山本一力のレビュー一覧

  • いっぽん桜(新潮文庫)

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    「いっぽん桜」これは現代で言う「思いもよらぬリストラから転職」である。長年勤めた勤め先で退職を迫られ渋々転職先を探す。今まで自分がいなければこの仕事は継続できないと括っていたことが現実的になり、問題なく引き継がれて行く様を見て、自分の過信は悉く崩れ落ちる。退職後も、自分の過去の成功例からいつかまた呼び戻されるのではないかと期待する。時の流れについていけない鈍感さが歳を取るごとに忘れさせ、つい自信過剰になる。日本の組織には未だ多くの「新陳代謝」できない企業が存続しているが、この先危ういと感じる。

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    2026年05月23日
  • 研ぎ師太吉(新潮文庫)

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    長屋に引っ越してきたばかりの刃物の研ぎ屋、大吉。彼の元に年頃の美しい女性が訪ねてきたことを長屋のおかみさん連中が興味津々に話し出すが…。

    主人公のまっすぐな生き様、職人や同心など、粋でいなせでカッコ良い登場人物がたくさん出てきて、食べ物や江戸の描写もすごく魅力的で良い。
    なのに、なんで物語の展開が後半になってグチャグチャ。江戸時代の常套手段、拷問で自白は鬼平なんかでも描かれるシーンだが、あそこで使うのは反則だろう。

    ミステリーというか捕り物帳としては、残念。市井人情ものにするにはミステリー要素が邪魔…なぜか傑作になり損ねた感がある小説。

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    2026年03月23日
  • ひむろ飛脚(新潮文庫)

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    ネタバレ

    プロフェッショナルを小説で味わいたいなら山本一力先生、加賀藩の三度飛脚(月に三度、江戸と加賀を往復する)は将軍献上の「氷」を運ぶ誉を受ける浅田屋は確かな実力も男気も備えている、がしかし今年の暖冬に加賀にさえ雪がなく氷を献上する事が危ぶまれる始末だ、加賀藩の担当も献上が叶わなければ死をもって償う気持ちに関わる男たちは心を震わせる・・・というストーリー、安定です

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    2026年02月04日
  • 牡丹酒 深川黄表紙掛取り帖(二)

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    前作では、江戸時代の町人4人組が厄介ごとを解決する話で、連作短編だった。本作は同じ4人組が土佐の酒・司牡丹を江戸で売ろうとする話である。面白かったが、これで完結なのは物足りないなあ。

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    2025年12月24日
  • 本からはじまる物語

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    好きな恩田陸さんが入っていたので思わず読んでみた。短いながらほっこりする感じのものが多くてよかった。

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    2025年11月13日
  • 損料屋喜八郎始末控え 粗茶を一服

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    シリーズ第三弾。棄捐令で大損害をだした札差を助ける御助け策が実行されようとする。それに乗じて詐欺を働こうとする者がいる。標的は伊勢屋。しかし伊勢屋はただものではない。喜八郎の敵だったが、だんだんライバル的存在になってきた。

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    2025年11月09日
  • 損料屋喜八郎始末控え 赤絵の桜

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    シリーズ第二弾。連作短編、5つの短編からなる。伊勢屋が詐欺にあい、喜八郎も詐欺にあう。詐欺師は同一人物であった。俊造とその娘・おまきの話は気持ち良い。最後はオールキャストで喜八郎と秀弥をくっつけようとする微笑ましい話。

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    2025年10月15日
  • 本からはじまる物語

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    作品紹介・あらすじ

    1話5分でわくわくできる、本にまつわる18のストーリー。

    森を飛びかう絵本をつかまえる狩人、ほしい本をすぐにそろえてくれる不思議な本屋、祖父がゆっくり本を読む理由、書店のバックヤードに隠された秘密……。
    青春、恋愛、時代小説から、ミステリにファンタジーまで、「本」と「本屋」をテーマに豪華執筆陣18名が集結! 本の世界の奥深さが短いお話の中にたっぷり詰まっています。1話5分でわくわくできてどこから読んでも面白い、本にまつわるショートショート・アンソロジー。

    *****

    本にまつわるショートショート18編を集めた短編集。
    僕は梨木果歩さんの作品目当てで購入。
    ホロリとさせるものから、ミステリーっぽいもの、恋愛ものまでジャンルは様々で、似たようなアイディアの作品もある。
    どれも短い作品なので、ちょっと食い足りなさを感じるのだけれど、逆に短いからこそ重くならずにすっと入ってくる心地良さがあって、全体的に好感が持てた。
    肝心の梨木果歩さんの作品だけれど、これがホラー。ラストが明記されていないだけに、余計に怖さが残る。

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    2025年10月05日
  • ジョン・マン 1 波濤編

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    読みやすい。けどそんなに入り込めなくて、シリーズ長そうだし1作目だけでいいか…と思いながら読み進めたらめっちゃ続きが気になる終わり方するやんー!!これは2も読まなくては。笑

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    2025年08月13日
  • 損料屋喜八郎始末控え

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    『あかね空』の山本一力氏のデビュー作とのこと。江戸時代、同心を辞し、町人となった喜八郎が、札差の悪事を暴くお話。江戸時代の景色が目に浮かんでくる。シリーズ化されているので、次も読んでみよう。

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    2025年08月06日
  • 湯どうふ牡丹雪 長兵衛天眼帳

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    昔の江戸も今も、人間関係は大事にしないとね。

    仕事への一途さとか、去り際の鮮やかさとか人の生き方には美学があって、作者はそんな美学を描きたかったのかなあと思う。

    情報弱者が利用される世の中だと思う。

    不安に呑まれると、本当に大切なものが見えない。

    ちょっとでもいい暮らし、今より良くなるものを人は追い求めるけど、道を間違えると一生辿りつけないのかも。

    ラストの話は高額の富クジに当選しながら、川に流され亡くなった老婆の話が出てくる。富クジは老婆がピタ一文使う事なく。

    お金は循環。お金は大好きだが、良き循環を起こせる人生であればと思う。

    人を幸せにし、自分も幸せになるお金が使えたらいい。

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    2025年04月29日
  • 峠越え

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    とても読みやすく、小気味よい感じてしたが僕には渡世人の粋やかっこよさは伝わらず、ただ読み終わったという感じ。

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    2025年04月16日
  • ワシントンハイツの旋風

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    1960年代から70年代の、高度経済成長期を舞台に、高知から上京した青年が、新聞配達をしながら得た経験をもとに成長していく様を描いた青春小説。
    著者は時代小説の名手で、おそらくこれが唯一の現代小説。

    著者自身の経験をもとに書いていると思われるのですが、なんだか主人公のやることが上手くいき過ぎているところがちょっと鼻につきました。
    やっかみ過ぎ?(苦笑)

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    2025年03月26日
  • だいこん

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    ネタバレ

    珍しく最後まで読むのが本当にしんどかった。

    登場人物の誰も好きになれず、特につばきは嫌い。
    なんていうか品がない。
    貧しい時に世話になった長屋の人たちに恩返しする訳でもなし、うどんの汁をかけてしまった人に逆ギレ気味にお金を渡してあっかんべーって…笑
    それに、浩太郎から縁談を申し込まれたときには自分がだいこんを思う気持ちを軽んじられたというくせに、おそめさんのところてん屋はあっさり辞めさせる、などなど。
    それに一緒にだいこんを盛り立ててくれている家族や奉公人に労いの言葉もないし。
    読んでてかなり気分が悪い。
    それなのにトントン拍子で商いが上手くいくとか不思議すぎる。

    『みをつくし料理帖』みたいな話だと思ったんだけどな。

    『あかね空』もそうだったけど、山本一力作品ってしょうもない親が出てくる話ばかりなのかな?
    文章が読みやすいのに、残念だけどもうこの作者さんを読むことはないかな。

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    2024年12月23日
  • 湯どうふ牡丹雪 長兵衛天眼帳

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    少し、わたしには読みづらかった。話が二部構成になっているような・・・
    いまいち入ってこなかった。この作者の本は以前買ったことがあったけど、読み初めで躓いて読み進めなかった記憶があったので、再挑戦したつもりだったけど、私向きではないなという感じだった。

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    2024年12月06日
  • ジョン・マン 2 大洋編

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    鳥島に漂着しジョンハウランド号に救出された5名は捕鯨船の乗組員として航海を続けることとなる。
    万次郎は捕鯨員としての才を買われ、また万次郎自身も日本へ帰るための金を稼ぐためにジョンハウランド号の一員となり遂にアメリカまで渡ることとなる。

    一方。土佐宇佐浦では徳右衛門が万次郎の消息を探し求める。

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    2024年09月12日
  • 千両かんばん

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    看板職人の武市が、秘伝の継承を目前にして親方が亡くなり、弟弟子に秘伝が受け継がれ、弟弟子が先に大きな看板を出して評判になるところから物語ははじまる。

    まさに武市にとってはドン底からのスタートであるが、そこで悔しくて眠れない夜から行動することで物事が好転する。

    江戸っ子気質の喧嘩っ早さなども封印して、真面目に看板と真剣に向き合うことで、色んな人達が味方になり、物事も好転していく。

    江戸時代にタイムスリップしたような痛快時代小説で、景色が思い浮かぶような文章力も山本一力の作品ならではと感じさせる。

    いい話でした。

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    2024年08月26日
  • たすけ鍼 天神参り

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    鍼灸師染谷家の家族の物語。
    江戸人情物語が得意な山本一力だが、この小説は甘い恋愛物の色合いが強く、私好みの人情味がもう少し盛ってあれば…と感じた。
    兄の勘四郎の優しさらしき優柔不断に少し苛つく。
    良い人ばかり出てくるので、かえって賭場の親玉虎蔵の悪役のキャラクターが人物として面白かった。

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    2024年04月06日
  • 旅の作法、人生の極意

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    タイトルにひかれて読んだ
    スタートは鹿児島県で
    向田邦子の作品を取り上げていて
    いい感じで読んだ
    桜島の噴火と噴煙
    多分磯庭園からの錦江湾の眺め
    雄大な景色が浮かんでくる
    生活するのは大変なのだ
    洗濯物は外に干せない
    部屋には桜島の灰が侵入してくる
    思い出してしまった
    自分に馴染みのある場所は
    イメージできる
    しかしアメリカをペーパードライバー
    だった奥さまがレンタカーで
    旅するなんてすごい

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    2024年03月26日
  • 旅の作法、人生の極意

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    ネタバレ

    ロッキーステップや旅行会社添乗員時代の苦労など、読んで面白いところもあったが、なんとなく散漫な文章。雑誌に掲載された連作エッセイをまとめたものなので、初出の際は散漫さが求められたのだろう。お手軽に読めてよかったが、作法とか極意とかそういう大げさなものではなかった。

    ヤリスの項で、なんだかトヨタの宣伝みたいなエッセイやなと思ったら、トヨタ系列会社社報誌みたいなんに掲載されていたようで…好みの問題なのだが、こういうのあまり得意じゃない。

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    2024年03月04日