河合隼雄のレビュー一覧
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臨床心理学者・河合隼雄さんが京都大学を退官されたときの最終講義を中心に、五つの講義や講演を採録したもの。タイトルが『こころの最終講義』とされていますが、もちろん著者にとっての最終講義ではなく、あくまで京都大学での最終講義という意味です。
まずコンステレーションについて語られていきます。コンステレーションはそのままでは星座という意味になりますが、ユング派心理学の用語だと違った意味になります。こころの中にあるなんらかのかたまり・複合体(コンプレックス)を、言語連想などでぽつぽつと出てきた単語を元に探っていくのですが、その単語を点として結んでいって象られていくといったものがコンプレックスであり、象 -
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なかなか良い本であった
著者の主張
①女性の性愛の選択は進化の過程でどのように「設計」されてきたのか。
②女性が(無意識に)魅力を感じる「特性」にはどのようなものがあり、それをどう身につ
けるか。
③その特性をどうやって効果的に「シグナリング(賞伝)」するか。
の順にクリアしていけば、ごく自然にモテるようになる
Part0
モテを実現する5つの原則
第一の原則:科学にもとづいて決める(先入観には頼らない)
第二の原則:女の子の視点を理解する
第三の原則:自分の魅力を装備する
第四の原則:正直であること (自分自身にも相手にも)
第五の原則:ウィンウィンの関係を築く
5段階のプロセス
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心理学フィールドにいる私にとって河合隼雄の存在感は大きく、言わずもがな現代における村上春樹の影響も大きいわけで、この本が1998年に出版されたということに気づけなかった。
スマホも、(少なくとも今のような)インターネットも無い時代で、コロナの経験も持ち合わせていない。対談の中で掘り下げられる生き方は、今のそれとは大きく違う。そして何より大きな違いは、当時の「臨床心理士」、心の専門家の社会の中での位置付けかもしれない。人のあり方を、心や行動に還元せずに全体として、あたかも唯一の答えがあるかのように語り得る専門家が、この時代には存在していたのだろう。
時代を超えて読みに耐える普遍性を携えた一冊 -
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ネタバレ「四天王寺カウンセリング講座」の講演記録の一部。カウンセリングと時間・人間関係・倫理・家族・友情の5章にわかれている。
わかりやすい言葉で読みやすい気がするんだけど、よく読むと書いてあることは深いし難しい。日々の暮らしや仕事で少しでも実践できたらいいなと思う。
・大事なのは言葉で言うことではなくて、自分の態度がどんなに開かれているか、どれだけ待つほうに傾いているか。
・カウンセリングというのは「治してあげる」ではなく、その人がもつ自分の潜在的な力で治るようにするということ。クライエントはものすごく努力して苦しみと闘って、自分でやり抜いていかないと治らない。 -
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「幸福ということが、どれほど素晴らしく、あるいは輝かしく見えるとしてもそれが深い悲しみによって支えられていない限り、うわついたものでしかない、ということを強調したい。恐らく大切なのはそんな悲しみの方なのであろう。」
生あるものは必ず滅し、形あるものは必ず壊れる。望んだものが手に入ったという幸福は、どんな形であれいつか必ず終わりがあることを内包している。あるいは、自分がその幸福を授かった裏には、その恩恵を受けられなかったたくさんの人がいるのかもしれない。
そうしたことを意識したうえでの幸福は、なんと重みを増す事であろうか。手放しで喜ぶ方が、爽快に違いない。しかし、そうすると幸福にしか目のいかない -
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知の巨人二人の対談であるので、
正直言って分かったような分からぬような部分も多々ある。
が、そのように「なんとなく分かるような気がする」という感覚も時には重要だろう。
30年近く前の本であり、
内容的には阪神大震災やオウム事件を多くクローズアップしているが、
現代日本の諸問題の多くはすでにこの頃に始まっていた。
曖昧さを良しとする情緒的な日本文化と、論理的なアメリカ文化。
夫婦関係、箱庭療法に対する姿勢、言語の持つ力など、
お二人はさかんに2つの文化の違いを強調するのだけれど、
私は実は似ているのではないか、という気もしている。
ただし、空気に支配される日本がより問題なのは明らかだ。 -
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ネタバレ夫々小説家/心理学者の著者による対談集。明確に語られていたわけではないが、ぼんやりと感じたのは「物語が論理的(分解的?)/静的なアプローチを補完する場合もある」ということ。分析とは分けることである、と言われるように、所謂科学的アプローチが日常の仕事にまで染み込んでいる現代について、少なくとも自分は癖として物事を切り分ける/個別事象を理解する/最後に各事象を結びつけるという思考を踏んでいる。これはこれで間違いではなく、むしろ特定の人々からは推奨されるものであるとも思うが、どうしても細部を捨象したり、全てが意図性を持ってしまうきらいがあるとも感じる。一方物語は、明確なメッセージを持たない場合(意図
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「自我の知らない無意識の世界というのがあって、それを探索することが大事」
「人間は自分の知っている限り、自分は自分のことをわかっていると思っているけれど、それを超えて、もっと全体としての中心、自己がある。その自分も知らないような自己をいかに実現するかというのがその人の一生なのだ」というユングの考えに基づいて、自分の知らない自己やそれへの理解(自己実現)について様々な角度から描かれている本を紹介している。
自分の知らない自己をいかに実現していくかというのは、自分の望むべき方向に向かって自身をコントロールしていくという従来の自己実現とは意味が大きく違う。自分の中にも、自身でコントロールできないエリ -
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村上:ほくは夢というのもぜんぜん見ないのですが
河合:それは小説を書いておられるからですよ。谷川俊太郎さんも言っておられました、ほとんど見ないって。そりゃあたりまえだ、あなた詩を書いているもんって、ぼくは言ったんです。
村上:夢を見ないものなのですか、別の形で出していると。
河合:やっぱり見にくいでしょうね。とくに「ねじまき鳥クロニクル」のような物語を書かれているときは、もう現実生活と物語を書くことが完全にバラレルにあるのでしょうからね。だから、見る必要がないのだと思います。書いておられるうえにもう無理に夢なんか見たりしていたら大変ですよ。
創造力が必要な職業の人とは逆に、きつい現実社会にい -