山本一力のレビュー一覧
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主人公一乃は日本橋の大店両替商の娘。明るく思い切りの良い性格。そんな娘が寺子屋で子供に勉強を教えている鉄幹に恋をした。鉄幹は賢く良識を持ち慎重な性格。貧乏長屋暮らしだ。そんな二人が親の反対を押しきり裏店で所帯を持つ。大店の娘として育った一乃であるが、貧乏裏店暮らしであっても明るく暮らしている。夫を助けて野菜の棒手振りをして暮らしを立てている。この主人公の心のあり方、生き方が何とも魅力的である。そんな主人公の住む裏店に起こった人さらい事件。その裏にはロシアとの抜け荷貿易と偽金造りも絡んだ陰謀があった。あくまでもポジティブな主人公。そんな主人公の行動が周りを引っ張り、困難な状況を打開する原動力にな
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時代小説で人情ものを書かせたら外れなしの山本一力さんの初めての現代小説、だそうです。時代設定が違うだけで似た感じの作風を期待して読んだのでちょっとビックリ。このところこういうビックリが続いてますがエロシーンが丁寧に書いてあり、それは私小説風の青春小説ならではのメインテーマなんだと思いますが、なんだか小説というより自叙伝というか日記を読んだみたいな感じでまとまりはあまりなく、実際にはそういうものかもしれませんが中学時代の四国の友達はそれきり出てこないし、野先さんとのエピソードも完結してない風だし、或る一人の人生のある時期をここからここまで、とチョキンと切ってその間だけ広げて見せてもらった、という
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1年半くらい前に、暇つぶし用に買った本。
暇つぶし目的だっただけに、読み終わる頃には
半年近く過ぎていた気がする……
江戸のとある名門料亭に生まれた女の子が、
3代目おかみである母の背を見て育ち、
4代目として1人前に成長するまでが
書かれています。
立ち回りあり、親類との別れあり、
初恋の風化する様あり、と、
主人公の半生描いているだけに、
それなりに色々起こっています。
ん〜…でも、基本”性善説”な話だなぁ、と。
主人公の4代目は、山本氏の他の作品にも
度々登場しているそうです。
なので山本氏の作品のファンならそれなりに
楽しいかもですね。 -
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1)そもそもの設定に無理がある->宴の直前に内室急病という言い訳で十分通る。
2)最後の襲撃シーンが変->もっと簡単で有効な襲撃の仕方があるし、それはこの本の中でも使われている。
いきなり欠点を上げるのも気が引けます。しかし、有る意味これらは些細なことかもしれません。先日読んだ「大誘拐」も突っ込もうと思えば突っ込むところが有ったはず。でもそれが気にならないのは、物語そのものが面白かったから。逆に、この作品でそうしたアラばかりが目に付くのは、作品としての力が下がっているからだと思います。
中には良いシーンもあるのです。特に中盤はなかなか読ませます。でも何だか書き急いでる、もっと言え -
Posted by ブクログ
江戸時代の深川を舞台にした成功物語。例によっての山本節です。
しかしどうも軽すぎますね。都合が良すぎると言っても良いですが。
陽性の時代劇が山本さんの持ち味ですが、それにしても影が弱すぎます。無いわけでは無いのだけど、なんだか無理やり作ったようです。書割の舞台の上で主人公が踊っている感じがします。
デビュー当時は私生活面での鬱屈(膨大な借金)もあり、それが強い影と、その裏返しの光を作っていたのかもしれません。しかし、最近はその陰影が薄れたり嘘っぽくなっているような気がしてなりません。
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もうひとつ気になったこと。
私は時代考証を気にしない方なのですが、それにしても。。。
江戸