河合隼雄のレビュー一覧

  • 子どもの宇宙

    Posted by ブクログ

    学生の頃読んだものを再読。

    子どもの心や頭にある(そして大人である我々が手放してしまった)広い宇宙に想いを馳せながら、その宇宙を汚すことなく子どもと向き合うための指南書。

    教育や福祉で子どもに関わる人にはぜひ読んでほしい。

    0
    2023年07月31日
  • こころの処方箋

    Posted by ブクログ

    新たな「心の鉱脈」を掘り起こそう、「昔は良かった」は進歩がない人のセリフ、など割と常識的なことをサクッと言ってくれる懐の広さから、よく河合隼雄さんの本で見られる「自殺願望とは生まれ変わるサインである」という緊張感のあるメッセージがとても効いてくる。精神を「殺す」サインを待つ仕事って、なんて大変なんだろうと思うが、柔らかな文章の裏に見られるこの迫力はそんな日々の仕事に裏付けられていたんだろうなと想像する。

    0
    2023年07月30日
  • こころの処方箋

    Posted by ブクログ

    河合隼雄氏の名著。今更ながら手に取る。
    本には読み時というものがあると思っている。身体が不足した栄養素を補うように、その時自分が欲した本、読みたい本というものにははずれがない。
    その出会いも、偶然性に満ち溢れた必然的なもので、いつも運命を感じてロマンティシズムに浸りたい気持ちになる。

    脱線。

    同書は、55つの短編からなる。
    著者は臨床心理士で日本ユング派の大家であり、京都大学でも教鞭をとられ、日本の心理療法の礎を築いた偉大な人物…という紹介は不要。
    そういった肩書よりも、文章からあふれ出るやさしさやあたたかさが親しみ深い。
    世の中で生きていくうえで、どうしたって人間は躓いてしまう。他人から

    0
    2023年07月21日
  • コンプレックス

    Posted by ブクログ

    1971年発刊の名著。ユング派に属する心理療法者・河合隼雄さんによるコンプレックスに対する解説。

    はじめにはっきり申しますが、すごい本です。中身が濃く、圧倒されもするのですが、なかなかこれだけの本には巡り合うことはありません。読みだしこそ、「怖い」と思いました。「こうなったら異常!」というトラップ的なテストが張り巡らされているような気がしてです。でも、そんな低い次元での話ではなく、もっと底の方からえぐるように未知のもの(それは人間心理のこと)を考察したものを、こちらも同じ目線でくらいつき、かみ砕いて知るべく読み進めるような読書になりました。

    序盤ではこういった例が紹介されていました。父親が

    0
    2023年03月22日
  • 無意識の構造 改版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ユング派心理学の入門書。
    ・無意識と自我、自己
    ・夢分析の様々な実例
    ・アニマとアニムス
    ・自己の象徴としての曼荼羅

    ★母性を否定する女性はしばしばエロスに圧倒されてしまい次々と異なる男性と関係を持つ傾向にある
    ★孤独は人格変化の糸口になることが多い
    ★その女性のアニムス像を夫に投影出来ぬ時、
    アニムスに対する期待はその女性の子供に向けられる→教育ママの誕生

    0
    2023年02月28日
  • 子どもの宇宙

    Posted by ブクログ

    かつて子どもだった時の、あの、言葉では言い表すことができなかった様々な思いとこの本の中で再会することができた。あの時はとてつもなく重要なことだったのに、いつの頃からか段々と考えることをやめてしまったなぁ…

    子どもには子どもなりの道理がある…そのことを忘れずに子どもの話に耳を傾けることができる大人でありたい。

    0
    2023年01月19日
  • コンプレックス

    Posted by ブクログ

    ユング派の心理学者、河合隼雄による、コンプレックスに関して現代人に対して強烈な示唆を与えてくれる一冊である。

    コンプレックスと劣等感は同義でないことから始まり、自己実現に至る道筋を与え、締め括られる。

    一般女性の体験から、神話まで、充実した事例を取り上げてあり、心理学初心者にも大変わかりやすい内容だった。

    0
    2023年01月18日
  • 絵本の力

    Posted by ブクログ

    5年間ではあるが、図書にかかわる仕事をして、絵本もたくさん読んだつもり。
    それでも、読むタイミング、自分の人生の位置、その時の気持ちで、絵本から受ける影響は都度違っていて、毎回違う感情になる。
    子どもにはたくさん読んであげたいし、自分も気になる絵本は手に取りたい。
    まさしく「絵本の力」
    短く、優しく、分かりやすく、心にまっすぐ刺さってくる絵本。
    改めて絵本の存在に感謝。

    0
    2023年01月05日
  • 子どもの宇宙

    Posted by ブクログ

    子を持つ親として大変勉強になった。
    約35年前に書かれた本だが、今の子供にも変わらず宇宙はあるはず。
    児童文学の深さにも驚き。大人こそ読むべきなのかもしれない。

    子供の秘密や自立などの「時」が来たときに、親の言動が子供の魂を殺していないか、また思い出して読みたい本。

    0
    2022年11月22日
  • モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた 進化心理学が教える最強の恋愛戦略

    Posted by ブクログ

    ・女性は基本男を危険なものとして見る、しかし魅力も感じるというダブルバインド
    ・現代では倫理的で相互利益的なモテを目指すのが適応的
    ・良い父親になるか(女の子の遺伝子が有効に遺っていくか)が大事

    0
    2022年10月08日
  • 仏教が好き!

    Posted by ブクログ

    瞑想とドラッグの違いを登山で例えるの面白かった。ドラッグはロープウェイで山頂に着くけど、高山病になる危険性もあるし自分に基づいた体験ではない。

    0
    2022年10月02日
  • 子どもの宇宙

    Posted by ブクログ

    教育や心理学で、これまでの中で一番いい本に出会えたと思った。

    やさしい時代があった。親が子を変えるのではなく、子が親を整える。現代では身体性を見失って、妄想がコレクトネス化して来ているように感じる。子供を教育するのは一定の人間と考えるようになってしまっている。自分達は、自然や環境から影響を受けるという説に従うクセに。

    児童文学が心を打つことを思い出せた。また文学も青年期の心を整えることを感じられた。ルールルールで人情味が失せた時代に、子供だけでなく、人はどうしたらいいか、感じられた。

    0
    2022年07月23日
  • 絵本の力

    Posted by ブクログ

    今では当たり前の様々な絵本がどのように日本や世界で発展していったのかや、絵本の持つ力、可能性を知れてとても素敵な本でした。
    私が感銘を受けた絵本でも、子どもはただ読んだだけで何も感じていないことをずっと残念に思っていましたが、「言葉を詩のような響きとしてぱっと感じるだけでいい。一度子供の心の中に伝えておくと、人生の歩みのどこかで発見をする種蒔きになる。」という主旨が書かれていて、これからもたくさん絵本と関わらせてあげたいなと思いました。
    大人が楽しむ絵本の話もとても納得がいき、私もどんどん楽しんでいきたいと思います。
    国内外の絵本作家や絵描きさんに詳しい御三方の会話なので、当然の知識のようにた

    0
    2022年07月08日
  • 影の現象学

    Posted by ブクログ

    個人的には、河合隼雄氏の数ある著作の中でも一番の名著ではないかと思う。これはしっかりと、学術文庫で出すレベルの内容になっている。

    人はそれぞれ その人なりの生き方や人生観をもっているが、抑圧されたか、取りあげられなかったか、ともかく、その人によって生きられることなく無意識界に存在していながら、その人によって生きられなかった半面を、その人の「影」と呼んでいる。私たちは、いつかはその自分の「影」の存在を自覚し、向き合わなければ、人として成長できないのだ。

    「われわれはこの世に生まれた瞬間から、常に死の可能性をはらんで生きている。「生」は「死」に向かって進行しているのであり、生きることとは、すな

    0
    2022年06月19日
  • こころの読書教室

    Posted by ブクログ

    ユング派心理学の第一人者である河合隼雄氏の最晩年の著書。
    著者が「読まなきゃ損」と考える書籍を紹介し、自分はどう読んだか、どんなメッセージを受け取ったかを語るという形式になっている。
    一番読みたいと思ったのは「一組の男女の関係は6通りある」と語るエマ・ユングの『内なる異性ーアニムスとアニマ』。河合氏のような洞察は不可能にしても、実際の著作に触れてみます。

    0
    2022年06月12日
  • こころの最終講義

    Posted by ブクログ

    「人の心などわかるはずがない」と知り抜いているユング派心理学者の河合氏の講演録。
    冒頭の言葉は河合氏の著書「こころの処方箋」からの引用だが、「わかるはずがない=諦める」ということではないのである。
    分からないことについての講演だから「答え」はどこにも書いていないが、考えるヒントをたくさん受けとることができた。
    本書のキーワードは「物語」である。

    0
    2022年06月05日
  • 絵本の力

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    絵本が大好きな気持ちがあふれる。
    大切に、大切に読み進めたい一冊。

    河合隼雄さん
    「すべての人が自分の心の中に秘密の花園をもっている。その花園の中に何を植え、何を育てるのかというのは、その人の人生の大切な課題」
    「これだというものをもっている子は、ものがなくても悠々としている。」

    松居直さん
    「耳から聞いた言葉の世界と目で見た言葉の世界が子どもの中で一つになります。そこに絵本ができる。」
    「絵本の中に印刷されている挿絵は静止画ですが、子どもの中に見えている絵本の絵は、生き生きと動いている。」
    『自分で絵本の物語の世界をつくる体験をする。そういう体験が実は絵本の本質に触れることです。』

    0
    2022年03月12日
  • はぐれイワシの打ち明け話~海の生き物たちのディープでクリエイティブな生態~

    Posted by ブクログ

    魚を、魚の大きな目を怖がっていた少年が、ある日海岸近くに迷い込んできたイワシを見つけ、その美しさに、イワシの存在に好奇心をかき立てられ、海の神秘に魅了される。
    そんな少年は、海やその住人たちへの深く果てしない愛を深めていきながら、物理学者になり、フランスのスピーチ大会でイワシについて熱く語り優勝し、この本を出版する権利を得た。
    プロローグで語られる、著者である少年のはぐれイワシとの出会いの物語から、もう海に魅了される。
    そして時代を超えた海の物語や、果てしない深海からパリの地下水路まで世界をまたにかける海の生き物たちの物語、伝説上の海の物語まで、実に魅力的に語られる。
    イルカと触れ合い、コバン

    0
    2022年03月01日
  • コンプレックス

    Posted by ブクログ

    50年前の本というのが驚き。
    劣等感コンプレックス≠劣等性の認識という説明をしている章が面白い。その章で記されるソフトボールの例は、4年前の私の高校時代でも見られた光景である。50年後の若者が読んでも共感できる例が示されていることに凄みを感じた。
    また、コンプレックスの解消が簡単なものではなく、爆発に近い形で起こるという部分は思い当たる節がある。
    自己理解につながり、何度も読み返したくなる本。

    0
    2022年02月13日
  • はぐれイワシの打ち明け話~海の生き物たちのディープでクリエイティブな生態~

    Posted by ブクログ

    神秘的すぎてフィクションなのか、ノンフィクションなのかわからない。
    裏付ける名前の付け方とかあって、こんなにすごいのか、と。
    表紙の絵が可愛くて惹かれて読んだけどとてもよかった。

    0
    2022年02月05日