河合隼雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
面白かった。河合隼雄先生の本はよく読んでいたけど、この本で先生の知識の広大さ深さを初めて知った気がする。
シェイクスピア作品というだけでもいろいろ深いのに、河合先生が一刀両断に解釈するのが痛快。
心理学系の本より自由に語っている気がする。
この本を読むために「リチャード三世」(超簡易版)を読んだけど、演劇も見たいな。
p163
「自分自身になるのは死ぬ時ですよ」
「永遠の少年はね、自分自身でありたいなんて安易に思うわけですよ」
p179
「次男は特に権力への意志が強くなると、アドラーは言っています。それから劣等感」
p188
「大体、善人というのは反省しない。これが一番怖いです。(中略) -
Posted by ブクログ
河合隼雄さん、小川洋子さん、お二人の作品は読んだことがあり、どちらも好きだったので、二人の対談ということで楽しみに読んだ。
この本を読んで強く感じたのは、物語とは単なる娯楽ではなく、人が死や別れ、後悔や矛盾といった、理屈だけでは受け止めきれないものと折り合いをつけるために必要なものなのだ、ということだった。
特に印象に残ったことは大きく三つある。
一つ目は、現代では「死」が日常から遠ざかりすぎているということだ。
本の中で語られる「やさしさの根本は死ぬ自覚だ」という言葉が強く心に残った。医療の発展や生活の便利さによって、私たちは普段、死をあまり意識せずに生きている。特に、親しい人が死ぬこ -
Posted by ブクログ
人間とかその心理って複雑に考えてしまいがちなのだけど、こうして読むとある程度根源的な欲求や心地の良い生き方というのは類型化できてしまうものではないのかという気になった 脳みそというのは精密なもののようで意外と騙されやすいというか
先生をやっている友人から職場に関する悩みを聞いていたときに真っ先にこの本のことを思い出した
講演での内容をそのまま文字起こししたものなので、普段の本を読む感覚で読み始めると少しびっくりして馴染むまでに時間がかかったけれども、文字起こしだからこそ感じられる先生のお人柄や軽快な口調など、文字から温もりが溢れてる感じがして良かった
もっと若いときにも一度読んでみたかったし、 -
Posted by ブクログ
「物語」は今年少し強めに関心を持ってみようかなと考えているテーマの一つ。まずは導入ということでこちらの本から。何の気なしに手に取りましたが河合隼雄さんの最後の対談本で、しかも途中で終わってしまっていたものだったのですね。『ブラフマンの埋葬』を題材にした会話はぜひ読んでみたかったので残念ですね。
物語というものが持つポジティブなパワーについては既に学んでいたり実感している部分もあるのでそういう意味では心理師としての河合さんのいう物語の効用についてはまぁそうだよね、という感じで、むしろ小川さんの物語ることに対しての使命感のような感覚や創作についての感覚が面白かった。今後探っていきたいのはむしろ物語 -
Posted by ブクログ
この本は河合隼雄のエッセイ集とも言うべきか。文体が平易で優しく気軽に読めるので、数年に1回読み返す。
毎回読むたびに新たな発見が。というよりは自分が年齢を重ねた分、経験値が少しは上がっているようで、理解に深みが増してくる感じが嬉しい。私の心が惹きつけられる箇所も毎回違うからおもしろい。その時々の自分の悩みを本に投影しながら文章を解釈していく作業を行なっているだろうから、心が揺さぶられる文章に出会って、癒されたり、新たな考えが浮かんだりする。
心理療法家は基本的にスーパーバイザーのもとに通っている。心理療法をしていると辛い話を聞くことが多く、1人では抱えきれないのだ。スーパーバイザーに話を聞 -
Posted by ブクログ
平成初期に出版されたエッセイ。著者の河合隼雄さんは随分前に、解説の谷川俊太郎さんも昨年鬼籍に入られた。あとがきで河合さんは、「自分は常識について書いてきたのだ。そんな本を作らなければならない世の中なのだ」と発見する。解説の谷川さんは「常識はアップデートするもの」と補足する。ともに知性の素敵な働きを見せていただいた。昨今は自分の考えに凝り固まって、このアップデート感覚を忘れている人、知らない人ばかりだ。新しい事象が出てきても、そのお大事な常識の範囲で解釈してしまうし、解釈しきれなければ、例外だ、と無視をする。そういう社会になってしまった。自分の職場にも自分の正義、合理性にのみこだわって部下を抑圧
-
Posted by ブクログ
河合隼雄はやっぱりすごいな。いつ読んでも何かその時の自分に響くものがある。
この薄い本の中にも。
特に心に残ったのは二つ。
・大学時代の仲の良い友達が自殺してしまい、傍にいたのにその辛さに気づけなかった自分は臨床心理士にはなれないと思って慕っている精神科医に相談に行くと、「人は親しい人のことは分からないものだよ」と言われたという話。
自分の経験からも本当にそうだなあと思うし、河合隼雄もそうであることに元気づけられる。
・過去に共有している思い出を語り合うのが友達、未来や目標について語り合うのは友達というより仲間、同志なのかもしれないという話。
中高の友達と仕事や社会の話があまりできないというこ -
Posted by ブクログ
河合:異教徒も殺してはいけないといった宗教はないでしょう。
加賀:ないんですよ。異教徒も殺してはいけないと言ったのは、世界中探しても、日本の平和憲法しかない。(中略)日本国憲法の「戦争の放棄」条項は、いろいろな国の人から「なんだ、これは」といわれる。
という対話が意外だった。異宗教は排除すべきという考え方が外国ではノーマルなんだ。日本人は差別はいけないともっともらしく言っているが、宗教だけは例外なんだということがわかった。
興味深かった話は、加賀乙彦さんの東京拘置所の医官の時の話で、メッカ殺人事件の死刑犯が、3年間で600通もの手紙をある人物に出していた内容と、母親が持っていた拘置所での日記