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心の問題集&回答集!――人間の心がいかにわからないかを骨身にしみてわかっている「心の専門家」である著者が、「人の心とは何か」という問いに心理療法の現場から答える。悩み、傷つく心を知ると、自分も他人も見えてくる!!
◎人間の心がいかにわからないかを骨身にしみてわかっている者が、「心の専門家」である、と私は思っている。そのわからないことをそのままに捨ておかず、つねにそれに立ち向かっていなくてはならないのはもちろんであるが。これに反して素人は「わかった」と単純に思いこみすぎる。というよりは、「わかった」気になることによって、心という怪物と対峙するのを避けるのだと言っていいだろう。この書物はもともと心理療法をいかにするかという問題意識から出てきたのであるが、心理療法に関係のない、心に関心のある一般の方々が読まれても、おもしろいものになっていると思う。治療者とクライエント(相談に来た人)の関係を、そのまま家族や職場の人間関係に移しかえることはできないが、それらを考える上でヒントになることが、相当にあるのではないかと思う。
●私がユング派の分析家になるまで
●普通の人になることが幸せか
●苦しみの処方箋
●「自分はダメじゃないか」が大切
●少年事件と家族の問題
●治ることの悲しさ、つらさもある
●中高年の自殺に打つ手
●たとえ「冷たい人」と思われても
●空虚感、無気力感への対処法
●定石どおりにことは運ばない
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Posted by ブクログ
以前、海外の統合失調症家系の本を読んだ際、とんでもないことをしても意外と家族が集まるものなのだなと思っていたが、
「昔にしても、父親と子ども、母親と子ども、あるいは夫と妻とが、ほんとうの個人としてつきあうということは日本ではほとんどなく、ただ、モノがないから、言わず語らずのうちに共有とか融合という状態の中で生きていくほかなかったわけです。そういう生き方で家族というのが構成されており、それがいわゆる日本の家族というものでした。」
という一文で納得した。強い母性と関係の希薄さによるアンビバレントは日本独自で、いちいち海外と比較してもしょうがないかもしれないなと思う。
重いことがさらっと書いてあるので、すらすら読んでいたらここに答えがあった!と急に手が止まることがある本だった。
Posted by ブクログ
精神科医、スクールカウンセラー、家裁調査官など第一線で活躍している人が、臨床を続ける上で困っていることや疑問を河合隼雄氏に質問し、それに答えていく形式。
臨床の現場でこんなにも一生懸命課題に取り組んでいる人たちがいるのだと実感し、単純な私は嬉しくなってしまう。そして私も自分の仕事を頑張ろうとまた思えるような本だった。
ー治療者の若い時(初心者)ときというのは、面接がうまくいっているときには、相手が苦しいとうことがなかなかわからない。治療者がうまくいっていると思っているときというのは、相手側何いろいろと反省したり、深く考えたり、苦しんだり、自分を責めたりしている時。そこで、こちらがうまいこといったと思って喜んでいると、相手の苦しみとはだんだん乖離してしまう。この状態がある程度すすむと相手は面接に来る気をなくしてしまう。
このことを心得ているか否かだけでも雲泥の差が出てきますね。肝に銘じたいです。
ーどんなに訓練を受け、いかに多くの経験を積んでも、全部がわかり共感できるなどということはない。カウンセリングを受けに来るような人は、みんなそれぞれ深い問題をかかえているから、常に新し発見の連続であり、新しい限界との遭遇とも言える。新しい発見限界に共感していくためには、さらに新しい努力が必要になってくる。
異性の同性愛がなかなか共感できなければ、三島由紀夫の小説を読む。
難しいケースの人がこの音楽が好きだと言えば、一生懸命その音楽を聞いてみる、という共感する努力が必要。
また、個人的には関係ない複数の人が三島の「金閣寺」に感動したとか、同じ日におなじようなことを言ったりしていれば、そこには何かしらのメッセージがあるはずなので、そういう時はどんなに忙しくても必ず読んでみる。
河合隼雄氏も常にこういった努力を重ねてきている。
Posted by ブクログ
この本の対談者は、「閉ざされた心との対話」=心理療法の現場から (上)、「心にある 癒やす力 治る力」=心理療法の現場から (下)、という2冊の本と同じメンバーで、その時の対談者のQ&Aを本にしたものがこの本。
以下の話が参考になった。
(河合さんの師匠の)マイヤー先生も、そのときの流れで、カウンセリングが50分のところが1時間になったり、40分でやめるときもありました。そこで私が、「先生はあんまり時間どおりにやりませんね」と言ったら、こんな返事でした。
「君は、『カルメン』は三時間だけど、『椿姫』は二時間だから、同じ値段ではおかしいとか、『カルメン』のほうが割安だとか言うかね。その作品を見にいっているんだから、作品が終わったら終わりじゃないか」
この話は、河合さんの「イメージの心理学」という本にある「人間は生まれたときから完成しているとも言えるし、どんな人も未完のままに死ぬとも言える」という言葉に通じる逸話である。幼くして死んで、その人の人生という作品が、周りの人には未完に見えたとしても、本人には、それで完成なのだ。
人生の評価は、時間の長さで比較するようなものではない、ということを言いたいのではないだろうか。
Posted by ブクログ
今の自分にとって、ジャストタイミングで出会えたと思えた本。
「答えは問処にあり」という言葉がとてもしっくりときて、折に触れて思い出すようになりました。
そのほか、「その人にとってほんとうに幸せか」考えること、「相手が攻撃できる可能性を残すこと」、「そこにいること」、言葉と心を一致させることなど、多くの示唆をいただきました。
また、カウンセリングは本人の心に深くコミットするものであり、連携はコミットのための便宜である、という説明は、とてもすっきりと受け取れるものでした。
これからも、きっと、読み返す機会が訪れる本だろうなと思いました。この本ができるきっかけとなった本も、ぜひ読みたいです。
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