山本一力のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「みをつくし料理帖」を読んでいるからこの手の人情小説は慣れたものだが、どこまでも「縁」が縁を呼びどんどん進行していく話は今の世では若干引く。事業はこういった人の伝手で成功して行くものだけど、つばきはわがまま過ぎるのにいい人に囲まれ過ぎるがちょっと出来過ぎな気がしないでもない。ましてや、飯炊きが上手いだけでこううも成功してしまうと白けてしまう。
それでもボリュームのあるページ数を読みきれるだけの小説としての面白さはある。
途中から一切出てこなくなる渡世人、なんで?
弁当辺りからなんだか話がわやくちゃになるのは書下ろしでなく連載小説ならではのもので、もううすこしスマートにまとめて終われば評価も上が -
Posted by ブクログ
木更津の薪炭問屋の娘おきょうは、深川の材木商と談判する為に単身江戸に向かいますが、折しも江戸は黒船来航で異常なピリピリムード。
通常ならさっさと通れるはずの船番所に留置されてしまいます。彼女を救うべく、取引先の薪炭問屋の手代・仙之助をはじめ男たちが動きだします。
実は、おきょうが留め置かれてしまったのは、吟味女・おせいの、個人的な恨みというか意地悪のせいだったのですが、生殺与奪の権力を持った人は本当に人間性が試されるというか、権力をかさににきて弱いものいじめをするクズが多い気がします。船番所同心の堀田なんて、クズ役人の最たるもので威張るだけでなく、悪事にも手を染めようとしていました。
与力の佐 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語の展開がとても面白く、「どうなるのだろう?どうなるんだ?」と引き込まれ、読むペースもどんどん早くなっていった。
ただ、永吉とおふみが力を合わせて、豆腐屋が軌道に乗っていく前半に比べ、後半は不幸な事が多く、人が変わってしまったようなおふみをみるのがちょっと辛くなり、前半の興奮がなくなってしまった。でも、その崩れていく家族を取り戻すことができるのか?というのがこの作品のテーマの1つだと思うので、そう考えると非常に興味深く納得がいく。
おふみが悟郎の嫁であるすみに、「京やでこどもを産むんじゃないよ」と言った言葉の意味がわかった時、「あぁ、そうだったんだ」と気分が晴れつつも、おふみを思うととても切 -
購入済み
中浜万次郎の仔細を楽しめるかも
ジョン万次郎こと中浜万次郎のアメリカでの成長記録の話。取材もさることながら作者の旺盛な端倪力も遺憾なく発揮されていると推察される。
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Posted by ブクログ
演劇や映画を見ているかのように、安定感がありサクサクと物語が進むのが小気味良い。江戸の下町の人情あふれる物語。
まず、あらすじを見て、時は江戸時代だが、野心家の若者が単身で今でいうアメリカンドリームを追う物語だと思った。だが、実際は単純な苦労話というわけでもなかった。主人公や重要人物がコロリと亡くなる。世の中は誰がいなくなっても回っていき、そういうものだと思い知らされる。子供ができ、その子供が所帯を持ち、そうやって命のリレーは繰り返され人は暮らしていく。
前半は、よくある家族間の揉め事や諍い、言い合い、固執などを描き、イザコザがくじれたり、誰かに非があるように見え、その容量の悪さや人間の弱