【感想・ネタバレ】河合隼雄の幸福論のレビュー

あらすじ

「心にしみこむ話がたくさん載っています。読まなきゃ損です」養老孟司氏、推薦! 人間関係について、悲しみについて、成功について、人生について――。本書では、臨床心理学の第一人者による、幸せに生きるための60のヒントを紹介。ちょっと見方を変えることによって、幸福が身近になることを説いた、生き方エッセイ。幸せについての珠玉のエピソードが満載の1冊です。 (主な内容)●「なぜ、私だけが不幸なのか」という問いは、個性発見への切り口を提供している。神から与えられた不平等と、人間の平等への努力がぶち当たって、散った火花のなかに、その人だけと言える個性が輝くのではないだろうか。 ●幸福の絶頂にあるようなときでも、それに対して深い悲しみ、という支えがなかったら、それは浅薄なものになってしまう。etc. 「深く考えはじめると難しくなるが、ちょっと眼鏡をかけ変えることによって、異なるものが見えるように、少し見方を変えることによって、幸福が身近になる、ということがありそうである」(本書「はじめに」より抜粋)

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Posted by ブクログ

今回初めて河合先生が以前は高校の数学の先生をなさっていたことを知り驚いた。理系と全く正反対に思える心理学も極めるとは素晴らしい。
語り口が優しく元気のない時にも読める。
『幸福がどれほど素晴らしく輝かしく見えても、それが深い悲しみに支えられていない限り浮ついたものでしかない』
悲しみを知っていることは幸福を味わうために必要なものなのか!
何度読んでも、その時々に感じ方が違う。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

著者の愛情深い生き方が端々に感じられて、とても素直に読めた本でした。
河合隼雄さんという方は、心理療法の「権威」でありながら、読んでいて威張るところがいっさい感じられない、まさに、かざらないで生きておられた、僕からすれば、最高に素敵で格好いい人でした。
そして、ご自身も含めた多くの生き方・感じ方を紹介することによって、「幸福論」をつむぐところに、河合隼雄さんらしさが滲み出ていると思いました。
涙するところが多くありましたし、私自身もある種の理想や確信、希望を授かりました。
特に、最後のエピソードは、非常に感動的なものでありました。

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2024年06月29日

Posted by ブクログ

「幸福ということが、どれほど素晴らしく、あるいは輝かしく見えるとしてもそれが深い悲しみによって支えられていない限り、うわついたものでしかない、ということを強調したい。恐らく大切なのはそんな悲しみの方なのであろう。」
生あるものは必ず滅し、形あるものは必ず壊れる。望んだものが手に入ったという幸福は、どんな形であれいつか必ず終わりがあることを内包している。あるいは、自分がその幸福を授かった裏には、その恩恵を受けられなかったたくさんの人がいるのかもしれない。
そうしたことを意識したうえでの幸福は、なんと重みを増す事であろうか。手放しで喜ぶ方が、爽快に違いない。しかし、そうすると幸福にしか目のいかない幸福のみ追い求める人生となるのだろう。
「成功したり失敗したりを繰り返しつつ生きるのが人生ではなかろうか。幸福というのはそれにつきまとっている一種の副産物と考えておく方がいいだろう。」
皆が幸福を追い求めながらも閉塞感が漂う昨今の現状は、幸せのロールモデルが不在だからと思っていた。これさえクリアすれば幸福になれますという図式が見えないからだと。だが、そうではなかった。幸せを求めすぎるがために、幸せから遠ざかっていたのかもしれない。幸せが人生のおまけだったとは。
追い求めるべきは幸福ではなく、ひたむきに生きることなのではないかと思ったのだった。

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2025年06月02日

Posted by ブクログ

臨床心理学の視点からの幸福論。
体系的な内容ではないがゆえに、誰にでも刺さる部分があるのではないだろうか。
簡単な事ではないが「自分自身にとって幸福と感じられるかどうかが問題」という言葉を受け入れて行動してみたい。

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2023年07月16日

Posted by ブクログ

河合隼雄先生が亡くなって16年が経つ。かつて講義を受けたことがあり、懐かしくもあったので手に取った。

30年近く前にかかれたせいか、はじめは古さを感じた。けれども、後半、「共鳴するからたましい」あたりから、だんだんとピッタリくるように感じる。ひとつに賭ける、昇りつめた幸福、生きにくい子、二人の女性、ゆとりのある見とおし、音のない音。

あとがきはご子息である河合俊雄さん。同じく心理臨床家であるので、これ以上の適任はいないということかと思う。しかし、自分の父親を推す息子はそうそういないのではあるまいか。外の顔と家族から見る顔は、違うものだから。それだけに、稀有な存在だったということかもしれない。あるいは、殉職の弔いの意味が今もあるのだろうか。

その日の講義も受講者でいっぱいだった、しかし開始時間をいくら過ぎても先生は現れない。ざわめきが広がるが、特に帰る人はいない。皆、待っているのだ。講義時間を半ば過ぎただろうか、助手がやってきて、「河合先生は来られないので、これを読んで下さい」とA3一枚のプリントを配付する。受講者はそのプリントを手に退席し始める。ビルの玄関あたりに私も出たところで、階上から河合先生がさっと降りてきて、横を抜けていく。女子学生が「ああ!」と言うと、河合先生はニンマリと振り返り、去って行った。事情があったのだろう。憎めない人だった。プリントの文章が何だったか忘れてしまったが、先生が講義を放ったこの日のことを思い出す。

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2023年07月16日

Posted by ブクログ

幸福は手に入れるものではなく気づくものだ――心理学者・河合隼雄はそう語る。物や地位を追い求めても心が満たされるとは限らない。むしろ小さな喜びや人とのつながりの中にこそ本当の幸福は潜んでいるという。だが現代人は忙しさに追われその存在に気づく余裕を失いがちだ。河合は「不完全さ」や「揺らぎ」を受け入れる心こそ幸せの土壌だと説く。完璧を求めず今ここにある日常を味わうこと。それが静かな充足へとつながる。

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

昔から河合隼雄が好きで久しぶりに手に取ってみた。
何かを掘り下げる内容ではなくエッセイ本。
現代人は物質面で豊かになった一方で、精神的にはどうなのかという問いかけに対する答えが全体として書かれている。
プレゼントで嬉しいのは、金額ではなくどこまで心を使ったか。
子育てで大切なのはどれだけお金をかけたかでも、どれだけ時間をかけたかでもない。
どれだけ心を使ったかが一番大事。

人生において地位、名誉、お金、自己実現、いろいろあるが、心を使える人間関係を作ることが人生を豊かにする事かもしれない。

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2024年01月19日

Posted by ブクログ

豊かさとは、幸福とは、お金や地位ではない、という書はよくあるが、本書では、これまでの経験で教育的見地から子どもたちの成長を扱った話題が多い。多忙の中でも講演、ディスカッション、読書量とこなすパワーと積極性がすばらしい。2023.11.19

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2023年11月22日

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