河合隼雄のレビュー一覧
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知の巨人二人の対談であるので、
正直言って分かったような分からぬような部分も多々ある。
が、そのように「なんとなく分かるような気がする」という感覚も時には重要だろう。
30年近く前の本であり、
内容的には阪神大震災やオウム事件を多くクローズアップしているが、
現代日本の諸問題の多くはすでにこの頃に始まっていた。
曖昧さを良しとする情緒的な日本文化と、論理的なアメリカ文化。
夫婦関係、箱庭療法に対する姿勢、言語の持つ力など、
お二人はさかんに2つの文化の違いを強調するのだけれど、
私は実は似ているのではないか、という気もしている。
ただし、空気に支配される日本がより問題なのは明らかだ。 -
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ネタバレ夫々小説家/心理学者の著者による対談集。明確に語られていたわけではないが、ぼんやりと感じたのは「物語が論理的(分解的?)/静的なアプローチを補完する場合もある」ということ。分析とは分けることである、と言われるように、所謂科学的アプローチが日常の仕事にまで染み込んでいる現代について、少なくとも自分は癖として物事を切り分ける/個別事象を理解する/最後に各事象を結びつけるという思考を踏んでいる。これはこれで間違いではなく、むしろ特定の人々からは推奨されるものであるとも思うが、どうしても細部を捨象したり、全てが意図性を持ってしまうきらいがあるとも感じる。一方物語は、明確なメッセージを持たない場合(意図性を持たないこと)もあるかもしれないが、全てが連なっている。故に、ここに読者はなにかを見出すことができる。それはインスタントな説明性は持たないかもしれないが、分析しても悩みが解決しない人にとって、救いになるのだろうと、自分もその一人として感じた次第。
特に印象に残った箇所は以下
・「プロだから結末は来る」というのは、簡単に言えば結末が来なければ能力的に小説家としてメシは食えないということですが、それと同時に「自分を信じる」という側面もまたあるわけです。あとはもう経験ですね。それでもときどきふと「大丈夫かな?」と思うこともありますが、「大丈夫」と自分に言い聞かせて書き続けるのです(p.82)
・なんのために結婚して夫婦になるのかといったら、苦しむために、「井戸掘り」をするためなんだ、というのがぼくの結論なのです。井戸掘りは大変なことです。だから、べつにしなくてもいいのじゃないかと思ったりするんですよ(p.98)
・欠落そのものは(あるいは病んでいることは)人間存在にとって決してネガティブなものではないということです。欠落部分というのはあって当然です。ただし人が真剣に何かを表現しようと思うとき、「欠落はあって当然で、これでいいんだ」とは思わないものです。それをなんとか埋めていこうとする。その行為に結果的な客観性がある場合には、それは芸術になることもある。そういうことです(p.129)
・結局、深く病んでいる人は世界の病を病んでいるんですね(p.216) -
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「自我の知らない無意識の世界というのがあって、それを探索することが大事」
「人間は自分の知っている限り、自分は自分のことをわかっていると思っているけれど、それを超えて、もっと全体としての中心、自己がある。その自分も知らないような自己をいかに実現するかというのがその人の一生なのだ」というユングの考えに基づいて、自分の知らない自己やそれへの理解(自己実現)について様々な角度から描かれている本を紹介している。
自分の知らない自己をいかに実現していくかというのは、自分の望むべき方向に向かって自身をコントロールしていくという従来の自己実現とは意味が大きく違う。自分の中にも、自身でコントロールできないエリアがあるということを認識するだけでも、メンタルを大きく崩す可能性は少なくなると思う。紹介されている本についても少しずつ読んでいきたい。 -
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村上:ほくは夢というのもぜんぜん見ないのですが
河合:それは小説を書いておられるからですよ。谷川俊太郎さんも言っておられました、ほとんど見ないって。そりゃあたりまえだ、あなた詩を書いているもんって、ぼくは言ったんです。
村上:夢を見ないものなのですか、別の形で出していると。
河合:やっぱり見にくいでしょうね。とくに「ねじまき鳥クロニクル」のような物語を書かれているときは、もう現実生活と物語を書くことが完全にバラレルにあるのでしょうからね。だから、見る必要がないのだと思います。書いておられるうえにもう無理に夢なんか見たりしていたら大変ですよ。
創造力が必要な職業の人とは逆に、きつい現実社会にいる職業の人も夢をみない(覚えていない)らしい。中間の、われわれみたいのが夢をみるんだな。 -
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素人にはかなり難しかった。この本を体系的に理解できるようになるには、何度も読み返したり、周辺知識を学ぶ必要がありそう。ただ、人生の後半にもう一度必ず読み返したい本。
今まで、無意識とは何か?無意識が自我に与えている影響などは考えたことすらなかったので、そういう考えがあることを知れたことだけでも読んだ価値があった。
本書では、さまざまな夢の実例から、夢の解釈をし、自我に与えている影響について詳しく記されている。
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【備忘録】断片的な学びだが、印象に残った内容。
(個人的解釈)
・人は誰しも自分の中に影(劣等感、短所)を持ち、それを認めることをできるだけ避けようとし、また無意識に他人に投影してしまうことがある。そうならないように、投影した自分の影を自分に引き戻し、どのように生きるか考える必要がある。
・人は外界と調和するためにその人の役割にふさわしい仮面「ペルソナ」を身につけなければならない。その一例として、男は男らしくや、女は女らしくなどがあるが、男性でも女性でも無意識下では、両方の性を兼ね備えている。その割合の度合いがどちらかに傾くのは良くない。こういった典型例として、夫婦間しばしば見られ、男女間の役割が反対になることがある。教育ママが典型例。
・ユングは自己実現の過程を個性化の過程と呼び、危険に満ちた道であると述べている。自己は無意識内に存在していて、意識化することが不可能。自己は、シンボルを通してのみ知ることができる。シンボルの現れは、深い感動を与え、宗教体験の基礎となる。個性化するには、無意識界に目を向ける必要があり、内省可能なものではない。(=自分の意識できる内容をあれこれ見つめ直すことではない。)
→どうすればいいかまでは理解しきれなかったが、いずれ個性化の「時」が夢として現れる。その時が来ると、不思議な現象に合うという。それは夢と現実の一致かも知れない。スピリチュアルな世界で理解するのが難しかったが、大変興味深かった。
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自分のコンプレックスが無意識のうちに与えている影響、立て続けに悲惨な出来事が招かれたのは実は偶然ではなく必然的であること、日本人の自己実現における西洋との違いなどなど、他にも、なるほど〜そういう考え方があるのかといった点が多々あったので、また読み返したい。
特に、無意識内に形成されたことが意識に影響を与える時は、人生の後半にあるという。このような時が訪れた時、中年の危機を迎えるという。こういう事象や考え方があることを知識として知っているか知っていないかでは全然違うと思う。なので、人生の後半にまた読み返したい。
リピート ★★★★☆
新たな学び ★★★★☆
生活・仕事転用 ★★☆☆☆
難しさ ★★★★★
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とても賢い人で、考え抜いているからこそ、ここまで簡易な言葉で表すことができるのだなぁと思った。
めちゃめちゃ勉強になった。
以下、学んだこと。
・日本人は「場」、西欧人は「個」
・カウンセリングは「個」
・個を大切にしつつ、日本(場)で生きるにはどうしたら良いのかを考える必要がある(言うタイミング、言い方など)
・人と違うことが個性ではない。
・勝手なことは個、助けてほしいと場、ではダメ。
・見立ては、客観的と共感的の2つの視点が必要。
・見立てには、カウンセラーの力量や人間性が反映される。
・病理的診断ができる知識も必要(必要であれば精神科へ)
・普通でいられないとき、コンプレックスが働いている。
・コンプレックスの解消には爆発が伴う。
・コンプレックスがどれだけ多くても、人間の尊厳ということとは関係がない。
『教師であれカウンセラーであれ、物事ができない人に「あんたはできませんなあ」とはっきり言えて、しかもコンプレックスをつくらないような言い方ができる人があったら、教師としてカウンセラーとしてすごい人だと思います。』p.160
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食材についての科学的知見、歴史等のトリビア。経糸としてフランク・バックランド(医者・博物学者にして様々な食材を試す科学者一家の息子)のエピソードが貫く。
・チーズはショウジョウバエの齎した酵母菌が光緒
・ヨーロッパのナス科植物はぺラドンナ等有有毒であったので、トマトやジャガイモが忌避
・ライ麦とオート麦は小麦の雑草。小麦はヒトと共進化
・クローブは龍涎香、ナツメグは麝香の薫
・七面鳥はインドを含むトルコ以外ではターキー、トルコではヒンディー
・カカオは南米の大型ゾウと共進化したが、約1万年前にゾウが絶滅すると固く大きなカカオを丸呑みし、種を播種してくれる動物がいなくなった。単性生殖で生き延び、5500年前に人間と出会い繫殖するようになった。
・orangeの語源はサンスクリット語のnarangah語義はゾウに対する毒(アジアゾウはオレンジを嫌う)。スペイン語naranja
・レモンの酸味とオレンジの苦みの成分はリモネンだが、光学異性体で味が違う。 -
Posted by ブクログ
主体性をおびやかすもの(やりたいと思ってもできない。)
アドラー……「人間にとってもっとも根源的な欲望『権力への欲求』であることを主張した」
p58失敗したことでいつまでもぶつぶついったりする人の方が、むしろコンプレックスを持っていると言える。つまり、この人達は劣等であることを認めていないのである。
「劣等感の悪循環」
平気で自分がソフトボールのできないことを認めた人は、それを認めることによって、その人の人格の尊厳性が失われないと感じているからである。つまり、そのことについての劣等の認識は彼の自我の中に統合されており、何も安定を揺さぶられないからである。
コンプレックスは自我によって経験されていない感情によって成立している……p60
そこに優越感が微妙にいりくんでいる
「先ず救われるべき人は、他人なのか、それとも自分なのか」と。(私は、専ら自分が救われる為に心理学を学んでいるかな)
p66「(略)……同化されていない、葛藤をおこすものが存在していることを意味しているだけである」
他人に対する愛情を意識する前に反動形成が生じることは多い。
コンプレックスと同一化した人間は強力である。(他人に貶された時、劣等感コンプレックスが刺激されて気が強くなる性質が私にはある)
感応現象……同種のコンプレックスは影響し合うp96
「コンプレックスの投影が集団として生じるとき、いわゆるスケープゴートの現象となる」p99
コンプレックスの共有現象p101
コンプレックスの発現条件が整う……「布置」(『他人と関わらなければ不幸にはならない』という文言があるが、布置の視点から考えれば……そうかもな)p104
(略)……それは孤立であっても自立ではない。自立したものは他人との関係を持つことができる。孤立したものは関係を拒否している。それは自立コンプレックスに自我が乗っ取られているのであって、自我が自立を獲得した姿ではない。p113
裸の王様に出てくる少年もトリックスターだね。
ひとりの人間の成長には、何らかの意味の「死の体験」が伴うということである。p128
コンプレックスの「解消」は、何らかの意味で死の体験を伴っている。
直観ってスキーマなの?
睡眠中には、自我の力が弱まるので、コンプレックスの活動が活発となり、その動きを自我は夢として把握することになる。
兄弟というものは、「もう一人の私」としての役割をもつことが多い。
争いの多いことは両者が分離していることを示すとは限らない。p173
他人に対して、誰でも同じように暖かく育ててくれるグレートマザーのイメージをすぐに投影してしまうのが「甘え」である。p193
西洋……プロメテウスが火を盗む
日本……イザナミが火を盗む
ハシッシュ ライトモチーフ つんぼ 相補性 水路付け ディアナコンプレックス アニマ アニムス 結跏趺坐(けっかふざ)