山本一力のレビュー一覧

  • 欅しぐれ
    普段は時代小説を読まないので、特有の言葉に慣れるまで進みが遅かったけど、あとはぐいぐい引き込まれるように読みふけってしまった。

    まったく違う世界に生きる二人が出会い、互いを信頼し、心底相手のために思いやる、そんな関係が清清しかった。

    自分と違う価値観を認め合えるような、懐の深さを持てるようになり...続きを読む
  • 深川駕籠
    駕篭かきというのは現代にはない職業だ。職種としてはタクシーやハイヤーと同じだけど、二人で一組というところが決定的に違うし、そこがこの小説のみそにもなっている。駕籠って乗ったことがないなあ。一度乗ってみたくなった。
  • 草笛の音次郎
    渡世人の股旅物。現代の日本なら何時間かでいける距離だが、何ヶ月も時間をとるのはただ行けばよいというものではなく、旅の中で成長してこいという親分の思いあってのことだ。
    これを読んで思ったのは私の亡くなった師匠はこの世界を地で行く人だったんだなあということ。そう思うと、よく分かっておらず失礼な振る舞いが...続きを読む
  • 深川黄表紙掛取り帖
    定斎売りの蔵秀、長身男装の絵師・雅乃、文師・辰次郎、飾り行灯師・宗佑の若い四人が力をあわせ、大店が桁違いに抱えた大豆を、大掛かりなアイディアで始末する「端午のとうふ」、他4編を収録。 全ての編に話が繋がっている。柳沢吉安が最後に出て来るのが、、、痛快。
  • はぐれ牡丹
    山本一力の時代長編。
    ミステリー要素で言えば、宮部みゆきの時代物に及ばないものの、数字や金額の確かさ、時代考証や当時の職業などの設定は山本一力の方が1,2枚上手か。さすが!
  • 大川わたり
    山本一力の時代長編。
    自分の人生・人間を改める男の心の動きに感動です。隅田川のことを大川って言っていた事も、これで再認識しました。
  • 損料屋喜八郎始末控え
    山本一力初トライ。はじめは、損料屋という職業や色々な役職名など江戸時代独特の用語に慣れずになんどもいったりきたりしながら読み進めた。が慣れてくると、おもしろくてどんどんすすんだ。地名に我が江東区の細かい地名がたくさん出てきて楽しい。こういうのを読んではその辺りを歩く、ってことをその都度やってみたいな...続きを読む
  • たすけ鍼 天神参り
    鍼灸師染谷家の家族の物語。
    江戸人情物語が得意な山本一力だが、この小説は甘い恋愛物の色合いが強く、私好みの人情味がもう少し盛ってあれば…と感じた。
    兄の勘四郎の優しさらしき優柔不断に少し苛つく。
    良い人ばかり出てくるので、かえって賭場の親玉虎蔵の悪役のキャラクターが人物として面白かった。
  • 旅の作法、人生の極意
    タイトルにひかれて読んだ
    スタートは鹿児島県で
    向田邦子の作品を取り上げていて
    いい感じで読んだ
    桜島の噴火と噴煙
    多分磯庭園からの錦江湾の眺め
    雄大な景色が浮かんでくる
    生活するのは大変なのだ
    洗濯物は外に干せない
    部屋には桜島の灰が侵入してくる
    思い出してしまった
    自分に馴染みのある場所は
    イメ...続きを読む
  • 旅の作法、人生の極意
    ロッキーステップや旅行会社添乗員時代の苦労など、読んで面白いところもあったが、なんとなく散漫な文章。雑誌に掲載された連作エッセイをまとめたものなので、初出の際は散漫さが求められたのだろう。お手軽に読めてよかったが、作法とか極意とかそういう大げさなものではなかった。

    ヤリスの項で、なんだかトヨタの宣...続きを読む
  • かんじき飛脚(新潮文庫)
    最初は取っ付きにくかったけれど、親不知からハラハラが止まらなかった。飛脚たちが体験した寒さが伝わってくるようだった。
  • 花だいこん
    『だいこん』、『つばき』に続くシリーズ三作目。

    棄捐令の発令により、かつてない不景気の江戸の町。
    ご多分に漏れず、仕事が減っていた大工の安治は、ある日薬種問屋〈蓬莱屋〉が看板の思案を募集している事を知り、“巨大提灯”というアイデアで応募しようと乗り出しますが・・・。

    前二作は、つばきと彼女が営む...続きを読む
  • 梅咲きぬ
    実家に転がっていました。
    時代物の登場人物って、生き方に選択肢がほとんどないし、油断するとすぐ死ぬから、もうほんと神には縋るし、毎日全力だし、明日をも知れなくても見栄張って生きるしかないし、普通に考えると辛すぎるから、これくらい主人公補正入ってないとな…と思うくらいに主人公がチート。
    でも、山本一力...続きを読む
  • たすけ鍼 天神参り
    シリーズ第3弾。

    今回こそはと思っていたのに、人参からみの話はなし。

    辰巳芸者をやめて父・染谷に弟子入りした娘・いまりを軸に、いまりの兄・勘四郎や、昭年の子供たちの縁談や跡継ぎなどが描かれているのだが、どれもスッキリ終わらず、また次巻まで持ち越しなのだろうか。

    染谷・昭年ともに名医と名高いのな...続きを読む
  • たすけ鍼 立夏の水菓子
    「たすけ鍼」の続編。
    朝鮮人参が登場し、いよいよ前作で解決しなかった野田屋の件が明らかにされるのかと思いきや、肩透かし。
    染谷と昭年の神がかった医術に、読んでいて本当にこんなことまで出来るものなのかと不思議さを感じた。
    話の展開が大きくなりすぎて、町の人々との関わりが少ないのが残念。
  • たすけ鍼
    鍼灸師を営む染谷が人助けや世直しをする話なのだが、結局「野田屋」はどうなったのか?
    すっきりしない1巻だった。
  • 牡丹酒 深川黄表紙掛取り帖(二)
    山師の父が出会った銘酒を江戸で売り出そうと蔵秀たちが土佐へ向かい、仕掛けを進めていく話。土佐の佐川村の自然や村人たちの様子がリアルに伝わってきて、タイムスリップして行きたくなりました。作者の山本氏は土佐出身者。土佐愛を感じます
    あれもこれも上手く行き過ぎな気もしましたが、ひなに雅乃とのこと「一筋縄じ...続きを読む
  • 落語小説集 子別れ
    あんなに楽しい時間だったのに、同じ落語の物語で同じ感じで軽くなって読んでみたが、どうにもこうにも苦手。ゴツゴツした一力さんの好きだと思ったのに、単なる思い込みかな、読むのを中断する。以上
  • 深川黄表紙掛取り帖
    主人公は定斎という薬を売り歩く若者、蔵秀。蔵秀と仲間3人が深川を舞台に厄介事を面白おかしくカッコよく解決していくお話
    定斎とは夏バテ防止の薬らしい。そんな薬が江戸時代で売られていたんですね
    一番カッコイイのは実は父親の雄之助
  • あかね空
    中盤、家族関係が希薄になる部分で嫌な辛い気分になったが最後でまあ納得。解説の家族力という言葉に考えさせられた。