山本一力のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最近ずっとご無沙汰していた山本一力さん。
デビュー当時は良かったんですけどね、どうも次から次に出版されるようになって、粗さが目立ってきたような気がします。
しかし、この作品はマズマズでした。
水売りについての解説が何度も繰り返されたり、ストーリーが成立してないところなど、若干粗い感じは無い訳ではありません。
しかし「真っ正直な商人/職人を描く」という山本さんらしいストーリーなのですが、そこに適度なひねりを入れることで、軽くなり過ぎないようにしています。いよいよ悪役登場!と思ったら、これが善人だったり、善人と思っていた人間がグズグズになったり。これらを私は良い方のひねりと見ましたが、山本さんらしい痛快さ、明快さを損なうという見方をする人も居るかも知れません。 -
Posted by ブクログ
「あかね空」を始め、山本作品にたびたび登場する、深川の料亭「江戸屋」の女将、秀弥。
三代目秀弥の娘玉枝が、温かく、時に厳しい目に見守られながら、老舗女将として成長していく物語。
玉枝が様々な人々から、厳しくも優しく教えられたことがすごく心に残る。
◯若いうちから楽することを覚えたらいけません。
◯辛い時は好きなだけ泣いていい。でも、自分が可哀想だとあわれむことだけはいけない。それは毒になる。
◯身の丈に過ぎたぜいたくは、世間様の笑ものになるばかりでなく、江戸屋の暖簾にもさわります。
◯質素とみすぼらしいのとは別のこと。
◯たとえ相手に非があろうとも、あからさまにそれを言いたてたり、物言いや顔つきを変えたりしてはならない。
すごく耳が痛い…。
それを、玉枝がちゃんと吸収していけたのは、ひとえに周りの大人たちが手本となってそれを示していたからだと思う。たった15の年から女将として生きていくことになり、江戸屋や深川の祭りの采配を立派につとめあげるようになった4代目。この時代は飢饉が重なって不景気だったけど、そんな時だからこその大店のあり方もとても気持ちいいものでした。
これからの江戸屋や玉枝の行く末、どんな5代目を育て上げるのか…また別のお話で彼女に会えるのが楽しみだ。