河合隼雄のレビュー一覧
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ネタバレ「中空構造」「揺り戻し」など、なるほどなぁと頷かされる部分がかなりある。すべて納得! とはいかないけれど、他文化に対するときは(ことに、中核のまったく異なるものをみるときは)命がけの姿勢で学ばねばならないという部分は、個人同士の理解においても適応されるように思うし、他の国の神話との対比も面白い。
また、『民話が、普遍的な心のありようを示すものであるのに対し、神話が、土地と国、つまり民族のありようを決定するもの(うろ覚えですが)』という、著者のほかの本のの文を、いま連想的に思い出した。
『命がけで学ぶ』、『民話と神話』。ここに、私がまだ掴みきれてはいないなにかのとっかかりがあるような気がしている -
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ネタバレ河合先生の本を少々深堀りしてみようと思い読んだ。
冒頭いきなり、著者は「この宇宙の中に子どもがいるということは誰でも知っていることだが、一人ひとりの子どもの中に宇宙があるということを知っているか?」と読者に呼びかける。
また著者は、大人がそのことに無知であると、子どもの中の宇宙を歪曲してしまったり、破壊してしまうことさえあると警告する。それも教育とか、指導とか、善意とかの名のもとに!
自身は失敗者の大人の一人であり反省とフォローアップを目的にいま読んでいるところだが、できれば多くの方には予防の位置づけで読んで頂きたい本であると思う。
子どもの中の宇宙の存在について、実際の子どもの事例を -
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昨日友人の子供の2歳の誕生日プレゼントに、図書カードをあげたのですが、
本を選ぶ目安になればと思い、タイトルだけでこちらの本を買ってつけて贈りました。
贈る際に、紹介できるようにと自分も読んでおこうと思い、別で購入して読みました。
私は小さい時に国語の先生だった祖父がよく児童文学を読んでいたのを、膝の上で聞いていたそうです。
また、「ノンタン」のシリーズの絵本を父親に読んでもらっていたのを覚えています。
今思えば、あれはすごく恵まれた日常だったのかなと思います。
子供向けだと思っていた絵本も、すごく深い意図があって細部まで絵と文字が作られていることを、
エピソー -
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日本における分析心理学の第一人者である、河合隼雄さんと、谷川俊太郎さんの対談集。
内面を探るための様々な手法「夢」、「箱庭」、「ロールシャッハテスト」等、それは、自我コントロール下にある覚醒時ではなく、自我コントロールが弱まってい状態時に本来の内面を探ろうとする取り組み。アルコールや麻薬、脳の機能の一部が失われることに伴う幻覚で夢とは仕組みが違う。
日本人は西洋人にくらべ、みんな依存するのが好きであり、依存と独立のバランスが重要。
『病気は個人の問題なんだけれども、ほとんどみんな社会的なひずみをせおっていると思うんです。』p236
『ぼくが憂鬱になっているということは、ぼくの心の中で何かのう -
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日本は、アジアの端の島
アイルランドは、ヨーロッパの端の島
…ということでキリスト教の影響が少なかったってこと
キリスト教って、文化を生み出した宗教だと思う
音楽にしろ絵画にしろホント素晴らしい
それでも見方を変えると神は一人でそれの存在しか認めない
と、いうことは今まであった伝説や昔話は、どこかに追いやられてしまう
しかし、現代の人間がどうにもならない心の動きを知るために
キリスト以前の事を調べる必要があると河合先生は考えていらっしゃるみたいです
日本は、妖怪
アイルランドは、妖精
ハッピーエンドでない昔話、浦島太郎に似た話がケルトにあるとの事
自然にいる沢山の神々の事
科学では、説明 -
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ネタバレグリム童話、時折日本の昔話を交え、洋の東西の差異に思いを馳せながら書かれたような考察。ひとつひとつ理由づけられたものがたりたちは、その理由づけた次元より深いところに存在しているのだろう、と、しぜん考えさせられる。グリム童話は矢川澄子さんの訳も巻末に付せられているが、岩波のセットを読み込むのもまたひとつと思う。……ただ、まだ未熟な視点しか持たない私のおさない感情ゆえだと思うが、「男性」の中にアニマとアニムスが(女性にも同様に!)同時に存在するということを頭において読み進めないと、ちょっと頭がおかしくなってしまいそうな気もする。“わたし”の中に、“男性”と”女性”が同時に存在するひとは少なくない、
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どの大人も子供の時代があった。
しかしながら目は自分のまつげをみえないのと同じように、自分自身の一部である子供時代の心のあり方について大人になっておもいだすのは難しい。
その結果、大人の視点で子供の心を解釈してしまいがちな親になる。
「大人になるということは、子供のころにもっていたすばらしい(内的)宇宙の存在をわすれることではないか」と著者は述べている。一方で「大人も自分のなかに宇宙があるのだが、地位や月給などの地位財にこころを奪われがちで、その宇宙の存在にきがつくことが案がいこわいのではないか」と。大人はそのような不安におそわれるのがこわいので、子供の宇宙の存在を無視したりは破壊してしまう。 -
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日本神話の中に古代から通底する日本人の心のあり方を探った著者晩年の集大成。深層心理学に基づいた視点により神話のそこかしこに調和を第一に重んじる日本的精神が息づいていることが本書では明らかにされていく。一人の日本人として自分のルーツがどんどん鮮明になっていくようで感慨深かった。日本神話に表れている心性が私個人の中でも中心的な地位を占めていることをいたく実感した。科学は分解する力だと言い、それと対比して神話は統合する力であるとして現代における神話の力の重要性を指摘しているのは、現代人の一人として深く同感するところである。ただし著者が序章で言っているように、現代を生きる私たちは日本神話の物語にそのま
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近代の働き盛りといわれている中年男性の周辺の心情や問題に関して描かれている。
結構前の本なのに、子供との問題、家族との問題、社会との問題、同僚との問題など、やっぱりいつの時代も
課題はあんまり変わらない。
ただ、心に留めておきたい箇所は「教育」で。
こんなに豊かになった社会で、子どもは親から与えられすぎてしまって。
自分で一生懸命、欲しいものを選んで買う楽しさや迷いや葛藤。
友達や先生との喧嘩の中で学ぶ人間関係や倫理感。
人格を形成する上での貴重な経験を奪ってはないだろうか?という問い。
大人になれば、欲しいものを自分で買える。誰かを攻撃したりするのは良くないし、思いやる気持ちが大切なのは