河合隼雄のレビュー一覧

  • 無意識の構造 改版

    Posted by ブクログ

    ユングが深いのか、著者が深いのか。人間や自分自身をよりよく理解するための無意識の構造について、興味がつきない。無意識を理解するには、個人個人の心の構造だけでなく、社会や文化の知識や洞察も不可欠。文学作品や神話もとりあげつつ、人の心や世界の捉え方の不思議に迫る。難解な箇所も多く、いずれ再読したい。

    0
    2018年04月18日
  • 河合隼雄のカウンセリング教室

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    善意というものほど怖いものはない、闇のなかにどれほどの光が入っているのかわからない
     身近な人の力になりたいと考え、カウンセリング・マインドを身につけるために購入した。河合隼雄の本は『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』で対談を読んだだけだったが、そのときの話の内容にいたく感銘を受けたのを覚えている。
     傾聴、受容が何よりも大切であることを思い知らされる。聞き受け入れることはたやすいことではない。つい何かを言ってしまいたくなる。それは、自分がその人の悩みをともに悩むことがしんどいからだ。ともに悩んでくれ、話を聞いてくれる存在がいてくれるだけで救われるのに。
     反省の意を込めて読んだ。大切な人が悩み

    0
    2018年03月24日
  • 影の現象学

    Posted by ブクログ

    現在の自然科学の視点にとどまらない、刺激的な論文
    知性とは、客観的・論理的な態度からのみ得るものだろうか
    河合隼雄はいつも新しい

    光と影、対立から生まれる第三の道を、人生の中で探っていきたい

    0
    2018年02月27日
  • こころとお話のゆくえ

    Posted by ブクログ

    世界を飛び回る著者の活動範囲の広さと、心理学、哲学、宗教、文学から芸術に至るまで、扱われている素材の広さに圧倒される。押し付けがましさが微塵もない、柔らかく時にユーモア溢れる語り口に、著者の懐の深さを感じる。

    0
    2018年02月15日
  • 明恵 夢を生きる

    Posted by ブクログ

    読むのが少し大変だけど面白かった。読んだけどまだ読みつくせ無いところ沢山ある感じ。この本は、夢を軸にして河合隼雄、明恵、仏教、心理学それぞれに対する興味との関連も出てくる。明恵自体よく知らない状態で読んだので持った印象の精度を自己点検はできてないかも。とはいえ、著者の思っていることはいつになく伝わるような書き方をしているように思った。問題を抱えた人を眺めるのではなく、歴史上の人物を資料を通して河合隼雄が語るというのはなかなか面白い。より素の感覚に近い語りなのではないかな?と思ったりもできて面白かった。

    0
    2017年12月18日
  • 河合隼雄セレクション こころと人生

    Posted by ブクログ

    こども、青年期、中年期、老年のライフステージに分けて、人の心理を語る。老年の死への準備。著書のゆったりとした語り口が幸いして、読んでいると、恐れることなく、死についてを正面から捉えることができる。中年期、どう危機をやり過ごすか。創造の病と表現して、危機を創造に変える発想。漱石の伊豆の大患以降の例も挙げられている。著者の話には共感するところが多い。

    0
    2017年09月02日
  • とりかへばや、男と女

    Posted by ブクログ

    [僕と私と私と僕と]女が男として,男が女として育て上げられる様子を描いた異色の古典『とりかへばや』。ときに「卑猥」として厳しい評価も受けてきた本作品から,性をめぐる深層心理,そして心象風景を覗き描いた作品です。著者は,分析心理学を専門とし,文化庁長官を務めた経歴も有する河合隼雄。


    あらすじを見て,「あ,『君の名は。』っぽい」と手にした作品だったのですが,まず紹介される『とりかへばや』のストーリーがとても興味深い。そしてそれを土台として築き上げられる河合氏による分析がこれまた魅力的でした。

    〜平安時代の男性は性関係については抑制がないとしても,知ることに対する抑制があった。それはやはり一種

    0
    2017年06月19日
  • 無意識の構造 改版

    Posted by ブクログ

    この名著が上梓されたのは1977年。今から40年前である。人の半生分の長さほど昔に書かれたという事実は、評価する上では考慮すべきでしょう。評価などと生意気な、とお叱りを受けるのは当然、自分でもおこがましいと思っています。
    こんな前置きを書いておきながらですが、いやはや素晴らしい。特に後半。
    ユングという人の研究が進み、ある程度の普遍性を得ている現代では特に驚きがあるわけではないでしょうが、ここには生きる指標がありました。
    人生を、とくにその後半をいかに生きるか、答えだと思っていたことに確信が持てました。

    0
    2017年06月07日
  • 泣き虫ハァちゃん

    Posted by ブクログ

    河合隼雄先生はこんな素敵な環境で両親、兄弟に愛されて育ったんだなぁと読みながら気持ちが温かくなった。サンタクロースをみんなで捕まえる作戦がとても好き。挿絵がまたとても素敵で何度も本をめくりたくなる。

    0
    2017年05月29日
  • 家族関係を考える

    Posted by ブクログ

    物凄く面白かった。問題のない家族はない。夫婦としての横の繋がり、両親との縦の繋がり、子供との縦の繋がり、叔父叔母、甥姪との斜めの繋がり、そして兄弟関係。核家族や未婚離婚の増加により、個人として自己実現を求める生き方と、家族の中での力動バランスが、劇的な変化の渦中にある昨今、自分はどう生きていきたいか、深く考えさせられた。

    0
    2017年02月16日
  • 日本人とグローバリゼーション

    Posted by ブクログ

    相手を理解すること、自分を理解してもらうこと、諦めないこと。
    グローバル化する社会に対応するために必要な考え方が書かれている。

    0
    2017年01月21日
  • コンプレックス

    Posted by ブクログ

    無意識に認めたくない劣等感を持っている状態をコンプレックスと呼び、劣等であってもそれを認められていればコンプレックスとは言わない。
    その様々なコンプレックスの形についての解説。それを打ち破る為には、大きな犠牲、破壊的な局面を乗り越えなくてはならない場合がある。
    『仲間が集ってソフトボールをしようというとき、「僕は下手だから」というので応援にまわったり、ボールひろいをしたりして楽しく共に時間をすごす人は、ソフトボールについて「劣等」であり、それを認識しているが、劣等感コンプレックスをもっていない。この場合、下手なくせに無理にピッチャーになりたがったり、失敗したことで何時までもぶつぶついったりする

    0
    2016年10月30日
  • こころの最終講義

    Posted by ブクログ

    コンステレーション、という考え方に初めて触れ、人の中で起こっていること、起こりつつあることなど、心理療法の奥深さを垣間見たように思いました。

    アイデンティティの確立についても、断言するのではなく、それがどのようなものなのか、物語られることによって伝わってくる、考えが広がり深まっていく感覚が、読んでいておもしろかったです。

    年数を重ねること、見識を広め深めることで見えてくるものがあることに気付かされ、日々学び、日々考え、そして生きて日々を重ねることの大切さに気付かされました。

    0
    2016年10月23日
  • 大人の友情

    Posted by ブクログ

    とても個人的な事ですが「友人」とはなんだろうか…と思うことがあり本書を読みました。友情だけでなく人間同士の色々な関係について述べられていて本当に読んで良かったです。白州正子氏とのエピソードとアメリカの分析医の先生とのエピソードが特に心に残りました。

    0
    2016年08月08日
  • 河合隼雄のカウンセリング教室

    Posted by ブクログ

    カウンセラーじゃないけど人と接する仕事をしていて、時々人の成長とか変貌を目の当たりにする。週1会うだけことにも意味がある、という言葉は励まされもするし、共有することの大切さを改めて感じる。

    0
    2016年08月06日
  • 河合隼雄の幸福論

    Posted by ブクログ

    いやー、それにしても、大好きです。
    生き方、考え方、ものごとの捉え方。
    ことばで包み込まれるように感じます。

    0
    2016年07月08日
  • 村上春樹、河合隼雄に会いにいく

    Posted by ブクログ

    村上春樹作品は今まで1作しか読んだことなく、これまでストーリーテリング=小説と思っていた私には、何が何なのかよくわからず終わってた。大きく今見方が変わった気がする。
    心のタガが少し外れた。
    生きるとは自分の物語をつくること、につながった。

    2016.6.12


    もっとずっと読んでいたい対談だった。お二人の対話で話題は全然関係ないのだが、自分の深い部分が癒やされていくという感覚がある。
    最初に読んだ時から今までの間に村上春樹の本は随分読んだ。
    夫婦とは井戸堀りというのと暴力性についての項が響いた。

    2023.10.7


    再読。この対談が書かれたのが30年前。村上氏のこれから暴力の時代がく

    0
    2024年06月22日
  • こころの読書教室

    Posted by ブクログ

    魂とか深層心理の話とか、現実世界でどっぷり生きてるとなんか敬遠してしまったりするところを、河井隼雄さんの言葉だとまんざらでもなく引き込まれる。知らないことがたくさん。読むたい本が増えました。理解できない小説とかの視点のヒントももらった感じ。

    2016.5.15

    河合先生はあまり本を読まないといわれるが、その読解力というのか物語を味わう力がすごい。こんなに深く本を読めたら読書が楽しいだろうな。自分の尊敬する人が推薦する本を読む、という。

    2024.7.8

    0
    2016年05月15日
  • 河合隼雄の幸福論

    Posted by ブクログ

    しあわせ眼鏡。いろいろな体験を大切にしたい。河合隼雄さんでもこんなにたくさん綴るのだから、私も幸福ってなんだろうって考えてみよう。
    モモを読み返したくなった。時間に追われていないか?のびのび生きる工夫をしているか?

    2016.4.29

    0
    2016年04月28日
  • 影の現象学

    Posted by ブクログ

    ホフマン。「白い影」の投影問題。イブホワイトの統合について。ユングの幼児の頃の夢、元型的な恐怖、皮と裸の肉とでできたおそろしい高さの「人食い」。永遠の少年の元型、急速な上昇と下降の反復。中世のヨーロッパでの「愚者の祭り」、道化の重要性、それ自身自己充足的であるため両性具有的である、完璧な統一へのカウンターバランス効果。道化の分類、ドライ、スライ、ビターフール、愚鈍、悪賢さ、辛辣、順に風刺の度合いが濃くなっていき笑いを失っていく。単層構造においては笑いの余地がなくなり、王に対して道化は悪としてしか機能できない。呪的逃走。

    0
    2016年02月08日