あらすじ
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こんなとき、どうしたらいいのか?カウンセリングにおけるさまざまな問題に、河合隼雄が答える。
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Posted by ブクログ
河合先生による質問会?の内容を書籍化したもの。
参加してみてこうでしたみたいな形式ではなく、実際に河合先生と何人かの相談者の方が喋っている内容を文字起こししたような形式。
これがとても良くて、実際のリアルなやり取りだとか息遣いみたいなところも容易に想像できる。だからとても面白くて会場に居るかのような感覚で読めた。
ここまでではないものの、1on1で相談を受ける立場でもあったりするので特に河合先生の聞き方であったりポジションの置き方みたいな部分はとても参考になった。
何度か読み返したくなる本の1つ。
Posted by ブクログ
カウンセリングは、とにかく、聴くこと、という原則を、具体例で肉付けしてます。言葉に表し難い感覚的なことを、高い表現力で述べられています。実用的であり、かつ、読み物として面白いです。
Posted by ブクログ
まさに入門としてオススメの本だけど、実際にカウンセリングをするとなると、ここに書かれていること以上に投影の問題など知っておかなければいけないことはたくさんあると思う。
読んでいて、カウンセリングにおいて何が大切かを色々と考えることができたので得たものは大きかった。
読みながら感じたことのメモ
○ カウンセリングは、問題と感じている外の世界を必死に整えるためにやるというより、その人の内なる想いや願いを一緒に見つめる作業なのだと思った。クライエント自身が自分の純粋なものを内側に発見できたとき、少しずつ自立のプロセスを歩みながら、自分の力でどうにかしたいと心から思えるのだと思う。逆に、表面的に物事を解決することばかりに執着して、問題を恐れるばかりだと何も見えてこないのだと思った。
○ カウンセリングで目指すのは問題を無くすことというより、問題と向き合う心を育むことなのだと思う。不安な感情をなくしたり、感じなくすることが大切なのではなく、そこから何かの気づきを得て前に進めるようにすることが大切。
○ カウンセリングは、相手の言葉をちゃんと聴き、相手が自分自身の真実と向き合うことで自然と立ち上がってくる生きる強さを見ることのできる、カウンセラーにとっても素晴らしい体験でもある。カウンセラーが自分の方が力を持って導かなければいけないと思ってしまうと、相手のそうした強さを引き出せなかったり、あるいは依存的な関係をつくることにも繋がっていくのだと思った。何より「聴く」ことが大切であり、受容的な態度で聴くことがもたらすもの、安心安全な繋がりに人は癒されるのではないかと思った。
○ カウンセリングは、カウンセラーがどのように自分の人生と向き合っているかが滲み出るものだと思った。無論、悩みがあったとしても社会に上手く足並みを揃えることができていることが大切だと考えている人と、悩んでモヤモヤしてて、周りから見るとただ停滞しているだけに見えたとしても、自分の人生と真正面から向き合うことこそ大切だと感じている人とでは、クライエントに与える影響が大きく変わるのだと思った。
Posted by ブクログ
カウンセラーの入り口に立った人、一歩足を踏み入れた人にとって、大変に役に立つ本です。カウンセリングの原点を深く理解できると思います。聴くことの意義、カウンセリングの限界、なによりも相談援助におけるカウンセリングの占める位置や他職種との違いなど「実技指導」を通して丁寧にお話しされています。40年以上も前の言葉とは思えません。逆に40年、カウンセリングが普及していなかった時期に、その基礎を河合氏が固められていたことに驚きと敬意を抱くものです。線を引きまくった一書となりました。
Posted by ブクログ
カウンセラーがクライエントの話しを聴くとはどういうことなのか。この本を読むまで自分の認識が甘かったことを痛感した。「傾聴」の真髄に触れられた気がする。特に著者の「一番最後に諦めるのがカウンセラー」の言葉には、深く考えさせられた。カウンセラーを目指す人必読の一冊ではないか。
Posted by ブクログ
実際の講義ということだが、これを実際の場でこのような形で進められるのがそもそもすごいなと思った。狭く深くではないものの浅く広くカウンセリングというものを学ぶことができる一冊。知ったかぶりにならないように他の本、専門書、自分のとの向き合いはする必要はある。
Posted by ブクログ
話の聞き方についてちょっと勉強してみようかと思い購入。
昭和40年ごろに行われたカウンセリング講座をそのまま文字起こししたようだ。
言葉遣いや価値観が今と異なっていて、読むのが辛いこともあるが、おおむね頷きながら読める内容だった。
相手の話をとことんまで聞く。
相手の気持ちについていく。
クライアントが思うままに話をすることで気持ちに整理をつけ、解決策を自分で見出す、
ということがカウンセリングの極意のようだ。
「どんなに辛くても立ち上がる人の強さを信じているから、これまでカウンセリングを続けられている」というお話には胸を打たれた。
不登校の学生が学校へ復帰することが長い目で見た時にプラスになるのか分からない、というようなことを言っていたのは50年前の発言にも関わらず実に現代的だった。
こういう時代を越えた目を持っているのが河合隼雄さんが支持されている所以なんだろうな。
しかし話の流れで「精神疾患の遺伝がある人とは結婚しない方がよい」という言葉が当然の認識として出てきたのはショッキングだった。
精神疾患は遺伝なのか?結婚しても子供を生まなければよいだけでは?とかなり納得がいかず読むのを中断してしまった。
しかし50年前の話だからな…と思い直した。
世間の倫理観は50年でここまでアップグレードされることは希望でもある。
ーーーー
「(なぜ人は人を慰めるのか?)決着がついてこっちが悩まなくていいからです。親切な人が悲しい人を慰めているように見えるんですけど、よく考えると、本当は自分も悩むのが辛いから逃げ出したのと同じことですね。」
「もっと正面からこうだと(相手の)欠点を見る態度、それがカウンセリングだと思います。」
「人間なんて、だれだってたくさん欠点がある。けれども、欠点がいくらあったって、それは人間の尊厳ということには関係がないんです。(中略)人間的意味があるかないかということには関係がないのです。」
「本当に欲しくないときは「欲しくない」で終わります。ところが欲しくてかなわないときには、「そんな物くれなくてもいい」とか、「欲しくない」とかわざわざ大きな声で言わないといけない。」
「話をする方は非常に微妙な気持ちです。それほどのつらい話をいままでだれも聞いてくれたことがなかったので、この先生が聴いてくれるという嬉しさと、だれにも言ったことのないことを言わねばならないという辛さと、この二つがあるんです。」
Posted by ブクログ
約四十数年前に河合隼雄先生が行ったカウンセリング入門講座の参加者とのやりとりをテープ起こしした的なもの。
抽象的な説明が多いけど、時々深い部分に刺さる内容だなあと感じた。
当時先生は四十歳前後。すごい…。
・自分一人だけで考えているのと、生きた人間が真剣に相手になって聴いてくれて、真剣に質問されながら一緒にやるのとでは天と地ほどの差がある。
・相手にとっていちばん役に立つことをカウンセラーが本気で思っているかどうか。説教でも殴っても、要はそれがどれほど役に立ったかということ。
・自分の気持ちに敏感、忠実でないと駄目
Posted by ブクログ
セラピストとして名高い、故・河合隼雄さんの、
40歳前のころの講座を4つ収録したものです。
カウンセリングの基礎の基礎である、
その立場や姿勢について述べている。
しかしながら、
カウンセリングの技術的なことに終始しているわけではなくて、
一般の人として、他者と向かいあうためだったり、
自分自身を知るためだったりすることに役立つ考えや
知識がたくさんでてきます。
たとえば、
頑張れない人に対して、そのひとのなかに怠け心をみるよりも、
まず劣等感が強いのではないかと見るべきじゃないか、というような考えもそう。
また、
早期解決をまず考えるというのがセオリーかもしれないけれど、
早期解決が本当の解決になるとは限らない。
早期解決にこだわらずに、その問題(こういう場合の多くは人間の心理の問題)が
本当に必要とする解決策を見つけるべきなんだろうと思う。
早期解決で解決したようにみえても、
それはうわべだけの解決だったり、
いっときの対症療法だったりする。
そうすると、そのうちぶりかえしたりこじらせたりするんだと思う。
問題と真正面から向き合って、
自分から克服していける方法がもっとも好ましいんじゃないだろうか。
と思うようになる箇所もでてきたりなどして、
考えながら読んでしまう。
自分で自分の気持ちをごまかすことによって、
それから自分のこころを起点としたヘンなことが起こってくる、
というカウンセラーならではのこころの見方もありました。
と、いうように、少し内容の欠片をならべただけでも
いろいろと興味をひかれるのではないかと思うのです。
そして、最後になりますが、
カウンセリングの目的としてのその本質が書かれていたので、
紹介しましょう。
___________________
人間というのは、相当な悪環境に放りこまれて、
相当な悩みがあり、相当に嫌なことがあっても、
自分で立ち上がってくる、そういう力を持っているということですね。
___________________
これは、カウンセラーが立ち会って、
話を聞いてあげることによって、
クライエントが自分の力で立ち上がってくると言っているんです。
なかなか一人だけで考えて、難しい境遇から脱することはできなかったりする。
その手伝いをカウンセラーはするのだ、と言っている。
これを聞いて、ぼくはこう思ったんだけれど、
たとえばSNSの言葉でも、誰かの名言でも、
誰かの本でもいいですけど、そういうのに触れて、
「あっ」と共感したり発見したり、
気づかされたりすることってあるでしょう?
それも一種の、カウンセリングによって自分が立ち上がることにつながるものと
同じような意味合いを秘めているんじゃないだろうか。
そういう言葉によって、癒されたり励みになったりする。
まあ、でも、これはあくまでぼくの私見です。
ぼくは河合隼雄さんの本を昔から何冊か読んでいますが、
この本こそ、その考え方や知識の土台となる本であると感じました。
この『カウンセリング入門』からはじめて、
人間の理解を深めていくのもおもしろいと思いますよ。
Posted by ブクログ
これもかなり前に読んだ。 河合隼雄さんはユング派、私はアドラーの流派に近いところで学んでいるが、卓越したセラピストは、流派を超えた共通点があるんだと感じた。
Posted by ブクログ
この本を読むと、カウンセラーという職がいかに難しく、いかに出口がなく、いかに報われないか……本当に、河合さんの言うように「物好きでないと」続かない仕事だとつくづく思わされる。どこまでいっても陰の存在であり、治る時には自然とクライアントは来なくなる。来なくなったときが治った時。この世の中で最も難しい職業のうちの一つだと思わされる。そして、「聴く」ということの重要さを思い知らされる。人はこんなにも聴いてもらうことで救われるのか。あるいはそうかもしれない。すごい、、
Posted by ブクログ
河合隼雄が実際に開いたカウンセリング講座を書籍化したものがこの本書であるが、その講座というのは昭和40-43年のこと、つまり今から40年以上前である。しかしながら出版されたのは今から10年ほど前。去年にも増刷がかかっているようである。
ここまで長い間多くの人に支持される理由は何であろうか。それはカウンセラーとして働く方々と河合隼雄とのやり取り、交わされる質問、それに対する回答やロールプレイなどを目の当たりにできるからではないだろうか。息づいている、とでも言い換えられるだろう。現場の実際を垣間見れるという点では、タイトルに「入門」と謳われている割に「応用」でもある。
内容はというと、クライエントの話をひたすら聞くという姿勢が強調されておりまた非指示的でいることの重要性も書かれている。(これは河合隼雄のほかの著書でも同様)カウンセリングの方法論などは学派によって分かれるようではあろうが、あまりここに書かれていることに固執する必要はないだろう。むしろ重要視されるげき実証性を軽んじるような姿勢も見受けられる。時代が流れているので、そのまま受け入れられないことは当然ということだろう。
ただ、もちろんその一言一言には含蓄があるし胸を打つ言葉もある。一部引用したい。
「人間というものは相当な悪環境にほうりこまれても相当にいやなことがあっても自分で立ち上がってくる そういう力をもっているということですね。それを確信してるからこそカウンセリングをやるわけです。」
一言で表すなら「エンパワーメント」だろう。だがその一言では零れ落ちてしまう大切なことが含まれている。つらいときには、この言葉を思い出したい。
Posted by ブクログ
だから、聴く・聴く・聴くんですね。
ただ、聴くということはとても怖い。河合さんも本の中で言われていますが、聴いて一緒に心の奥へ降りていけば怖くなる。自分も悩みだす。その自分の悩みに耐え切れなくなって、「大丈夫!なんとかなるさ」という言葉で話を終わらせることもでてくる。
その耐え切れなくなったところが、セラピストのその時点の限界なんだろうな。
クライアントが降りていけるところまで、一緒に降りてゆく。その怖さも知ったうえで、「自分で立ち上がってくる力を信じて」