あらすじ
絵本を子どもだけのための書物としてではなく,大人にも深い影響をあたえうる,絵と文字による新しいメディアとしてとらえた,臨床心理学者,研究者,作家による講演と徹底討論.絵本入門としても読め,絵本がどのように現代の人間の生き方に深く関わっているかを考える楽しい本.図版多数.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
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Posted by ブクログ
5年間ではあるが、図書にかかわる仕事をして、絵本もたくさん読んだつもり。
それでも、読むタイミング、自分の人生の位置、その時の気持ちで、絵本から受ける影響は都度違っていて、毎回違う感情になる。
子どもにはたくさん読んであげたいし、自分も気になる絵本は手に取りたい。
まさしく「絵本の力」
短く、優しく、分かりやすく、心にまっすぐ刺さってくる絵本。
改めて絵本の存在に感謝。
Posted by ブクログ
今では当たり前の様々な絵本がどのように日本や世界で発展していったのかや、絵本の持つ力、可能性を知れてとても素敵な本でした。
私が感銘を受けた絵本でも、子どもはただ読んだだけで何も感じていないことをずっと残念に思っていましたが、「言葉を詩のような響きとしてぱっと感じるだけでいい。一度子供の心の中に伝えておくと、人生の歩みのどこかで発見をする種蒔きになる。」という主旨が書かれていて、これからもたくさん絵本と関わらせてあげたいなと思いました。
大人が楽しむ絵本の話もとても納得がいき、私もどんどん楽しんでいきたいと思います。
国内外の絵本作家や絵描きさんに詳しい御三方の会話なので、当然の知識のようにたくさんの絵本が例に挙げられ、こちらはついて行けず、調べながら読みましたが、おかげでいい絵本をたくさん知れて、これから読んでみるのが楽しみです。
Posted by ブクログ
絵本が大好きな気持ちがあふれる。
大切に、大切に読み進めたい一冊。
河合隼雄さん
「すべての人が自分の心の中に秘密の花園をもっている。その花園の中に何を植え、何を育てるのかというのは、その人の人生の大切な課題」
「これだというものをもっている子は、ものがなくても悠々としている。」
松居直さん
「耳から聞いた言葉の世界と目で見た言葉の世界が子どもの中で一つになります。そこに絵本ができる。」
「絵本の中に印刷されている挿絵は静止画ですが、子どもの中に見えている絵本の絵は、生き生きと動いている。」
『自分で絵本の物語の世界をつくる体験をする。そういう体験が実は絵本の本質に触れることです。』
絵本体験
子どもが自分の中に物語の世界をつくる。絵本はその手がかりであって、子どもが自分でつくる世界が本当の絵本であり、絵本体験。
いきいきと動いている。
『絵本という空間は、人間の生活の余白みたいなもの』
柳田邦男さん
「ほんとうに魂をゆさぶられるような時間と空間を得られる媒体なんだろうかというと、最高のものは絵本かもしれない。」
「絵本もまたいのちと響き合う表現手段」
「絵本は言語を越えた、あるいは国境を越えた、音楽に近いようなコミュニケーション手段」
ー 日本の絵本作り ー
12世紀から。
絵で物語を表現するというのは、
「鳥獣戯画」
Posted by ブクログ
3人による対談や講演をまとめたもの。生きていく上で、どんなときにどんな絵本に出会ったかなど、悲喜交々のエピソードにうなずきながら読んだ。
近しい人の死や被災などの哀しい体験をした後のグリーフケアについても触れられており、もうすぐ阪神淡路大震災から四半世紀なのだと改めて感じた。
Posted by ブクログ
ノンフィクション作家は真実を極めるのが仕事だから仕方ないのかもしれないが、柳田さんの自己顕示欲が凄い。絵本好きの教養人とは、ガツガツ感が違うのだ。
なので、夢を売る絵本出版社社長の松居さんと柳田さんの話は、反りが合わない。
絵本の目的について、松居さんは「絵本とは、大人が購入するが、子どもに読んで聞かせるもの」と何度も言っているのに、柳田さんは「絵本は、大人の哲学書」と言っていて、1冊毎にウンチクを語っている。それが、松居さんには鼻につくんだろう。やんわり言い返している。
しかし、それをものともせず、自分の感想を言い続けられる点が、柳田さんの強みなのかもしれない。ノンフィクション作家恐るべし!
ちなみに、柳田邦男さんが例に挙げた絵本は約35冊、松居直さんは約22冊、河合隼雄さんが約17冊。この約74冊という数字、私には、知識の「押し売り」にも思える。大人にとって、絵本は、ほんとうに読むに値する本なのだろうか?どうもわからない。
この本の河合さんの「絵本の中の音と歌」という文章は、河合隼雄著作集2期4巻「子どもといのち」にも納められている
Posted by ブクログ
おすすめの絵本が紹介されていたり、
絵本の感じ方など専門家の視点で面白くまとめられている。
私の好きな河合隼雄さんも登場するので、とても面白かった!!
Posted by ブクログ
昨日友人の子供の2歳の誕生日プレゼントに、図書カードをあげたのですが、
本を選ぶ目安になればと思い、タイトルだけでこちらの本を買ってつけて贈りました。
贈る際に、紹介できるようにと自分も読んでおこうと思い、別で購入して読みました。
私は小さい時に国語の先生だった祖父がよく児童文学を読んでいたのを、膝の上で聞いていたそうです。
また、「ノンタン」のシリーズの絵本を父親に読んでもらっていたのを覚えています。
今思えば、あれはすごく恵まれた日常だったのかなと思います。
子供向けだと思っていた絵本も、すごく深い意図があって細部まで絵と文字が作られていることを、
エピソード等も含めて紹介されています。
私も子供が生まれたら、たくさんの絵本を読んであげたいと思いました。
■気になった個所抜粋
・この絵本のテーマも明らかですね。どんなにたくさんのものをもっていても、どんなに幸福そうに見えても、ほんとにこれだというのは、やっぱり人間は自分で探すより仕方ないし、これだというものをもっている子は、ものがなくても悠々としている。
・私は絵本の編集者になって、絵本は子どもに読ませるほんではないという編集方針を第一番に打ち出しました。じゃ、なんですかといわれたとき、大人が子どもに読んでやる本ですと。
・生きていくうえで一番大事なものは何かといったことが、絵本の中にすでに書かれているんですね。
・大人というのは誤魔化しやすいんだけど、子供は誤魔化せないから。
・その王様が言うには、人間の世界って変だ、・・・・(中略)・・・なんで生まれたときにいっぱいファンタジーを持ち、自分の好きな空想の世界でいっぱい楽しみを持っているのに、年が増えるにつれてそれを捨て去って、だんだん狭い専門の仕事や義理人情に縛られていって、最後は悲惨な死を迎えるなんて、人間は全然幸せではない。
・テレビとかビデオとか、便利なものがあるから、あれをやらせておいたほうが楽だしね、見せておけばいいし。生きた人間がするのはテレビと違うということを先生が知らないとだめですね。
・耳から聴く言葉の体験というのは、言葉の体験ではいちばん大切なことなんですが、それが今ほんとに貧しくなりました。
・これからは絵本の絵以上に、文章に対する研鑽をしてゆかないと、次の世代に日本語を伝えてゆく重大な責任が果たせなくなってしまします。すばらしい日本語が子どもたちのアイデンティティを育ててゆくのですから。
Posted by ブクログ
心理学者の河合隼雄、児童文学家で福音館書店のこどものともの編集長松居直、ノンフィクション作家の柳田邦男の絵本についての各々講演と、鼎談。松居の絵本は読んでもらってこその言葉に改めて絵本本質に気付かされた?
Posted by ブクログ
河合さんの発言が示唆的だった。松居さん、柳田さんはどこかですでに聞いている話で、新鮮みに欠けた。
ただ、松居さんがバーレイの『わすれられないおくりもの』は危険と発言されていることは、そういう見方もあるか、メッセージが強すぎる絵本のイデオロギー性の危険に気づかされた。あくまで与え手の問題が大きいと思うが。
・絵本というのは実に不思議なものである。0歳から百歳までが楽しめる。小さい、あるいは薄い本でも、そこに込められている内容は極めて広く深い。一度目にすると、それがいつまでもいつまでも残っていたり、ふとしたはずみに思い出されて、気持ちが揺さぶられる。それに、文化の異なるところでも、抵抗なく受けいれられる共通性をもつ。
・(IT革命に象徴される他者性の喪失やリアリティのなさがあるが、絵本は)本当に自分がめくって、自分がその中に入って、自分という存在がそれに関わってみていくもの。:河合
・絵本の面白さ。1.昔、子どもに聞かせてやった本を読んで、懐かしく楽しみながら、その意味とか感動を再発見する。2.この20年の新作に触れることで、こんなにも絵本の世界は創作が行われているのかと驚く。:柳田
・日本の子どもの本の海外への翻訳は三千点を超えている。言語数は40言語以上。:松居
・人間の心の深いところは事実としては語れないことが多いから、どうしても物語るか、イメージになるしかない。:河合
・絵本と恐怖
Posted by ブクログ
絵本は0歳から百歳までが楽しめるという河合氏の言葉や、絵本は人生に三度という柳田氏の言葉が心に残った。臨床心理士の河合氏、編集者の松居氏、ノンフィクション作家の柳田氏という組合せも面白い。
最近は子どもや親のウケを意識した作品も多くて、こういう絵本は20年も30年も読み続けられるのか心配になります。
Posted by ブクログ
絵本に情熱を持った3名が、絵本の魅力について語る。特に松井直氏の経歴と話した内容は興味深かった。「絵本は大人が子どもに読み聞かせるもの」と氏が言っていた通り、自分も試しに絵だけを見て読み聞かせをしてもらったら、確かに読書体験がが変わって驚いた。
子どもが絵本の物語に没入できるよう言葉・絵など様々に趣向を凝らしているという。そういった趣向にも気づけるようになりたいと思った。
Posted by ブクログ
絵本は、けして子どもたちのためだけのものではなく、大人でも心動かされるものが多くある。絵本を通していろいろな世代が共有できる想いがある。幼い頃読んだ絵本を読み返すと新たな発見がある。絵が美しいもの、ことばのひびきが美しいもの、絵本の魅力を再発見し、絵本とのかかわりかたについて考えさせられた。
Posted by ブクログ
この本も、記憶が定かではありません。ただ、講演を聞いたときに買ったものだと思います。私の場合、壁にぶつかった時、それぞれのテーマで本を買う事が多いので、多分、この時も絵本についていろいろ考えていたんだと思います。