山本一力のレビュー一覧

  • かんじき飛脚(新潮文庫)

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    昔、飛行機の中で、著者原作の映画「あかね空」をやっていて、妙に印象に残っていたので、別の江戸ものを読んでみようと思い手に取った。
    駅伝は中学時代の3kmのみ、マラソンは柴又の60kmが自身の最長距離なので、金沢-江戸 間をそれより早いスピードで踏破する飛脚の脚力には脱帽だ。あっという間に読み終えた。

    惜しいのは、松平定信の加賀藩虐めの動機にイマイチピンと来ないところ。政策レベルでは、現代の感覚では飛んだ愚作である棄捐令(借金棒引き)を出して信用大収縮をお越し、その善後策としての加賀藩虐めでは、隠密政治力をフルに発揮する、という、力の入れどころが何かとチグハグな徳川政治。

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    2021年09月07日
  • 梅咲きぬ

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    玉枝は、深川の料亭「江戸屋」の女将である三代目秀弥の一人娘。周囲の人々の温かく、時に厳しい目に見守られながら、老舗の女将としての器量を学びつつ一人前に成長していく。山本作品にたびたび登場する四代目秀弥の少女時代にさかのぼり、母から娘へと受け継がれる江戸の女の心意気を描く、波乱万丈の物語。(カバーより)


    時代物一辺倒の夫が感想を聞きたい、というので大至急読みました。

    はい、凛として筋が通っていて好きですよ、こういうの。

    ちょっと妬けますがね。

    だって美人で、能力があって、器であるのですもの、ヒロインが。

    しかし、なかなかのいい文章で、時代がよくわかります。

    作者のお人柄でしょうか、

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    2021年08月30日
  • たすけ鍼 立夏の水菓子

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    「たすけ鍼」の続編です。

    前作「たすけ鍼」を読んだのが2017年で、内容がうろ覚えだった為(我ながら、星だけつけてレビューを書いていないし・・(;´∀`))、前作を再読してから本書を読みました。
    深川のスーパー鍼灸師・染谷先生を巡るあれこれ六話が収録されています。
    人々の身体の不調を治すのは勿論、人助けや世直し的な相談まで受けてしまう染谷先生。
    朋友の漢方医・昭年先生との老年になっても仲良しな感じは微笑ましいものがあります。
    第五話「つぶ餡こし餡」第六話「立夏の水菓子」は、続いているので二話で中編ともいえます。旧知の菓子屋夫妻が渡世人(いわゆる“反社”みたいな人達)に付け入れられて染谷先生に

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    2021年08月04日
  • あかね空

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    第126回直木賞受賞作品
    親子二代の家族の絆
    やはり、家族とはいえ、いや、家族だからこそ、お互いの気持ちを理解することは難しい。
    互いを思いやるが故にすれ違う気持ち。
    しかし、最後はやはり家族の絆がしっかりと描かれています。
    また、本作では、悪役は一人。他は悪役っぽかったりしますが、人情熱い人たちばかりでした。

    ストーリとしては、
    江戸に下った豆腐職人の永吉。そして、その永吉を手伝ううちに夫婦となったおふみ。
    しかし、京の豆腐は江戸ではなかなか受け入れらません。
    そんな中、二人が力を合わせてその苦労を乗り越えていくのが前半。

    そんな二人には、長男栄太郎を授かってから、徐々に不幸と行き違いが

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    2021年08月01日
  • 銀しゃり 新装版

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    新装版になるにあたって加筆修正したとあったので、何年ぶりかの再読。
    何回よんでも柿鮨美味しそう。
    時代小説は刺激が少なくて安心して読める。

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    2021年07月18日
  • 峠越え

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    女衒の新三郎が仕事でしくじり、絶望的なところより始まる。話の流れは暗そうになるのだが、押しかけ女房となる壺振りおりゅうと出逢うことにより、次々と新しい出会いもありピンチの時に助けられてゆく。江ノ島の弁財天の出開帳や大親分五人を引率しての久能山詣りなど何でこの二人が、と思ってしまうが、最後はホロリとした山下一力の人情噺に落ち着いた。

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    2021年06月02日
  • あかね空

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    ネタバレ

    上方から身一つで江戸へ下ってきた永吉が、深川の裏店で豆腐屋”京や”を開く。上方と江戸の豆腐の違いに悩みながらも、真摯に豆腐作りに打ち込み、やがて表通りに店を構えるまでになる。
    それは、永吉の確かな腕と質の良い大豆を贅沢に使う製法だけでなく、おふみの明るく行動力のある支えや、嘉次郎のアドバイス、相州屋の女将の陰の支え、そういった人に恵まれたことも大きかっただろう。
    しかし、その一方で、おふみの両親を含めた、永吉と家族の間には、不幸な出来事も多く、永吉が亡くなった後は、京やはどうなってしまうのだろう、、、と気が滅入る展開が続いた。

    あとがきで触れられているように、著者の作品には『家族力』がテーマ

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    2021年05月26日
  • ずんずん!

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    ネタバレ

    牛乳販売店が舞台かと思いきや、メインはその販売店に魅せられた業界人達の奮闘と、そこここで景気よく爆誕する職場恋愛だった。あらゆることが全部うまくいきます。読んだのは牛乳配達員が表紙に描かれた文庫版だったが、ググって確認した単行本の表紙にはアートディレクターの玉枝らしき人物が大きく描かれていた。
    主人公チームのライバル会社以外の登場人物がことごとく超超超超超善人で、正直ちょっと気持ち悪いくらいなんだけども、その分そのライバル会社の人間は普通に盗聴など違法スレスレのことをしており、善と悪それぞれの振り切り方が面白い。

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    2021年05月14日
  • ずんずん!

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    テレビドラマは、小説の中のほんの一部でした。でも、ドラマは良かった。
    だから、小説はもっと広くて厚みがあると思わずに読みました。
    ドラマティックではない日常を支える人たちの、でも一人ひとりはかけがえのない暮らしを生きていることを、ていねいに描いている小説でした。
    でも、それにしてはできすぎな繋がりが、やっぱり小説だし、それがいいのかな。

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    2021年05月03日
  • あかね空

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    サクサクと読みやすい文でした。

    家族だから、わだかまること、思い悩むこと、素直になれないこと、でも最後は、家族だから許しあえたのかなと思いました。
    良かったです。

    全体的に、内容が暗めで、読んでいて辛かったです。

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    2021年04月05日
  • 損料屋喜八郎始末控え 牛天神

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    ネタバレ

    棄捐令、寛政元年に118万両の借金が帳消しになったのだが、人々はお金を使わなくなり経済が疲弊して民は苦しんだ
    深川富岡八幡宮の氏子たちが集会で誓ったのが、無駄な事への倹約は大事だが、暮らしに入り用な金を惜しむ事は自分の首を絞める
    このご時世だが本祭りをはじめ町の誰もが今まで通リの御金遣いをして、融通し合って仕事と給金を工面し、余裕のある店は什器を始めこことばかり新調をしたりした
    深川ぐるみで助け合ったこの繋がりが、悪巧みをする者の企みをくじけさせたのだ

    新型コロナ禍の今こそ必要な考え方(´・ω・`)

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    2021年03月02日
  • いすゞ鳴る

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    土佐の荒くれ鯨漁師や江戸の大商人、そして
    火消し64組の人足たちが、それぞれの思いを
    胸に、江戸時代のツアーコンダクター”御師”に
    導かれて伊勢神宮を目指す。お伊勢参りを
    舞台に、さまざまな人間模様を描く時代小説。

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    2022年07月12日
  • 千両かんばん

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    鬱屈した日々を過ごす看板職人・武市のもとへ
    大店から依頼が舞い込んだ。「目新しい趣向を」との
    注文に途方に暮れるが、不意に閃いた前代未聞の
    看板思案に職人の血が沸き返る。

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    2020年12月25日
  • 家族力

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    山本一力さんの家族に関するエッセイ、著者は3度結婚されてますが、一度目、二度目の結婚・離婚に対する反省と三度目の結婚に対する決意が強く表現されています。自分の年や経歴の嘘、浮気への反省ともう妻に嘘はつかないと。清貧の暮らしが長かったようですが、「あかね空」での直木賞受賞、良かったですね。著者のお母さまが池波正太郎の「剣客商売」が大好きで、亡くなったとき、著者が池波氏に亡き母への一筆をお願いしたとき、池波氏から亡き母の名を肉太の青インクで宛名にした暑中見舞いが届いた話、良きエピソードですね!

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    2020年12月04日
  • 人情屋横丁

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    1948.2、高知生まれ、団塊の世代の山本一力さん、自伝的エッセイです。「人情屋横丁」、2011.10発行。①新聞配達での思い出 ②昭和33年:蓋つき丼でチキンラーメンを ③昭和34年:森永ミルクキャラメル、10円 ④昭和41年:ラーメン70円、チャーハンは大90円・中60円・小30円。ラーメンとチャーハン小で100円。⑤言うたち いかんちや、おらんくの池にゃあ 潮吹くサカナが泳ぎよる

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    2020年11月30日
  • ジョン・マン 7 邂逅編

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    ジョンマンが北米東海岸のニューベッドフォードに錦を飾ったところから、サンフランシスコまでの話。作者が解釈するジョンマンの若き野望を描いてるが、気持の動きが簡単過ぎる。表現にもっと深みが欲しかった。
    でもこの後が楽しみだ。書いてくれるのかなぁ。

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    2020年11月17日
  • あかね空

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    前半は豆腐屋のサクセスストーリーで面白かった。後半は博打、借金、複雑な家族関係から、誰もが善人でなくなる。ラストはやや強引に感じた。

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    2020年09月11日
  • だいこん

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    「みをつくし料理帖」を読んでいるからこの手の人情小説は慣れたものだが、どこまでも「縁」が縁を呼びどんどん進行していく話は今の世では若干引く。事業はこういった人の伝手で成功して行くものだけど、つばきはわがまま過ぎるのにいい人に囲まれ過ぎるがちょっと出来過ぎな気がしないでもない。ましてや、飯炊きが上手いだけでこううも成功してしまうと白けてしまう。
    それでもボリュームのあるページ数を読みきれるだけの小説としての面白さはある。
    途中から一切出てこなくなる渡世人、なんで?
    弁当辺りからなんだか話がわやくちゃになるのは書下ろしでなく連載小説ならではのもので、もううすこしスマートにまとめて終われば評価も上が

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    2020年09月01日
  • つばき

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    ネタバレ

    続編のようだ。

    主人公は「つばき」という名前の江戸時代の年増と呼ばれる二十代半ば。

    浅草から深川に店を移して一膳飯屋「だいこん」を営む。酒も出す店だ。
    つばきは、美味しい飯を炊くのがうまい。誰しも感動するような気配りで飯を出す。

    ここ深川でも商売をうまく切り盛りできるように、古くからの知り合いの地回りにも、情報を得ようと足を運ぶ。

    後ろ盾のない女がどんな風に商売を切り盛りするかという話になっている。

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    2020年08月30日
  • 戌亥の追風

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    木更津の薪炭問屋の娘おきょうは、深川の材木商と談判する為に単身江戸に向かいますが、折しも江戸は黒船来航で異常なピリピリムード。
    通常ならさっさと通れるはずの船番所に留置されてしまいます。彼女を救うべく、取引先の薪炭問屋の手代・仙之助をはじめ男たちが動きだします。
    実は、おきょうが留め置かれてしまったのは、吟味女・おせいの、個人的な恨みというか意地悪のせいだったのですが、生殺与奪の権力を持った人は本当に人間性が試されるというか、権力をかさににきて弱いものいじめをするクズが多い気がします。船番所同心の堀田なんて、クズ役人の最たるもので威張るだけでなく、悪事にも手を染めようとしていました。
    与力の佐

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    2020年07月12日