山本一力のレビュー一覧
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シリーズ2作目。鍼灸師の染谷の治療が神がかってきた。
●衣替え
嫌われる検校の毛むくじゃらの12才の娘をお灸で治療。何度かの治療で毛もスッキリと快癒。お灸にこんな効果があるのか、初めて知りました。
●居眠り初め
大晦日の宴会で10人の川並の内、半数が腹痛。鍼灸で快癒。手伝いの染谷の娘も父親を改めて尊敬する。
●正徳の湯
向かいに住む親友の漢方医昭年の腰の具合が悪く、箱根行きを勧める。旅立った親友夫婦が恋しくなり、染谷夫婦も箱根へ行く。宿の客の歩き方が体に悪いと忠告し、歩き方を教える。
●にんじん船
箱根から戻る途中で川崎宿に投宿。そこで見たのは、怪しいにんじん畑。偽の高麗人参かと思ったら -
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主人公格の4人やその他ストーリーに絡む人々の立ち位置、関係、設定が明らかにならないまま話は進む。
話は面白いのだけれどそう言ったものを理解せずに読んでいくのは何かフワフワした感じでじっくり味わえない気がする。
もしかしたら本作品は一連のシリーズ物の内の一巻で、ファンたる読者ならばそんなことは了解事項なのかと思ったけれどそうではなかった。
とりあえずストーリーが先行して後から詳細を知らせるというのがこの著者のやり方なのだろうか。
定斎屋(この言葉も初めて知った。 暑気あたりの薬を売り歩く商売だそうです)の蔵秀とその仲間3人が知恵を使い、金にまつわるご近所トラブルを江戸に暮らす人々の思いと風情を -
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再読。『損料屋喜八郎始末控え』シリーズ3作目。7編からなる連作。前半3編は、四郎左衛門の猫好きを逆手にとって大口屋が仕掛けた伊勢屋追い落とし作戦の顛末を描く。
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前作『赤絵の桜』で主人公・喜八郎の傑物ぶりは大きく印象づけられたからでしょう。本作で活躍するのはかつての敵役・伊勢屋四郎左衛門です。
前作から兆候はありましたが、本作で描かれる伊勢屋の器量は相当なものです。
揺るぎない経営哲学と人使いの上手さに加えて、先を見通す目と的確に対応する柔軟性、人情の機微ばかりか芸術から食まで万事に通ずる感性を備え、果ては裏社会にまで及ぶ影響力を持つ伊勢屋。喜八郎に -
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3.8
日本橋室町の老舗眼鏡屋・村田屋の主人・長兵衛と、日本橋小網町の目明かし・新蔵が、二人の眼力と村田屋の家宝・天眼鏡を駆使し、力を合わせて難題を解決してゆく。
「天眼帳開き」
悪名高い目明かし・巳之吉の縄張りである住吉町の裏店で起きた殺しの捜査で巳之吉が縄にかけたのは、母と妹の面倒を見つつ長屋の住人の手伝いをしながら生活を支える、近所でも評判の娘・おさちだった。
おさちへの嫌疑に疑問を抱く新蔵は長兵衛に助力を求めるが…
おさちの手についていた泥と、出所の分からない多額の支度金がおさちの立場を危うくしてしまう。
◯宮本宜明…南町奉行所定町廻同心。新蔵の雇い主。
◯小倉義則…北町奉行所