【感想・ネタバレ】あかね空のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年03月18日

4.6
江戸の人情物語、最高。
いちいち泣けるし、いちいち腹立つし、いちいち嬉しい。そんな感情移入ができる小説が私はだいすきだ。

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Posted by ブクログ 2021年01月28日

いいなぁと想像する人情話。

上方から江戸に来た豆腐職人が江戸で家族をもち、仕事や家庭における苦楽を描いた作品。

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Posted by ブクログ 2019年01月31日

自分ひとりで生きているんじゃないと思わせる小説。
自分も知らないところで誰から暖かい人情をかけられているかもと思ってしまった。それは既に亡くなった人かもしれない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年03月05日

評価は5.

内容(BOOKデーターベース)
希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。明るく気丈なおふみの支えで、様々な困難を乗り越えながら、なんとか光が差し...続きを読むてきた。やがて、ふたりは三人の子に恵まれる。あるときから、おふみはなぜか長男の栄太郎ばかりを可愛がるようになる。そして、一家にやがて暗い影が・・・。親子二代にわたって人情の機微を描ききった、第126回直木賞受賞の傑作時代小説。

2世代に渡っての話なので、少しずつ話が薄くなってしまうのは仕方ないか。母長男の関係に最後まで苛ついた・・・程のめり込んで読んだ。

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Posted by ブクログ 2017年11月08日

☆5つはちょっと甘いかなと思いつつ・・・。
山本さんは2作目。前作「損料屋喜八郎始末控え」の感想に「これがデビュー作ですから、その後を期待したいと思います。」などとえらそうに書いてしまいましたが、いやはや期待を裏切らない出来です。乙川優三郎氏を押さえての直木賞受賞作というのが充分頷ける作品です。
...続きを読む 実は中盤で少し破綻した感じがありまして、ややヒヤヒヤしたのです。母親の溺愛。それに対する長男の反発と逃避。このまま行くと物語が壊れるのではないかと。しかし、最期に綺麗にまとめられています。山本周五郎や藤沢周平のうまさには敵わないかもしれませんが、これはこれで一力節と言っていいような気がします。
今後がますます楽しみです。

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Posted by ブクログ 2016年02月26日

深川を舞台にした時代小説。時代小説は初めて読んだが、江戸の言葉と京の言葉の掛け合いが面白かったし、先を読ませるような構成にはまり、一日で読み切ってしまった。

親子2世代に渡る人情劇は、話のテンポがよいことに加えて、登場人物がみな人間味にあふれており、読後非常に晴れやかな気持ちになった。

「なにが...続きを読むあっても連れ合いの身内のことを悪く言っちゃいけねぇ」っていうのは大事なことだなあとしみじみと感じた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年09月23日

名作。
人っていうのは皆不器用。万事塞翁が馬、どこで心のすれ違いが起こるか分からない。読んでいる最中、おふみや栄太郎に嫌悪の感情を抱いてしまったが、それこそまさに心のすれ違い。そのような浅ましい思いを抱いてしまった己が甚く恥ずかしい。

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ネタバレ購入済み

終わり良ければ….….

2023年07月16日

この作家さんの話を読んだのは、2作目だと思う。1作目の話は、何か淡々とした説明口調で、面白みに欠ける話だったので、2作目を手に取るのに、随分時がかかってしまった。確か、何かの賞を取った話だと思い、読んでみた。やっぱり、ちょっと説明的な所は多い気がしたけれど、登場人物達と一緒に、泣いたり笑ったり怒った...続きを読むり、楽しめた。最後は、皆和解して、良い終わり方だと思った。

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Posted by ブクログ 2023年02月28日

「山本一力」の時代小説『あかね空』を読みました。

「浅田次郎」作品、「佐伯泰英」作品に続き、時代小説です。

-----story-------------
しみじみとした感動を呼んだ傑作人情時代小説
京から江戸に下った豆腐職人「永吉」と妻「おふみ」、そして子供たち。
親子二代の有為転変にかけがえ...続きを読むのない家族の絆を描いた直木賞受賞作

希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の「永吉」。
己の技量一筋に生きる永吉を支える「おふみ」。
やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。
明るく気丈な「おふみ」の支えで、様々な困難を乗り越えながら、なんとか光が差してきた。
やがて、ふたりは三人の子に恵まれる。
あるときから、「おふみ」はなぜか長男の「栄太郎」ばかりを可愛がるようになる。
そして、一家にやがて暗い影が・・・。
親子二代にわたって人情の機微を描ききった、第126回(平成13年度下半期)直木賞受賞の傑作時代小説。
2007年、「浜本正機」監督で映画化。
主演で「永吉」役の「内野聖陽」は後半、物語の鍵を握る「傳蔵」役も演じる一人二役。
おふみ役は「中谷美紀」。
解説・「縄田一男」
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夢と不安を胸に、単身京から江戸に下ってきた豆腐職人の「永吉」… 深川で豆腐屋を始めようとするが、右も左もわからないだけでなく、言葉も違えば文化も違う、、、

そんな「永吉」とたまたま知り合った「おふみ」は、「永吉」の世話を焼く… 「おふみ」や周囲の人々の助けもあり、「永吉」は豆腐屋「京や」を開くことができるが、江戸庶民が口にする豆腐は固く締まったもので、上方のやわらかなものとは種類が異なっており、好まれなかった。

しかし、不器用な永吉に変わって、明るいおふみが外交的な面でサポート… 「永吉」と「おふみ」の苦労の甲斐があって、「京や」は、少しずつ軌道に乗っていく、、、

やがて夫婦となった「永吉」と「おふみ」は、協力しながら様々な困難を乗り越え、取引先も少しずつ広がっていく… そして、長男の「栄太郎」を授かり、その後も子宝にも恵まれた夫婦だったが、二人目「悟郎」が生まれた直後に「おふみ」の父親「源治」が事故で亡くなり、三人目「おきみ」の子守をしている際に「おふみ」の母親「おみつ」が事故で亡くなるという不幸が続く。

そんな身内の不幸が重なった後、「おふみ」はそれぞれの子どもたちに対する接し方が変わってくる、、、

「おふみ」から極端に甘やかされた「栄太郎」は我儘に育っていく… そして、「おふみ」から冷たくあしらわれた「悟郎」と「おみつ」は次第に疎外感を強め、「おふみ」、「永吉」、そして子どもたちとの関係に歪みが生じていく。


「永吉」から見れば親子二代の、「おふみ」から見れば「おふみ」の父母をいれて親子三代の物語… 本作品のテーマは”家族”でしたねぇ、、、

親子の間であっても、互いに理解し合えない、互いにすれ違い、又は勘違いをしてしまうことがあるんですよね。

第一部で、「おふみ」の「栄太郎」を溺愛する様、甘やかさて育った「栄太郎」の様々なトラブル(店の売り上げを持ち出して、女郎通いや博打通い… そして借金)に苛々させられ、「永吉」と「悟郎」、「おみつ」に同情しちゃうのですが… 第二部で、同じ事柄が複数の人物から、それぞれの視点で語られることにより、多角的に物語が描かれ、同じモノでも、同じ方向からでは見えないモノがあるんだなぁ と気付かされ、一人の目から見た事実が、必ずしも真実とは限らないんだよなぁ ということに改めて気付かされました、、、

「永吉」の目には写らなかったものが、他の人物の目から描かれることで、また違った意味合いを持って浮かび上がるという物語構造になっていて最後まで愉しめました… 機会があれば映画も観てみたいですね。


以下、主な登場人物です。

「永吉」
 京から江戸に下った豆腐職人

「おふみ」
 永吉の妻

「栄太郎」
 永吉とおふみの長男

「悟郎」
 永吉とおふみの次男

「おきみ」
 永吉とおふみの長女

「源治」
 おふみの父

「おみつ」
 おふみの母

「すみ」
 悟郎の妻

「平田屋庄六」
 豆腐屋

「嘉次郎」
 豆腐の担ぎ売り

「相州屋清兵衛」
 豆腐屋

「おしの」
 清兵衛の妻

「江戸屋秀弥」
 江戸屋の女将

「西周」
 永代寺の僧

「傳蔵」
 渡世人の親分

「政五郎」
 鳶の親方

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Posted by ブクログ 2022年02月05日

初めて読んだ時代小説。若い頃、時代ものを敬遠していた自分が恥ずかしい。言葉遣いとか、古くさいんじゃないかとか勝手な偏見があったが、思っていたよりずっと読みやすかった。小さい頃から水戸黄門やら鬼平やらをテレビで見ていたから、実際には違和感ゼロ。
内容は、長屋に暮らす一家の話。どの時代でも、親子の絆と葛...続きを読む藤は同じようにあり、それを丁寧に描写したこの作品は家族愛を書いた作品が好きならきっと読んで後悔しないと思う。

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Posted by ブクログ 2021年08月29日

「気苦労が続くだろうが、ちょっと恨んだり、ちょっと妬んだりしながら、それでも頼り合えるのが身内だ」と言うセリフが突き刺さる、家族力を描いた時代小説。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月15日

京都生まれの豆腐職人永吉の、親子2代にわたるお話。
いろんな人情噺が添えられていて、時代小説らしいさわやかさがある一方、メインの家族の話はおふみのえこひいきや長男栄太郎のダメダメな感じがなんともいえない。
それぞれのキャラクターの背景までよく描かれていて、気持ちよく、すんなりと読めました。おきみちゃ...続きを読むんにいい縁談があるといいね。

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Posted by ブクログ 2017年11月09日

第126回直木賞受賞作です。
全体としてとても読みやすいまとまっている時代小説でした。

1762年のある日
江戸深川蛤町の長屋に住む桶屋の娘おふみは、
長屋に引っ越すつもりで京都から来た若者、永吉と知り合います。
永吉は京都南禅寺前の豆腐の老舗「平野屋」で修業を積んだ
豆腐職人でした。
平野屋の豆...続きを読む腐を江戸でも売ろうとしてやって来たのです。
借りた店舗で「京や」と名付けた豆腐屋を始めます。
永吉の作る京風豆腐は江戸豆腐とは、味も大きさも違っています。
江戸豆腐に慣れた人々には京風は馴染めないようで
なかなか庶民に受け入れてもらえません。
そんなとき、商売仇である、豆腐売りの嘉次郎から
品質がいいし味もいい豆腐だから、
永代寺や老舗料亭に売り込むといいと、こっそり教えられて
売上も上がって行くようになりました。
忙しくなって、永吉はおふみにも手伝ってもらううちに
いつしか2人は夫婦となります。
そして、栄太郎、悟郎、おきみという3人の子宝にも恵まれますが、
子供の入れ替えのように、
おふみの両親が急死し、おふみはすっかり気落ちしてしまいます。

1部では、「京や」のなりたち、
2部では、「京や」の後継者たちのその後
京都から体一つで上京し、築いた豆腐店を舞台に
夫婦の絆やすれ違い、家族としてのまとまりの難しさが
江戸情緒豊かに描かれていました。
家族は団結しなければ、いけない。
少しのほころびから崩壊も招くのだなと思いました。
母の愛も度が過ぎないのが一番のようです。

読後、おいしい豆腐が食べたくなり、
舞台となった地域、門前仲町をまた訪ねたくなりました。

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Posted by ブクログ 2016年11月22日

ひとつの出来事に対し、人それぞれ見方、考え方、感じ方が違うことによって様々なドラマが生まれる。そんなことをあらためて考えさせられた本でした。

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Posted by ブクログ 2015年05月13日

古き良き庶民の生活が鮮明に描かれている。
上京して一から商いを立ち上げ、家族を作り、公私ともに様々な葛藤を乗り越えていく。その中で、昔の庶民の生活が、商い、家族関係、地域関係、賭博関係と、リアルに描かれていて、非常に面白かった。

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Posted by ブクログ 2015年01月03日

舞台は江戸深川の長屋。
直木賞作品と云うことであまり期待はしてなかったが
結構面白くて、あっという間に読めてしまった。
人情時代劇を見ているような感じ。
この時代が舞台の小説、私 意外に好きかも...。

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Posted by ブクログ 2014年11月19日

江戸時代に京都から江戸に来て豆腐屋を始めた職人の話。直木賞受賞作。
好みが違う江戸の人々に受け入れられるために、さまざまな努力をする。家族も持ち、商売も順調に見えたが、家族内での確執が生じ、それぞれの立場で悩む。
第2章は家族構成員一人ひとりの見地から話が描かれ、誤解しがちな家族がうまくやっていくこ...続きを読むとの難しさがテーマになっている。
全体的に読み易い小説だと思う。
海外住まいの私には、柔らかい豆腐が美味しそうで食べたくなった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年08月06日

京から江戸へ一人で出てきた永吉が長屋で豆腐屋を始めて…。
二代に渡る人情話。
現実と同じで相手の想いが分からない言動にイライラさせられることが多かった。
四十過ぎてるけど私にはまだ早かったのかなあと思った。
願掛けを守るためとはいえ、子ども二人につらい思いをさせたおふみをどうしても許せなかった。自分...続きを読むの幼い頃と重なった。

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Posted by ブクログ 2023年10月17日

中盤、家族関係が希薄になる部分で嫌な辛い気分になったが最後でまあ納得。解説の家族力という言葉に考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2022年08月06日

家庭の中にはさまざまな喜びと悲しみ、悔しみ、争いがひしめいている。
幸せそうに見える家族でも苦しみがある。
それは事実で、当事者は大きな心労を抱える。
小説とはそういう苦しみ、そして人間の業のようなものを描きながら、それらを否定しては生きてはいけない人間を慈しむ物だと感じている。

本作品は上方から...続きを読むやってきた豆腐職人が良き伴侶を得て、周囲の人々に助けられ努力の末成功する、そんな「良い話」で進みながら、家族間の思いの行き違いで家庭崩壊の道を辿るが最終的には家族が力を合わせて新しい道を進んでいく、というなんともベタなストーリーに思えてしまう。

話の中盤からのみんなに好かれていたはずの働き者で心優しい女房の変わり様、甘やかされた長男の愚れ方、彼に対する男親の仕打ち等、非常に乱れていく。
しかし、後半になると今までは夫婦の視点からだった話が子供達の視点から展開され、読者は(私は)、話が違うと思い始める。
この後半部分は中盤の伏線回収になっている。
なぜ男親は長男にあれ程危機感を抱いたのか、なぜ長男は賭場に出入りして荒れた生活をしたのか、なぜ弟は長男に従順なのかなどの謎が溶けていく。
まるでミステリー小説のやり方みたい。

ネットでは最後には涙が止まらない人情話、というふうな感想が多いのだけど、どうなんだろう、下町人情時代劇のテレビドラマ風だなあ。

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Posted by ブクログ 2021年09月11日

東京の下町にあるその名も『深川江戸資料館』のなかで一日を過ごしているような小説。

『深川江戸資料館』とはは知る人ぞ知る、江戸の町並を等身大で再現してあり歩けるスペース。あたかも江戸時代にタイムスリップしたような感じ。裏だなあり、火の見やぐらあり、白壁の土蔵あり、掘割、船宿、屋台、長屋の部屋、お店の...続きを読む造り、店先の品物など芸が細かい。吹き抜けになっていて上からのぞくと江戸時代の上空から見たよう。

登場人物の生きた時代を宝暦12年からと、かっきりと切り取って、背景の歴史的事実も調べて書き込んである、真実味が増すではないか。

まして、テーマは家族愛。実に身につまされること、穴があったら入りたくなる。
京風のとうふを江戸で売ることになった職人の二代にわたる物語。何てことない題材をこれだけ読ませるのはたいしたもの。夢中になり、読み急いでしまった。

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Posted by ブクログ 2021年08月01日

第126回直木賞受賞作品
親子二代の家族の絆
やはり、家族とはいえ、いや、家族だからこそ、お互いの気持ちを理解することは難しい。
互いを思いやるが故にすれ違う気持ち。
しかし、最後はやはり家族の絆がしっかりと描かれています。
また、本作では、悪役は一人。他は悪役っぽかったりしますが、人情熱い人たちば...続きを読むかりでした。

ストーリとしては、
江戸に下った豆腐職人の永吉。そして、その永吉を手伝ううちに夫婦となったおふみ。
しかし、京の豆腐は江戸ではなかなか受け入れらません。
そんな中、二人が力を合わせてその苦労を乗り越えていくのが前半。

そんな二人には、長男栄太郎を授かってから、徐々に不幸と行き違いが...
そして、次男、長女と3人の子供たちに恵まれるも、おふみは長男のみをかわいがり、その結果、家族の中はどんどん悪い方向へ。

栄太郎のダメさ加減が目立ち、ついには、ここまで築き上げてきた豆腐屋の店を手放すことになるのか...

といった展開です。

すれ違う家族の想い、明らかになるそれぞれの本音。
そして、真の家族の絆

最後の最後はとてもスッキリ‼
とてもよかった。

お勧め

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年05月26日

上方から身一つで江戸へ下ってきた永吉が、深川の裏店で豆腐屋”京や”を開く。上方と江戸の豆腐の違いに悩みながらも、真摯に豆腐作りに打ち込み、やがて表通りに店を構えるまでになる。
それは、永吉の確かな腕と質の良い大豆を贅沢に使う製法だけでなく、おふみの明るく行動力のある支えや、嘉次郎のアドバイス、相州屋...続きを読むの女将の陰の支え、そういった人に恵まれたことも大きかっただろう。
しかし、その一方で、おふみの両親を含めた、永吉と家族の間には、不幸な出来事も多く、永吉が亡くなった後は、京やはどうなってしまうのだろう、、、と気が滅入る展開が続いた。

あとがきで触れられているように、著者の作品には『家族力』がテーマとして貫かれているようだ。この「あかね空」でも、深川で店を開き成功し、子供の代に引き継いでいく商いの様子を描きながらも、軸には永吉たち家族の変遷があり、それこそがメインテーマになっている。
第一部では、永吉とおふみ、おふみの両親、源吉・おみつとも良好な関係を結び、幸せな家族を築けたはずが、栄太郎が生まれてまもなくのトラブルから、永吉とおふみの間に溝ができてしまう。その後も、悟郎・おきみと子供が増えていく中で、源吉とおみつが不慮の事故で亡くなる不幸が重なり、永吉とおふみ、栄太郎と弟妹の間には埋めがたい溝が生まれて行ってしまう。
しかし第二部で、永吉やおふみの周りの人たちの言葉を通して、子供たちが思う二人とは違う姿や言動の裏にあった思いを知り、栄太郎や悟郎本人の言葉で、お互いの気持ちの誤解が解けていく。ああ、おふみのあの時の言葉はこういう思いだったのか。栄太郎はちゃんと悟郎のことが可愛かったんじゃないか。1つ1つ苦い記憶が温かな思いに置き換わっていく。

家族とは不思議なもの。誰よりもお互い近くにいるのに、他人どうしよりもお互いのことが見えていなかったり、お互いを大切に思っているのに、時としてそれがうっとおしく距離をとりたくなってしまう。他人には打ち明けられる自分の本心を伝えることができなかったりする。
永吉たち家族もそうだ。もし、栄太郎がケガとやけどで生死をさまよう状態になった日に、永吉がもう少しでもおふみの気持ちに寄り添うことが出来たなら、八幡様にすがることはなかったのかもしれない。おふみが、上方から一人出てきて、ようやく認められはじめた豆腐作りで、どうしてもお得意さんの信用を失うわけにはいかない気持ちをくんであげられたなら。永吉が歩んできた人生を思い、栄太郎ばかりを可愛がることで永吉が抱く思いを想像してあげられたなら。
その後のお互いの苦しみ、悟郎やおきみの寂しさは味わわずに済んだのかもしれない。しかし、どちらも悪いわけではなく、言葉にしなくても分かってもらえると言う、家族だからこその少しの甘えがあったのだろう。
本当は、永吉が亡くなる前に、もっとお互いに率直に思いを言葉にし溝が埋まっていれば良かったのだけど、せめても、子供たちが誤解を解いて、手を取り生きていく道が開けて良かった。
栄太郎とおきみにも良い伴侶が見つかりますように。そして皆に子宝が授かりますように。京やが長く続きますように。

それから、傳蔵は相州屋の息子、ってことですよね?あざのくだりもあったし、、、傳蔵自身は、気づいていたのだろうか?だから助けてくれたのだろうか??

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Posted by ブクログ 2021年04月05日

サクサクと読みやすい文でした。

家族だから、わだかまること、思い悩むこと、素直になれないこと、でも最後は、家族だから許しあえたのかなと思いました。
良かったです。

全体的に、内容が暗めで、読んでいて辛かったです。

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Posted by ブクログ 2020年09月11日

前半は豆腐屋のサクセスストーリーで面白かった。後半は博打、借金、複雑な家族関係から、誰もが善人でなくなる。ラストはやや強引に感じた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月10日

物語の展開がとても面白く、「どうなるのだろう?どうなるんだ?」と引き込まれ、読むペースもどんどん早くなっていった。
ただ、永吉とおふみが力を合わせて、豆腐屋が軌道に乗っていく前半に比べ、後半は不幸な事が多く、人が変わってしまったようなおふみをみるのがちょっと辛くなり、前半の興奮がなくなってしまった。...続きを読むでも、その崩れていく家族を取り戻すことができるのか?というのがこの作品のテーマの1つだと思うので、そう考えると非常に興味深く納得がいく。
おふみが悟郎の嫁であるすみに、「京やでこどもを産むんじゃないよ」と言った言葉の意味がわかった時、「あぁ、そうだったんだ」と気分が晴れつつも、おふみを思うととても切なくなった。
さくさく読めるし興味深いし、すごくいい作品でさした!
ただ、前半が面白すぎたので、少し物足りなく感じました。

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Posted by ブクログ 2020年01月26日

演劇や映画を見ているかのように、安定感がありサクサクと物語が進むのが小気味良い。江戸の下町の人情あふれる物語。

まず、あらすじを見て、時は江戸時代だが、野心家の若者が単身で今でいうアメリカンドリームを追う物語だと思った。だが、実際は単純な苦労話というわけでもなかった。主人公や重要人物がコロリと亡く...続きを読むなる。世の中は誰がいなくなっても回っていき、そういうものだと思い知らされる。子供ができ、その子供が所帯を持ち、そうやって命のリレーは繰り返され人は暮らしていく。

前半は、よくある家族間の揉め事や諍い、言い合い、固執などを描き、イザコザがくじれたり、誰かに非があるように見え、その容量の悪さや人間の弱さに苛つく。
しかし、後半では各人の心を描写し、誤解や言い分が分かってくる。読者は読み進めていくうちに、時代背景の違いよりも、読者自身の家族関係のことを考えることになるだろう。そして、ラストに近くなるにつれ、今までの感情の安定感が少しずつ高揚していき、あっけなく終わる。そんな後ろ髪を引かれる作品。だが、後味は空のように広く清々しい気分になる。

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Posted by ブクログ 2018年10月15日

普段はほとんど読まない時代人情もの。当時の社長に薦められて。たまにはこういうのもいいかな、と思った記憶がある。

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Posted by ブクログ 2016年03月02日

「親子三代にわたる家族の物語。『絆』という言葉には糸が含まれているが、人と人との絆は、まさしく糸のようで、人に出会い人を知るうちに、その縁という絆が縺れ絡み合っていく。そこから幾つもの物語が生まれるけれど元をたどれば絡まりあった糸の集合体なのだろう。隙なくよく作り込まれた小説」との感想。

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Posted by ブクログ 2016年01月10日

希望を胸に身一つで上方から
江戸へ下った豆腐職人の永吉。
己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。
夫婦となった二人は、京と江戸の味覚の違いに
悩みながらもやっと表通りに店を構える。
彼らを引き継いだ三人の子らの有為転変を
親子二代にわたって描いた時代小説。

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Posted by ブクログ 2014年10月24日

期待して読んだ時代物だったが、読み終えるとテーマは家族、かなり普遍的
そういう視点で見ると本作が傑出して読ませる作品になっているかは大きな疑問だった

第一部はテンポ良く物語りは進む
第二部は第一部と違って視点や時間が動き出し、推理小説の種明かし章的な位置づけかな
こういう構成が必要だった理由はよく...続きを読むわからない、読みづらくは無いけど効果的とも思えなかった
ラストの幕引きも盛り上がりに欠けこじつけ感もあり、説得力に欠ける

解説は絶賛してたし、直木賞をとったくらいだから一般論として本作は優れた小説なんだろうけど、私は楽しめなかった

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