山本一力のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
3.8
日本橋室町の老舗眼鏡屋・村田屋の主人・長兵衛と、日本橋小網町の目明かし・新蔵が、二人の眼力と村田屋の家宝・天眼鏡を駆使し、力を合わせて難題を解決してゆく。
「天眼帳開き」
悪名高い目明かし・巳之吉の縄張りである住吉町の裏店で起きた殺しの捜査で巳之吉が縄にかけたのは、母と妹の面倒を見つつ長屋の住人の手伝いをしながら生活を支える、近所でも評判の娘・おさちだった。
おさちへの嫌疑に疑問を抱く新蔵は長兵衛に助力を求めるが…
おさちの手についていた泥と、出所の分からない多額の支度金がおさちの立場を危うくしてしまう。
◯宮本宜明…南町奉行所定町廻同心。新蔵の雇い主。
◯小倉義則…北町奉行所の定町廻同心。巳之吉の雇い主。
◯巳之吉…新蔵の縄張りと境目が隣り合う浜町の目明かし。町民から蛇蝎の如く嫌われている悪名高い目明かし。小倉の部下。
◯余左衛門…小網町の太物屋大店・蔦屋の頭取番頭。
「真贋吟味」
深川・木場の檜問屋・福島屋の主人・矢三郎の急死に伴い、生家を出て川並宿を営む実弟が、内儀も頭取番頭も寝耳に水の書残(遺言書)を出して来た事で起きた騒動。
双方が鑑定人を出し真贋を吟味する事に…
◯やぐら下の幹二郎…木場の材木問屋の大店・木柾の次男坊で目明かしとなった変わり種。
◯福島屋矢三郎…深川木場の檜問屋福島屋の七代目主人だったが正月に急死。
◯新次郎…川並(筏乗り)宿・岐阜新を営む矢三郎の実弟。
自分を豊太郎の後見人とする矢三郎の書残を出し、全権を渡すよう迫る。
◯吉乃…矢三郎の妻。
◯中悟郎…福島屋の頭取番頭。亡き主人の信頼厚く、商売向きの一切を取り仕切っていた。吉乃の信頼も厚い。
◯豊太郎…矢三郎の息子。
元服間近だが、ひ弱で線が細い。
◯飛騨屋東七郎…今戸の檜問屋・飛騨屋の主人。福島屋の商売仇。筆跡鑑定人として名が通っている。この事件の黒幕。
◯竪川厳美斎…中悟郎側の用意した鑑定人。女と金に弱い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ山本一力の小説の魅力は人情とか人のつながりとか、生き様とかライフスタイルとか、そういう描写や表現を楽しむことである。この本でも、小笠原諸島での生活、ゴールドラッシュに沸くサンフランシスコでの人の生き様、中国上海での描写あたりは非常に生き生きとしていて、読んでいてもうきうきしてくる。
残念なのは、その生き生き感が後半になるに従って、空回りしてくること。銀行強盗の大活劇シーンのはずが、ハラハラドキドキ感が妙に薄く感じられるのだ。
例えば、カンフーVSナイフ使いのシーンも格闘シーンの迫力が全く感じられないし、西部劇の核心たる銃による戦闘シーンに至っては、実にあっさり終わってしまうし…。
活劇シーン以外が見事なだけに、クライマックスが残念すぎる。やはり日本人にウェスタン小説は重荷なのかも知れない。
本作は山本一力の異色作ではあるけれども、代表作になるものではないと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ江戸を舞台にした「借金取り」VS「詐欺グループ」の冒険小説。ミステリーというよりは男気小説とでもいうべきか。
登場人物達の男気というか、カッコ良さを読む小説なんだと思う。稲妻屋の面々は勿論のこと、猪牙船の漕ぎ手、しゃがみ屋、大金持ちの伊勢屋に至るまでとにかくカッコ良い。生き方の覚悟が決まっているのだ。
こういう人々のブレない生き方を読むとフラフラ生きている自分がホント情けなく思えてきて、まずは形からと、日の出にむかって礼拝するとか、朝ご飯をしっかり食うとか、身体を鍛えるとか…そういうことから始めたくなる。
朝ご飯で思い出した、この小説でいちばんかっこよいのはおきち。稲妻組棟梁弦蔵の奥さんであり、稲妻組の雑務を一手に引き受けているお方。気の配りよう、ご飯の美味しそうなこと、いざという時のキップの良さ、美貌…どれをとっても文句なく、この人あっての稲妻組なのである、先にも書いたように男気を読む小説なのだが、一番魅力的なのは女性のおきちというところが、この本の良さでもある。
残念なのは、続編がなさそうなところ。和泉屋との決着もまだついてないし、稲妻組をはじめとする登場人物たちがこのまま埋もれていくのは、いかにも惜しい。
山本周五郎→藤沢周平→山本一力と続く、時代小説の大きな枝。この枝もグイっと掴んでおいかけてみたくなってきたぞ。 -
購入済み
3代目秀弥
あかね雲を、読んだあとに、この本を手にした。
期待を外さない4代目秀弥の生きざまに、真似のできない清々しさと気っ風を感じて、読後感がとてもよかった。
ただひとつ、気になり2冊を探った3代目秀弥の享年。60なのか52なのか?
ファンとしては、4代目の心に違いが出るだろうと、気になりました。