河合隼雄のレビュー一覧

  • 絵本の力

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    今では当たり前の様々な絵本がどのように日本や世界で発展していったのかや、絵本の持つ力、可能性を知れてとても素敵な本でした。
    私が感銘を受けた絵本でも、子どもはただ読んだだけで何も感じていないことをずっと残念に思っていましたが、「言葉を詩のような響きとしてぱっと感じるだけでいい。一度子供の心の中に伝えておくと、人生の歩みのどこかで発見をする種蒔きになる。」という主旨が書かれていて、これからもたくさん絵本と関わらせてあげたいなと思いました。
    大人が楽しむ絵本の話もとても納得がいき、私もどんどん楽しんでいきたいと思います。
    国内外の絵本作家や絵描きさんに詳しい御三方の会話なので、当然の知識のようにた

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    2022年07月08日
  • 影の現象学

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    個人的には、河合隼雄氏の数ある著作の中でも一番の名著ではないかと思う。これはしっかりと、学術文庫で出すレベルの内容になっている。

    人はそれぞれ その人なりの生き方や人生観をもっているが、抑圧されたか、取りあげられなかったか、ともかく、その人によって生きられることなく無意識界に存在していながら、その人によって生きられなかった半面を、その人の「影」と呼んでいる。私たちは、いつかはその自分の「影」の存在を自覚し、向き合わなければ、人として成長できないのだ。

    『われわれはこの世に生まれた瞬間から、常に死の可能性をはらんで生きている。「生」は「死」に向かって進行しているのであり、生きることとは、すな

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    2022年06月19日
  • こころの読書教室

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    ユング派心理学の第一人者である河合隼雄氏の最晩年の著書。
    著者が「読まなきゃ損」と考える書籍を紹介し、自分はどう読んだか、どんなメッセージを受け取ったかを語るという形式になっている。
    一番読みたいと思ったのは「一組の男女の関係は6通りある」と語るエマ・ユングの『内なる異性ーアニムスとアニマ』。河合氏のような洞察は不可能にしても、実際の著作に触れてみます。

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    2022年06月12日
  • こころの最終講義

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    「人の心などわかるはずがない」と知り抜いているユング派心理学者の河合氏の講演録。
    冒頭の言葉は河合氏の著書「こころの処方箋」からの引用だが、「わかるはずがない=諦める」ということではないのである。
    分からないことについての講演だから「答え」はどこにも書いていないが、考えるヒントをたくさん受けとることができた。
    本書のキーワードは「物語」である。

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    2022年06月05日
  • 絵本の力

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    ネタバレ

    絵本が大好きな気持ちがあふれる。
    大切に、大切に読み進めたい一冊。

    河合隼雄さん
    「すべての人が自分の心の中に秘密の花園をもっている。その花園の中に何を植え、何を育てるのかというのは、その人の人生の大切な課題」
    「これだというものをもっている子は、ものがなくても悠々としている。」

    松居直さん
    「耳から聞いた言葉の世界と目で見た言葉の世界が子どもの中で一つになります。そこに絵本ができる。」
    「絵本の中に印刷されている挿絵は静止画ですが、子どもの中に見えている絵本の絵は、生き生きと動いている。」
    『自分で絵本の物語の世界をつくる体験をする。そういう体験が実は絵本の本質に触れることです。』

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    2022年03月12日
  • はぐれイワシの打ち明け話~海の生き物たちのディープでクリエイティブな生態~

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    魚を、魚の大きな目を怖がっていた少年が、ある日海岸近くに迷い込んできたイワシを見つけ、その美しさに、イワシの存在に好奇心をかき立てられ、海の神秘に魅了される。
    そんな少年は、海やその住人たちへの深く果てしない愛を深めていきながら、物理学者になり、フランスのスピーチ大会でイワシについて熱く語り優勝し、この本を出版する権利を得た。
    プロローグで語られる、著者である少年のはぐれイワシとの出会いの物語から、もう海に魅了される。
    そして時代を超えた海の物語や、果てしない深海からパリの地下水路まで世界をまたにかける海の生き物たちの物語、伝説上の海の物語まで、実に魅力的に語られる。
    イルカと触れ合い、コバン

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    2022年03月01日
  • コンプレックス

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    50年前の本というのが驚き。
    劣等感コンプレックス≠劣等性の認識という説明をしている章が面白い。その章で記されるソフトボールの例は、4年前の私の高校時代でも見られた光景である。50年後の若者が読んでも共感できる例が示されていることに凄みを感じた。
    また、コンプレックスの解消が簡単なものではなく、爆発に近い形で起こるという部分は思い当たる節がある。
    自己理解につながり、何度も読み返したくなる本。

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    2022年02月13日
  • はぐれイワシの打ち明け話~海の生き物たちのディープでクリエイティブな生態~

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    神秘的すぎてフィクションなのか、ノンフィクションなのかわからない。
    裏付ける名前の付け方とかあって、こんなにすごいのか、と。
    表紙の絵が可愛くて惹かれて読んだけどとてもよかった。

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    2022年02月05日
  • 決定版 快読シェイクスピア(新潮文庫)

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    本屋でたまたま目についた。常々シェイクスピアをコンプリートしたいと思いつつ、いつも他の本の誘惑に負け、シェイクスピアが後回しになってしまうことを気にしていたからか。

    シェイクスピアの戯曲のうちの11作について、翻訳者の松岡和子氏が原書での言い回し等を例に出しながら様々な質問を投げかけ、それに対し河合隼雄氏が登場人物の心情等を心理学的に説明する等々…とてもバラエティにとんだ対談集。

    まず、各戯曲がうろ覚えの私は、河合祥一郎氏「あらすじで読むシェイクスピア全作品」で各戯曲の流れや登場人物を再度頭にいれてから、各章に突入。シェイクスピアの裏話ではないが「そういった見方もあるのね‼︎」というような

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    2022年01月28日
  • コンプレックス

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    かなり噛み砕いて書いてあり、様々な事例とともに紹介されているため、とても分かりやすい。
    コンプレックスとはマイナスの要素だけでない。それを乗り越えた先に人格の発展があると考えれば、かなり救われるものがある。

    (人間の心の中は無意識の領域がかなり大きくあると考えられるが、それらをいちいち意識していたら正常な意識、思考など保てないだろう。意識的な自我をメインとして据えながらも、それらを補うものとして無意識領域があり、その中で何らかの感情によって結合されている心的内容の集まりがコンプレックス(複合体)である。)

    自我を自分で作り上げること、自分自身を冷静に見つめることが日本人は苦手である。ゆえに

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    2021年12月02日
  • 魂にメスはいらない ユング心理学講義

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    ネタバレ

    河合先生の話はもちろん、谷川さんの鋭い質問力に敬服する。内容としては、箱庭療法が興味深かった。精神医学的に症状がない方たちの作った箱庭。素人目に強烈なものでも、それ単体で診断されるわけではない。作られるまでの経緯、人形等の配置や有無で、病気の人とそうでない人の大きな違いがあるのは印象的。最後、谷川さんの詩をいくつか取り上げて、河合先生が解釈する特別講座も面白かった。

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    2021年11月26日
  • 村上春樹、河合隼雄に会いにいく

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    誰しもが少なからず、精神的な病、瑕疵やしっくりこないことを持っていると思うのですが、この本にはそういったものを解消したり、緩和したりするためのヒントが書かれているように感じました。

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    2021年11月15日
  • 「老いる」とはどういうことか

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    ネタバレ

    ヴォーヴォワールの老いについてをテレビで紹介していて、ふと気になり読んでみた。赤瀬川の老人力みたいな無理矢理賛美の本でもなく、若者でも読める人生エッセイ。再読したい。

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    2021年09月29日
  • 河合隼雄のスクールカウンセリング講演録

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    スクールカウンセラーが学校に位置付けられ始めた頃の、難しさと期待を上手く言葉にされていた。
    ある種、内を守る構造のある学校と、外からやってきて、ある生徒という個人を守るスクールカウンセラーがどのように調和してゆけるか。

    今やそうした専門的知がなければ、やっていけないとも言えるし、いやいやまだ学校の形は変わりきれておらず、個人としての子どもと向き合うためには欠かせない機構なのかもしれない。

    「私はよく思いますが、二〇分間本当に怒り続けられる人というのはほとんどいません。よほどカンカンに怒っている人でも、『はい』と言ってきちんと聞いていると、『まあいろいろ言いましたが、いや、あなたの気持ちがわ

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    2021年09月17日
  • 声の力 歌・語り・子ども

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    コロナ騒ぎ前に発行された本だが、まさに今読めてよかった。肉声を聞く、肉声で伝える。息づかい、強弱、間、テンポ、表情。相手への理解、自分の気持ち。文字では計り知れずオンラインでも充分とはいえない相手の心情さらに距離が埋まればの「あうん」の呼吸。要するに理解力。おもいやり、やさしさ。読みながら考えめぐる。素敵な一冊。

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    2021年09月06日
  • 河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおして

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    カウンセリングは、とにかく、聴くこと、という原則を、具体例で肉付けしてます。言葉に表し難い感覚的なことを、高い表現力で述べられています。実用的であり、かつ、読み物として面白いです。

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    2021年08月11日
  • 父親の力 母親の力 「イエ」を出て「家」に帰る

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    「父性の復権」で、主張されているような、昔の日本の父親にように戻れ、ということに、なんとなく違和感を感じていたが、本書では、そのような父親像を痛快に否定してくれる。

    明治の父親は強かったからとあれを真似しようと思ったら、大きな間違いを起こすことになります。あれは、父親がいばるための制度であったのにすぎません。人間としては、鍛えられていませんでした。(p87)

    本書で繰り返し述べられているのは、家族や子育てというのは、そんな簡単なことではない、ということである。

    自由意思を持った人間が集まって、しかもちゃんと生きていくという、とても困難きまわりないことをやっているのが家族だからです。(p1

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    2021年06月20日
  • 河合隼雄のカウンセリング教室

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    2009年刊行。
    カウンセリングと倫理、友情、時間、家族等について講演した記録。

    最近カウンセリングを受けて、正直うさんくさく、一体カウンセリングって何なわけ?と思って手に取った本。なかなか含蓄に富んだ内容だった。
    わたしをカウンセリングしたカウンセラーにも読ませてやりたいと思った。

    正直、流派や経験値、年齢世代性別等によっても相当に左右されそうな内容で、カウンセリングの技法と呼べるものを定型化(河合先生言うところのマニュアル化)は難しそう。しかしそうすると普及や習得スキルの標準化は難しそう。

    文中、将棋の名人の、研究者、勝負師、芸術家が同居するのが勝てるベストバランスという発言に、まさ

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    2021年06月01日
  • 子どもの宇宙

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    (基本星をつけるのは、システム上評価によって新しい本と出会いたいがためにやってるんだけど、)著者の子どもへの強い思いに共感して☆5にしたい。
    子どもの内にある宇宙は途方もなくすばらしいのに、基本この世界でかれらの声はかき消されがちだから。
    著者の他の本での引用時以上に、ここで引用した児童文学を読んでくれ〜〜という推しを強く感じられたので、引用されているものはもちろん、紹介されているもの以外の本もぜひ読みたいと思う。いつもこの著者の紹介している本を読むのが楽しみ。

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    2021年05月27日
  • 河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおして

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    まさに入門としてオススメの本だけど、実際にカウンセリングをするとなると、ここに書かれていること以上に投影の問題など知っておかなければいけないことはたくさんあると思う。

    読んでいて、カウンセリングにおいて何が大切かを色々と考えることができたので得たものは大きかった。


    読みながら感じたことのメモ

    ○ カウンセリングは、問題と感じている外の世界を必死に整えるためにやるというより、その人の内なる想いや願いを一緒に見つめる作業なのだと思った。クライエント自身が自分の純粋なものを内側に発見できたとき、少しずつ自立のプロセスを歩みながら、自分の力でどうにかしたいと心から思えるのだと思う。逆に、表面的

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    2021年03月18日