あらすじ
仕事ひと筋で、娘に構ってやれずにきた。せめて嫁ぐまでの数年、娘と存分に花見がしたい。ひそかな願いを込めて庭に植えた一本の桜はしかし、毎年咲く桜ではなかった。そこへ突然訪れた、早すぎる「定年」……。陽春の光そそぐ桜、土佐湾の風に揺れる萩、立春のいまだ冷たい空気に佇むすいかずら、まっすぐな真夏の光のもとで咲き誇るあさがお。花にあふれる人情を託した四つの物語。(解説・川村湊)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
4話の短編小説集。江戸時代の話だが、仕事の内容も現代に通じるものがあるし、人間関係の機微も同じだなあと思う。あかね空もそうだったが、表紙の題字もよい。
Posted by ブクログ
やはり、江戸人情ものを描かせたら、山本一力の右に出るものは、いないのではないか。
ただ、いかんせん、短編集だと、一つ一つの話が中途半端になってしまうのが残念。
一つ一つの話を長編で読んでみたい。
Posted by ブクログ
花にまつわる人情話短編4編の構成でしたが、どの作品も人情味にあふれた話で良かったですね!
また今回は夫婦を交えた家族の絆というのも良かったです!
山本一力作品は江戸時代の作者の生誕地の土佐と江戸深川を舞台にした人情作品が主ですが、さすがの作風で、どの作品も、主人公がまわりの人達に支えられながら成長していく粋な話にどんどんはまっていっております。
Posted by ブクログ
家族の愛をしみじみと感じる短編集です。
季節毎の花が、物語と共に心に染みてきます。
すいかずらは、「忍冬」と書くそうです。
真冬の雪に遭っても葉をしぼませないことで付けられたそうな。
春の入口に出会って、気持ちを元気にさせてくれる花ですね…。
個人的には、今年の夏は桔梗に囲まれていました。
毎年忘れられない花になりそうです……。
Posted by ブクログ
江戸人情モノの短編集。
本の雑誌10月号の特集でオススメされ(?)、はじめて山本一力さんの本に手を出してみました。
江戸の様々な職業の描写にコダワリを持っておられるような気がします。
個人的には、表題作と土佐の話の2編がオモシロかったです。
Posted by ブクログ
桜、萩、忍冬、朝顔、と、花を主題にした4篇の短編集。多くの人がレビューに書いているとおり、『萩ゆれて』が実に良かった。電車内で読んでたのですが、人目を気にせず浸れる環境で読みたかった。
Posted by ブクログ
秀逸なのは「萩ゆれて」
題名には「萩」、主人公の名は「兵庫」、物語の舞台となるのは「土佐」という作品。 (^o^)
廻りの反対を押して武士の暮らしを捨て、見初めた漁師の娘と添い遂げる若者の姿を著したハートウォーミングな話です。私はこうしたハッピーエンドが大好きです。
Posted by ブクログ
表題作を含む四季の花を題材にした4編からなる短編集。
江戸に生きる人々の人情を生き生きと巧みに描いている。
特に人が人を思いやる気持ちが中心に描かれ,
その気持ちに感動させられる作品となっている。
いつまでも変わらない人情を大切にしたいものである。
個人的には「いっぽん桜」,「萩ゆれて」が良かった。
Posted by ブクログ
いっぽん桜・・・
老舗の頭取番頭に登りつめ、7年がたつ
その間、お店は隆盛を迎え、それに大きく貢献してきた長兵衛
ある日、だんなさんが引退して、息子に店を任せるとの言葉
その後の言葉を期待した長兵衛の耳を疑う言葉が・・・
家庭では上手く言葉を掛けられないが、いつも気に掛けていた娘
あまり構ってやれなかったこの娘と、自宅で桜の花見をしたく、50年の樹を植えたのだが
突然言い渡された42年勤めたお家からの「引退」に戸惑う主人公
ふと、力を抜いて見渡せば、自分が受け入れられている事に気がつくんですね
Posted by ブクログ
周五郎の後に読んだ所為だけではないと思います。やはり一力さんは少し悪い方向に進んでいるのかも知れません。
花をテーマに入れた作品集ですが、その持ち込み方に無理にが有るように見えます。なんだか”こうやったら良い。面白い話になる”そんな事を頭の中でこねくり返して、書きたいと思うネタが無いのに、無理やり書いた。そんな感じがするのです。何だか初期の作品の方が”勢い”とか”深み”とかを感じるのです。
じっくり腰をすえて、良い作品を書いて欲しいのですが。
Posted by ブクログ
人情時代物…らしいが、くどくなくらず、さっと抜けていく涼しさがある。が、さっとしすぎていて、おそらく内容は忘れてしまうだろうなぁ。
表題作のいっぽん桜が一番よかったかな。
Posted by ブクログ
短編集でした。この方の時代小説は今まで読んだ中で外れがなかったので古本屋で購入。自分が時代小説を買うのは珍しいのですが。
表題の作品なんて現代の企業のようだなあ、なんて思いながら読みました。それを言ったら萩ゆれても武士社会を企業の縦割り社会に置き換えたらそうなのでしょうが。今も昔も人間のやることなんてそんな変わらないのかも知れない。そして人と人との間に通う人情も。現実はつらいけれどもこの世の中、そう捨てたものでもない。読んだ後ほっとするお話でした。