山本一力のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
深川の老舗大店・桔梗屋のあるじ太兵衛と賭場の貸元・霊巌寺の猪之吉は偶然に出会う。ひとの目利きに厳しい太兵衛は、猪之吉の人柄を感じ取り、一献お付き合い願いたいと申し出た。大店のあるじと貸元の、肚をわった五分の付き合いが始まった。そんなある日、油問屋・鎌倉屋鉦左衛門による桔梗屋乗っ取りの企みが明らかになる。重い病を患う太兵衛は、桔梗屋の後見を猪之吉に託し、息を引き取る。やがて桔梗屋をめぐり、鎌倉屋の意を受けた乗っ取り屋一味と、猪之吉一党との知力と死力を尽くした闘いが始まるが…。直木賞作家の人情味あふれる時代長篇。
令和2年1月16日~19日 -
Posted by ブクログ
何気なく眼に留めて入手し…読み始めてみて…頁を繰る毎に、この一冊に出会えたことを感謝してみたくなった…素敵な作品だった!!
「カズサビーチ」というのは、日本に来航した外国船の船長が「あそこは?」と尋ねて「上総」という回答を得たことから、船が接近した辺りを「カズサビーチ」と呼び習わして、航海日誌にそういう表現で記した…ということで登場した名前である。
物語は、鯨漁と鯨油の採集を行いながら遥かな日本海を目指す<マンハッタン>の旅と、「遭難者は最優先で助けるべきである」という船長のクーパーの信条―海難で同じく捕鯨船の船長だった父を失った過去にも触れられている…―の故に2隻の日本船の人達を救助した様子 -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。明るく気丈なおふみの支えで、様々な困難を乗り越えながら、なんとか光が差してきた。やがて、ふたりは三人の子に恵まれる。あるときから、おふみはなぜか長男の栄太郎ばかりを可愛がるようになる。そして、一家にやがて暗い影が・・・。親子二代にわたって人情の機微を描ききった、第126回直木賞受賞の傑作時代小説。
2世代に渡っての話なので、少しずつ話が薄くなってしまうのは仕方ないか。 -
Posted by ブクログ
☆5つはちょっと甘いかなと思いつつ・・・。
山本さんは2作目。前作「損料屋喜八郎始末控え」の感想に「これがデビュー作ですから、その後を期待したいと思います。」などとえらそうに書いてしまいましたが、いやはや期待を裏切らない出来です。乙川優三郎氏を押さえての直木賞受賞作というのが充分頷ける作品です。
実は中盤で少し破綻した感じがありまして、ややヒヤヒヤしたのです。母親の溺愛。それに対する長男の反発と逃避。このまま行くと物語が壊れるのではないかと。しかし、最期に綺麗にまとめられています。山本周五郎や藤沢周平のうまさには敵わないかもしれませんが、これはこれで一力節と言っていいような気がします。