山本一力のレビュー一覧

  • 損料屋喜八郎始末控え

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    山本一力単行本デビュー作。
    御家人を救うために借金を踏み倒す「棄捐令」。その後の締め貸し(貸し渋り)による景気低迷が、この後の山本一力の殆どの連作作品の時代背景となっている。日本経済の長期低迷と重ねあわせていたのだろうか。

    上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、庶民相手に鍋釜や小銭を貸す損料屋に身をやつした喜八郎が、金の力を笠に着て巨利を貪る「札差」に立ち向かう。
    その後の一連の深川人情物とは少し色合いが違い、シリーズを意識した作品。

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    2012年05月19日
  • だいこん

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    江戸、浅草で「だいこん」という一膳飯屋を営む若い娘「つばき」の半生。「つばき」が炊いたご飯は天下一品。きっぷが良く、思ったことははっきり言い、自分が信じたところを突き進む。
    「人が働く様は美しい。」「中途半端な才覚よりも、誠実であることの方がはるかに尊い。」
    山本一力は、江戸という時代、深川・浅草という下町で様々な生業で地道に生きる人々を丹念に描く。しかもその多くは親子の姿。そして粋・器量・心意気。

    「梅咲きぬ」は老舗料亭。「あかね空」は京風豆腐屋。 「菜種晴れ」は天ぷら。「かんじき飛脚」は飛脚屋。「まとい大名」は火消し。「だいこん」は一膳飯屋。もうここまでくると、一冊一冊の作品の善し悪しで

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    2012年05月15日
  • まとい大名

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    気迫で「炎のほうが逃げていく」と言われ伝説となった父、命を賭した火消しを継いで成長してゆく息子。火消し親子の物語。
    火消しに命を張る男たちの誇り高い姿と男の見栄を描いた江戸火消しの心意気と人情。

    「武家は命を捨てる覚悟が甘くなっている。」「火消しにはぶっとい骨の通った男たちが、群れを拵えております。この稼業で絶対にやってはならねえのが、筋違いの振舞いなんでさ。」
    「ひとつの間違いが仲間全員の命を危うくする。ゆえに現場の状況が読める格上の者には断じて口答えは許されない。短く答えて、ただちに動く。これが火消し社会の絶対の掟。」
    山本作品には、滔々と流れていくような清冽さや震えるような心理描写はな

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    2012年05月12日
  • いすゞ鳴る

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    西條奈加『御師弥五郎』が面白かったので、「御師」物をもう一冊読んでみました。こちらは、土佐の捕鯨や江戸の大地震(ボラ大発生がものすごい印象的)が同時にテーマになっていて、読み応えあり。「御師」がツアーガイド的側面と、宗教者的側面があり、その点でも面白い。お伊勢参りに行きたくなってしまった。

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    2012年05月06日
  • かんじき飛脚(新潮文庫)

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    「三度飛脚」は、江戸・金沢間570kmを毎月3度、夏場なら5日間で走り抜く。平場なら15kgの荷を担ぎ一日に80km走り抜く。しかも、「同じ側の手足を同時に出すのが飛脚の走り方。体がよじれなくてすむため、見かけには不器用でも長い道中を行くには身体にやさしい走り方。」本当だったらすごい。
    「筋」は、幕府の棄損令による世情の不満を転化するため、外様への仕掛けを強める。取り潰しを防ぐため加賀から秘薬「密丸」を運ぶ三度飛脚とそれを阻止するお庭番の攻防という流れだが、「本筋」は飛脚達の生き様、それを取り巻く人たちの思い。
    筋としては多少無理があり、もう一つに見えるかもしれないし、終章の攻防にそれぞれの思

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    2012年05月12日
  • 大川わたり

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    一力得意の安心して読める本
    自分の借金のせいで大川を渡ることが出来ず、数々の苦境に立たされる。
    最後までハラハラさせられたが、結末は多くの方々に支えられハッピーエンド。ちょっと大掛かり過ぎて疑問も⁉

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    2012年05月04日
  • はぐれ牡丹

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    少しミステリー要素が入ったような時代小説。ちょっと都合の良い終わり方に疑問はあるが、主人公の一乃がいきいきと描かれている。作者得意の?改鋳ネタを今回もベースにしている。そういうところはうんざり感がなきにしもあらず(´・_・`)

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    2012年03月18日
  • 損料屋喜八郎始末控え 粗茶を一服

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    シリーズ3作目
    前作では主人公と相思相愛の料亭の女将と一緒になることを皆が祝福していたのに、今作では最後に話しが出て来るくらい。因縁の伊勢屋とどんどん親しくなって行く。ライバルから親友?

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    2012年03月07日
  • 深川黄表紙掛取り帖

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    ネタバレ

    設定がもの凄く好みなんだけど、なんだかのめり込めなかったんだよなあ。
    でもなんか好きだなあ、という読後感。これはきっと大人になってから(そういうと今のわたしは何なのかということになるが)、もう一度読み返すと別の感想が得られそうな気がするから、数年後にもう一度読み直そう。

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    2012年06月28日
  • だいこん

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    ネタバレ

    誰にも負けない飯炊きの上手さと商才を生かし、10代で自分の一膳飯屋を持ったつばきの人生を描いた時代小説。

    「あかね空」を読んだ時も思ったけど、この作者は母親というものに対して何か確執があるのかなあ。
    父親は借金を作って暴れても善人に描かれ、必死に家を守り子供を心配する母はヒステリーな人に描かれるので少し気になった。

    肝心のお話自体は長いけど、つばきの才能でとんとん拍子に商いが大きくなっていくので心地よく読める。だけど、何もかも運任せにうまくいきすぎで人間の魅力や繋がりは見えにくかった。
    結局「さあここから」というところで話が終わるので両親とも辰治ともどうなったのかわからずじまい。
    ボリュー

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    2012年01月25日
  • たすけ鍼

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    鍼灸の先生と下町深川の民たちとのお話。

    江戸時代の下町話ってやっぱり好き。

    でもちょっと残念なのは、突然場面が変わる箇所が他の作品より多かったような気がする。
    そのせいか、せっかく話に入り込んできたな~。と思ったところで途切れてしまう。

    話は素敵なんだけど。。。

    あと野田屋と野島屋(だったっけか?)紛らわしいです~!
    全く違う名前にしてほしかった。(^^;)

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    2012年01月21日
  • 道三堀のさくら

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    最近ずっとご無沙汰していた山本一力さん。
    デビュー当時は良かったんですけどね、どうも次から次に出版されるようになって、粗さが目立ってきたような気がします。
    しかし、この作品はマズマズでした。
    水売りについての解説が何度も繰り返されたり、ストーリーが成立してないところなど、若干粗い感じは無い訳ではありません。
    しかし「真っ正直な商人/職人を描く」という山本さんらしいストーリーなのですが、そこに適度なひねりを入れることで、軽くなり過ぎないようにしています。いよいよ悪役登場!と思ったら、これが善人だったり、善人と思っていた人間がグズグズになったり。これらを私は良い方のひねりと見ましたが、山本さんらし

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    2016年07月23日
  • かんじき飛脚(新潮文庫)

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    #booklog ある藩のために公儀と対峙する主役は・・武士でも忍者でもなく、飛脚。権力者たちの水面下の事情に命をかけてでも飛脚としての矜持を崩さない者、裏切った者をあっさりと描いている。前半部分は
    盛り上がりはないが、飛脚という職業を具体的にイメージさせ後半を楽しむための布石である。後半は緊張感がキリキリ高まるが、文章が暑苦しくないのが、好ましい。ただし、クライマックスから終わりにかけて少し物足りない気もする。軽く読める良書。

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    2011年12月22日
  • はぐれ牡丹

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    すっとする。

    せいせいする、って意味ではなく、つっかえていたものが取れるって意味で。それこそ、大輪の花火を見たときみたいにね。

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    2011年12月13日
  • ワシントンハイツの旋風

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    明るく、前向きで物怖じしない主人公が眩しいです。

    がむしゃらにつんのめって生きるさまがかなり素敵でした!

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    2011年12月09日
  • 道三堀のさくら

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    時代劇小説に嵌まっております。(笑)
    でもこの方の作品って、途中はすごく面白いのに、最後がいつもあやふやというかハッキリしない。。

    その辺がモヤモヤする。。

    この作品も結末はお預け。って感じ。
    主人公のカップルには少々イライラしました。(^^;)

    登場人物は皆良い人なのにねぇ~(^^;)

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    2011年11月27日
  • 人情屋横丁

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    単行本を買った既読本。必ずしも食べ物のエッセイではないのだが、山本一力の故郷高知で幼少時代に食べたもの、東京に出てきて新聞配達をしていたころに食べたもの、サラリーマン生活を始めたころに食べたものと、懐かしい味が思い出と共に語られるのだが、どれも素朴な料理なのだがとてもおいしそうに描かれている。山本の小説ではさして食事風景が魅力的には映らないのだが彼のエッセイは食事が本当に生き生きと描かれているのは何故だろう。

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    2011年10月31日
  • 梅咲きぬ

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    「あかね空」を始め、山本作品にたびたび登場する、深川の料亭「江戸屋」の女将、秀弥。
    三代目秀弥の娘玉枝が、温かく、時に厳しい目に見守られながら、老舗女将として成長していく物語。

    玉枝が様々な人々から、厳しくも優しく教えられたことがすごく心に残る。

    ◯若いうちから楽することを覚えたらいけません。

    ◯辛い時は好きなだけ泣いていい。でも、自分が可哀想だとあわれむことだけはいけない。それは毒になる。

    ◯身の丈に過ぎたぜいたくは、世間様の笑ものになるばかりでなく、江戸屋の暖簾にもさわります。

    ◯質素とみすぼらしいのとは別のこと。

    ◯たとえ相手に非があろうとも、あからさまにそれを言いたてたり、

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    2011年10月06日
  • 損料屋喜八郎始末控え 粗茶を一服

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    今一つテンポが良くなかった。喜八郎さんがもう少し表舞台で活躍してもいい様な気がする。前作から間が開いてしまったので、この人誰だっけ?というのもあったりした。

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    2011年09月15日
  • いかだ満月

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    今回の作品は、江戸の大泥棒 鼠小僧次郎吉の息子と奥様がでてくる。
    まったく知らない登場人物がでてくるのは、よほど登場人物に魅力ないと、その物語になかなかひきこまれないが、今回は最初の10ページくらいで、どんどんひきこまれました!

    ストーリー自体には、鼠小僧次郎吉は関係ないのだけれど、奥様の奥ゆかしさ賢さ、次郎吉のパートナーだった祥吉のまっすぐな人間性にも惹かれた。

    『いすゞ鳴る』とほぼ同工異曲な作品でしたが、 登場人物が少ない分、すんなりよめました。

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    2011年09月08日