【感想・ネタバレ】昔話の深層 ユング心理学とグリム童話のレビュー

あらすじ

人間の魂、自分の心の奥には何があるのか。"こころの専門家"の目であのグリム童話を読むと……生と死が、親と子が、父と母が、男と女が、そしてもう1人の自分が、まったく新しい顔を心の内にのぞかせる。まだまだ未知に満ちた自分の心を知り、いかに自己実現するかをユング心理学でかみくだいた、人生の処方箋。

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Posted by ブクログ

ユング心理学を実践的に学ぶことができる良書。昔話という身近な例題を用いて、ユング心理学の論理を当てはめ、読み解くことができる。
例題となる昔話を知っていることが大前提となるが、巻末に、本編で扱った昔話が掲載されているため、先に巻末から読んでも良いと思われる。
ユング心理学に興味がある人は必読。

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2019年11月26日

Posted by ブクログ

自己啓発本を読むならば昔話を読み直し他方がいいと思ったね。光が当たれば影ができるし救われないこともある。そういう当たり前のことを改めて認識すると「ほどほどで良しとする寛容さ」が大切なんだな、と思った。

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2018年08月17日

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河合隼雄先生が、ユング心理学の観点から、グリム童話の中に隠されている「人の心の奥底につながる意味」をわかりやすく説明されています。巻末には、本書で取り上げられている童話の物語が掲載されているので、知らない童話についてもきちんと理解することができます。

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2009年10月04日

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ユング派の心理療法家であった河合隼雄氏が、その心理学的な考察に基づいて主にグリム童話と日本の昔話をいくつか挙げて読み解いている。
今まで読んだことのあった河合氏の他の著書同様、なかなか興味深い内容。ではあるが、以前心理学にも興味を持っていた時期ではなく、なぜか今…

ふと書店で目にして読んでみようと思ったのは、ほかならぬこの本の結びとなるくだりにあった“第三の道”という言葉であった。

「あれかこれかという断定は既存の何らかの価値判断に従うかぎり決められるものである。しかし第三の道はその人個人の個性を必要とし、既存のものにたよらない創造的行為となる。…」

つまり、ユングはこのような意味で“自己実現の道を個性化の過程”としてとらえていたという。
しかも、昔話は結末を持つが、実際それは自己実現の成就ではなく、あくまで一コマとして意味をもつもので、「ひとつの段階の成就の次にはまた次の段階が待っているのである」というわけである。
常に成長過程である人生には…というか、なるほど第三の道、か…やはり示唆に富むくだりでした。

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2009年10月07日

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こういう話を放送大学のラジオで聴いていて、面白いなーと思っていたのだけど、全部この本に書いてあるようなことだった。ずるいなー、あの講師は。確かに河合先生の名前は出していたけど、「これらはほとんど全部河合先生がおっしゃていることです」みたいなことは言ってなかった。

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2011年07月17日

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再読。単にユング心理学にあてはめてきれいに解剖してみせるだけでなく、それが臨床現場の実感とどのようにむすびついてくるかも語られるので、すとんと腑に落ちるような気持ちのよさがある。……といっても、読み終えるとまたすぐ、何が書かれていたか忘れてしまうんだけど。

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2009年10月04日

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グリム童話をユングの原型論を用いて読み解いている。類似する他の童話・神話・日本の昔話との対比等もあり、わかりやすい。

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2009年11月30日

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意識と無意識の領域と童話に結びつけた解説。 難解に感じたが、日本と西洋の結婚がハッピーエンドになるかならないかにも触れていて面白かった。

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2024年03月23日

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河合隼雄によるユング心理学を用いて昔話のテーマを理解しようという内容。色々復習になって面白かった!

 第3章の途中を読みながら「ヘンデルとグレーテル」の保護者が継母なのは、受け入れ難い母性の否定的な部分を隠すためなんだろうなって思ってたらそのままのことがその後に書いてあった。

 第3章5節の昔話について、それまでの河合先生の解釈を参考にした僕なりの解釈としては、盲目である弟がそのアニマ(姉)との対決による自己実現の過程(ユングの定義)を描いたものではないかなとおもました。弟が盲目なのはは知ることの危険から身を引くことことを意味し、古いアニマ(姉)を殺す(自己実現の過程には「死と再生」が付き物なので)ことを避けれたのではないかと思います。 数千里離れた場所で姉とそっくりな人といるというのは、自己実現の過程には終わりはなく、新たなアニマとの対決が行われようとしていることを示唆しているのだと思いました。途中出てきた白鳥は弟の魂なのかな(アニマが男性にとっての魂の仲介者ってことも含めて)??

 アニマとの対決を避けてきた男性が父親的性格を持つ女性に惹かれて結婚する→子供に対して父親に変わり、母親が父親的性格を持って接する→母親の役割が多すぎて、人間的な母親の役割が手薄になってしまう→子供は強い拒否(物質的な過保護の有無に関わらず)を感じるという流れがなんとも悲しい

普遍的無意識から生じる影の肯定的な面って存在するのか?
 

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2023年04月15日

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グリム童話を主軸に、ユング心理学の視点から昔話を読み解く。日本の昔話や神話とも対比されており、心の過程を考える一助になる。未読の童話が多く、あらすじを追う限り残酷な展開が通過儀礼的に存在しており、グリム童話はPG12指定でもよさそうに思えた。また女性原理と父性原理は、片方に偏重すると生活が円滑に回らないし、世の中に絶対的な成功メソッドはない、ということが、各種童話の説明から痛いほど伝わってくる。

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2020年09月19日

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ネタバレ

グリム童話、時折日本の昔話を交え、洋の東西の差異に思いを馳せながら書かれたような考察。ひとつひとつ理由づけられたものがたりたちは、その理由づけた次元より深いところに存在しているのだろう、と、しぜん考えさせられる。グリム童話は矢川澄子さんの訳も巻末に付せられているが、岩波のセットを読み込むのもまたひとつと思う。……ただ、まだ未熟な視点しか持たない私のおさない感情ゆえだと思うが、「男性」の中にアニマとアニムスが(女性にも同様に!)同時に存在するということを頭において読み進めないと、ちょっと頭がおかしくなってしまいそうな気もする。“わたし”の中に、“男性”と”女性”が同時に存在するひとは少なくない、と思うのだが。十章を読むには少し胆力がいる。これも、「自己の内面」を浮かび上がらせられた、その結果だろうか?

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2017年04月23日

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面白い。童話好き、心理学好き(専門家以外)にオススメ。
著者の知識と洞察力を感じる。
若干、この話にはそんな深い意味はないんじゃないか?と、思うところがないでもないけれど・・・

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2017年04月05日

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人間が成長などの変化をする時に、それまでの自我による規範を超えなければならない。そういう時に人は意識(自我)と無意識(自己)の間を行きつ戻りつし、主体自体を変化させていくというのが、ちょっと違うかもだけど、ユング心理学の考え方なのだろうか。世界に似たような童話というものが多くあって、そこで喩えられるエピソードは、国を超えて人間という生き物全体が一種納得のいく喩えとして選択したものだということができるだろう。そういう童話の中からグリム童話を題材とし、アニマやアニムス、トリックスター、父性原理、母性原理などユング心理学のキーワードを持ちいて人間の深層心理のありようにせまる。心理学になじみのない人でも何となくはわかる読み物になっている。

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2015年04月14日

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まず注意したいのは巻末に原文が全て掲載されているという事!私は一通り読み終わってから気づき膝から崩れ落ちる思いでした(ちゃんと目次読め)
おとぎ話自体殆ど読んだ事が無い私でも、興味深く読めました。
伝承のためのお話という普遍的なテーマを、心理学者独特の視点から丹念に分析しています。

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2013年10月22日

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(memo)

◇心的エネルギーの退行
(P71)
"人間の自我はその活動にふさわしい心的エネルギーを必要とする。ところが、その心的エネルギーが自我から無意識へと流れ、自我が利用しうるエネルギーが少なくなるときがある。それを心的エネルギーの退行という。
 このような退行状態では、人は活動できないし、意識的統制の少ない空想にふけったり、幼児的な願望が強く前面に出てきたりする。退行状態におちいると、われわれは他人の少しの親切を無闇にありがたく感じたり、少しの冷たい仕打ちを極端に冷酷に感じたりする。それは現実とずれたものではあるが、観点を変えると、より真実を把握している―拡大した形で―とも言うことができる。"

◇グレートマザーの否定的側面、強すぎる母親(未成熟なアニムス)
(P81)
”母親は無意識的なグレートマザーにも比すべき保護と、父親的な強さという役割をしょいこむあまり、人間的な母親の役割がもっとも手薄になってくる。”
”子どもは一方で過保護を体験し、一方では人間的な接触に欠けるという点で、強い拒否を体験している。”
(P82)
”物質的な過保護の裏には、しばしば人間的な愛情の不足がある。"
”かまどの火に身体を焼くほどの苦しみと、死と再生の過程を経なければいけない”
(P256)
"アニムスは女性を苦難を通じて、より高い自我へとひきあげる。"
(P257)
”このような転落はアニムスにとりつかれた女性がしばしば味わうものである。”
(P258)
”アニムスを真に発展させようとする人は母性を発展させなければならない。”
”アニムスに鍛えられない母性はあまりにも泥くさく、母性によって支えられないアニムスはあまりにも冷たい。”

(P281)
・西欧はキリスト教に基づく一夫一妻制の影響で、昔話にもお姫様と結ばれてハッピーエンド(自己実現)のものが多くみられる。
 日本においてはこの限りではない。一夫一妻ではなかったから。自然と人は対立する概念でなく、一部である、という自我と世界の境界のユルさ。


人は言いたい事を、事実・こじつけてもっともらしく言うものだ。
力による条件つき正義による歴史。

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2013年09月02日

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心理学者である、ユングを読み解く事はなかなか勇気が普通はいるかも
しれないけれども、こういう民俗学から見た、深層心理って読みやすいし
気になってとても面白かった。

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2012年07月18日

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昔話を心理学の視点から解き明かす。西洋と日本の昔話の共通点からは普遍的無意識をかいまみることができる。
河合先生とユングの話はしっくりくる。自分と影とが葛藤し摩擦を起こり、そこから第3の道につながることもあると。そこから個性化が始まると。厳しくも温かい言葉だ。

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2011年07月30日

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「ファンタジーを読む」と似た内容だけど、グリム童話に焦点を当てている分、分かりやすい。元々知っている話もあるし、知らない話も巻末に全文が掲載されているから本文と併せて読める。
グリム童話とからめて、日本の昔話も引合いにして考えていく視点が興味深かった。

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2009年10月04日

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 超有名どころの心理学の本。
 なぜ、童話の継母は意地悪なのか。なぜ、三番目の一番愚かな息子が成功をおさめるのか……など、グリム童話を事例としてユング心理学に則り、人間心理をわかりやすく説明してくれる一冊。
 用例としてとりあげられているグリム童話の全文がきちんと掲載されているのも地味に助かります。

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2010年10月02日

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ユングの普遍的無意識や元型の考えによって、昔話を見てゆこうとするもの
人間の成長にともなう心の内的な成熟過程に注目し、ユングは自己実現という名を与え
昔話を、人間の内的な成熟過程のある段階を描きだしたものとして見てゆこうとする

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2015年04月03日

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心理学はもちろん、昔話そのものも楽しめた。ただ、心理学の用語で初心者にはなじみのないものも多く、初心者向けではないように思った。昔話を題材に、心理学を学べて楽しい。

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2013年06月30日

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面白い試み。ユングの心理学は個人内神話と普遍的神話の接合点というところに一つの肝があると思っているので、このような主題がユングに合わないはずはない。それぞれの童話は巻末についており、童話を改めて読む機会を与えてくれるという意味でも、読んで損はないのではないかと思う。

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2012年11月02日

Posted by ブクログ

なかなか面白かった。
一人の女性として、アニムスと母性の対話が興味深く読めた。

四十で不惑というけれど、迷い悩むこと、簡単に答えを出そうとしない所に心の豊かさはあるのだなと思った。

■メモ■
・わたしの人格形成に影響を与えた書物とは?
・日本における子どもの元型の力強さ。母親の多くが、自分の子どもを英雄にしたがる。
・グレートマザー:母性の両面性:生と死、育みと飲み込み、過保護と拒否
・鳥:魂・精神
・母親が父親の役割も担い始めると(過保護)、母親的な役割が希薄になってくる(拒否)。
・怠け者:特に西洋における¨勤勉さ¨への補償作用、自分の心の声(無意識)に気づく。怠け≠創造の放棄
・個人が受け入れられない¨影¨:全体性の回復のため。影は悪ではなく、人生の豊かさへのきっかけ。
・父性原理に基づく宗教:キリスト教
・母親コンプレックス:母からの早い離脱か自分の女性性の否定
・思春期の女性:子どもから乙女へ:女性の心の中の男性が母親を疎ましく思う気持ち
・トリックスターの善と悪
・孤独で未成熟なアニムスを背負う女性の一般論の力強さ「なぜ私がしてはいけないの」→アニムス(父性)とグレートマザー(母性)の対話¨知恵をそなえた愛¨
・アニムスの思考:1か0か:常に現状に満足していない:自分の責任で生き方を変えていかねばならない
・アニムスとの対話:自分の無能さを知る。

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2012年07月03日

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グリム童話の心理的分析。
童話、昔話って面白いなあ。面白くて、深い意味がある。
良い物語が語り継がれて、昔話になるんだろうけど。

心理学的な分析は鋭くて、なるほどーと思った。
でもなるほどー、以上の感想が持てなかった。
知識不足か。

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2012年02月07日

Posted by ブクログ

グリム童話に隠された謎が、心理学の知識がない人にも分かりやすく書かれている。マイナーな童話が多いが、最後にストーリーが全て書いてあるから大丈夫。

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2011年07月02日

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 河合隼雄さんの本ということで購入。ユング心理学とグリム童話を関連付けたというか、解釈してみたもの。

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2010年07月22日

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グリム童話を心理学の視点から読み解いた一冊。
面白いけど流し読みできる内容ではない上にかなりの厚みだったため、1週間かけて少しずつ読みました。事情から急いで読みたかったのですが、時間に余裕のある時に読んだほうがいい本。それでも、グリム童話を心理学という観点からこんな風に読み取れるのか!と感心しました
巻末にそれぞれの章で解説されている物語が載っているので、各話を読んでから対応している章を読むといいです。
著者はユング心理学で有名な方なので、それを簡単に理解してから読むのがいいのかも。

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2010年03月17日

Posted by ブクログ

結構参考になった。
インナーチャイルドカードにも登場する『ヘンゼルとグレーテル』のくだりは特に。
それにしても、昔話は残酷な話が多い。。。

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2010年03月15日

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1つ1つの例を読んで「へー」って思ったけど、あんまり実感が無いのがどうも…まぁ深層心理の話だから仕方ないんだけど

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2010年02月09日

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一時期ユングはまりしていた時に、この著者の本をずいぶん読んだんですが、これがやっぱり一番お手軽で再読しやすいかな。
民話論やら象徴論やら、こういうの大好きです。

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2009年10月04日

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