あらすじ
つまずくこともある。病むこともある。自分の内にありながら、どこかとらえどころのない人間の心。"魂の医者"カール・グスタフ・ユングがひもといた人間心理の謎を、日本を代表する"こころの専門家"と"こころの表現者"が、深い独自のまなざしでたどり、見つめなおす。生を掘りさげ、夢を分析し、死を問いなおす2人の言葉のなかに、これまで気づかなかった「自分」が見えてくる、魂の根源に語りかける名講義録。
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河合先生の話はもちろん、谷川さんの鋭い質問力に敬服する。内容としては、箱庭療法が興味深かった。精神医学的に症状がない方たちの作った箱庭。素人目に強烈なものでも、それ単体で診断されるわけではない。作られるまでの経緯、人形等の配置や有無で、病気の人とそうでない人の大きな違いがあるのは印象的。最後、谷川さんの詩をいくつか取り上げて、河合先生が解釈する特別講座も面白かった。
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箱庭療法や現代社会の家族のあり方、谷川さんの詩の解釈など、物凄く面白かった。自分の心や人との向き合い方、カウンセラーとしてもあり方など、私にとっては本当の人ってこうなんだと感じることが多かった。今まで馬鹿みたいに高いお金で見てもらっていたカウンセラーの人の、浅さや軽さ、適当さは、やはり自分には合わないなと痛感したが、こんな本物のカウンセラーには会えないだろうと思う。また、谷川さんとの会話によって、さらに心理学について理解することができ、お互いの心の深さにとても感動した。自我と自己についてもよく理解できた。
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日本の心理学者の中でも著名なユング派河合隼雄氏と詩人の谷川俊太郎氏の対談集。
この二人を対談させようと考えた人に金一封。肩を抱いて赤提灯の下で熱く語り合える気がする。
なんて素敵なチョイス!
濃いよ、ホント濃い。
物事は突き詰め過ぎると、いつしか物凄く簡略化されていく・・・っていうのの見本みたいだ。
特にこの世界の第一人者、的な二人が揃って話しているわけで。
お互い常人には測り知れないところがアベレージなわけで。
もうそこに行きつくのは無理だよなあって達観して読むと割とあっさり頭に入ってくるから不思議。
学者と詩人という、言葉や心理面においてカテゴライズする側とされる側って組み合わせも面白い。
小学校の頃に心理学というものを初めて知ったのは河合氏。
谷川俊太郎の詩は教科書に載ってて詩集を初めて手に取った詩人。
そういう意味では私にとっては特別な二人。
谷川ファンには嬉しい詩の分析もあります。ただ心理学を学問でユングだフロイトだと語るのが嫌いな人は難しいかも。
私はフロイト嫌いだけどね(笑)
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河合隼雄さんが箱庭療法やユング派について谷川さんとの対談形式で語る本。専門的過ぎずわかりやすいです。谷川さんの質問が鋭く、また深い心理学の知識をお持ちであることに驚きました!
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谷川俊太郎さんが聞き手になって投げかける質問に河合隼雄さんが答える形で展開する心理学講義。
驚くのは谷川さんの心理学的知識、あるいは考察の深さでした。
ユング心理学の入門書としてお勧めかもしれません。
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河合隼雄と谷川俊太郎、この組み合わせだけでもう満塁ホームランだ。企画を立てた編集者が偉い。
心理学講義と名づけられてはいるが、特別な知識は必要とされない。知性も感性も、ここまでの高みに到達すると、明快に平易になるので、凡人にも理解することができる。まったくもってありがたいことだ。
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日本でのユング心理学の権威である河合隼雄氏と詩人・谷川俊太郎氏の対談。箱庭療法の解釈や、対談者二人の生活史からユング心理学にアプローチした内容、谷川氏の詩から読み解く同氏の心理的探求など、一冊でたっぷりとユング心理学に触れることの出来る幸著。
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日本における分析心理学の第一人者である、河合隼雄さんと、谷川俊太郎さんの対談集。
内面を探るための様々な手法「夢」、「箱庭」、「ロールシャッハテスト」等、それは、自我コントロール下にある覚醒時ではなく、自我コントロールが弱まってい状態時に本来の内面を探ろうとする取り組み。アルコールや麻薬、脳の機能の一部が失われることに伴う幻覚で夢とは仕組みが違う。
日本人は西洋人にくらべ、みんな依存するのが好きであり、依存と独立のバランスが重要。
『病気は個人の問題なんだけれども、ほとんどみんな社会的なひずみをせおっていると思うんです。』p236
『ぼくが憂鬱になっているということは、ぼくの心の中で何かのうごきが止まって動かねばならないところが動いていないわけです。』p240
ところで、今日昼寝をしている時、「デパートで素っ裸、慌ててトイレでシャツとパンツをはく」という夢を見たワタクシ。その深層心理がキニナル
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1979年初版発行の本です。
もう35年も前ですが、今読んでも面白いです。
ざっくりとしてわかりやすく、
河合さんがご自身のしている心理療法のベースとなる
ユングの考えや経験、ご自身の所見などを語っていきます。
谷川さんはあくまでわき役として、質問を投げかけていきます。
これは!と思ったところを引用すると、
___
谷川:普通の人間は、その自己治癒能力ですか、それを不断に働かせているわけですね。
河合:普通は、それが適当にうまく働いているわけです。
だから深く悩むこともなく深く治ることもなく、みんな生きているわけでしょう。
いわば普通の人間は自分で自分なりの治療行為をしているわけですね。
つまりすってんてんになるまでパチンコをするとか、
途方もない大金を競馬で使ったりするとか、
それなりにみんな治るための儀式をやっているんですね。
日記を書くのも、友だちと話をするのもそうでしょう。
それをもっと凝集し、非常にコントロールされた形でやるのがわれわれの仕事ですね。
___
というところがありました。
僕はここ何年かパチンコや競馬で大勝利したりすっからかんになったりを
何度も経験してきていますが、自己治癒のためと言われると、
腑に落ちるところがあります。
「えーっ?」と思う方もいるでしょうけれど、これはそうだと思いますよ。
また、昨日はAKBグループの総選挙がありましたが、そこで8位だったかな、
こじはること小嶋陽菜さんがしゃべったのがすごく面白かったんですけども、
この本を読みながらだったので、彼女から感じられる母性というものの強さに注意がいってしまって、
「母性」のいいお手本、つまり「母性ってなんだろう」と問う人に対して
この人が母性をよくあらわしているからよく見てみたらと言えるのは、彼女だと思いましたね。
あんなに、おんなおんなしたおんなのお手本のストライクみたいな人って実はなかなかいない。
母性って、いろいろ他人とかと繋がっていくもので「まぁ、なんでもいいじゃないの」
というものだというのですが、その逆のなんでも断ち切っていく心理っていうのも女性には
アニムスという名前で男性的なものとしてユング心理学では言われていました。
アニムスが強いのがよくわかるのがぱるること島崎遥香さんです。
でも、ぱるは横山由依ちゃんと仲良しだったり、孤立しているわけではないから、
病的とは全然違います。ちょっとアニムスが強いっていう。
思春期だとかにそういうのが出てきたりするっていいますから、
若い子だしそういうのがあるのかもしれないですね。
閑話休題。
インターネットでもそのシンボルの意味が辞書みたいに調べられる夢判断のサイトがありますが、
河合さんの心理療法での二枚看板みたいなのが、この夢判断と箱庭療法でした。
しかし夢判断については、たとえば黒猫がでてきたっていうのがあったとして、
夢診断サイトだと、それはこういう意味だっていうように、一対一で対応していたりしますけれど、
河合さんに言わせると、そんなのは違うっていうことになり、その人の現在の状況や夢の状況などによって、
重層的かつ多様に判断しないといけないらしいです。
それはそうだよなぁ、とかねてからWEBの夢診断のシンボル判断に違和感を持っていた者としては、
納得の行った発言でした。
そして「抑圧」の話も興味深かったですね。
子どもが悲しいとか痛いとかいっても、親とか先生だとかは
「痛くないでしょ!」「悲しくないの!」とかってなだめようとしますが、
それがその場限りの対処ではいいように思えても、そういうのが「抑圧」として
心の中、無意識のほうに溜まっていって病んでいってしまう。
言語化すると意識上にのぼってそれは癒しの効果がありますが、
知らず知らずに無意識に、澱のようにたまっていくと、
それは非常に破壊力をもったものになってしまうということです。
また話はAKBになりますけども、このあいだのノコギリでメンバーを襲った犯人は、
きっと、そういう無意識のほうに溜まったものが破壊力を持って、
自分を破壊するか他人を破壊するかのところで、他者を選んでしまったのかもしれない。
襲われた方はたまったものじゃないです。
(襲われたメンバーとスタッフの方は一日も早く元気になりますように)
巻末には谷川さんの詩や散文を河合さんが心理学者的解釈をする
というのが収録されています。
谷川さんの詩はよくしらなかったですが、数篇読んでみてすごく好かったです。
「はしれはしれおちんちん」というのが出てくる「男の子のマーチ」は
楽しくて楽しくて大笑いしそうでした。
散文も含めて読んでいくと、なんだか村上春樹さんに通じるものを感じたりもして、
さては春樹さんは谷川さんからも影響を受けているのかなと思ったりもしました。
この本に書かれていることをまぁ、日本人みんなが7割くらい理解して、ふまえていると、
きっと社会はもう少し生きやすくなると思いました。良書です。
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詩人の谷川俊太郎さんと心理学者河合隼雄の対談形式での対話をまとめたもので、1979年が初版だそうです。
副題がユング心理学講義とあります。まずは、河合さんのユング心理学研究所での生活や、なぜに心理学を研究するようになったか・・という話から入っておられます。
その一因が、『死』をとらえる感覚らしいですね。死んだらあの世にいくのだろうが、天国とか地獄なんてようわからん。祈りで救済されるとはおもってないるそんな合理精神が強い少年だったらしい。その点でも、ユングという人物も合理精神で宗教をとらえていた人だったところから、自分と似ており、最終的には彼の研究をすることになったという。
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河合隼雄と谷川俊太郎…分野は違えど、2人ともこころの問題のスペシャリストであることは間違いがない。というか、ここまでの高みに達すると文学とか心理学とかいう垣根は存在しないのかもしれない。平易な文章なようでいて、実は2人が話していることの10分の1も理解できていないんだろうと思う。
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この本をきっかけに河合隼雄さんに興味を持ちました
日本人で初めてユング研究所で認められ
カウンセラーとして草分け的な存在。
箱庭療法の分析や心理というのは不思議で興味深いです
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心の分析家と表現者の対談。谷川俊太郎氏は人間の成熟に対する考え方として、「人間というのは人格をつくりあげていくものだ」というより「自分をラッキョウの皮を剥くみたいに剥いていって見えてくるもののほうが、成熟という言葉には近いんじゃないか」と言う。それに対し河合氏が同意し、「ただその場合、剥くのも自分ですので、それができるだけの力も蓄えなければならない」と答える。興味深い
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河合隼雄氏と谷川俊太郎氏の対話式の内容。
職業柄、立場が違う二人だが、心を深く見つめようとするお二人の会話は、共通する部分も多くとても面白い内容だった。
河合氏についての疑問なども谷川氏が質問してくれていたので
河合氏著作の本には書かれていない一面も伺う事ができてとても面白かった。
この本を読んで、あまり知識のなかった宮沢賢治の事が知りたくなり詩集を購入した。