【感想・ネタバレ】河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおしてのレビュー

あらすじ

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こんなとき、どうしたらいいのか?カウンセリングにおけるさまざまな問題に、河合隼雄が答える。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

約四十数年前に河合隼雄先生が行ったカウンセリング入門講座の参加者とのやりとりをテープ起こしした的なもの。
抽象的な説明が多いけど、時々深い部分に刺さる内容だなあと感じた。
当時先生は四十歳前後。すごい…。

・自分一人だけで考えているのと、生きた人間が真剣に相手になって聴いてくれて、真剣に質問されながら一緒にやるのとでは天と地ほどの差がある。
・相手にとっていちばん役に立つことをカウンセラーが本気で思っているかどうか。説教でも殴っても、要はそれがどれほど役に立ったかということ。
・自分の気持ちに敏感、忠実でないと駄目

0
2015年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

セラピストとして名高い、故・河合隼雄さんの、
40歳前のころの講座を4つ収録したものです。
カウンセリングの基礎の基礎である、
その立場や姿勢について述べている。

しかしながら、
カウンセリングの技術的なことに終始しているわけではなくて、
一般の人として、他者と向かいあうためだったり、
自分自身を知るためだったりすることに役立つ考えや
知識がたくさんでてきます。

たとえば、
頑張れない人に対して、そのひとのなかに怠け心をみるよりも、
まず劣等感が強いのではないかと見るべきじゃないか、というような考えもそう。

また、
早期解決をまず考えるというのがセオリーかもしれないけれど、
早期解決が本当の解決になるとは限らない。
早期解決にこだわらずに、その問題(こういう場合の多くは人間の心理の問題)が
本当に必要とする解決策を見つけるべきなんだろうと思う。
早期解決で解決したようにみえても、
それはうわべだけの解決だったり、
いっときの対症療法だったりする。
そうすると、そのうちぶりかえしたりこじらせたりするんだと思う。
問題と真正面から向き合って、
自分から克服していける方法がもっとも好ましいんじゃないだろうか。
と思うようになる箇所もでてきたりなどして、
考えながら読んでしまう。

自分で自分の気持ちをごまかすことによって、
それから自分のこころを起点としたヘンなことが起こってくる、
というカウンセラーならではのこころの見方もありました。

と、いうように、少し内容の欠片をならべただけでも
いろいろと興味をひかれるのではないかと思うのです。

そして、最後になりますが、
カウンセリングの目的としてのその本質が書かれていたので、
紹介しましょう。

___________________

人間というのは、相当な悪環境に放りこまれて、
相当な悩みがあり、相当に嫌なことがあっても、
自分で立ち上がってくる、そういう力を持っているということですね。
___________________


これは、カウンセラーが立ち会って、
話を聞いてあげることによって、
クライエントが自分の力で立ち上がってくると言っているんです。
なかなか一人だけで考えて、難しい境遇から脱することはできなかったりする。
その手伝いをカウンセラーはするのだ、と言っている。

これを聞いて、ぼくはこう思ったんだけれど、
たとえばSNSの言葉でも、誰かの名言でも、
誰かの本でもいいですけど、そういうのに触れて、
「あっ」と共感したり発見したり、
気づかされたりすることってあるでしょう?
それも一種の、カウンセリングによって自分が立ち上がることにつながるものと
同じような意味合いを秘めているんじゃないだろうか。
そういう言葉によって、癒されたり励みになったりする。
まあ、でも、これはあくまでぼくの私見です。

ぼくは河合隼雄さんの本を昔から何冊か読んでいますが、
この本こそ、その考え方や知識の土台となる本であると感じました。
この『カウンセリング入門』からはじめて、
人間の理解を深めていくのもおもしろいと思いますよ。

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2015年09月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これもかなり前に読んだ。 河合隼雄さんはユング派、私はアドラーの流派に近いところで学んでいるが、卓越したセラピストは、流派を超えた共通点があるんだと感じた。

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2012年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

河合隼雄が実際に開いたカウンセリング講座を書籍化したものがこの本書であるが、その講座というのは昭和40-43年のこと、つまり今から40年以上前である。しかしながら出版されたのは今から10年ほど前。去年にも増刷がかかっているようである。

ここまで長い間多くの人に支持される理由は何であろうか。それはカウンセラーとして働く方々と河合隼雄とのやり取り、交わされる質問、それに対する回答やロールプレイなどを目の当たりにできるからではないだろうか。息づいている、とでも言い換えられるだろう。現場の実際を垣間見れるという点では、タイトルに「入門」と謳われている割に「応用」でもある。

内容はというと、クライエントの話をひたすら聞くという姿勢が強調されておりまた非指示的でいることの重要性も書かれている。(これは河合隼雄のほかの著書でも同様)カウンセリングの方法論などは学派によって分かれるようではあろうが、あまりここに書かれていることに固執する必要はないだろう。むしろ重要視されるげき実証性を軽んじるような姿勢も見受けられる。時代が流れているので、そのまま受け入れられないことは当然ということだろう。

ただ、もちろんその一言一言には含蓄があるし胸を打つ言葉もある。一部引用したい。
「人間というものは相当な悪環境にほうりこまれても相当にいやなことがあっても自分で立ち上がってくる そういう力をもっているということですね。それを確信してるからこそカウンセリングをやるわけです。」
一言で表すなら「エンパワーメント」だろう。だがその一言では零れ落ちてしまう大切なことが含まれている。つらいときには、この言葉を思い出したい。

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2012年02月16日

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