河合隼雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
コンプレックスとどう付き合っていくかを考えるヒントが得られたことと、コンプレックスは必ずしも悪いものではなく、成長のきっかけになるものだということが理解できたのが良かったです。
話題は、そもそもコンプレックスとは何か?から始まり、コンプレックスが人の心(自我)にいかに影響を与えているのか?コンプレックスをいかに乗り越えるか?と徐々に深まっていきますが、専門的な内容も平易な言葉で、具体例を多く挙げ説明されているので、興味深く読み進められました。
本の内容からは離れますが、文章の端々から河合隼雄さんの強い探究心と、自身の能力が有限であることへの自制の念が感じられます。見習いたい姿勢です。 -
Posted by ブクログ
「第一章 日本人の精神病理」が分かりやすく勉強になりました。
第二章以降の「ユングと出会う」、「日本人の深層心理」、「物語は何を語りかけるのか」は、いずれも深層心理を扱ったもので面白いし言っていることはわかるのですが、私にとっては書いてあることをそのまま受け取るしかなくという状況でした。河合隼雄をさらに何冊か読んでいけば「そういうことだったのか」と得心していくような気がしています。
★★★
それで、私にも分かった(ような気がした)第一章にどんなことが書かれているかというと、
母性の原理は「包含する」機能によって示される。そこにはすべてのものを良きにつけ悪しきにつけ包み込んでし -
Posted by ブクログ
まず、『大人の友情』というタイトルがいい。歌や本、映画の題名を考えるタイトラーという職業がある、と聞いたことがあるが、タイトル、つまり、本の名前によって、どれだけの人にその内容が届けられるのか、決まってしまう部分ってあると思う。
さて、内容は、河合節炸裂!
何事も断定的な言い方はせず、課題や疑問にふれつつも、大きな可能性を浮かび上がらせる、「あれ」です。
本当の友情、男女の友情、同性愛と友情、従来の関係を超えた友情、裏切りなど様々な視点を通して、本書全体では、あらゆる人間、いや、あらゆる生命との関係に激しさでなく、深さをもたらす「友情」のあり方を綴られていると思います。
もっと読 -
Posted by ブクログ
忘備録。あとで読み直して体系的に考える。
Twitterで一番印象に残ったとこはフランクに書きました。そういえば、何年か前のセンターか入試かで題材になったようですね。
私が私として意識し得ること、私の過去の経験のうちで記憶に残っていること、現在の私の感じている感情、思考していること、それに知覚していること、などのすべてはある程度の統合性を有し、ひとつの人格としてのまとまりをもって存在している。
実際、自分の無意識に動かされて行動し、後になってから後悔しても、自らの破滅を防ぎきれないようなことが起こり得るのである。その無意識の心の動きを把握するものとしてイメージがあると考えられる。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ今週おすすめする一冊は、心理学者で元文化庁長官の河合隼雄氏に
よる『河合隼雄のカウンセリング教室』です。タイトルからもわか
るように、本書はカウンセリングを学ぶ人のための連続講座を文章
に起こしたもので、もともとは専門家向けのものです。しかし、基
本的な内容ばかりですし、一般向けと考えて問題ありません。
特に、人との関係のあり方を考え直してみたいと思っている方、人
の話を聞くことに苦手意識を持っている方、人を受け入れることに
困難を感じる方、には得るところの多い内容になっています。
対象が仕事であれ、家族であれ、私達が向き合うのは人間です。人
間を離れた抽象的な仕事や家族は存在しません。そ -
Posted by ブクログ
ネタバレいやはや、心理とは難しい難しいとは思ってはいたが、改めて分からないことだらけだと痛感。ただ、その「分からない」と言う河合隼雄の言葉には深みが感じられた。
「発見的に分かる道をともにするためには、”分からない”と自覚する謙虚さが必要だが、これはまったく自身がないのとは異なる。自信がないのはハナからまったく分からない人である。”分かる”に分からないをつなぐ人は分かる自信と分からない謙虚さを持ち合わせている」
つなぐ。大事なことだと思います。下線引いたり太字にできるならそう表示したいです。
全てはわからない。分かる部分に分からないをつなげて分かろうとすることが臨床心理士の仕事だと河合隼雄は言う。