山本一力のレビュー一覧

  • いっぽん桜(新潮文庫)
    やはり、江戸人情ものを描かせたら、山本一力の右に出るものは、いないのではないか。
    ただ、いかんせん、短編集だと、一つ一つの話が中途半端になってしまうのが残念。
    一つ一つの話を長編で読んでみたい。
  • つばき
    『だいこん』の続編でてたの知らなかった!
    美しい生き様とはなんなのだろうと思う。誇りを持つことと傲慢さは違う。自分への自信だけでなく、他者への思いやりがなければ、美しいとはいえない。
    つばきはそのバランスをうまく”とってるみたいにみえる”けど、じつは結構ドロドロしてて、なんつーか、もっと楽な生き方も...続きを読む
  • 大川わたり

    夫婦になってみたい男たち

    4人登場!読後感もよく、裏切らない一本でした。
  • 梅咲きぬ

    3代目秀弥

    あかね雲を、読んだあとに、この本を手にした。
    期待を外さない4代目秀弥の生きざまに、真似のできない清々しさと気っ風を感じて、読後感がとてもよかった。
    ただひとつ、気になり2冊を探った3代目秀弥の享年。60なのか52なのか?
    ファンとしては、4代目の心に違いが出るだろうと、気になりました。
  • 深川黄表紙掛取り帖
    超・有名人だけと初読み。
    蔵秀、雅乃、宗佑、辰次郎の4人組が力(知恵)を合わせて難問に取り組む短編集。
    最初のうちは時代小説の基礎知識がないせいもあってか、いまいち入り込めないというか、面白みがよくわからなかったんだけど、後半は4人に愛着がわいて楽しくなってきた。
    解説でミステリ色についても触れてた...続きを読む
  • べんけい飛脚(新潮文庫)
    以前読んだ「かんじき飛脚」の続編本でしたが、将軍吉宗時代の老中松平定信が目を付けられている前田藩が状況を打開するために公儀に忠誠を尽くす姿を公儀に理解してもらうために戯作者の雪之丞に読物を作成させるという展開ですが、前半は読物作成に至る過程を描いており、後半は、雪之丞が書いた読物が描かれておりました...続きを読む
  • 千両かんばん
    山本一力の江戸深川人情小説長編作品でしたが、本作は、腕利きの看板職人の武市を主人公に、親方との悲運な死別から、弟弟子にその座を奪われ、自暴自棄になっていたところ、大きな仕事を請け、真剣にその仕事に打ち込み、いろいろな人たちに叱咤激励されながら、また協力を得ながら、苦難を乗り越え、大仕事を成就するとい...続きを読む
  • おたふく
    長編の本作は、江戸の高級食材を扱う老舗大店の兄弟を主人公に大店を守る長男と、大人になり袂を分けて仕出し弁当店を開業して事業を営む次男の話ですが、棄損令に伴い世間の景気が悪くなったにも関わらず大店を守り抜く兄と、そんな世を逆手に順調に商いを伸ばす次男が、それぞれに志を持ちながら商いをすることで、それぞ...続きを読む
  • 五二屋傳蔵
    なかなかの長編作でしたが、本作は黒船来襲に揺れる頃の話で、質屋「伊勢屋」の後継ぎとなった主人公傳蔵を中心に、伊勢屋に襲撃をかけようとする盗賊の龍冴一味との知恵比べや伊勢屋に質入れにくる客と店員との優しさと厳しさを兼ね備えた人情的なやり取りが良かったですね!
    それにしても質屋というのは表向きの体裁が悪...続きを読む
  • ジョン・マン 6 順風編
    ジョン・マンがすっかり大人になってた。年齢的にはまだまだ若いんだけども。おもしろかった! 早く続きが読みたい。
  • 朝の霧
    山本一力作品としては珍しい歴史上の人物を扱った作品で戦国武将で有名な四国の長宗我部元親の家臣の波川玄蕃を主人公に扱った話で、どこまでが史実に基づいているのかは不明ですが、本作では、波川玄蕃という人格的にも知将としても素晴らしい才覚のある武将であったが、その人望と才覚ゆえに主君である元親に妬まれたあげ...続きを読む
  • いかずち切り
    しゃがみ屋という短編と騙り屋という長編2編でしたが、どちらの話も山本一力作品らしく、最高に粋な男たちの爽快ストーリーで面白かったですね!
    しゃがみ屋の話では、それぞれ裏稼業を商いとする面々が仕事に誇りと覚悟を持ち、腹を括っている姿が秀逸でしたし、騙り屋は、主人公のいかずちの弦蔵と騙り屋の対決の様相か...続きを読む
  • 八つ花ごよみ(新潮文庫)
    八つの短編集でしたが、山本一力の真骨頂と言える江戸時代の庶民、その中で本作は老齢な方々にスポットをあてて、さりげなく花と絡めて語られる人間模様や夫婦愛が胸にしみる短編ばかりで、どの話も良かったです!
  • くじら組
    山本一力の小説にたびたび登場する土佐の鯨組をメインとした話でしたが、内容的には粋な鯨組や土佐藩の面々が格好良くて面白かったです!
    黒船来襲と鯨組との奇妙な関連性を描いた展開でしたが、後半は黒船と命名された仇敵のマッコウクジラとの死闘が良く、また死闘を演じながらも鯨を敬う鯨組の姿勢も素晴らしかったです...続きを読む
  • いかだ満月
    本作は、鼠小僧の忘れ形見の女房と息子を中心に、鼠小僧亡き後に親子の面倒をみる材木問屋商の祥吉が大量の吉野杉を仕入れるために鼠小僧の息子とお目付け役の川並の健次とともに新宮まで買い付けに出向く道中や新宮での義理人情ストーリーにほっこりさせられると同時に、自分のテリトリーでのことが全て正しいのではなく、...続きを読む
  • ほうき星 下
    さちの成人になった後の展開ですが、立派な絵師になったかたわら、祖母との約束で珊瑚商を行う覚悟を決めたり、結婚するかどうかなど、取捨選択をどうするか?意思決定をしなければならず、さちの揺れる女心であったり、それを支える深川や土佐の粋な人たちとの交流が、さすがの山本一力ワールドで良かったです!
    やっぱり...続きを読む
  • 龍馬奔る 土佐の勇
    坂本龍馬と中岡慎太郎を土佐出身の著者が魂を込めて描く。河田小龍の才能を評価し龍馬の学問指南役につけ、様々な知識をあたえ、作品の最後には「ジョン・マン」と出会う。
  • ほうき星 上
    まさに山本一力の深川を舞台にした江戸時代物小説の真骨頂と言える作品ですね!
    深川ともう1つ山本一力の故郷である土佐の話も絡めて主人公のさちを中心に、さちの不遇な幼少期の境遇を親戚家族や深川の心優しい粋な人たちが皆で支えて、その気持ちをしっかりと汲みとったさちが大人としても人間としても成長していく様が...続きを読む
  • いすゞ鳴る
    伊勢参りが結ぶ2組の縁が結んだ先に見える景色とは?という物語で、江戸の豪商伊勢屋が大地震からの復興を願い伊勢参りに出向く一行と、土佐の鯨漁師の一行が、土佐の鯨不漁を打破するためには、江戸から伊勢参りでくる一行の中の子供がカギだという予言に従い、その子供 朝太を中心とした展開になっていきます!
    朝太の...続きを読む
  • たすけ鍼
    本作は、凄腕鍼灸師である染谷を主人公に、そこは山本一力作品らしく深川の義理人情を中心とした染谷の腕と身分に惑わされず誰でも同等に扱う姿勢に人柄に惚れた人たちとの交流をふまえ、まわりの人たちにも良い影響を与えていくというほっこりとした物語に仕上がっており、面白かったです!
    「金儲けと人助けは仲のよくな...続きを読む