河合隼雄のレビュー一覧

  • 河合隼雄と子どもの目 〈うさぎ穴〉からの発信

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    心理療法家の河合隼雄さんが素晴らしい児童文学の数々を紹介してくださる。児童文学は子どものための読み物ではなく大人にとっても子どもにとっても大切なものであるというメッセージが繰り返される。創元社がつけた帯は、現代人のたましいの危機は、ファンタジーと切り離されたときから始まった、と。
    私は私のために児童文学をもっと読まなければならないと強く思った。ただ、そういった使命感からだけではなく、紹介される本はすべて間違いなくおもしろい匂いがぷんぷんするのだ。こんなにたくさんの素晴らしいことが保証された本と出会うきっかけをこの1冊から頂けて有難い!
    中には8才の娘もそろそろ読めるものもあるだろう。親娘で同じ

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    2020年05月10日
  • コンプレックス

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    先日、長らく外見で悩んでいたコンプレックスの一つが解決に向かう出来事があった。その時、コンプレックスの解消がここまで心を軽くするものかと感動し、同時に、他のコンプレックスも解消していけば人生はもっと快適になるのではと考えた。
    そこで、そもそもコンプレックスって何だっけを知りたく手に取った一冊。
    コンプレックスの定義等は本書参照だが、自分の中でも抱えていた内面のコンプレックスを考えるいい機会になった。家族との関係性、結婚に対する束縛感、苦手な同僚に対する嫌悪感と言ったものがどこから来ていたのか。
    最終章の元型の話はあまり理解出来無かったが、全体通して、本を置きながら自問自答出来る良書だと思う。

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    2020年11月16日
  • 人の心はどこまでわかるか

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    人の心に向き合う苦しみと喜びを痛感する一冊。自信がなくてもいい、悩んでもいい、そう思うことができ、なんだか救われた。

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    2020年03月14日
  • カウンセリングを語る(上)

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    ネタバレ

    本書は、四天王寺人生相談所が開催していた年一度のカウンセリング研修講座に、著者が講師として招かれ、実施した講演の記録をもとに編集されたものである。その研修の受講者は、学校の先生などの教育者であったり、学校カウンセラーもいたかもしれないし、これからカウンセラーになろうとしていた人かもしれない。

    著者は「別にカウンセラーになろうとする人でなくとも、教育、福祉、医療などの領域で、何らかの意味で対人援助の仕事をしている人々にとって、本書はどこかお役に立つところがある、と思っている」と述べている。

    上下巻あるうちの上巻である。

    章のタイトルを見れば、講演に対する興味が膨らむ。
    第一章 家庭・学校で

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    2020年01月17日
  • 絵本の力

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    3人による対談や講演をまとめたもの。生きていく上で、どんなときにどんな絵本に出会ったかなど、悲喜交々のエピソードにうなずきながら読んだ。
    近しい人の死や被災などの哀しい体験をした後のグリーフケアについても触れられており、もうすぐ阪神淡路大震災から四半世紀なのだと改めて感じた。

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    2020年01月11日
  • 河合隼雄セレクション こころと人生

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    ユング派の臨床心理学者だった故・河合隼雄さんの講演から、
    子ども時代について、
    青年時代について、
    中年期について、
    老年期について、の四つを書き起こした本です。

    なんていうか、
    子どもにしても中年にしても、
    その表面的な行動や言動なんかのベースにある、
    見えないところを考えていくことで、
    すごく人間理解が進むんですよね。

    河合隼雄さんは膨大なカウンセリングをしてこられた方ですから、
    それまでよく認識されてこなかった、
    人間の行動の背景や原理、仕組みなんていうものを、
    こういう比喩は適当か微妙ですが、
    ジャングルの奥地の遺跡を発見するみたいな感じで、
    見つけてきたような百戦錬磨の心領域冒険

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    2019年12月31日
  • 河合隼雄の幸福論

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    河合隼雄先生がかつて新聞に「しあわせ眼鏡」という題目で寄稿されたエッセイ集である。

    心理学に限らず、先生が日々感じたことを綴られている。

    特に印象深かったのが
    ・「らくがきフルートのお話」
    ・満ち足りた人生の話
    ・悲しみのお話
    ・昇りつめた幸福のお話
    ・自立は出来ないお話

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    2019年12月21日
  • 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話

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    ユング心理学を実践的に学ぶことができる良書。昔話という身近な例題を用いて、ユング心理学の論理を当てはめ、読み解くことができる。
    例題となる昔話を知っていることが大前提となるが、巻末に、本編で扱った昔話が掲載されているため、先に巻末から読んでも良いと思われる。
    ユング心理学に興味がある人は必読。

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    2019年11月26日
  • 新・新装版 トポスの知 [箱庭療法]の世界

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    箱庭療法が大好きで、できたら、勉強し、カウンセリングに使いたいと思っている。
    箱庭の勉強の仕方がわからず、公認心理師で、実際に箱庭療法をやっている方に聞いたところ、「とにかく河合隼雄先生の本を読みなさい」と言われたので、手始めに読んだのがこの本。

    今まで、自分が箱庭体験をし、それを周囲のカウンセラーに話した時、「なんで治るのか?どんな解釈をするのか?」という質問をよく受ける。
    他の箱庭療法の本で、「言葉にしたことで、本来見るべきところが見えなくなることがある。」という旨の話が載っていたので、それを語ることが多かったが、この本を読んで「こういうことか!」と、うっすらとわかった。
    もう一度、読み

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    2019年11月17日
  • 子どもの宇宙

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    p.47
    子どもが成長し、傷ついた心が癒されてゆく過程において、秘密をもつことがどれほど大切であるかがよく示されている。しかしその秘密は、育てられ、親しい人と共有され、最後にはすべての人の前に開示されるものへと変化し、発展してゆくものなのである。
    → 読書会入門で紹介される猫町UGの魅力とは「仲間との秘密の共有」なのだろう。閉鎖された安全な空間で極上の秘密を感情とともに共有・遵守することで、アイデンティティが確立される。それは、さなぎが蝶に変化を遂げるほどの激変を起こすこともある。のでは、なかろうか。

    p.38
    子どものことを述べているつもりが、知らぬ間に大人の深刻な問題に変わってきてし

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    2019年11月18日
  • 子どもの宇宙

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    遊戯療法の事例や児童文学を例にあげながら、子どもの心がもつ深くて広い宇宙について解説する。子どもへの温かい敬愛の情が、全編に渡って文章を通して伝わってくる。子どもは単なる小さな半人前の存在ではなく、それぞれに確固たる心を持って成長してゆく存在であることを、自分もそうだったと重ね合わせて思い出した。もっと子どもの心に触れるために、紹介されている児童文学を読みたくなった。

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    2019年10月07日
  • 無意識の構造 改版

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    ヒステリーとは心理的な問題が身体的な症状に転化されたもの
    トラウマと抑圧
    こだわりを持つ時、人は意識の円滑さを失う
    エディプスコンプレックス→父を殺し母を愛そうとする心理
    器官劣等
    カインコンプレックス→兄弟間の競争意識
    メサイヤコンプレックス→自分の劣等感から抜け出すために親切の押し売りをする
    普遍的無意識と個人的無意識
    イメージやシンボルは自分たちの考えを具現化したもの
    リビドー→心的エネルギーは性的エネルギーに還元されること
    創造的退行
    劣等感と向き合うことが大切
    夢は、現状をはっきりさせた上で分析を行う

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    2019年10月06日
  • 家族関係を考える

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    なぜか長寿の新書『家族関係を考える』。初版は40年近く前。

    内容は、当時の進歩主義によって古くからあった「日本の家族観」を解体したまではいいが、「あとは個人とか自由とかで生きていってください」と言われてしまい、そう言った側も「で、どうしたらいいの?」と右往左往という感じか。
    エマニュエル・トッドとあわせて読もう。

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    2019年06月17日
  • 私が語り伝えたかったこと

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    備忘録です。

    臨床療法の過程で、相談者が見た夢とその分析をする具体的な話が載っていたけど、それが面白かった。何が面白いかって、人の無意識ってかなり勝手に物語をつくってるのが面白い。「勝手」というのは自我に対して遠慮なしにということと、自動生成的に作られているということがおもしろい。なんでわざわざ物語というカタチにするのか。

    科学がない時代、人は安心して生きるための方法(宗教、神話など)を色々と考え実践してきた。それが事実心の平穏をもたらしていた。科学はその科学的でさなを証明したかもしれないが、安心の代わりとなるものは残してはいない。人類は輪廻転生や柳田國男の御先祖様の話のように本質を捉えた

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    2019年04月24日
  • 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話

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    自己啓発本を読むならば昔話を読み直し他方がいいと思ったね。光が当たれば影ができるし救われないこともある。そういう当たり前のことを改めて認識すると「ほどほどで良しとする寛容さ」が大切なんだな、と思った。

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    2018年08月17日
  • 決定版 快読シェイクスピア(新潮文庫)

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    河合隼雄さんと、松岡和子さんのシェイクスピアの戯曲を読み、その作品の解釈や、合わせ持つ意味などの解説などがあり、たいへん勉強になるお話でした。シェイクスピアに、興味のある方へ、オススメしたい一冊です。

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    2018年08月06日
  • 影の現象学

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    自分や人に向き合うきっかけになりそう。
    てきとうで温かい近年のエッセイとは違って、どろどろした中からも何かを見いだそうとする感じ。
    死は創造へ?

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    2018年06月16日
  • 無意識の構造 改版

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    私はそろそろ、社会の中で闘っていくためのモデルとなる父親像を求める時期に入っている、ようだ。なのかな。

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    2018年05月20日
  • 決定版 快読シェイクスピア(新潮文庫)

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    著名心理学者と翻訳家の対談でシェイクスピアの名作の数々の登場人物の心を読み解いていく!「ロミオとジュリエット」のジュリエットが14歳、ハムレットが30歳とあるのが、珍しい年齢の表記だそうで、両作品とも元作の年齢をシェイクスピアが変更していることにどんな意味があるのか。心理学的な観点から読み解いていく中で、シェイクスピアは凄い!ということを痛感させる2人の観察力に驚き。「ロミオとジュリエット」「ハムレット」の他、「真夏の夜の夢」「十二夜」「リチャード3世」。そして書名に「決定版」がつくのは、「リア王」「マクベス」「ウィンザーの陽気な女房たち」「お気に召すまま」に加え、最期に「タイタス・アンドロニ

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    2018年05月08日
  • 私が語り伝えたかったこと

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    結構昔に書かれていても、今読んでも十分に通用する内容ばかりでした。

    今の世の中を、河合隼雄先生はどのように捉えるんでしょうかなぁ。大多数のように希望が見いだせない状況を憂うのではないであろうことくらいしか、考えつかないのだけど。

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    2018年04月21日