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「心にしみこむ話がたくさん載っています。読まなきゃ損です」養老孟司氏、推薦! 人間関係について、悲しみについて、成功について、人生について――。本書では、臨床心理学の第一人者による、幸せに生きるための60のヒントを紹介。ちょっと見方を変えることによって、幸福が身近になることを説いた、生き方エッセイ。幸せについての珠玉のエピソードが満載の1冊です。 (主な内容)●「なぜ、私だけが不幸なのか」という問いは、個性発見への切り口を提供している。神から与えられた不平等と、人間の平等への努力がぶち当たって、散った火花のなかに、その人だけと言える個性が輝くのではないだろうか。 ●幸福の絶頂にあるようなときでも、それに対して深い悲しみ、という支えがなかったら、それは浅薄なものになってしまう。etc. 「深く考えはじめると難しくなるが、ちょっと眼鏡をかけ変えることによって、異なるものが見えるように、少し見方を変えることによって、幸福が身近になる、ということがありそうである」(本書「はじめに」より抜粋)
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幸福についての河合隼雄さんの考え方が、
色んな切り口で書かれていた。
語り口が断定的でないからか、
こちらに考える余地を残してくれているようで
すんなりと言葉が入ってきた。
幸福を第一と考えて努力するのは、
あまりよくないようである。
結果的に幸福になるのはいいとしても、
はじめから幸福を狙うと、
かえって的がはずれるようなところがある。
要は、かけがえのない自分の人生を、いかに精一杯
生きたかが問題で、それが幸福かどうかは二の次。
「フルートで習うことと、心理療法に通じるものとして
一度にひとつの音しか出せない、
人間の口はひとつしかない、でも、同じメロディ(言葉)
の下にはいろいろな和音が隠れている。
言われていない、音のない音に耳を傾ける態度が、
他人を深く理解するのに必要であると思われる。」
自分の体験ごとに、深く考えるからこそ
こういったつながりが発見できるんだなあ、と思う。
他にも、「満ち足りる」とはどういうことか、
人間にとって「儀式」とはどんな意味があるか、
人間は「自立できない」など、どれも面白い。
生涯学習の項では、最後に
「生涯学習の実験は必ずしも幸福につながるとは
限らない。成功も失敗もある。しかしそれを
繰り返しつつ生きるのが人生ではなかろうか。
幸福というのはそれにつきまとっている一種の副産物
と考えておくほうがいいだろう」
とある。やっぱり、幸福のために、というよりは
学ぶことそのものを、ただ夢中でしていると
自然と良い方向に流れていくんだろうな、と感じた。
色んなことを勉強することそのものを
楽しんで生きていきたいな、と思う。
Posted by ブクログ
「幸福ということが、どれほど素晴らしく、あるいは輝かしく見えるとしてもそれが深い悲しみによって支えられていない限り、うわついたものでしかない、ということを強調したい。恐らく大切なのはそんな悲しみの方なのであろう。」
生あるものは必ず滅し、形あるものは必ず壊れる。望んだものが手に入ったという幸福は、どんな形であれいつか必ず終わりがあることを内包している。あるいは、自分がその幸福を授かった裏には、その恩恵を受けられなかったたくさんの人がいるのかもしれない。
そうしたことを意識したうえでの幸福は、なんと重みを増す事であろうか。手放しで喜ぶ方が、爽快に違いない。しかし、そうすると幸福にしか目のいかない幸福のみ追い求める人生となるのだろう。
「成功したり失敗したりを繰り返しつつ生きるのが人生ではなかろうか。幸福というのはそれにつきまとっている一種の副産物と考えておく方がいいだろう。」
皆が幸福を追い求めながらも閉塞感が漂う昨今の現状は、幸せのロールモデルが不在だからと思っていた。これさえクリアすれば幸福になれますという図式が見えないからだと。だが、そうではなかった。幸せを求めすぎるがために、幸せから遠ざかっていたのかもしれない。幸せが人生のおまけだったとは。
追い求めるべきは幸福ではなく、ひたむきに生きることなのではないかと思ったのだった。
Posted by ブクログ
河合隼雄先生が亡くなって16年が経つ。かつて講義を受けたことがあり、懐かしくもあったので手に取った。
30年近く前にかかれたせいか、はじめは古さを感じた。けれども、後半、「共鳴するからたましい」あたりから、だんだんとピッタリくるように感じる。ひとつに賭ける、昇りつめた幸福、生きにくい子、二人の女性、ゆとりのある見とおし、音のない音。
あとがきはご子息である河合俊雄さん。同じく心理臨床家であるので、これ以上の適任はいないということかと思う。しかし、自分の父親を推す息子はそうそういないのではあるまいか。外の顔と家族から見る顔は、違うものだから。それだけに、稀有な存在だったということかもしれない。あるいは、殉職の弔いの意味が今もあるのだろうか。
その日の講義も受講者でいっぱいだった、しかし開始時間をいくら過ぎても先生は現れない。ざわめきが広がるが、特に帰る人はいない。皆、待っているのだ。講義時間を半ば過ぎただろうか、助手がやってきて、「河合先生は来られないので、これを読んで下さい」とA3一枚のプリントを配付する。受講者はそのプリントを手に退席し始める。ビルの玄関あたりに私も出たところで、階上から河合先生がさっと降りてきて、横を抜けていく。女子学生が「ああ!」と言うと、河合先生はニンマリと振り返り、去って行った。事情があったのだろう。憎めない人だった。プリントの文章が何だったか忘れてしまったが、先生が講義を放ったこの日のことを思い出す。
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