河合隼雄のレビュー一覧

  • 無意識の構造 改版

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    ごく短い本だが、ユング心理学という今まで考えたこともなかった世界へと思考を飛ばしてくれる。

    一般に大学などで教えられる心理学は認知心理学や社会心理学といった、データや実験に基づいた文理融合型の学問、というイメージがあるが、この本で扱われるユング心理学は全く異なる。
    そもそも深層心理や集合的無意識という概念自体が実験・観察に基づいて発見されたというよりは仮説的に観念されたものという感じだし、その裏付けとして所々に挿入される実際の患者の夢もあまりにも荒唐無稽で、こんな夢を見る人が本当にいるのか、と疑いを挟みたくなる。
    総じて今までの自分の常識や固定観念からは受け入れ難い思考法で、これは科学といえ

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    2022年12月22日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    ネタバレ

    他者理解に必要なことが河合先生のお話にたくさん詰まっていた。
    私はどこまでも待てないんだけれど、他人と物語を共有しようとすればいいのかもしれない。

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    2022年12月11日
  • 河合隼雄セレクション カウンセリングを考える (下)

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    大学生の頃、もしも心理職を目指すならと、教授の方に勧められて読んだ本。患者が自ら希望を見出すまでは敢えて何もせず粘り強く待ち、一緒に心を動かすことを主軸としていた。人に何かを教える時や何か相談された時に、どこか相手を軽視したような独りよがりな態度になってしまい、後悔してしまうことがある。相手と目線を合わせるってすごく大事なことなんだなと感じる一冊。

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    2022年12月05日
  • 大人の友情

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    [人間の生き方を豊かにしてくれるもの]表紙の絵や挿絵も好き。河合隼雄さんの書く、白州正子さんのエピソードが心をほぐしてくれました。ときどき読み返す。

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    2022年12月03日
  • 子どもの宇宙

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    20年ほど前に読んだ本の再読です。
    主に、以下の本を元に話が進行しています(詳しく調べれば、この倍の参照本がこの本の中で紹介されているはずです・・河合さんの読書量は凄すぎる)

    ベバリー・クリアリー ラモーナとお母さん
    カニグズバーグ クローディアの秘密
    ケストナー ふたりのロッテ
    バーネット(小公子が有名)秘密の花園
    キャサリン・ストー マリアンヌの夢
    王様の耳はロバの耳
    ボーマルシェ フィガロの結婚
    フィリパ・ピアス まぼろしの小さい犬
    フィリパ・ピアス トムは真夜中の庭で
    アリストン・アトリー 時の旅人
    ルイス・キャロル 不思議の国のアリス
    ミハエル・エンデ モモ
    石井桃子 ノンちゃん雲

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    2022年10月04日
  • 母性社会日本の病理

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    日本人にとっての自我の確立には、西洋的合理性だけでは事足りないことの認識。強いグレートマザー、場を重んじる、そういう傾向に自覚的であること。

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    2022年08月30日
  • 母性社会日本の病理

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    河合さんの講演集。
    中年の危機の話だけでは本にならないので、他の話を付け足して本を厚くした感じ。
    初本の中央公論社のを読みました。
    この本で働き盛りの中年の男性に「中年の危機」という概念を知ってほしいです。

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    2022年07月26日
  • はぐれイワシの打ち明け話~海の生き物たちのディープでクリエイティブな生態~

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    可愛い魚のイラスト、そしてユーモアを交えたイワシやその他の魚たちの生態系や人間との関わり。
    著者のビルフランソワ氐は、若干二十代のフランスの物理学者であり、自然保護活動家でもあるらしい。
    2019年の仏でのスピーチ大会で優勝に輝いたのが25歳の著者で、題材にしたのが「イワシの雄弁術」。そして本書の出版権利を手にしたらしい。仏で高く評価されているだけでなく、蘭、独、伊、葡、波蘭、英語に各翻訳されているとのこと。

    以下の章で構成されているけど、海の生き物たちの生態を元にした物語が、本人の回想や自然科学や歴史のエピソードと一緒に紡がれる。
    そんなに魚な好きなのね。

    いくつか面白いなと思ったこと。

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    2022年07月16日
  • 河合隼雄のカウンセリング教室

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    カウンセリングを学ぶのみならず、自分の生き方を考えなおすきっかけとなる本。
    最近、リーダーシップの分野で自己認識の重要性を良く聞く。カウンセリングについての本ではあるが、自己認識へのヒントがたくさんあった。
    講演記録ということで、分かりやすい言葉で書かれていて、読みやすかった。

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    2022年07月15日
  • 河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおして

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    実際の講義ということだが、これを実際の場でこのような形で進められるのがそもそもすごいなと思った。狭く深くではないものの浅く広くカウンセリングというものを学ぶことができる一冊。知ったかぶりにならないように他の本、専門書、自分のとの向き合いはする必要はある。

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    2022年06月02日
  • 源氏物語と日本人 紫マンダラ

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    源氏物語を河合隼雄さんの精神分析で読み解く様が気持ちよかった。
    序盤は光源氏の人物像が希薄で、狂言回し的な役割でしかなかったけど、須磨に流された後あたりから自分の意思を持ち動き始める、という解釈に思わず納得してしまった。
    紫式部自身の女性観や精神に踏み込む解釈がすごい。

    途中の引用文が古文そのまま載っていて、当然読めるよね?の雰囲気で現代文への逐語訳は載せてくれないのが不親切。でも不思議と理解できる部分もあって新鮮ではあった。

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    2022年05月25日
  • 母性社会日本の病理

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    1970年代に書かれた本らしく、文体が硬め。参考文献が多数引用された論文だった。
    日本が西洋に比べ、父性原理が弱くイニシエーションを経て大人にならない、といった論説は現代に対してもとても説得力があった。それに対して、だから日本はけしからんとか、日本は素晴らしいんだ、みたいな、両極端に振れることなく、西洋は西洋で母性原理が弱い問題もある、日本も西洋も第三の道を探る必要があると繋げていたのが良かった。

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    2022年05月05日
  • 家族関係を考える

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    一言一句理解しようとするには少し難しい部分もあるので、少し緩く読んだ
    いろいろな理論や考え方をある程度前提としている部分もありそうなので、また他の書籍をあたってから読み返すと新たな発見があるかも

    老人は存在するだけで特に何かに有効というわけではないが、存在するだけでいいのだと教えてくれる、といったようなことが書かれていて
    自分や身の回りの人が老いて何もできなくなることが少し怖くなくなった

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    2022年03月30日
  • 絵本の力

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    絵本の読み方なんて、考えたこともなかった。絵本の持つ力も。
    子どものものと思わず、読んでいこう。
    声に出して。

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    2022年03月26日
  • 村上春樹、河合隼雄に会いにいく

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    結婚して幸せになるなんて、そんな馬鹿な話があるか。結婚とは共に苦しむこと。「井戸掘り」をすること。それを、こんなに面白いことはない、という。

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    2022年03月22日
  • 決定版 快読シェイクスピア(新潮文庫)

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    河合隼雄さんに松岡和子さんの対談ときたら、面白くないはずがありません‼️
    冒頭から、伝承では16歳だったジュリエットの年齢を14歳に設定し、僅か一週間のドラマとして完結させたシェイクスピアの天才を語るお二人。その「天才」を河合さんの先導によって読み解いてゆく愉悦。

    古書店の100円均一で見つけた一冊。

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    2022年03月04日
  • 「老いる」とはどういうことか

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    本書は、1991年1月~6月まで、読売新聞の夕刊に110回にわたって連載されたものの書籍化である。だから、1つのコラムはとても短い。しかしながら、その短いコラムの中で、いや短いコラムだからこそ、河合先生の投げたボールは、びしっとど真ん中ストライクで決まっている。
    連載からもう30年も経っているのに、河合先生が指摘している「老い」をめぐる問題は、ほとんど変わっていないように思える。もちろん私自身を含めて。高齢者に対する態度や、自分自身が年齢を重ねていくことについての意識等…。折に触れて読み返していきたいと思う。

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    2022年02月20日
  • こころとお話のゆくえ

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    本書は、京都新聞に4年にわたって月に1回連載されたコラムを書籍化したものであるので、臨床心理学の専門書ではない。だから読みやすいし、扱っているテーマもさまざまなのだが、どのおはなしからも、臨床心理家としての河合先生の深い洞察を読むことができ、教えられることが多かった。言い方は悪くなってしまうが、河合先生の本にはまったく「ハズレ」がない。今回も本当に励まされた。

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    2022年02月20日
  • 子どもの宇宙

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    ネタバレ

    トリックスターという存在は河合隼雄先生の著書でよく語られているので、他の著書を読んでいると頭に入ってきやすい。
    あくまで主体は子どもで、問題解決のための場がやってくるのを大人は待つのみという部分、頭で分かっていても実行するのは難しそうである。
    また、少し考えればおかしなことも教育者が口にすればまかり通るという恐ろしさについて言及されているが、納得できる。教師は勉強を教える能力だけでない知恵を備えている必要があると感じた。そして、教師の人手不足が問題視される今日において、そのような先生はとても少ないのだろうと思った。
    子どもの尊さについて学べる本。

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    2022年02月18日
  • 父親の力 母親の力 「イエ」を出て「家」に帰る

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    ネタバレ

    昔の日本では 絆は「ほだし」と読んで、自由を拘束するという意味で使われていた。今は家族の絆が薄くなったので逆にプラスの意味で使われるようになった。
    また、鎖としての絆があるから自立ができる
    という部分が印象的でした。

    子供をコントロールしようとしたり、家族の問題に画一的な原因を求めることに必死になるのではなく、対話がもっとも大切だと実感できました。

    話を聞いてもらってる気分になります。

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    2022年02月13日