河合隼雄のレビュー一覧
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子供の心に広がる宇宙を学術的に読み解こうとする著書という意味では、この手の教育論として存在する他の図書のような経験則的なアプローチとも異なり、これはこれで必要な一冊。臨床的な側面と心理学から体系的な整理の両方に意味があるのだと考える。そのためか、本著では、書物からの引用が多い。
子供が秘密を持つことの大切さ。ペットが代理母の一部機能を果たすこと。考えてみる。核家族化から共働きへと社会が更に変わり、ペットも中々飼えなくなり、老人は老人ホーム、近所付き合いは疎遠。彼が彼でいるだけで温かく見守る代理機能を果たす関わりが減る事で、子供に齎す影響とは。この事が中々社会に飛び出せない引きこもりを増やす一 -
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河合隼雄 「 明恵 夢を生きる 」明恵上人の夢を心理学的に考察した本。夢診断、明恵の人生や思想、仏教世界をわかりやすく説明。
夢を生きるとは
*覚めた目で自分の夢を見る〜自分の夢を主体的に体験し深化して自らのものとする=自己実現
*夢が発展することは その人の心の発展
雨が降ることにより 小さい池が 大きい池につながる夢
*小さい池=禅観、大きい池=諸仏菩薩、雨=修行
金色の二羽の孔雀の夢
*明恵の精神の高揚を示す
*二→華厳と真言、父性と母性、心と体、合理と非合理...統一
あるべきやうわ=明恵の生き方
*時により 事により その時その場において、「あるべきやうは何か」問いかけ、その -
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ネタバレちょっと難しいかな~と恐々読み始めたけど、切り口が身近というのと、1つ1つが短いのもあってとても読みやすかった。
うんうん、そうだよな~。と思うような内容がたくさん。自分や周りの環境を振り返りながら、人間として大切なことを改めて考えさせられました。
本文より↓
友人とは「夜中の十二時に、自動車のトランクに死体を入れて持ってきて、どうしようかと言ったとき、黙って話に乗ってくれる人だ」
外からみて批判し、非難する以前に、内側に共にたって感情をわかちあう、やさしさが友情を支える
悪を許容するわけではないが、それでも何とか関係を続けてゆき、変化を期待し続ける態度に支えられて、子どもは成長して -
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「えーっ ただいま紹介にあずかりました、
河合でございます。
本日は このような盛大なる会に呼ばれまして
誠にありがとうございます…」
ーと この原稿のとおりに進めますと
みなさん あぁ またか
という表情になってしまうのですよね
という前置きをされて
それからは、普段の話し言葉で
喋り始められた
という お話を
河合隼雄さんのスピーチを実際に聴かれた
方から 伺ったことがあります
それ以来
河合隼雄さんの本を手に取るときには
勝手に 関西弁(京都弁)に翻訳して
読むことにさせてもらっています
「家族」
新しくて古い、
古くて新しい、
概念ですね
改めて
「家族」というものを -
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ユング心理学をベースとした心理療法家の河合隼雄先生と、シェークスピアの翻訳第一人者の松岡和子さんの対談本。
対談で取り上げられたシェークスピアの作品は、『ロミオとジュリエット』『間違いの喜劇』『夏の夜の夢』『十二夜』『ハムレット』『リチャード三世』。この6作品での対談が、当初新潮社から出版されたそうで、ここでお二方は意気投合されたようだ。その事は、対談を読んでいても読者に伝わってくる。
その後、更に『マクベス』『ウィンザーの陽気な女房たち』『お気に召すまま』『リア王』で、対談が繰り広げられ、電子書籍で私が読んだものでは、その内容も収められていた。
さらには、河合先生が亡くなる前に編まれた -
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家族のあり方が変わってきているということを認識した。
家族を持つことは苦労が増えることもあるが苦労をしていないと幸福にはなれない。という意味は実感している。
親は子どもの苦労を見ていられるだけの強さが必要。
父親は的確な判断力と強力な決断力、不要なものはどんどん切り捨てていく実行力が必要。
子どもにとっていい家庭とは何か。をよく考える。
子どもの言うことを常に聞くのはよくないことは分かる。
ユングの言葉"旅行に出て行く先が分からない時はとても不安になる。我々の人生の旅において、終着駅がどうなっているか分からないのだから、人間が不安になるのは当然だろう。"
今は何でもお金や機 -
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さて、明恵。学ぶほどに好ましく、そこに感じるのは全く違う存在への憧れ、というものではなく、日常の自分は妥協してしまっているが本来ならこうありたい姿、というものをそこに見出す。
ストイックさ、潔癖さ、合理性、自己への客観視などなど、、、「そういう考えもあるのか」ということではなく、「ちゃんとそこまで徹底して実践できた人があるのか」という驚きになる。
だから、あまりに徹底した他力本願のありように、そんな考え方もあるのか、、、と感動した親鸞や、どこから共感していいのかわからないほど膨大な道元、天才過ぎてついていけない空海。そういったものとは違う。
「釈迦」に憧れ、自制し、自惚れず、死を側においておけ