山本一力のレビュー一覧

  • だいこん

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    「みをつくし料理帖」を読んでいるからこの手の人情小説は慣れたものだが、どこまでも「縁」が縁を呼びどんどん進行していく話は今の世では若干引く。事業はこういった人の伝手で成功して行くものだけど、つばきはわがまま過ぎるのにいい人に囲まれ過ぎるがちょっと出来過ぎな気がしないでもない。ましてや、飯炊きが上手いだけでこううも成功してしまうと白けてしまう。
    それでもボリュームのあるページ数を読みきれるだけの小説としての面白さはある。
    途中から一切出てこなくなる渡世人、なんで?
    弁当辺りからなんだか話がわやくちゃになるのは書下ろしでなく連載小説ならではのもので、もううすこしスマートにまとめて終われば評価も上が

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    2020年09月01日
  • つばき

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    ネタバレ

    続編のようだ。

    主人公は「つばき」という名前の江戸時代の年増と呼ばれる二十代半ば。

    浅草から深川に店を移して一膳飯屋「だいこん」を営む。酒も出す店だ。
    つばきは、美味しい飯を炊くのがうまい。誰しも感動するような気配りで飯を出す。

    ここ深川でも商売をうまく切り盛りできるように、古くからの知り合いの地回りにも、情報を得ようと足を運ぶ。

    後ろ盾のない女がどんな風に商売を切り盛りするかという話になっている。

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    2020年08月30日
  • 戌亥の追風

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    木更津の薪炭問屋の娘おきょうは、深川の材木商と談判する為に単身江戸に向かいますが、折しも江戸は黒船来航で異常なピリピリムード。
    通常ならさっさと通れるはずの船番所に留置されてしまいます。彼女を救うべく、取引先の薪炭問屋の手代・仙之助をはじめ男たちが動きだします。
    実は、おきょうが留め置かれてしまったのは、吟味女・おせいの、個人的な恨みというか意地悪のせいだったのですが、生殺与奪の権力を持った人は本当に人間性が試されるというか、権力をかさににきて弱いものいじめをするクズが多い気がします。船番所同心の堀田なんて、クズ役人の最たるもので威張るだけでなく、悪事にも手を染めようとしていました。
    与力の佐

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    2020年07月12日
  • だいこん

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    ネタバレ

    スラスラ読めて展開も面白かったけど、椿ちゃんがイマイチ好きになれなかったところがある。
    少し男勝りな性格を意識して描かれたと思うけど、そこは違うかなーと思ったりする場面も。
    でも総合的には読みやすく、よかった。

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    2020年06月15日
  • 旅の作法、人生の極意

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    地理的な今の土地ぬ風景という横軸の旅と、行った土地の歴史という縦軸の旅、というの双方の楽しみ方が書いてありました。50年ぶりの文通相手との対面。私もロッキーステップ駆け上がりたい。

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    2020年06月14日
  • あかね空

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    ネタバレ

    物語の展開がとても面白く、「どうなるのだろう?どうなるんだ?」と引き込まれ、読むペースもどんどん早くなっていった。
    ただ、永吉とおふみが力を合わせて、豆腐屋が軌道に乗っていく前半に比べ、後半は不幸な事が多く、人が変わってしまったようなおふみをみるのがちょっと辛くなり、前半の興奮がなくなってしまった。でも、その崩れていく家族を取り戻すことができるのか?というのがこの作品のテーマの1つだと思うので、そう考えると非常に興味深く納得がいく。
    おふみが悟郎の嫁であるすみに、「京やでこどもを産むんじゃないよ」と言った言葉の意味がわかった時、「あぁ、そうだったんだ」と気分が晴れつつも、おふみを思うととても切

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    2020年05月10日
  • たすけ鍼 立夏の水菓子

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    深川で鍼灸師を営む染谷は、朋友の漢方医・
    昭年とともに市井の人々を癒し…。
    人助けに世直しにと奔走する日々を、
    人情味あふれる筆致で綴った長篇時代小説。
    「たすけ鍼」続編。

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    2020年07月27日
  • 梅咲きぬ

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    時代は宝暦年間、舞台は深川の老舗料亭
    「江戸屋」。女将・秀弥と娘・波瀾の人生を
    描く人情時代小説。

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    2020年04月24日
  • はぐれ牡丹

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    一乃は、夫・鉄幹と四歳になる勘太郎と三人で
    富岡八幡宮の近く、冬木町の長屋に暮らしている。
    大店の跡取り娘でありながら、駆け落ちして
    鉄幹と一緒になった一乃は、貧しくても幸せな
    日々を過ごしていたが…。

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    2020年08月17日
  • ジョン・マン 4 青雲編

    購入済み

    中浜万次郎の仔細を楽しめるかも

    ジョン万次郎こと中浜万次郎のアメリカでの成長記録の話。取材もさることながら作者の旺盛な端倪力も遺憾なく発揮されていると推察される。

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    2020年02月28日
  • たすけ鍼 立夏の水菓子

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    内容(「BOOK」データベースより)

    深川で鍼灸師を営む染谷。「医は仁術」と心得て、朋友の漢方医・昭年とともに市井の人々を癒す。元辰巳芸者で気風のいい内儀の太郎にも支えられ、人助けに世直しにと奔走する日々を人情味あふれる筆致で綴る。現代の疲れた心にもじんわり効く長篇時代小説『たすけ鍼』待望の続編。

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    2020年02月10日
  • たすけ鍼

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    内容(「BOOK」データベースより)

    深川蛤町で鍼灸師を営む染谷は、“ツボ師”の異名をとる名手。高利貸しの難病を癒す代わりに取り立てをゆるめるよう諭したり、死にゆく婦人の痛みを和らげたりと、市井の人々を癒し、人助けや世直しに奔走する染谷の日々を描く。胸のすくような長篇時代小説。

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    2020年02月10日
  • あかね空

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    演劇や映画を見ているかのように、安定感がありサクサクと物語が進むのが小気味良い。江戸の下町の人情あふれる物語。

    まず、あらすじを見て、時は江戸時代だが、野心家の若者が単身で今でいうアメリカンドリームを追う物語だと思った。だが、実際は単純な苦労話というわけでもなかった。主人公や重要人物がコロリと亡くなる。世の中は誰がいなくなっても回っていき、そういうものだと思い知らされる。子供ができ、その子供が所帯を持ち、そうやって命のリレーは繰り返され人は暮らしていく。

    前半は、よくある家族間の揉め事や諍い、言い合い、固執などを描き、イザコザがくじれたり、誰かに非があるように見え、その容量の悪さや人間の弱

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    2020年01月26日
  • 朝の霧

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    武士社会の理不尽さとそれに付随する死に様、生き様を描いた時代小説。屍を片付ける兵士に手出しをしない軍、平服で臨む漢への対応。随所に滲む気高き情緒に、この心情が理解できる日本人で良かったと思わずにはいられない。

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    2020年01月06日
  • ジョン・マン 7 邂逅編

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    ネタバレ

    長い捕鯨の旅から戻ったジョン・マンは、町が捕鯨不況に陥っているのを知り愕然とする。
    それでもハワイで待つ仲間と一緒に帰国を果たさなければならない。
    ジョン・マンが選んだ次なる金稼ぎの手段はゴールドラッシュに沸く西海岸を目指して、そこで帰国資金を稼ぐこと。
    副長として乗り込んだ改造客船は西への航海を続ける。

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    2019年12月20日
  • ジョン・マン 7 邂逅編

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    捕鯨船から砂金取りへ.万次郎さん何をやってもソツなくこなすところがすごい.日本に帰るメンバーも三人に減ってしまったし,何より鎖国なんだからまだまだ前途多難だ.

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    2019年11月02日
  • ジョン・マン 7 邂逅編

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    新刊が出るのを待っている本は今これ1冊田名と思いつつ、久しぶりすぎてどういう話だったか思い出すのに時間がかかったしまった。
    ジョンマンが船乗りとして認められ、日本に帰れる事も可能性が出てきたが、一緒に漂流してきた仲間との死や時間の流れに戸惑う。捕鯨も衰退して来て、時代はゴールドラッシュに突入していく。

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    2019年10月07日
  • 八つ花ごよみ(新潮文庫)

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    短編8つ。江戸の市井の生活が季節感とともに伝わってくる。多くは老境の主人公が今日に至った生育の物語。人とともにある事の幸せとともに孤独死の寂しさをひしひしと感じた。2019.9.18

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    2019年09月18日
  • かんじき飛脚(新潮文庫)

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    初一力。オススメいただいた作品。16人の“飛脚”の物語。名と簡単な仕事内容しか知らなかったが、とても骨太な作品で読み応えがありました^^ 飛脚の生業の奥深さ、彼らの情に熱い人間関係、幕府と加賀藩との巧妙な駆け引き、そして御庭番との死闘。終始、飛脚のパワフルさに圧倒され続けましたw 武士、侍とはまた違う江戸の一面を見せてもらいました^^ 星三つ半。

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    2019年09月16日
  • 梅咲きぬ

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    江戸、深川の女の心意気、天晴れ。
    これぞ、深川の……いや、日本の女。
    まさに、大和撫子。
    お淑やかなだけではなく、芯の強さがある。
    そして、母娘の愛情の深さに涙した。

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    2019年09月02日