河合隼雄のレビュー一覧

  • こころの処方箋

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    私にとって河合隼雄の最初の1冊です。
    これで河合隼雄に興味が深まり他の著書も読むようになりました。
    平易な文章で読みやすい。心理学について素人の私にはちょうどよかった。

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    2025年11月29日
  • 子どもの宇宙

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    「子どもの宇宙」という題にふさわしい。
    誰しも子どもの頃に宇宙を持っていた、その宇宙は果てしなく広く、大人は何もわからないし、分かろうとしてくれただろうか。

    「大人になるということは、子どもたちのもつこのような素晴らしい宇宙の存在を、少しずつ忘れ去ってゆく過程なのかとさえ思う。」1

    子どもに接する機会のある方(いわゆるすべての方なのだが)にぜひ一読していただきたい。ふとした言葉や行動を何気なく子どもたちは見ている。それら行動の一つ一つが子どもの宇宙にどのように影響するのかはわからない。分かろうとすることはできるが、それが正解かもわからない。
    詰め込み教育といわれ、数字のみで評価したりされた

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    2025年10月29日
  • こころの処方箋

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    「努力によってものごとは解決しない、とよくわかっているのだけど、私には努力ぐらいしかすることがないので、やらせて頂いている」
    とか、
    「自立ということは、依存を排除することではなく、必要な依存を受け入れ、自分がどれほど依存しているかを自覚し、感謝していることではなかろうか。依存を排して自立を急ぐ人は、自立ではなく孤立になってしまう」
    とか。
    肩の力がふっと抜けるような言葉がたくさん。

    でも、きっと忘れてしまうから、本棚に置いてまた思い出したら読みたいです。
    河合隼雄さんの本は初めて読んだのですが、この本はエッセイでわかりやすく、サラッと読めました!

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    2025年10月27日
  • 源氏物語と日本人 紫マンダラ

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     中学生の頃初めて読んだ源氏物語(と言っても漫画)は、光源氏の節操のなさや不誠実さばかりに腹が立ち、途中で挫折してしまいました。大人になった今、源氏物語は光源氏を主人公とした物語ではなく、それを取り巻く女性たちの生き方についての物語だったのだなあと思えるようになり、面白く読めるようになりました。
     女性(だけに関わらず男性も)の生き方が多様化し、どう生きるかへの答えをそれぞれ個人で見つけ出さなくてはならない現代において、異性との関係や一般的な価値観だけによって、自分の幸せや生き方を定めていってもよいのか、それとも自分だけの生き方(物語)を模索し続けるのか・・・重い課題です。
     河合隼雄氏ならで

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    2025年10月20日
  • 影の現象学

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    河合隼雄 [著]. -- 講談社, 1987. -- (講談社学術文庫 ; [811])

    目次
    第1章 影(影のイメージ、ユングの「影」概念、影の種々相)
    第2章 影の病い(二重身、二重人格、夢の中の二重身)
    第3章 影の世界(暗黒、不可視の影、地下の世界)
    第4章 影の逆説(道化、トリックスター、ストレンジャー)
    第5章 影との対決(自我と影、影との対話、影と創造性)
    -感想-
    読み終わって、あまり感想を書く時間も無いのだけれど、やはりぼーっとしている。自己実現とは、自分の自我に無意識を少しずつ統合していくこと。本当の自己を実現(現実に顕在させる)という意味で、「自己実現」というっぽい。今

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    2025年10月05日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    敬愛する御二方の対談は、読めども読めども、自分自身の未熟さばかりを思い知らされるものだった。どのように生きれば、人とこのような対話を交わせるようになるのか。。。10年後の自分よ、その片鱗でも分かるようになっていて欲しい...!

    とりわけ小川洋子先生のあとがきからは、小川先生のお人柄が文章からこれでもかと伝わり、随所でうっとりとしてしまう。
    内容もさることながら、まるで水面にしとしとと降る静かな雨のように、優しく、美しく、やわらかな日本語が、体に染み渡っていく。

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    2025年09月29日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    『小川洋子のつくり方』の中の全作品紹介を読んで興味を持った一冊。
    大学で心理学を専攻した身として、河合隼雄はもちろん知っていたけれども、なぜかどうしても著書を読む気持ちにならず、当時周りがみんな読んでいたのに、何となく話を合わせて読まなかったわたし。
    今この本に出会えて良かった。

    ''人間は矛盾しているから生きている、整合性のあるものは生き物ではなく機械です''
    矛盾を意識し、折り合いをつける。その折り合いの付け方が個性であり、物語だ、と。2人がそこで共感していて、共感し合えることが素晴らしいと思った。

    その物語を小説にして見せてくれる小川洋子さんの

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    2025年09月15日
  • 河合隼雄の幸福論

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    目次
    幸福とは何か
    モモの笑顔
    兄弟
    子育て
    何を伝えるのか
    感謝の言葉
    常識
    人生の後半
    幸福の効率計算
    儀式〔ほか〕

    読み終わって、毎回のように読後感に浸りながら、ボーッとしている。どうやら、河合隼雄さんの書かれた新聞の掲載記事『幸せ眼鏡』59つのエッセイを纏めた本であった。短いエッセイが沢山あり、内容も繋がっているものがあれば個別のものもあり、今の自分が気になっている部分だけ読めるような、使い易い本な感じがする。なので、本書が独立したエッセイ纏めであるがゆえ、少し一気に読み進めるには向いてなかった感じがした。しかし、そのエッセイのひとつひとつに、やはり河合さんの感受性の豊かさとか、想像

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    2025年08月30日
  • こころの天気図[新装版] 「自分」を知る146のヒント

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    ネタバレ

    【なぜ】友人紹介本
    【ここだけ】
    秘密や嘘をついて自分を磨いていく。秘密を持ちながら成長するを真珠と例えるか、素晴らしい。

    【感想】
    これはすごい沁みる本。
    河合隼雄さんに初めて出会ったがこれから著者買いが始まりそう。

    【メモ】
    p24 問題を問い続ける。ネガティブケイパビリティか
    p24 「私はこうしました」と言えるやり方が大事だが、つい「正しい」のはどれかと探そうとしてしまうから「私」がなくなってしまう。
    p34 5分のカメラ故障で運命が変わった。それまでの人生はその5分のために積み上げられてきたもの。だから5分が輝いた。…ポジティブシンカー
    p71 母は土のようなもの…いい例え
    p7

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    2025年08月17日
  • こころの処方箋

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    #こころの処方箋
    #河合隼雄
    #新潮文庫
    #読書記録

    忙しくて落ち着いて読書する時間がなかったので、
    たっぷり読書する盆休み。
    時代がすごいスピードで進んでいて、
    その進歩に乗っかるのも大事なんだけれど
    やっぱり本当に大事なことは変わらずそこにある。
    そのことを思い出させてくれる一冊。
    目次を眺めるだけでもホッとする、家におきたい本でした。
    最近よく見る、
    こうやったらこうなりますよ、という本でないのがいい。
    のんびりゆっくり分からないことにも
    向き合っていけばいいのだなあ。
    谷川俊太郎さんのあとがきも最高でした。

    #PrescriptionForTheHeart
    #HayaoKawai

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    2025年08月13日
  • 猫だましい

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    ユング派の心理療法や心理分析では、イメージを大切にするので、ここで河合隼雄先生は、猫のイメージが表す、人間の中の力動をさまざまな角度から詳らかにしています。また、ユング派では物語も重要視されます。そのため日本昔話や宮沢賢治から、ポール・ギャリコ、ル・グウィンまで、古今東西の猫のお話が紹介されます。

    端的ながらも、目に浮かぶような的を得た表現でイメージを説明され、もちろんながら洋の東西を問わず知識が深く、知的で、分かりやすく、それでいて子どものような感じやすい目で、無意識の言葉のない世界も見渡し、感じ、またそれを私たちに伝えるために言葉にされる。

    言葉とイメージ、意識と無意識、右脳と左脳を行

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    2025年08月12日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    「生きるとは、自分の物語をつくること」
    物語は、既にそこにある。
    なんか、分かりそうな言葉だなと、最近感じる。自分の視野で見えているものは一時的で、その瞬間瞬間に過ぎないけれど、人が生きてるだけで、それは全く瞬間的でない。そこには間違いなく過去があって、歴史があって、今までとの繋がりがあって、多様な偶然が折り合った果てに、今の自分がここにいる。
    何となく毎日を生きてると、すぐに忘れてしまうし、今この感想を書いている間も、自分が「そういった意味」で現実を見れているかと問われると、見たいように認知している部分があるし、確かとは言えないよなと感じる。
    近代化学の発展から、合理的で効率的であること

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    2025年08月12日
  • こころの処方箋

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    ショートショートになっていて読みやすい。
    示唆に富みすぎておぼえられないのでスマホのメモを片手に読む。誰が買った本なのか不明だが、家の本棚を眺めてみたらあったので読み始めた。

    以下ネタバレ。








    この子は不良だとか、それは母親の愛情不足が原因だとか、このような決めつけや固定観念を捨てて対応すると本質が見えてくる。

    ふたつよいことさてないものよ。吉と凶は相殺されるということか。

    イライラするのは自分に都合の悪いことが心に引っかかってるから。

    急がば回れ。

    自己を殺しきれずに生殺しになった自己が溜まりすぎると時として大反逆を犯して周りに迷惑をかける。

    100点を狙うべきとこ

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    2025年07月02日
  • 村上春樹、河合隼雄に会いにいく

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    暴力、そして『ねじまき鳥クロニクル』の副読本
     ユングとか河合隼雄とかの怪しさはいったん脇に置いておきます。
     村上春樹の無意識的・形而上的な創作技法が多少なりともつまびらかにされてをり、それは氏には珍しく赤裸々に開陳されたものだと思ふのです。
     特にこの対談のメインとなってくるのは、暴力についてです。それは氏が『ねじまき鳥クロニクル』を書き終へたばかりといふのもあるし、それが氏にとって体から出てきた(頭で考へただけではない)物語だからです。
     同じく暴力を扱った作家として、村上龍と大江健三郎の名前もすこしだけ出てきます。

     河合隼雄の心療経験の話が面白く、それがうまく村上春樹と噛み合ってゐ

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    2025年06月08日
  • 大人の友情

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    ネタバレ

    "人間は死ぬことだけは確実である。このことが、どれほどしっかりと自覚できているかが大切である。互いに死すべき者と感じるとき、善悪とか貧富とか長短とか、この世のいろいろな評価を超えて、束の間のこの世の生を共にしている者に対する、やさしさが生まれてくる。"

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    2025年06月01日
  • 子どもの本の森へ

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    長田弘さん(詩人、児童文学作家)、河合隼雄さん(臨床心理学者)の児童文学作品をテーマにした対談集。

    長田さんの詩情豊かな言葉、河合さんの心理学者の立場からの発言は、どちらも示唆に富むもので、相乗効果が生まれていました。

    次から次へと出てくる作品の数々に、胸が踊りました。敬愛するお二人のお話に引き込まれ、読みたいと思っていた児童文学作品を、いつまでもツンドク状態にしていてはダメだと強く思いました。未読の本のうち、どれから読もうか迷ってしまいます。

    【印象に残った言葉】
    ・永遠より長い一瞬の世界が絵本の世界(長田)
    ・絵本の世界というのは記憶のリサイクルによってできていて、おんなじ絵本がずっ

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    2025年05月24日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    対談の柔らかくあたたかい雰囲気が良い。
    カウンセリングと物語の話もとても興味深いが、個人的には、河合隼雄さんの著書や対談を通して小川洋子さんが「なぜ小説を書くのか」という、若い頃には答えるのが苦痛だった問いに対して、「誰もが物語を作っているのだ」という気づきを得て答えを見つけていった、というあとがきの文章がとても素敵だった。

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    2025年05月22日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    タイトルに惹かれて。金言だらけだった。人間はつらいときにその人なりの物語として落とし込んでいる。「個」は自分の知ってる範囲内。人間は矛盾しているから生きている。

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    2025年05月17日
  • 河合隼雄の幸福論

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    今回初めて河合先生が以前は高校の数学の先生をなさっていたことを知り驚いた。理系と全く正反対に思える心理学も極めるとは素晴らしい。
    語り口が優しく元気のない時にも読める。
    『幸福がどれほど素晴らしく輝かしく見えても、それが深い悲しみに支えられていない限り浮ついたものでしかない』
    悲しみを知っていることは幸福を味わうために必要なものなのか!
    何度読んでも、その時々に感じ方が違う。

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    2025年05月06日
  • 大人の友情

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    古い友人と、結局いつも同じ昔話ばかりして生産性がないねえとゲラゲラ笑うことがあった。
    著者はそれを「お互いに共有するものを確かめ合いながら、その存在を認め合うものである」と書く。また、未来の話はそれに基づく評価が入り、非力だと仲間から外される可能性が出てくると。
    専門家はこんな事象も述べられるのかと惹き込まれる。
    簡単な文書なのに、じっくり考えてしまう内容だった。なぜこんなに文章が柔らかいのに胡散臭くないのか。流石の河合隼雄だと思う本だった。

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    2025年04月23日