【感想・ネタバレ】決定版 快読シェイクスピア(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

シェイクスピアが「ロミオとジュリエット」の下敷きとなった物語に加えた、ふたつの重要なアレンジとは。ハムレットって実は体育会系? その根拠は。リチャード三世はアドラー理論を体現したような人物である――。ひとの心を深く知る心理学者と、女性初のシェイクスピア全作品訳に挑む翻訳家による、洞察力とユーモア溢れる11のセッション。幻の「タイタス・アンドロニカス」論を初収録。

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Posted by ブクログ

本屋でたまたま目についた。常々シェイクスピアをコンプリートしたいと思いつつ、いつも他の本の誘惑に負け、シェイクスピアが後回しになってしまうことを気にしていたからか。

シェイクスピアの戯曲のうちの11作について、翻訳者の松岡和子氏が原書での言い回し等を例に出しながら様々な質問を投げかけ、それに対し河合隼雄氏が登場人物の心情等を心理学的に説明する等々…とてもバラエティにとんだ対談集。

まず、各戯曲がうろ覚えの私は、河合祥一郎氏「あらすじで読むシェイクスピア全作品」で各戯曲の流れや登場人物を再度頭にいれてから、各章に突入。シェイクスピアの裏話ではないが「そういった見方もあるのね‼︎」というような興味深い話ばかりで、俄然、シェイクスピアの戯曲をしっかりと読みたいという気持ちが湧いてきた。本当に面白かった‼︎
この本に出会えたことに感謝‼︎

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2022年01月28日

Posted by ブクログ

河合隼雄さんと、松岡和子さんのシェイクスピアの戯曲を読み、その作品の解釈や、合わせ持つ意味などの解説などがあり、たいへん勉強になるお話でした。シェイクスピアに、興味のある方へ、オススメしたい一冊です。

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2018年08月06日

Posted by ブクログ

著名心理学者と翻訳家の対談でシェイクスピアの名作の数々の登場人物の心を読み解いていく!「ロミオとジュリエット」のジュリエットが14歳、ハムレットが30歳とあるのが、珍しい年齢の表記だそうで、両作品とも元作の年齢をシェイクスピアが変更していることにどんな意味があるのか。心理学的な観点から読み解いていく中で、シェイクスピアは凄い!ということを痛感させる2人の観察力に驚き。「ロミオとジュリエット」「ハムレット」の他、「真夏の夜の夢」「十二夜」「リチャード3世」。そして書名に「決定版」がつくのは、「リア王」「マクベス」「ウィンザーの陽気な女房たち」「お気に召すまま」に加え、最期に「タイタス・アンドロニカス」が追加になったからだという。シェイクスピアの作品をほとんど読んだことがない私でも、諸作品の登場人物の心理に非常に興味を持つことができる楽しい読み物になった。三つ子だっというエリザベス・キュープラ―・ロスの「私は何なの?」を感じた瞬間の話は実に面白い。日本の歌には「太陽」は全く出てこないが、西洋では多く歌われている!実に興味深い話を河合氏が紹介している。

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2018年05月08日

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河合隼雄さんに松岡和子さんの対談ときたら、面白くないはずがありません‼️
冒頭から、伝承では16歳だったジュリエットの年齢を14歳に設定し、僅か一週間のドラマとして完結させたシェイクスピアの天才を語るお二人。その「天才」を河合さんの先導によって読み解いてゆく愉悦。

古書店の100円均一で見つけた一冊。

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2022年03月04日

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2人の対談であるがシェークスピアは、今で言うエンターティメントであったと再認識。エロスあり、暴力あり、喜劇あり。
単純なプロットゆえに、いくつかの操作で普遍的な物語になったのだろう。

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2021年09月22日

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シェイクスピア読んだことないのに結構面白く読めたのは、シェイクスピアの凄さと対談してる二人の魅力かなあ!

留学中に、エリートカナダ人とアメリカ人の会話にポロっとシェイクスピアが出でいたのを思い出す。欧米じゃ教養の印なの、と言っていた。順番逆かもしれないけど、これを機に私も読みたい。

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2019年08月08日

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ユング心理学をベースとした心理療法家の河合隼雄先生と、シェークスピアの翻訳第一人者の松岡和子さんの対談本。

対談で取り上げられたシェークスピアの作品は、『ロミオとジュリエット』『間違いの喜劇』『夏の夜の夢』『十二夜』『ハムレット』『リチャード三世』。この6作品での対談が、当初新潮社から出版されたそうで、ここでお二方は意気投合されたようだ。その事は、対談を読んでいても読者に伝わってくる。

その後、更に『マクベス』『ウィンザーの陽気な女房たち』『お気に召すまま』『リア王』で、対談が繰り広げられ、電子書籍で私が読んだものでは、その内容も収められていた。

さらには、河合先生が亡くなる前に編まれた最後で、松岡さんが絶賛される『タイタス・アンドロニカス』についての対談も収められている。

シェークスピアの作品は、37あるそうなので、そのほぼ1/3について語りあわれたと言うことだ。

自分はいま、最初の6作品までの対談を読み終えたところだ。そのうち『夏の夜の夢』と『ハムレット』はにわか勉強で読んでから、この対談を読んでみた。

松岡和子さんのシェークスピアに関する豊富な知識と情報提供があり、そこにユング心理学に基づく、登場人物に対する河合先生の分析が絡む。その分析から、更に松岡さんの閃きや新発見が加わるといった具合だ。

登場人物の行動の分析から、そのようなストーリーを考えたシェークスピアの分析につながったりする。また、松岡さんの、劇を演じる役者のセリフからも新しい発見があるなどの話も非常に興味深く読んだ。

『リチャード三世』はまだ原作を読んでいないが、お二方の対談を読んでいるだけで、逆に原作を読んでみたい気持ちになった。松岡さんが絶賛された『タイタス・アンドロニカス』については、なおさら興味がそそられている。

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2019年01月01日

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シェイクスピア翻訳者と松岡和子と心理学者の河合隼雄がシェイクスピア作品をネタに語る対談。主に松岡が物語上の問題的をし、河合がそこに心理学者としての分析を加えるという形。人物の心理や行動の分析が「腑に落ち過ぎて」逆にこじつけっぽく感じられる部分もあるが、大部分はなるほどと納得のいくもの。中でも『リチャード三世』の「善人は反省しない」という指摘や、『タイタス・アンドロニカス』の「命令形と疑問形」問題は、特に刺激的で面白かった。最近ずつと読んでいなかった河合隼雄の本また読みたくなった。

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2018年08月09日

Posted by ブクログ

 シェイクスピアの翻訳家・松岡和子と、心理学者の河合隼雄が対談しながら、それぞれの作品とその登場人物について、意味や解釈、文化的背景について意見を述べ合う、というもの。取り上げられている作品は、『ロミオとジュリエット』、『間違いの喜劇』、『夏の夜の夢』、『十二夜』、『ハムレット』、『リチャード三世』に加えて、改訂版・決定版の増補として『リア王』、『マクベス』、『ウィンザーの陽気な女房たち』、『お気に召すまま』、『タイタス・アンドロニカス』。
 シェイクスピアで河合、って言ったら河合祥一郎だから、翻訳者2人の対談かと思ったら、河合って河合隼雄だったの、という。国語の大学入試とかで取り上げられる人でしょ?くらいにしか知らなかった。もう亡くなった、というのも決定版のあとがきで2007年に亡くなったという事実を知った。
 もちろん作品を読んでいることが前提だけど、たとえ読んでいなくても、これを読んだら実際に読んでみたい、と思う点では、既読未読にかかわらずある程度は楽しんで読めるかな。最後に載っている『タイタス・アンドロニカス』は前からちょっと読んでみたいと思ってたし、『ウィンザーの陽気な女房たち』は「シェイクスピア劇の中で唯一の現代劇」(p.284)らしいというので、興味が湧いた。でも既読のやつでも、よっぽど読んで覚えてないと、内容がちょっとよくわからないままに読み飛ばしてしまうところもなかった訳ではなかった。
 あとは興味深い部分のメモ。『ロミオとジュリエット』は恋人2人が死ぬが、それは、最後に大公が「愛によって殺す」ことになったと言い、その愛は、2人の愛じゃなくて、「親たちの子どもに対する愛」(p.45)と考えたらどうか、という話。「親の愛によって歓びを殺す」、「子どもを結果的に不幸に追い込むことにのみ、『愛』を傾ける」(同)という部分は、本当よく分かるなあと思う。そうやって育てられると、思春期で失敗してこじらせる、というのは、中高の教員してると分かる。「愛情」だから、説得しても無駄だし、良かれと思ってやっていることだからタチが悪い。特に「自由にしていいよ」、「自分の好きにやりなさい」と口で言いながら本当は自由にさせないという親も結構多い。こういうのを愛情で子どもを殺す、って言うんだろうな、って思った。『間違いの喜劇』では、二重人格の話が出てくるが、「第一人格に意地悪をする」(p.87)第二人格、ってなんか面白いって言っちゃ悪いけど、なんでこんなことするかな、自分なのに、と思ってしまう。が、それが通用しないから二重人格ということもよく分かるのだけど。次に『夏の夜の夢』で、ヨーロッパの森は平らだ、という話。斜面のない平らな森がどこまでも続くから物語が生まれる、というのは面白いなと思った。確かに、言われてみれば、山道を歩いたことは何度もあったとしても、なーんにも起伏のない森をひたすら歩く、ってそういう体験したことないなあ。冷静に考えてやってみたいかどうかは微妙だけど。本筋とは関係ないところで、「思いつきの好きな人間は勉強しない」(p.135)というのがあるが、ここでの勉強というのはどういう意味なんだろう。なんか地道な作業的なことを指すのかな?この対談者2人とも勉強好きそうだけど、と思った。おれも思いつく人だけど、勉強嫌いじゃない。次に『ハムレット』の中で、「なぜなしに生きる」(p.183)という言葉がテーマになり、これは「生きていること自体がものすごいんであって、何かをするために生きているっていうのは、ちょっと偽物めいている」(同)というマイスター・エックハルトという人の言葉があった。でもやっぱり、悩んでいる人を励ます言葉としては機能するけど、でもおれはやっぱりそうは思えないんだよな、そもそもすごいとかすごくないとか、生きるのはそういうことじゃなくて、ただ淡々と生きるしかないよね、と思っている。あと、これに関連して「中年の危機」(p.184)の話が出てきて、なんか今のおれがそういう感じがするので、ちょっと興味を持った。「日本人は成長が遅いし、とくに最近は遅くなっているから、今だと、四十くらいでしょうか。」(p.184)だって。ちなみに「若さにまかせて生きていた態度を、『死に向う』方にシフトさせる必要があるから」(p.186)起こるらしい。確かに、なんか分かる。人生終わりまでにどんなことしたいかな、どんな最期にしたいかな、とか考えだして、いろいろ悩むなあ、という今日この頃。それからもう一つ、松岡さんの話で、「埃鎮め」という言葉を初めて知った。「まず舞台に登場するのは脇役やいわゆる『その他大勢』。世間話めいた台詞のやり取りをしながら、彼らがその芝居なり場面なりの雰囲気作りをしているうちに、(略)お客は舞台に集中させる。」(p.209)という。おれは吉本新喜劇をテレビでも生でも結構みているが、必ず最初はこういう人たちが出てくるけど、それって「埃鎮め」だったのか、ということが分かった。『リチャード三世』の話で印象的だったのは、呪いの話が出てきて、「目に見える形で行うのは操作」で、呪いは「祈り」の部類に入る、という話。河合隼雄曰く、「私なんか本質的に祈っているだけですよ。祈りしかないんです。私の仕事は操作の正反対をやっている。人をいっさい操作しないことをモットーに生きている人間ですから。普通、誰でも何か操作しようと思うものなんです。でも、操作をすべてやめて、ひたすら祈っていたら、結果的にけっこううまくいきますね。」(p.238)というのは、正直うらやましい、って感じだった。少なくとも中高の教師はいかに「操作」するか、ということをやらないといけないと思うから。「祈る」だけでは仕事をしているとはみなされない。そして最後の最後は祈るしかない、ということになるのだけど。特に家庭の問題。あと、勉強しないのも、させようとしたって意味がないよね、と思うけど、祈ります、で本当に放っておく訳にもいかず。中高の教員は、私は操作とかするのは嫌いなんで、祈ります、で終わらせられる仕事じゃない、からこういうことが堂々と言える立場の人は羨ましい。最後に『リア王』。老いると「自分の耳に心地いいことしか入れようとしない、入ってこない」(p.264)という。老いなくてもこういう人いるけど、本当おれも気をつけようって思った。
 という感じで、作品自体が分かってないとスラスラ読むのは意外と難しいしよく分からんっていう部分もあるし、この二人の対談は話が噛み合っているのか?とか思ってしまう部分もあるけど、松岡さんの話はそれでも分かりやすいし作品の背景や裏情報(?)も紹介されるので、シェイクスピア好きなら外せない本だと思う。(25/10/02)

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2025年10月02日

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シェイクスピアの作品を河合隼雄さんが心理学的見地からその魅力を説明してくれる。訳者の松岡さんも心理学に造詣がありそうで話が噛み合う。ただ、本書を読むにあたっては、先に該当するシェイクスピアの作品を読んで内容を覚えておく方がよい。2025.5.11

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

数年前、大学の授業で「ハムレットの幻覚」という論文から示される「実はハムレットが先王殺害犯」説に衝撃を受け、それ以来、シェイクスピアを心理学的に読んでみたかった。
本書は、日本における臨床心理学、ユング心理学の大家である河合隼雄先生と翻訳家の松岡和子さんの対談形式の作品批評。「~幻覚」ほど斬新で鋭い見方はなく、日本的にほんわかムードで語られていくが、ロミオとジュリエットが青少年の発達心理学的見地、マクベスが臨床心理学的見地、そしてリチャードⅢ世がなんとアドラー理論に合致と教示され、改めてシェイクスピアの才能に驚かされた。これらの根拠は、舞台構成や台詞の中に密かに散りばめられており、素人がボーッと( ゜o゜)見ていても分かりゃしない。
シェイクスピア劇を観たいと思う方にとっては、親しみやすい教則本となるだろう。ただ対話形式なので広がりはあるが、掘り下げが浅いのが残念。
(やはり私は、「~幻覚」のような晴天の霹靂的批評を欲します。)

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2023年05月22日

Posted by ブクログ

シェイクスピア作品について、心理学者の河合隼雄さんと翻訳者の松岡和子さんの対談。心理学はよく分からないので「そんなもんかな~?」という感じだったけど、松岡さんの翻訳の裏話とか、舞台の話なんかは面白かった。舞台でシェイクスピア劇を見てみたくなった。

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2019年08月16日

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