山本一力のレビュー一覧

  • 研ぎ師太吉(新潮文庫)
    主人公の研ぎ師である太吉を中心に、いつもの太吉の実直な仕事っぷりと人柄に惹かれ、いろいろな人に支えられながら生活していたのですが、そんな中、とある殺人事件に巻き込まれ、人助けのために真相究明に挑み、見事真相究明にいたるという姿が爽快でした!
    見事な山本一力ワールド全開な作品で最高でした!
  • まとい大名
    山本一力の真骨頂とも言える下町の粋な人たちの人情ストーリーですが、本作は火消しを扱った作品で、己の命と引き換えに町を救った英雄である火消しの父を持つ鉄太郎が、いろいろな人たちの支えを得ながら、粋を学びながら人間として成長していく姿が最高でしたね!
    火消しに命をかける男たちの姿が、まさに炎のように熱く...続きを読む
  • つばき
    最近流行りの、料理人を主人公とした時代小説の先鞭をつけた『だいこん』の続編。
    浅草から深川に店を移した一膳飯屋の女主人つばきは、大口注文の騙りに遭うが、深川の人々の人情ある手助けもあり、店はますます繁盛。
    幕府による寛政の改革の不況時も、更なる困難な状況も、誰かしらの助けですんなり乗り越えるられるの...続きを読む
  • 背負い富士
    山本一力の描く清水の次郎長は、さすがに粋で格好いい男でしたね!親友の音吉や兄弟との絆、子分の大政、小政、そして森の石松との信頼関係が清々しく描かれてました!
    特に終盤の石松の仇打ちの場面は良かったですね!
    清水の次郎長の人間力にがぜん興味がわきました!
  • 道三堀のさくら
    三部作の長編でしたが、深川の水売りの龍太郎を主人公に水売りの元締めである親分の虎吉が器量の大きさで立身出世する話から、龍太郎の許嫁である蕎麦屋の娘の蕎麦屋が鰹節の大店が近くに蕎麦屋を出すということで葛藤する姿や最後はその大店の息子に許嫁が思いを寄せ、龍太郎との恋仲にすきま風が吹くのですが、最後は龍太...続きを読む
  • かんじき飛脚(新潮文庫)
    長編でしたが、老中松平定信の陰謀から加賀藩の内室が病床にあることを知れるとまずい状況に陥り、それを打開するために加賀から病の特効薬である密丸を江戸に取り寄せるために、総勢16人の飛脚が大雪、荒波、刺客に立ち向かいながら奮闘して、密丸を江戸まで運び届ける様が良かったです!
    飛脚たちの粋な様や絆、飛脚を...続きを読む
  • 辰巳八景(新潮文庫)
    山本一力の真骨頂とも言える深川を舞台とした時代物短編8編集でした。8編を八景とタイトルでかけているのも粋な感じです。
    どの短編も素朴な人情話なのですが、それぞれ違ったテイストで面白かったですね!
    最初の忠臣蔵の末後を取り扱った話が特に良かったです!
  • 峠越え
    今年最初の読破本は昨年後半からはまっている山本一力の時代小説でした!
    本作は、深川の女衒の主人公新三郎が、仕事の不始末で借金を負い、その返済の旅に出たところ江の島で壷振りのおりゅうと出会い、江の島神社の裸弁天を江戸で出開帳することで借金返済することを思案し、紆余曲折ありながらも2人で出開帳を大成功さ...続きを読む
  • だいこん
    幼い頃から両親を敬い、類まれなる商才を身に付けていった主人公つばきが、ひたむきに努力し、若くして「だいこん」という今で言う大衆食堂の商いを大きくしていく姿を描いた長編でしたが、さすがの山本一力作品だけあって、まわりの粋な人たちの支えや人の目効きをする際の深い洞察力が特に良かったですね!
    己の恋愛は脇...続きを読む
  • ジョン・マン 6 順風編
    アカデミーで日本人として初の2等航海士の免許を得て
    クジラの乱獲で大西洋では、需要を満たすクジラが得られずに
    船の造船も資本家が出費を渋るようになっていた。
    そんなおり、日本との通商条約締結を目論む米国の情勢にも
    影響され、万次郎はフランクリン号にのることになった。
    太平洋への航海だ。
    アカデミーの...続きを読む
  • 大川わたり
    なんだこの山本さんらしくも無い、いい加減なエンディングは。最初はそう思いましたね。でも更に見事にひっくり返してくれました。ちょっと出来すぎですけどね。
    1994年に書かれた最初の長編だそうです。随分荒っぽいところも感じられます。例えば腕の良い大工の銀二が、借金を抱えた身で、乞われたとは言え給金の下...続きを読む
  • 梅咲きぬ
    山本一力作品ではたびたび登場する深川老舗料理店の江戸屋の女将秀弥を中心とした話で、よく登場する三代目から四代目に代替わりするための女将としての心構えを伝授する姿やそれを着実に受け継いでいく四代目の女将として成長していく姿が良かったです!
    四代目の父親が誰なのか?は、結局謎なままでしたが・・・
  • 辰巳八景(新潮文庫)
    江戸の庶民、職を持った人たちを中心にその暮らし、人との関わりを8つの短編にした作品。江戸っ子らしい気っ風の良さと、最後に主人公が気づく新たな発見は、読んでいて清々しい。2017.10.19
  • ワシントンハイツの旋風
    山本一力作品では珍しい東京オリンピック時代を駆け抜けた青春ストーリーでした。
    高知での幼少期から始まり、東京に移住し住み込み新聞配達時代の生活に移り、最終的には旅行代理店の会社員として海外業務を経験する成長ストーリーですが、そこの成長に合わせ、いろいろな女性関係が絡んでくるという、なかなか面白い話で...続きを読む
  • いっぽん桜(新潮文庫)
    花にまつわる人情話短編4編の構成でしたが、どの作品も人情味にあふれた話で良かったですね!
    また今回は夫婦を交えた家族の絆というのも良かったです!
    山本一力作品は江戸時代の作者の生誕地の土佐と江戸深川を舞台にした人情作品が主ですが、さすがの作風で、どの作品も、主人公がまわりの人達に支えられながら成長し...続きを読む
  • お神酒徳利―深川駕籠
    山本一力の深川駕籠シリーズの2作目ですが、本作も主人公の駕籠かきの新太郎と尚平の息の合ったコンビの活躍を中心に、いろいろな事件が起きますが、下町の義理人情全開の内容で、粋な人間模様の展開が本当に清々しく、読んでいて爽快になる作品でした!
    今回は博徒の芳三郎親分の器量と存在感も際立ってました!
    早速、...続きを読む
  • まとい大名
    江戸っ子火消し達の、粋な生き様が清々しいです。
    終盤の、江戸中の火消衆が一丸となって御城の火事の消火に臨む場面は、心が熱くなりました。
  • あかね空
    第126回直木賞受賞作です。
    全体としてとても読みやすいまとまっている時代小説でした。

    1762年のある日
    江戸深川蛤町の長屋に住む桶屋の娘おふみは、
    長屋に引っ越すつもりで京都から来た若者、永吉と知り合います。
    永吉は京都南禅寺前の豆腐の老舗「平野屋」で修業を積んだ
    豆腐職人でした。
    平野屋の豆...続きを読む
  • 損料屋喜八郎始末控え
    喜八郎がカッコいい。
    危なっかしい米屋政八を手助けする為、大手の札差たち(主に伊勢屋)と息詰まる頭脳戦を繰り広げるのですが、いつも冷静で隙がないクセに、江戸屋の女将に対してはなかなかグイグイいけないところがまた良いです。
    そして、ラストの富岡八幡宮本祭で、驟雨の中で神輿に紛れての捕縛(?)シーンは圧...続きを読む
  • 損料屋喜八郎始末控え 赤絵の桜
    損料屋喜八郎始末控え・2

    「逃げ水」と「初雪だるま」の“ドッキリ”2作品が好きです。
    笠倉屋も、なかなかやるじゃん。と思ってしまいました。
    伊勢屋は、喜八郎の“好敵手”みたいなポジションに収まりつつありますね。
    前作ではムカついていた、政八の“お子様おっさん”ぶりもなんだか可愛く思えてきました(笑...続きを読む