河合隼雄のレビュー一覧
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友情について河合先生の視点で書いてある、興味深い本。これまでに河合先生が読んだ本を引用したり、心理学の視点から説明したり。たとえば、同一視。友情の中の愛情を、同一視とし、坊ちゃんのKと先生もこの関係であったのではないかとする。同じ人物は同時に存在し得ないために、自殺という悲劇が起きたと。なるほど。
カウンセラーとしての表現として、「本当の友人は心が通じていることが肝心。と思っているので、「形式的儀礼など無視すべきだ」と考えているが、友人と思っていた人と疎遠になり、「結局、人間なんてそんなものでしょうかね」という相談者に、「なんだか、自分の考えに納得しておられないように感じますが」と言っている。 -
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ユング派の心理療法家であった河合隼雄氏が、その心理学的な考察に基づいて主にグリム童話と日本の昔話をいくつか挙げて読み解いている。
今まで読んだことのあった河合氏の他の著書同様、なかなか興味深い内容。ではあるが、以前心理学にも興味を持っていた時期ではなく、なぜか今…
ふと書店で目にして読んでみようと思ったのは、ほかならぬこの本の結びとなるくだりにあった“第三の道”という言葉であった。
「あれかこれかという断定は既存の何らかの価値判断に従うかぎり決められるものである。しかし第三の道はその人個人の個性を必要とし、既存のものにたよらない創造的行為となる。…」
つまり、ユングはこのような意味で“自 -
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私が手元にあるのは1976年に思索社から出版されたものだが、今では講談社学術文庫で手に入る。数多い河合の著書の中でも代表的なものの一つだろう。ユングの 「影」の概念を中心にしてユング心理学の世界が語られ、「影」という視点からのユング心理学へのよき案内ともなっている。
自我は、まとまりのある統一体として自らを把握している。しかし、まとまりをもつためには、それと相容れない傾向は抑圧される。その生きられなかった半面が、その人の影である。ただ、影の概念は多義的であり、狭義には、夢に現れてくる人物像で、夢を見た人と同性のものを影、異性のものをアニマ(男性の夢の中の女性像)、アニムス(女性の夢の中の男 -
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心理療法家の目から見た猫の登場する作品の猫の役割・解釈を紹介した本。
猫には様々な顔がある。
長靴をはいた猫のような賢くて調子の良い面。
エジプトで見られるような神としての神秘性。
逆に西洋にあったような魔女の化身と見られるような妖しさ。
ネズミを弄る残酷性。
我侭な女性のような独立性と妖艶さ。
その様々な面が色々な話を生むようです。
本書で紹介されている本は「空飛び猫」「100万回生きた猫」「鍋島の化け猫」「宮沢賢治作品のなかの猫」「綿の国星」等著名なものから「トマシーナ」「牡猫ムル」「日本の昔話の中の猫」「猫と庄造と二人のおんな」等の作品も紹介されていて、原作を読んでみたくなります。
とて