山本一力のレビュー一覧

  • 桑港特急

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    ネタバレ

    山本一力の小説の魅力は人情とか人のつながりとか、生き様とかライフスタイルとか、そういう描写や表現を楽しむことである。この本でも、小笠原諸島での生活、ゴールドラッシュに沸くサンフランシスコでの人の生き様、中国上海での描写あたりは非常に生き生きとしていて、読んでいてもうきうきしてくる。

    残念なのは、その生き生き感が後半になるに従って、空回りしてくること。銀行強盗の大活劇シーンのはずが、ハラハラドキドキ感が妙に薄く感じられるのだ。

    例えば、カンフーVSナイフ使いのシーンも格闘シーンの迫力が全く感じられないし、西部劇の核心たる銃による戦闘シーンに至っては、実にあっさり終わってしまうし…。

    活劇シ

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    2020年01月16日
  • あかね空

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    ネタバレ

    京都生まれの豆腐職人永吉の、親子2代にわたるお話。
    いろんな人情噺が添えられていて、時代小説らしいさわやかさがある一方、メインの家族の話はおふみのえこひいきや長男栄太郎のダメダメな感じがなんともいえない。
    それぞれのキャラクターの背景までよく描かれていて、気持ちよく、すんなりと読めました。おきみちゃんにいい縁談があるといいね。

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    2019年12月15日
  • カズサビーチ(新潮文庫)

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    カズサビーチ どこの浜だろう? カタカナだと分からないもんですね。
    海の男たちに通じる気概が羨ましい。事が無事に済んだからこそ言えることかも知れないけれど

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    2019年11月12日
  • 旅の作法、人生の極意

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    ネタバレ

    荘厳な景観には神が宿ると誰もが信じていた
    旅に費やす時間と金を惜しむのは、生きることを惜しむに等しい
    冬の京都には、街のいたるところで寒仕込みを感じた
    今日をしっかり生きること。これを肝に銘じている
    子は親を見て育つ。そして親の知らぬところ親が気づかないところで、数々の経験を積む
    信じる心。想像力。歌心。愛。夢見る心。樅の木に原甲斐を重ねてみた周五郎さんもまた、5つの全てをお持ちだったに違いない

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    2019年11月09日
  • ジョン・マン 7 邂逅編

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    ジョン・マンこのシリーズ7巻目。
    6巻を読んでから、かなりの時間が経ているため、物語の世界に没入するにはいささか時間がかかった。

    今回は最後の捕鯨旅を終えて、、、その旅の中で、ハワイに立ち寄り土佐からの仲間のその後を知る、そして、アメリカの捕鯨も終わりを迎える。鯨の数が激減したからだ。

    万次郎は、それでも日本へ帰国する旅費を稼ごうと、新しい旅へ出ることに許可を得る。

    いろいろな知識を得て、数々の人々との出会いで成長する万次郎。時の江戸幕府の鎖国。これからどうなっていくのか。

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    2019年11月02日
  • いかずち切り

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    ネタバレ

    江戸を舞台にした「借金取り」VS「詐欺グループ」の冒険小説。ミステリーというよりは男気小説とでもいうべきか。

    登場人物達の男気というか、カッコ良さを読む小説なんだと思う。稲妻屋の面々は勿論のこと、猪牙船の漕ぎ手、しゃがみ屋、大金持ちの伊勢屋に至るまでとにかくカッコ良い。生き方の覚悟が決まっているのだ。
    こういう人々のブレない生き方を読むとフラフラ生きている自分がホント情けなく思えてきて、まずは形からと、日の出にむかって礼拝するとか、朝ご飯をしっかり食うとか、身体を鍛えるとか…そういうことから始めたくなる。

    朝ご飯で思い出した、この小説でいちばんかっこよいのはおきち。稲妻組棟梁弦蔵の奥さんで

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    2019年08月27日
  • いっぽん桜(新潮文庫)

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    やはり、江戸人情ものを描かせたら、山本一力の右に出るものは、いないのではないか。
    ただ、いかんせん、短編集だと、一つ一つの話が中途半端になってしまうのが残念。
    一つ一つの話を長編で読んでみたい。

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    2019年05月15日
  • つばき

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    『だいこん』の続編でてたの知らなかった!
    美しい生き様とはなんなのだろうと思う。誇りを持つことと傲慢さは違う。自分への自信だけでなく、他者への思いやりがなければ、美しいとはいえない。
    つばきはそのバランスをうまく”とってるみたいにみえる”けど、じつは結構ドロドロしてて、なんつーか、もっと楽な生き方もあるよな、と思う。

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    2019年03月30日
  • 大川わたり

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    夫婦になってみたい男たち

    4人登場!読後感もよく、裏切らない一本でした。

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    2019年03月26日
  • 梅咲きぬ

    購入済み

    3代目秀弥

    あかね雲を、読んだあとに、この本を手にした。
    期待を外さない4代目秀弥の生きざまに、真似のできない清々しさと気っ風を感じて、読後感がとてもよかった。
    ただひとつ、気になり2冊を探った3代目秀弥の享年。60なのか52なのか?
    ファンとしては、4代目の心に違いが出るだろうと、気になりました。

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    2019年03月23日
  • べんけい飛脚(新潮文庫)

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    以前読んだ「かんじき飛脚」の続編本でしたが、将軍吉宗時代の老中松平定信が目を付けられている前田藩が状況を打開するために公儀に忠誠を尽くす姿を公儀に理解してもらうために戯作者の雪之丞に読物を作成させるという展開ですが、前半は読物作成に至る過程を描いており、後半は、雪之丞が書いた読物が描かれておりましたが、読物が飛脚が活躍する姿を中心に、吉宗と綱紀との絆を義経と弁慶との関係に例え、見事に描き切っていたと思います。
    タイトルのべんけいというのは弁慶と繋がっていると分かり、なかなか深いポイントであったのだと後に分かる面白い展開でした!

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    2019年01月14日
  • 千両かんばん

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    山本一力の江戸深川人情小説長編作品でしたが、本作は、腕利きの看板職人の武市を主人公に、親方との悲運な死別から、弟弟子にその座を奪われ、自暴自棄になっていたところ、大きな仕事を請け、真剣にその仕事に打ち込み、いろいろな人たちに叱咤激励されながら、また協力を得ながら、苦難を乗り越え、大仕事を成就するという展開で良かったです!
    また、最後は武市が弟弟子とのやり取りで、己の小ささを自覚して、ライバルとして切磋琢磨していこうと心に誓うところが清々しくて格好良かったです!

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    2018年11月24日
  • おたふく

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    長編の本作は、江戸の高級食材を扱う老舗大店の兄弟を主人公に大店を守る長男と、大人になり袂を分けて仕出し弁当店を開業して事業を営む次男の話ですが、棄損令に伴い世間の景気が悪くなったにも関わらず大店を守り抜く兄と、そんな世を逆手に順調に商いを伸ばす次男が、それぞれに志を持ちながら商いをすることで、それぞれを支える人たちとの絆や兄弟愛が、やがて商売仇を討ち払い、天下も動かすというところが良かったです!
    「おたふく」というタイトルに込められた万民に福が来る世というのが深いですね!

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    2018年11月10日
  • ジョン・マン 6 順風編

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    ジョン・マンがすっかり大人になってた。年齢的にはまだまだ若いんだけども。おもしろかった! 早く続きが読みたい。

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    2018年11月03日
  • 五二屋傳蔵

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    なかなかの長編作でしたが、本作は黒船来襲に揺れる頃の話で、質屋「伊勢屋」の後継ぎとなった主人公傳蔵を中心に、伊勢屋に襲撃をかけようとする盗賊の龍冴一味との知恵比べや伊勢屋に質入れにくる客と店員との優しさと厳しさを兼ね備えた人情的なやり取りが良かったですね!
    それにしても質屋というのは表向きの体裁が悪いので、質=七=五+二で、五二(ぐに)屋と呼ぶのには粋な感じを受けました!

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    2018年11月03日
  • 朝の霧

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    山本一力作品としては珍しい歴史上の人物を扱った作品で戦国武将で有名な四国の長宗我部元親の家臣の波川玄蕃を主人公に扱った話で、どこまでが史実に基づいているのかは不明ですが、本作では、波川玄蕃という人格的にも知将としても素晴らしい才覚のある武将であったが、その人望と才覚ゆえに主君である元親に妬まれたあげく、言いがかりで切腹を命じられ、それを甘んじて受け入れたにも関わらず、その後、波川一族が元親によって殲滅されられるという悲劇的な内容になっております。
    この話だけ見れば元親という武将は肝の小さい男だったのだと思いますが、果たして真実はいかに?

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    2018年10月23日
  • いかずち切り

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    しゃがみ屋という短編と騙り屋という長編2編でしたが、どちらの話も山本一力作品らしく、最高に粋な男たちの爽快ストーリーで面白かったですね!
    しゃがみ屋の話では、それぞれ裏稼業を商いとする面々が仕事に誇りと覚悟を持ち、腹を括っている姿が秀逸でしたし、騙り屋は、主人公のいかずちの弦蔵と騙り屋の対決の様相から、ラストは、そうきたか!というスカッとする弦蔵の男気というか見得が最高でした!

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    2018年09月15日
  • 八つ花ごよみ(新潮文庫)

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    八つの短編集でしたが、山本一力の真骨頂と言える江戸時代の庶民、その中で本作は老齢な方々にスポットをあてて、さりげなく花と絡めて語られる人間模様や夫婦愛が胸にしみる短編ばかりで、どの話も良かったです!

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    2018年09月08日
  • くじら組

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    山本一力の小説にたびたび登場する土佐の鯨組をメインとした話でしたが、内容的には粋な鯨組や土佐藩の面々が格好良くて面白かったです!
    黒船来襲と鯨組との奇妙な関連性を描いた展開でしたが、後半は黒船と命名された仇敵のマッコウクジラとの死闘が良く、また死闘を演じながらも鯨を敬う鯨組の姿勢も素晴らしかったですし、またその敬意に鯨が応えるところが小説らしくて面白かったです!
    また鯨を敬い、足るを知りながら鯨との死闘を繰り広げる土佐の鯨組の姿勢を見ると、このような相手への敬意を払わずに乱獲に走る連中や短絡的に捕鯨反対を訴える人たちにこそ、このような姿勢を学んで欲しいと思うのでした!

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    2018年08月17日
  • いかだ満月

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    本作は、鼠小僧の忘れ形見の女房と息子を中心に、鼠小僧亡き後に親子の面倒をみる材木問屋商の祥吉が大量の吉野杉を仕入れるために鼠小僧の息子とお目付け役の川並の健次とともに新宮まで買い付けに出向く道中や新宮での義理人情ストーリーにほっこりさせられると同時に、自分のテリトリーでのことが全て正しいのではなく、相手のテリトリーでは、相手の道理を尊重するという姿勢が感服しました!

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    2018年08月16日