山本一力のレビュー一覧

  • 損料屋喜八郎始末控え 赤絵の桜

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     『損料屋喜八郎始末控え』シリーズ2作目は5編からなる連作。再読。

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     1作目より更に趣向が凝らされ、楽しませてくれる作品に仕上がっていました。
     前半3編の中心は定番どおり喜八郎の活躍なのですが、伊勢屋については人間味溢れる意外な横顔も描かれていて、シリーズの奥行きを広げてくれていました。

     特筆すべきは後半2編です。
     まず、喜八郎と伊勢屋という知恵者が騙りに遭う「逃げ水」。首謀者はなんと江戸所払いとなった笠倉屋でした。おまけに笠倉屋本人は最後まで姿を現さず書状のみの登場で、意趣返しというよりピリッと辛い無沙汰の挨拶という設定が、全くもってシャレていました。

     そして、最終話「初雪だるま」が秀逸でした。
     喜八郎と秀弥以外のレギュラー陣が手を組み、恋には奥手な2人を取り持つという内容で、実にいい年になりそうなエンディングとなっています。  

     2作目にしてシリーズ完結かと思わせるほどの出来栄えでした。満足しました。

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    2021年10月09日
  • 損料屋喜八郎始末控え

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     『損料屋喜八郎始末控え』シリーズ第1作。深川で小さな損料屋を営む喜八郎が、真っ当に生きる人たちの暮らしを守る姿を描く経済時代小説。4編からなる連作。再読。

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     田沼バブル経済と定信緊縮財政。真逆の政治体制に翻弄される江戸が舞台です。
     そして主人公は、深川で損料屋を営む元同心の喜八郎という男。この喜八郎が実に魅力的。

     損料屋の規模は小さいものの、優れた洞察力と抜群の経営センスで大店の札差たちと互角以上に渡り合い、真っ当に生きる江戸の庶民たちの暮らしを守ろうとする喜八郎が、なんとも粋でカッコイイんです。


     やはり何度読んでもおもしろい! シリーズ化が納得できるほどの出来栄えで、一力節の本領が存分に発揮された名作です。

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    2021年11月16日
  • 研ぎ師太吉(新潮文庫)

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    研ぎ師太吉

     山本一力の作品は以前から好きで読んでいます。作者独特の文建てで、説明文の中に会話文が埋没している書き方のものが
    多いのですが、この作品は、会話文が読みやすくて全体を通しての読みづらさがないように思いました。
     単行で出た本だとは思いますが、今後の太吉の生き様をみたい気持ちが強いので、ぜひ続編を!と期待します。

    #カッコいい #アツい #感動する

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    2021年04月23日
  • あかね空

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    いいなぁと想像する人情話。

    上方から江戸に来た豆腐職人が江戸で家族をもち、仕事や家庭における苦楽を描いた作品。

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    2021年01月28日
  • たすけ鍼 立夏の水菓子

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    内容(「BOOK」データベースより)
    深川で鍼灸師を営む染谷。「医は仁術」と心得て、朋友の漢方医・昭年とともに市井の人々を癒す。元辰巳芸者で気風のいい内儀の太郎にも支えられ、人助けに世直しにと奔走する日々を人情味あふれる筆致で綴る。現代の疲れた心にもじんわり効く長篇時代小説『たすけ鍼』待望の続編。

    令和2年6月4日~8日

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    2020年06月08日
  • カズサビーチ(新潮文庫)

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    ペリーが江戸に来航する8年前に、米国の捕鯨船の船乗りと無人島に漂着した日本人11名の間でこんな感動的な交流があったとは、知らなかった。

    山本一力は異国人と日本人との交流を描くのがうまいなあ。

    もっと、別な物語も読みたくなった。

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    2020年02月16日
  • 欅しぐれ

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    内容(「BOOK」データベースより)
    深川の老舗大店・桔梗屋のあるじ太兵衛と賭場の貸元・霊巌寺の猪之吉は偶然に出会う。ひとの目利きに厳しい太兵衛は、猪之吉の人柄を感じ取り、一献お付き合い願いたいと申し出た。大店のあるじと貸元の、肚をわった五分の付き合いが始まった。そんなある日、油問屋・鎌倉屋鉦左衛門による桔梗屋乗っ取りの企みが明らかになる。重い病を患う太兵衛は、桔梗屋の後見を猪之吉に託し、息を引き取る。やがて桔梗屋をめぐり、鎌倉屋の意を受けた乗っ取り屋一味と、猪之吉一党との知力と死力を尽くした闘いが始まるが…。直木賞作家の人情味あふれる時代長篇。

    令和2年1月16日~19日

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    2020年01月19日
  • たすけ鍼

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    内容(「BOOK」データベースより)
    深川蛤町で鍼灸師を営む染谷は、“ツボ師”の異名をとる名手。高利貸しの難病を癒す代わりに取り立てをゆるめるよう諭したり、死にゆく婦人の痛みを和らげたりと、市井の人々を癒し、人助けや世直しに奔走する染谷の日々を描く。胸のすくような長篇時代小説。

    令和2年1月9日~10日

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    2020年01月10日
  • カズサビーチ(新潮文庫)

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    何気なく眼に留めて入手し…読み始めてみて…頁を繰る毎に、この一冊に出会えたことを感謝してみたくなった…素敵な作品だった!!
    「カズサビーチ」というのは、日本に来航した外国船の船長が「あそこは?」と尋ねて「上総」という回答を得たことから、船が接近した辺りを「カズサビーチ」と呼び習わして、航海日誌にそういう表現で記した…ということで登場した名前である。
    物語は、鯨漁と鯨油の採集を行いながら遥かな日本海を目指す<マンハッタン>の旅と、「遭難者は最優先で助けるべきである」という船長のクーパーの信条―海難で同じく捕鯨船の船長だった父を失った過去にも触れられている…―の故に2隻の日本船の人達を救助した様子や、救助した22名の日本人を送り届ける顛末が主にクーパー達の目線で描かれ、時々救助された日本人達の側の目線で進む話しや、過去の経過に関する挿話が入って来るというような形で進行する。
    困難な操業や長い航海に向き合う高潔な男、<マンハッタン>の乗員や業界関係者、更に街の人達にも敬意を払われる男という感のクーパーが、更に<マンハッタン>に乗り合わせた乗員達が、異なる文化の下ながら、彼と同じ海の仕事に携わる男達や、折り目正しく高い矜持を有するサムライ達に出会う。
    “アジア系”、“欧州系”、“アフリカ系”というような意味ではない、「同じ人種」が思わぬ形で交わることとなったという出来事だったのかもしれない。危険も伴う仕事に真摯に誇りを持って臨み、出くわした人達に心を開こうとするような種類の人達どうしが邂逅したというような出来事として、<マンハッタン>による遭難者救助の一件が本作では伝えられていると思う。
    本作の何れの部分も、「鮮やかな映像」が思い浮かぶような、美しい場面に溢れている。作中で様々な出来事が起こった時の情景、クーパー達が眼にした日本の沿岸の様子や、日本の港に入ることになった時に眼にすることになった様子など、情景の描写が好い。そして作中人物達が動く様子、偶々出くわした異文化に驚く日米双方の人達の様子等、なかなかに面白い。<マンハッタン>の乗組員達と助けられた日本人達が交歓する場面では、笑い声や歌声が聞こえて来そうだ…
    手頃な、読み易い分量ながら、非常に濃い中身で同時に愉しい。クーパーの率いる<マンハッタン>が日本海を目指して大航海をしていたような時代を想えば、現代は何処へ行くのももっと速く簡単で、異なる文物を巡る情報も余る程に在る。そういう中だからこそ「出くわした人達に心を開こうとするような種類の人達どうしが邂逅したというような出来事」という、この『カズサビーチ』の物語は尊いのかもしれない。

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    2019年10月19日
  • だいこん

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    主人公のつばきがとにかく格好いい。
    人と真剣に向き合うこと、自分の信じたことに向かって突き進むことの素晴らしさを感じた一冊。
    読み終わった後が清々しく、前向きになれる。

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    2019年09月16日
  • ジョン・マン 5 立志編

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    お久しぶりのジョン・マン。前を向いているのに変わりはない。たまには横向いたら?と思ってしまうのは意地悪かしらん。この意志の高さと堅さはどこから生まれたのだろう。時にはヘラヘラしてたかなぁ。

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    2019年08月22日
  • たすけ鍼

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    たすけ鍼

    染谷のの男気に感銘

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    2019年07月26日
  • あかね空

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    自分ひとりで生きているんじゃないと思わせる小説。
    自分も知らないところで誰から暖かい人情をかけられているかもと思ってしまった。それは既に亡くなった人かもしれない。

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    2019年01月31日
  • つばき

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    「だいこん」の続編です!浅草から深川に移転した「だいこん」を舞台に深川の地での店の営み方を弐蔵親分に教わりながら、騙りにあったり窮地に追い込まれる場面もありつつ、それが縁で商いを伸ばすことになったり、最後は経済が悪くなる中で、つばきがそれに立ち向かっていくという姿が良かったですね。江戸の時代物小説なのですが、商売する上で何が大切か?ということを教えられたバイブルとなる一冊でした!続編もあるようなので、また期待したいです!

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    2019年01月11日
  • 草笛の音次郎

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    内容(「BOOK」データベースより)
    三度笠、縞の合羽に柳の葛篭、百両の大金を懐に―。今戸の貸元、恵比須の芳三郎の名代として成田、佐原へ旅する音次郎。待ち受ける試練と、器量ある大人たちが、世の中に疎い未熟者を磨き上げる。仁義もろくにきれなかった若者が、旅を重ねて一人前の男へと成長してゆく姿をさわやかに描いた股旅ものの新境地。

    平成30年12月28日31日

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    2019年01月01日
  • たまゆらに

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    山本一力の江戸深川人情話長編作品でした。鼈甲大店に嫁いだ母の1人娘である朋乃を主人公に、大店から離縁され、深川でひっそりと慎ましく暮らし成長し青菜の棒手振りへと成長したある日、50両の大金が入った財布を発見し、自身番へと届けると、なんとその財布がかつて離縁を言い渡された大店のものだと判明し、財布騒動が過去の因縁にも繋がるという話ですが、過去の因縁をうっちゃって最後に朋乃が啖呵をきって落としどころをつけるやり取りが最高で、その後の顛末も粋な恩返しで良かったです!

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    2018年10月06日
  • あかね空

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    ネタバレ

    評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。明るく気丈なおふみの支えで、様々な困難を乗り越えながら、なんとか光が差してきた。やがて、ふたりは三人の子に恵まれる。あるときから、おふみはなぜか長男の栄太郎ばかりを可愛がるようになる。そして、一家にやがて暗い影が・・・。親子二代にわたって人情の機微を描ききった、第126回直木賞受賞の傑作時代小説。

    2世代に渡っての話なので、少しずつ話が薄くなってしまうのは仕方ないか。母長男の関係に最後まで苛ついた・・・程のめり込んで読んだ。

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    2018年03月05日
  • 深川駕籠

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    内容(「BOOK」データベースより)

    深川の駕籠舁き・新太郎は、飛脚、鳶といった男たち三人と足の速さを競うことになった。いずれ劣らぬ早駆けの達人である。しかも、深川から高輪への往復のうち帰りの大川は泳いで渡らなければならない。江戸の町は大いに盛り上がり、勝ち札が売りに出された。新太郎は相肩尚平の秘策を胸に師走の町を走る。しかし、道中、同心の大野が卑劣な罠を仕掛けていた…。

    平成20年2月19日~22日

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    2018年02月22日
  • あかね空

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    ☆5つはちょっと甘いかなと思いつつ・・・。
    山本さんは2作目。前作「損料屋喜八郎始末控え」の感想に「これがデビュー作ですから、その後を期待したいと思います。」などとえらそうに書いてしまいましたが、いやはや期待を裏切らない出来です。乙川優三郎氏を押さえての直木賞受賞作というのが充分頷ける作品です。
    実は中盤で少し破綻した感じがありまして、ややヒヤヒヤしたのです。母親の溺愛。それに対する長男の反発と逃避。このまま行くと物語が壊れるのではないかと。しかし、最期に綺麗にまとめられています。山本周五郎や藤沢周平のうまさには敵わないかもしれませんが、これはこれで一力節と言っていいような気がします。
    今後がますます楽しみです。

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    2017年11月08日
  • 蒼龍

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    良いですね。山本一力。
    上記のように最後の「蒼竜」を除いては2001年に発表された作品です。山本さんが「あかね雲」で直木賞を受賞したのが2001年ですので、ちょうどその頃の作品になります。
    一方「蒼竜」はデビュー作です。本人があとがきに書いているように、荒っぽさもありますが、新鮮な力も感じます。膨大な借金を背に新天地での活躍を狙う、自らの体験を時代小説に映した作品です。
    どの作品も時代小説らしいしっとりした情緒の中で、物語が悲惨にならずポジティブです。そして爽やかな読後感が得られます。そこが山本一力さんの魅力ですね。
    お勧めです。

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    2017年10月30日