道稽古場)なのよ!
幼なじみではない。
いい大人が、知り合ってすぐに互いの器量に惚れて、月に一度だけ食事をともにする、という関係。
ところが、太兵衛の店の為替手形が、猪之吉の賭場で使われる。
普通、真っ当な店のそれが、賭場で使われるなんてことはあり得ない。
猪之吉は換金することをやめ、事件の裏を探ると、太兵衛の店は騙り屋に狙われ乗っ取られようとしているのだった。
知り合った時からすでに嫌な咳をしていた太兵衛は、後事を猪之吉に託してなくなるのだが、普通大店に渡世人が出入りをすれば、それだけで評判に傷がつくことになるのだが。
しかも、二人が出会ったのが3月、太兵衛が亡くなったのが10月と、たった7ヶ月の交流なのに、熱いのよ。
善悪ははっきりしているので、絶対に勧善懲悪だとわかるのに、最後までドキドキハラハラしながら読めた。
結局、これで決着がつくかどうかはわからない、というか、面子にかけて、また狙ってくる可能性は大なのだけど、多分うまく切り抜けてくれるだろうという安心感と共に本を置くことができた。 -
Posted by ブクログ
江戸時代の豆腐屋を描いた物語。
店をやるために京から1人でやってきた永吉と、その妻のおきみ。
そして子供達までを描いた親子2代の物語。
最初は江戸で認められないお豆腐を売るために奮闘する夫婦の物語が、
商売のお話がメインで、お豆腐屋さんというセレクトも含めて楽しく読んでいたが、
やはりこの物語の主題は子供たちが生まれてから。
それまで仲の良かった夫婦には明らかに溝が生まれ、子供たちも心身ともに成長をしていく中で
やがて自我が芽生えて、しっかりと生きている。
家族を思いやるからこそ、相手とすれ違い、時にはぶつかることもある。
だけど、家族だからこそわかることや、家族だからこそ作れるものだってある。
人情ものではあるが、ストーリーの起承転結も細かく丁寧にあり、常にワクワクさせられる展開。
最後には心を動かされ涙する場面も。
あまり手にしないジャンルでしたが、非常に完成度の高い作品でした。