【感想・ネタバレ】宗教を知る 人間を知るのレビュー

あらすじ

宗教を知ることで、自分が、世界が、新しく見えてくる!――「宗教入門の本として、高校生、大学生、学校の先生、お父さん、お母さんに読んでもらいたくて企画しました」

● 自分の死とか自分の生存を世界と自分とのかかわりの中で考えるとなると、やはり宗教は必要です。人間は、いくら頭でわかっていても、それだけで生きていくことはできません。身体的に納得して生きようとすれば、宗教なしには生きてはいけません。
また、極端な科学優位による弊害も大きな問題になりつつあります。それが端的に現れるのが人間関係で、現代人は自分と外界とのかかわり、自分と他者とのかかわり方がうまくできなくなってきています。……そこに現代という時代がかかえる大きな問題の一つがあります。
そして、この問題を考える場合、どうしても宗教というものを抜きにしては論じられません。――河合隼雄(本文より)

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Posted by ブクログ

河合:異教徒も殺してはいけないといった宗教はないでしょう。
加賀:ないんですよ。異教徒も殺してはいけないと言ったのは、世界中探しても、日本の平和憲法しかない。(中略)日本国憲法の「戦争の放棄」条項は、いろいろな国の人から「なんだ、これは」といわれる。
という対話が意外だった。異宗教は排除すべきという考え方が外国ではノーマルなんだ。日本人は差別はいけないともっともらしく言っているが、宗教だけは例外なんだということがわかった。

興味深かった話は、加賀乙彦さんの東京拘置所の医官の時の話で、メッカ殺人事件の死刑犯が、3年間で600通もの手紙をある人物に出していた内容と、母親が持っていた拘置所での日記の内容と、拘置所で面談した時の加賀さんとの会話が、三種三様で全く食い違っていると言う話。
加賀:「(日記には)行いすました第一の彼でもなければ、しなやかな第二の彼でもなくて、獄中で悩み、もがき、苦しんだ、惨惰たる人間の姿だったのです。自分の信仰に疑いをもち、しょっちゅう神を呪い、ときには神父の悪口も書いてありす。私は一人の人間にこの三つの側面を見たときに、すっかり自信を喪失しました。人間というものはとてもわからない、いくらわかろうとしてもも、まだわからない面がある。それほど、人間の心というのは広く、大きく、多くの側面をもっているんだと思い知らされました。」
この人物は悪人として有名になってしまったが、犯行時24歳の慶大卒の、この人物像を考えるに、相当な秀才で純粋な人物であったことが伺えることから、道徳的に踏み外していなければ、それ相応の名をあげた人物だったのではないか、と思いました。

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2025年09月20日

Posted by ブクログ

大抵の日本人は自らを無宗教者としていますが、日本人の日常生活には宗教的行動がたくさん浸透しています。
そのような「宗教」という物の日本人の考え方や宗教の意味、そして人間にとって宗教はなぜ必要なのかなど、4人の著者が幅広く考察して論じています。
私も本書を読むまでは宗教そのものの意味もよく分からず、偏見でしか宗教を見る事ができませんでした。しかし本書によって「宗教」そのものの意味や存在理由を知ることができ、宗教に対する観方がずいぶん変わりました。
国際化していく現代で日本人独特の宗教に対する偏見を見直して、本書によって世界ではあたりまえのように信仰されている宗教について知る事も重要だと思います。

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2011年09月26日

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