山本一力のレビュー一覧
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「山本一力」の時代小説『あかね空』を読みました。
「浅田次郎」作品、「佐伯泰英」作品に続き、時代小説です。
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しみじみとした感動を呼んだ傑作人情時代小説
京から江戸に下った豆腐職人「永吉」と妻「おふみ」、そして子供たち。
親子二代の有為転変にかけがえのない家族の絆を描いた直木賞受賞作
希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の「永吉」。
己の技量一筋に生きる永吉を支える「おふみ」。
やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。
明るく気丈な「おふみ」の支えで、様々な困難を乗り越えながら、なんとか光が差してきた。
やがて、ふたりは三人の子に恵まれる。
あるときから、「おふみ」はなぜか長男の「栄太郎」ばかりを可愛がるようになる。
そして、一家にやがて暗い影が・・・。
親子二代にわたって人情の機微を描ききった、第126回(平成13年度下半期)直木賞受賞の傑作時代小説。
2007年、「浜本正機」監督で映画化。
主演で「永吉」役の「内野聖陽」は後半、物語の鍵を握る「傳蔵」役も演じる一人二役。
おふみ役は「中谷美紀」。
解説・「縄田一男」
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夢と不安を胸に、単身京から江戸に下ってきた豆腐職人の「永吉」… 深川で豆腐屋を始めようとするが、右も左もわからないだけでなく、言葉も違えば文化も違う、、、
そんな「永吉」とたまたま知り合った「おふみ」は、「永吉」の世話を焼く… 「おふみ」や周囲の人々の助けもあり、「永吉」は豆腐屋「京や」を開くことができるが、江戸庶民が口にする豆腐は固く締まったもので、上方のやわらかなものとは種類が異なっており、好まれなかった。
しかし、不器用な永吉に変わって、明るいおふみが外交的な面でサポート… 「永吉」と「おふみ」の苦労の甲斐があって、「京や」は、少しずつ軌道に乗っていく、、、
やがて夫婦となった「永吉」と「おふみ」は、協力しながら様々な困難を乗り越え、取引先も少しずつ広がっていく… そして、長男の「栄太郎」を授かり、その後も子宝にも恵まれた夫婦だったが、二人目「悟郎」が生まれた直後に「おふみ」の父親「源治」が事故で亡くなり、三人目「おきみ」の子守をしている際に「おふみ」の母親「おみつ」が事故で亡くなるという不幸が続く。
そんな身内の不幸が重なった後、「おふみ」はそれぞれの子どもたちに対する接し方が変わってくる、、、
「おふみ」から極端に甘やかされた「栄太郎」は我儘に育っていく… そして、「おふみ」から冷たくあしらわれた「悟郎」と「おみつ」は次第に疎外感を強め、「おふみ」、「永吉」、そして子どもたちとの関係に歪みが生じていく。
「永吉」から見れば親子二代の、「おふみ」から見れば「おふみ」の父母をいれて親子三代の物語… 本作品のテーマは”家族”でしたねぇ、、、
親子の間であっても、互いに理解し合えない、互いにすれ違い、又は勘違いをしてしまうことがあるんですよね。
第一部で、「おふみ」の「栄太郎」を溺愛する様、甘やかさて育った「栄太郎」の様々なトラブル(店の売り上げを持ち出して、女郎通いや博打通い… そして借金)に苛々させられ、「永吉」と「悟郎」、「おみつ」に同情しちゃうのですが… 第二部で、同じ事柄が複数の人物から、それぞれの視点で語られることにより、多角的に物語が描かれ、同じモノでも、同じ方向からでは見えないモノがあるんだなぁ と気付かされ、一人の目から見た事実が、必ずしも真実とは限らないんだよなぁ ということに改めて気付かされました、、、
「永吉」の目には写らなかったものが、他の人物の目から描かれることで、また違った意味合いを持って浮かび上がるという物語構造になっていて最後まで愉しめました… 機会があれば映画も観てみたいですね。
以下、主な登場人物です。
「永吉」
京から江戸に下った豆腐職人
「おふみ」
永吉の妻
「栄太郎」
永吉とおふみの長男
「悟郎」
永吉とおふみの次男
「おきみ」
永吉とおふみの長女
「源治」
おふみの父
「おみつ」
おふみの母
「すみ」
悟郎の妻
「平田屋庄六」
豆腐屋
「嘉次郎」
豆腐の担ぎ売り
「相州屋清兵衛」
豆腐屋
「おしの」
清兵衛の妻
「江戸屋秀弥」
江戸屋の女将
「西周」
永代寺の僧
「傳蔵」
渡世人の親分
「政五郎」
鳶の親方 -
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続け様に山本さんの損料屋喜八郎シリーズを読んでしまった。無論面白いからである。
山本さんの著作、しかも同じシリーズの三冊目ともなれば、気合を入れることもなく安心して読み進むことができる。無防備にストーリーの中に埋没できる。
シリーズ三冊目ともなるとそれぞれの登場人物たちの個性が際立ってくる。
ついつい読むスピードが上がってしまうのだが、寛政の改革時代の金の勘定が詳細に説明される部分が多々あり、同じスピードで読み進めてしまうと詳細な理解が追いつかなくなってしまう。どうしても良い加減な金額の高低で判断したままで先を急いでしまう。(私の読みの甘さなのだろう)
寛政の改革後の不景気の最中、でも人々の文化的な生活感が溢れる江戸の下町情緒の世界を存分に楽しむことができた。 -
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。鍼灸師の染谷の治療が神がかってきた。
●衣替え
嫌われる検校の毛むくじゃらの12才の娘をお灸で治療。何度かの治療で毛もスッキリと快癒。お灸にこんな効果があるのか、初めて知りました。
●居眠り初め
大晦日の宴会で10人の川並の内、半数が腹痛。鍼灸で快癒。手伝いの染谷の娘も父親を改めて尊敬する。
●正徳の湯
向かいに住む親友の漢方医昭年の腰の具合が悪く、箱根行きを勧める。旅立った親友夫婦が恋しくなり、染谷夫婦も箱根へ行く。宿の客の歩き方が体に悪いと忠告し、歩き方を教える。
●にんじん船
箱根から戻る途中で川崎宿に投宿。そこで見たのは、怪しいにんじん畑。偽の高麗人参かと思ったら、どうも違うよう。この経緯が読んでも今ひとつ分かりにくい。
●つぶ餡こし餡
染谷の妻の太郎が広めた菓子屋の話し。娘がひさしぶりに持ってきたお菓子に異変を感じた染谷夫婦。訪れて見ると腰を痛めている上に、偽の高麗人参の薬で雁字搦めに。助けようとした染谷につれない菓子屋の夫婦。酷い仕打ちで追い払われる。読んでいて菓子屋に怒りを覚える。
●立夏の水菓子
大店に見込まれた菓子屋は、またも染谷につれない素振り。ところがこの大店も偽高麗人参で窮地に立たされ、菓子屋の主人の意見で染谷を頼ることに。
短編集に珍しく朝鮮人参で3作も繋がっていた。驚異的な治療法だけでなく、人間の器の大きさを持って事件を解決する染谷はスーパーマンのよう。深川一の芸者が惚れて結婚するのも分かる気がする。
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Posted by ブクログ
主人公格の4人やその他ストーリーに絡む人々の立ち位置、関係、設定が明らかにならないまま話は進む。
話は面白いのだけれどそう言ったものを理解せずに読んでいくのは何かフワフワした感じでじっくり味わえない気がする。
もしかしたら本作品は一連のシリーズ物の内の一巻で、ファンたる読者ならばそんなことは了解事項なのかと思ったけれどそうではなかった。
とりあえずストーリーが先行して後から詳細を知らせるというのがこの著者のやり方なのだろうか。
定斎屋(この言葉も初めて知った。 暑気あたりの薬を売り歩く商売だそうです)の蔵秀とその仲間3人が知恵を使い、金にまつわるご近所トラブルを江戸に暮らす人々の思いと風情を背景に解決する連作5編。
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Posted by ブクログ
再読。『損料屋喜八郎始末控え』シリーズ3作目。7編からなる連作。前半3編は、四郎左衛門の猫好きを逆手にとって大口屋が仕掛けた伊勢屋追い落とし作戦の顛末を描く。
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前作『赤絵の桜』で主人公・喜八郎の傑物ぶりは大きく印象づけられたからでしょう。本作で活躍するのはかつての敵役・伊勢屋四郎左衛門です。
前作から兆候はありましたが、本作で描かれる伊勢屋の器量は相当なものです。
揺るぎない経営哲学と人使いの上手さに加えて、先を見通す目と的確に対応する柔軟性、人情の機微ばかりか芸術から食まで万事に通ずる感性を備え、果ては裏社会にまで及ぶ影響力を持つ伊勢屋。喜八郎に匹敵する存在感は第2の主人公と言っても過言ではありません。
伊勢屋四郎左衛門という登場人物に対する作者の思い入れの深さが窺えます。
面白い小説は登場人物が脇役に至るまで魅力的なものです。シリーズ執筆の筆がますます乗ることを期待してしまいます。