山本一力のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ江戸の人情もの短編集。心意気的なものを中心に据える話が多かった印象。
人物の背景描写が多く最初少しくどく感じたが、それが後々の理解につながることもあったので、ああこういうノリなんだなと思った。
個人的には色々な人の想いが集まって、2度橋がかけられる「佃町の晴嵐」が好みだった。
見舞金で橋を架ける決断をした先生もそうだが、その話を聞いた人々が寄り集まって色々と手助けする辺りの流れがいい。
橋がかけられるまで名前を伏せていた人たちは、絶対にその場にいたはずで、さぞ意地悪い顔をしながら驚愕している先生を眺めていたんだろうな、などと思った。 -
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Posted by ブクログ
人との出会いで人生が変わる、変わるのはその人次第でもある。苦労して豆腐屋のお店を構えた男の人生とその家族、周りから手助けしようとする者、邪魔して商売を乗っ取ろうとする者、男の人生はその子供へと引き継がれていく。それぞれのが描く人情味とその都度の出来事で喜怒哀楽する様を描いている。跡取りの長男が賭博に誘われ賭け事から離れなくされた家族の苦難が待ち受けていた。父親は母親の無理を振りしきり長男を再教育のために奉公に出した。人はちょっとした事でも自分に都合の良い勘違いをする、勘違いが互いを疎遠にする場合もある。また、人は頑固で頑なになるとどうしても意地を通したくなることだ。誤解と勘違いからの仲違いは本