山本一力のレビュー一覧

  • あかね空
    「気苦労が続くだろうが、ちょっと恨んだり、ちょっと妬んだりしながら、それでも頼り合えるのが身内だ」と言うセリフが突き刺さる、家族力を描いた時代小説。
  • おたふく
    江戸時代の寛政年間を舞台とした時代小説。寛政の改革では旗本御家人の借金を棒引きにする棄捐令が出された。借金を棒引きにすることは乱暴な政策であり、以後は札差は貸し渋りをすることで、逆に旗本御家人は資金繰りに困ることになった。目の前の借金問題を何とかしようということしか考えない近視眼的な政策である。
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  • 損料屋喜八郎始末控え
    読み応えありました。3作目があっさりだったので、それが作風かと思いきや。
    前シリーズ読みたくなりました。主人公ちょっと堅過ぎだと思いません?
  • かんじき飛脚(新潮文庫)
    何事も人力に依っていた時代に、江戸と加賀の間をつなぐことが、どれほど困難だったか。貴重な情報と物の行き来を担う飛脚と、それを支える人々の、迸る情熱と誇りに圧倒された。
    特に、雪の中の息を呑む戦闘シーンは圧巻。
  • 長兵衛天眼帳
    第一話は親蔵親分が主人公?という話の流れでしたが、なるほど周りから固めていく手法なのかなと納得。その後魅力ある登場人物がどんどん出てきます
    悪人への罰、その落とし所など丁寧さを感じる作風です
  • たすけ鍼
     「やまいを診るまえに、ひとを診ろ」「人はだれしもが己の身体を己が治す、生まれながらの力を秘めている・鍼灸や薬は、眠っているその力を呼び覚ますための助けに過ぎぬ。」深川で鍼灸師を営む染谷(せんこく)のたすけ鍼(ばり)、胸のすく作品です。山本一力「たすけ鍼」、2010.10発行。
  • 長兵衛天眼帳
    3.8
    日本橋室町の老舗眼鏡屋・村田屋の主人・長兵衛と、日本橋小網町の目明かし・新蔵が、二人の眼力と村田屋の家宝・天眼鏡を駆使し、力を合わせて難題を解決してゆく。

    「天眼帳開き」

    悪名高い目明かし・巳之吉の縄張りである住吉町の裏店で起きた殺しの捜査で巳之吉が縄にかけたのは、母と妹の面倒を見つつ長...続きを読む
  • 明日は味方。―ぼくの愉快な自転車操業人生論
    山本一力 著「明日は見方。」、2013.6発行。自転車操業人生だそうですw。①中3の時、東京に。住み込みで新聞配達を4年間。人間を学び、英語を学んだ。自転車操業人生の始まり ②昭41、18歳で近畿日本ツーリスト(有楽町・交通会館)に。約10年。世界各国に。③その後、7つ位の職を。コンピュータに詳しく...続きを読む
  • ずんずん!
    牛乳の宅配は、「日本ならではの文化」。これが幾度となく繰り返して強調される。筆者のあとがき、コロナ禍ゆえ、なおさら考えさせられる人が陰ながら支え、心配りする人の暮らし。
  • つばき
    前作『だいこん』に続き気風の良い、つばきが主人公。
    一膳飯屋『だいこん』は、浅草から門前仲町に移ったが、つばきの飯炊きは相も変わらず絶品。
    読んでいて、米の甘さが口の中に広がってくる。
    まだ、続編があるみたいなので、そちらも読んでみたくなる。
  • たすけ鍼
    粋や人情をよしとした生き方が胸をスッとさせます
    立夏の水菓子からするとまだ、助走段階
    2冊とも読むのがお勧めです
  • だいこん
    面白く読むことができた。
    苦労をしているのだろうが、物事が世間が人がここまで良い世の中あるのだろうかないだろうと思いながら、、、
  • たすけ鍼 立夏の水菓子
    久しぶりの山本一力作品は、たすけ鍼の続編で、短編6編という内容ですが、中編的な感じでもありました。
    深川の鍼灸師の染谷を主人公に盟友昭年と妻の太郎とともに人助けや世直しに汗を流す粋な人情話が最高でしたね!
    山本一力の真骨頂とも言える爽快な江戸下町の話が良かったです!次回作も早く読みたいですね!
  • 大川わたり
    俺はお店から暇を出されたこれに思い当たり、銀次の腰が砕けたのだ
    昔を振り返って、その当時の仕事を片っ端から消しゴムで消してしまうのは、おのれの軌跡を否定するも同然です。たとえ未熟であっても、その当時にしかできないこともあります
  • 桑港特急
    山本一力の小説の魅力は人情とか人のつながりとか、生き様とかライフスタイルとか、そういう描写や表現を楽しむことである。この本でも、小笠原諸島での生活、ゴールドラッシュに沸くサンフランシスコでの人の生き様、中国上海での描写あたりは非常に生き生きとしていて、読んでいてもうきうきしてくる。

    残念なのは、そ...続きを読む
  • あかね空
    京都生まれの豆腐職人永吉の、親子2代にわたるお話。
    いろんな人情噺が添えられていて、時代小説らしいさわやかさがある一方、メインの家族の話はおふみのえこひいきや長男栄太郎のダメダメな感じがなんともいえない。
    それぞれのキャラクターの背景までよく描かれていて、気持ちよく、すんなりと読めました。おきみちゃ...続きを読む
  • カズサビーチ(新潮文庫)
    カズサビーチ どこの浜だろう? カタカナだと分からないもんですね。
    海の男たちに通じる気概が羨ましい。事が無事に済んだからこそ言えることかも知れないけれど
  • 旅の作法、人生の極意
    荘厳な景観には神が宿ると誰もが信じていた
    旅に費やす時間と金を惜しむのは、生きることを惜しむに等しい
    冬の京都には、街のいたるところで寒仕込みを感じた
    今日をしっかり生きること。これを肝に銘じている
    子は親を見て育つ。そして親の知らぬところ親が気づかないところで、数々の経験を積む
    信じる心。想像力。...続きを読む
  • ジョン・マン 7 邂逅編
    ジョン・マンこのシリーズ7巻目。
    6巻を読んでから、かなりの時間が経ているため、物語の世界に没入するにはいささか時間がかかった。

    今回は最後の捕鯨旅を終えて、、、その旅の中で、ハワイに立ち寄り土佐からの仲間のその後を知る、そして、アメリカの捕鯨も終わりを迎える。鯨の数が激減したからだ。

    万次郎は...続きを読む
  • いかずち切り
    江戸を舞台にした「借金取り」VS「詐欺グループ」の冒険小説。ミステリーというよりは男気小説とでもいうべきか。

    登場人物達の男気というか、カッコ良さを読む小説なんだと思う。稲妻屋の面々は勿論のこと、猪牙船の漕ぎ手、しゃがみ屋、大金持ちの伊勢屋に至るまでとにかくカッコ良い。生き方の覚悟が決まっているの...続きを読む