ほうき星って・・・彗星のことです。
天保6年、76年に一度現れるほうき星が江戸の空に輝きました。
凶運を連れてくると思われるほうき星が江戸・深川の空を流れたその夜、
気鋭の絵師・黄泉と、日本橋の鰹節問屋の娘・さくら夫婦の間に、
玉のような女の子さちが生まれました。
さちの住む深川のご近所の鮮魚や「うお金」のまゆみは
さくらと同い年で気があっていました。
まゆみの子供乾太郎と善次郎の兄弟も
さちを本当の妹のようにかわいがり、
何かあったら手を差し伸べる、ほほえましいご近所さんです。
母・さくらの実家は日本橋の鰹節問屋。
少なからず繁盛している商人で、
さちにとっては、祖母にあたるこよりと伯母にあたるききょうは
美人であってしかも土地の人々を大切にする優しい女性でした。
婿を迎えたききょうとその子供大助とともに、
さちは家族の愛情をいっぱいに受け、すくすく育ちました。
さちが5歳のとき、思いもしない不幸がいきなり襲ってきました。
船で小旅行に出かけたさちの両親が台風にであって
船が沈没し、亡くなりまったのです。
祖母こよりにひきとられたさちは、
小さいながらも、利発で聡明な女の子に育ちます。
両親の死から3年後、今度はこよりが病死し、
さちは一時的に伯母ききょうへ預けられました。
そして、父黄泉から受け継いだ非凡な才覚を
父の恩師で有名な絵師岡崎に見染められ、
さちは11歳で岡崎の屋敷奉公へ出ることになりました。
岡崎のお屋敷では、賄いの手伝いと絵の勉強。
祖母こよりと母や伯母から受け継い
こよりの故郷土佐の鰹節をだしに取り入れたそうめんや
酢の物など、料理の出しの取り方は
著名な絵師岡崎も喜ばせます。
不幸な身であるはずの、さちという少女の周りには、
いつも人生の指南役のような人物がいて、
さらに彼女を元気づけ、守ってくれる兄や幼なじみの存在があり、
この先どんな女性に育っていくのか、とても楽しみです。
さちはどんな男性を選ぶのか。
幼なじみの乾太郎なのか、または違う人か。
そしてさちは、
祖母こよりの意志を継いで、珊瑚の飾り物店をだすのか、
または、絵の才能を開花させて、絵師になるのか。
先が気になりながらも、上巻はここで終り。
早くさちの行く末が読みたい!