あらすじ
深川黒江町の長屋で、刃物の研ぎを生業とする太吉、ひとり者。ある夏の日、裏店にひとりの若い女が訪ねて来る。料理人だった父親の形見である出刃庖丁を、供養として研いでほしいという。快く引き受けた太吉に、かおりと名乗るその娘は、妙なことを口走る。「おとっつあんは、殺されたんです」――。一本の庖丁が暴いていく、切ない事件の真相とは。切れ味抜群の深川人情推理帖!(解説・末國善己)
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研ぎ師太吉
山本一力の作品は以前から好きで読んでいます。作者独特の文建てで、説明文の中に会話文が埋没している書き方のものが
多いのですが、この作品は、会話文が読みやすくて全体を通しての読みづらさがないように思いました。
単行で出た本だとは思いますが、今後の太吉の生き様をみたい気持ちが強いので、ぜひ続編を!と期待します。
Posted by ブクログ
花のお江戸の殺人事件サスペンスというか
捕物帳みたいな感じなのだけど
そこは岡っ引きが主役ではなく
凄腕職人、研ぎ師の太吉さん。
最初、んん??ってなったけども
読み進めていくにつれ
太吉の人間味というか人の良さと
みんなから愛されてるのね!という感じ。
たまたま依頼で研いだ包丁からの謎解きサスペンス。
まぁとにもかくにも御無事でなにより、かおりさん。
なんか後半というか最後の犯人自白までの中だるみというか
太吉の姿がストーリーから消えた感じなのだけど…
そこは主役出して!と声を大にして言いたい。
まぁ話としては面白かった。
他の職人の皆さんも良かった。
Posted by ブクログ
山本一力が安二郎の仕事に批判的な職人たちをヒーローとして描いたのは、現代社会に蔓延している職人の手抜きに警鐘を鳴らすためだったのではないだろうか
料理人の道具を手入れする太吉は、裏方の職人である。著者が、Spotlightを浴びる花形職人ではなく、地味な裏方を主人公に選んだのは、職人の本質が、研ぎ師のような地道な仕事にあると判断したからではないだろうか
Posted by ブクログ
主人公の研ぎ師である太吉を中心に、いつもの太吉の実直な仕事っぷりと人柄に惹かれ、いろいろな人に支えられながら生活していたのですが、そんな中、とある殺人事件に巻き込まれ、人助けのために真相究明に挑み、見事真相究明にいたるという姿が爽快でした!
見事な山本一力ワールド全開な作品で最高でした!
Posted by ブクログ
山本一力先生のお仕事シリーズです!
相変わらず実直に仕事する人物を描いていますが、いつもと趣向が異なるのは、推理小説仕立てになっています
面白いのは、最後の解明する手立てが「拷問」っていうのが意表を突かれてしまいました
Posted by ブクログ
後半ちょっとグダグダしていたような気がする。
拷問シーン長いな〜
推理モノというは人情モノというほうがしっくりくる。
太吉は誰を嫁にするのか少し気になります。
Posted by ブクログ
一徹な職人気質の研ぎ師が主人公のサスペンス。人情味溢れた下町の温かさが心地よい。場面説明が冗長。かおりが関わりの浅い太吉をのみ頼る結びつきが釈然としないが、さらっと楽しめる小説。2015.10.31
Posted by ブクログ
職人達の生活のくだりが素晴らしい。
主人公が江戸の街を歩き回るところも、新しい感覚だった。
物語のラストは2時間サスペンスみたいで、正直、何かが足りなかった。
年齢層高めの火サス好きの人にはいいかもしれない。
Posted by ブクログ
やっぱり山本一力作品は素晴らしい。江戸の人情が溢れていて、真っ直ぐな人間が是とされ、その人情に包まれる様が温かい気持ちにさせてくれる。言葉の選択も好き。今回出て来た同心の長田さんは、これまた私の大好きな長谷川平蔵(鬼平)にキャラが似ていてのめり込みたい放題。現代に戻る為に、東野圭吾作品あたりを読まないと、「がってんでさー!」など口走りそうで怖いわ。
Posted by ブクログ
江戸深川の十兵衛店に住む研ぎ師太吉を巡る人情話&謎解きミステリー。
以前は、武家屋敷で刀研ぎまでやっていた腕の良い研ぎ師の太吉だが、今は長屋住まいで料亭や一膳飯屋、魚屋や青菜の問屋の包丁研ぎを生業にしている。仕事への真摯な情熱と確かな腕前で、大川の東西で名の知れた研ぎ師だ。
そんな太吉が、飯屋の親娘のトラブルに巻き込まれ、結局は殺しの真犯人捜しに奔走することに…。
相変わらず、山本の話に登場する江戸下町の町人たちは活き活きして人が良くて義理人情に厚くて、みんな素敵だ。それと情景や人物の心情が、まるで自分がその場にいて一緒に行動しているように、スコーンと伝わってくる。
ただ、今まで読んだ山本の作品と比べると、オヤジの琴線への触れ方がちょっと弱かったかな。なぜだろう。太吉があまりに善人過ぎる??