河合隼雄のレビュー一覧

  • 母性社会日本の病理

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    父性社会の物事を「切断する」ことと違い、母性社会は全てを「包含する」。西洋は父性社会であり、日本は母性社会である。それで日本の社会現象を説明できる。もちろんどの社会にも父性と母性の両方は存在するが、どちらが優位を持った社会であるかで違いがでる。「個」の倫理と「場」の倫理。「場」から疎外される孤独か。なるほどな〜と思える。またフロイトと違ったユングの夢分析の話も、興味深い。

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    2018年10月20日
  • 〈物語と日本人の心〉コレクション Ⅲ 神話と日本人の心

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    ネタバレ

    「中空構造」「揺り戻し」など、なるほどなぁと頷かされる部分がかなりある。すべて納得! とはいかないけれど、他文化に対するときは(ことに、中核のまったく異なるものをみるときは)命がけの姿勢で学ばねばならないという部分は、個人同士の理解においても適応されるように思うし、他の国の神話との対比も面白い。
    また、『民話が、普遍的な心のありようを示すものであるのに対し、神話が、土地と国、つまり民族のありようを決定するもの(うろ覚えですが)』という、著者のほかの本のの文を、いま連想的に思い出した。
    『命がけで学ぶ』、『民話と神話』。ここに、私がまだ掴みきれてはいないなにかのとっかかりがあるような気がしている

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    2018年09月15日
  • 子どもの宇宙

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    ネタバレ

    河合先生の本を少々深堀りしてみようと思い読んだ。

    冒頭いきなり、著者は「この宇宙の中に子どもがいるということは誰でも知っていることだが、一人ひとりの子どもの中に宇宙があるということを知っているか?」と読者に呼びかける。

    また著者は、大人がそのことに無知であると、子どもの中の宇宙を歪曲してしまったり、破壊してしまうことさえあると警告する。それも教育とか、指導とか、善意とかの名のもとに!

    自身は失敗者の大人の一人であり反省とフォローアップを目的にいま読んでいるところだが、できれば多くの方には予防の位置づけで読んで頂きたい本であると思う。

    子どもの中の宇宙の存在について、実際の子どもの事例を

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    2018年09月02日
  • 決定版 快読シェイクスピア(新潮文庫)

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    シェイクスピア翻訳者と松岡和子と心理学者の河合隼雄がシェイクスピア作品をネタに語る対談。主に松岡が物語上の問題的をし、河合がそこに心理学者としての分析を加えるという形。人物の心理や行動の分析が「腑に落ち過ぎて」逆にこじつけっぽく感じられる部分もあるが、大部分はなるほどと納得のいくもの。中でも『リチャード三世』の「善人は反省しない」という指摘や、『タイタス・アンドロニカス』の「命令形と疑問形」問題は、特に刺激的で面白かった。最近ずつと読んでいなかった河合隼雄の本また読みたくなった。

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    2018年08月09日
  • 絵本の力

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    昨日友人の子供の2歳の誕生日プレゼントに、図書カードをあげたのですが、

    本を選ぶ目安になればと思い、タイトルだけでこちらの本を買ってつけて贈りました。



    贈る際に、紹介できるようにと自分も読んでおこうと思い、別で購入して読みました。



    私は小さい時に国語の先生だった祖父がよく児童文学を読んでいたのを、膝の上で聞いていたそうです。

    また、「ノンタン」のシリーズの絵本を父親に読んでもらっていたのを覚えています。

    今思えば、あれはすごく恵まれた日常だったのかなと思います。



    子供向けだと思っていた絵本も、すごく深い意図があって細部まで絵と文字が作られていることを、

    エピソー

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    2018年07月31日
  • 〈物語と日本人の心〉コレクション Ⅲ 神話と日本人の心

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    日本神話を丁寧にたどって図式的に説明。
    古事記、日本書紀を読みなれている人からすれば、真新しいこともない指摘もある。結論がやや早急すぎて強引な気がする。他国の神話も豊富に引用して比較分析されているのはいいが、話が飛んでしまって読みづらい面も。

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    2018年06月02日
  • こころの最終講義

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    河合先生が京都大学における講義をまとめた内容であるが、やさしい言葉使いで、中学生でも聞くに堪える内容かと。
    心理療法の話題を期待して紐解くも、いい意味で期待を裏切られる。
    ・思春期というのは魂がかわるときであり、「蛹の時代」
    ・アニマ(anima)男性の無意識人格の女性的な側面を元型と規定した。男性が持つ全ての女性的な心理学的性質
    ・アニムス(animus)女性の無意識人格の男性的な側を意味する。女性の有する未発達のロゴス(裁断の原理)でもあり、異性としての男性に投影(Wikipediaより)

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    2018年02月11日
  • ユングの生涯

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    興味がある人について興味がある人が語っている。という意味で二重にお得な本だったかな。日本人のその筋の専門家がまとめたユングという感じ。なるほどユングという人が少しわかり河合隼雄という人が少しわかったような気がした。面白い時代を生き抜いたユニークな人だと思う。西洋人のアイデンティティを大切にしつつ東洋の感覚を西洋的に顕現できないかと苦悩、思索したことが伺える。観る夢の内容がユニークで興味深かった。

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    2017年12月18日
  • 心理療法個人授業

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    河合隼雄さんの個人授業を受けて思ったことを書いたものに河合先生が後にコメントをつけるといった体裁。理解が南伸坊さんなので、素朴な切り口、素人ならではの見方、感じ方に河合先生がって感じなので、あんまり専門的にならずに、心理学の輪郭を感じさせる。素朴な誤解だとか、安易な理解だとかを丁寧に解く感じ。平明で非常にわかりやすいと思う。

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    2017年12月18日
  • 魂にメスはいらない ユング心理学講義

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    日本における分析心理学の第一人者である、河合隼雄さんと、谷川俊太郎さんの対談集。
    内面を探るための様々な手法「夢」、「箱庭」、「ロールシャッハテスト」等、それは、自我コントロール下にある覚醒時ではなく、自我コントロールが弱まってい状態時に本来の内面を探ろうとする取り組み。アルコールや麻薬、脳の機能の一部が失われることに伴う幻覚で夢とは仕組みが違う。
    日本人は西洋人にくらべ、みんな依存するのが好きであり、依存と独立のバランスが重要。

    『病気は個人の問題なんだけれども、ほとんどみんな社会的なひずみをせおっていると思うんです。』p236
    『ぼくが憂鬱になっているということは、ぼくの心の中で何かのう

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    2017年10月21日
  • ケルト巡り

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    日本は、アジアの端の島
    アイルランドは、ヨーロッパの端の島
    …ということでキリスト教の影響が少なかったってこと

    キリスト教って、文化を生み出した宗教だと思う
    音楽にしろ絵画にしろホント素晴らしい
    それでも見方を変えると神は一人でそれの存在しか認めない
    と、いうことは今まであった伝説や昔話は、どこかに追いやられてしまう
    しかし、現代の人間がどうにもならない心の動きを知るために
    キリスト以前の事を調べる必要があると河合先生は考えていらっしゃるみたいです

    日本は、妖怪
    アイルランドは、妖精
    ハッピーエンドでない昔話、浦島太郎に似た話がケルトにあるとの事

    自然にいる沢山の神々の事
    科学では、説明

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    2017年09月13日
  • コンプレックス

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    15年ぶりくらいに再読。ふたたびの感動。

    91pから始まる船と船長に例えてコンプレックスを説明するくだり。
    そして78pの、自分の本当の感情に気がついた時の描写は何度読んでも素晴らしい。

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    2017年07月08日
  • 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話

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    グリム童話、時折日本の昔話を交え、洋の東西の差異に思いを馳せながら書かれたような考察。ひとつひとつ理由づけられたものがたりたちは、その理由づけた次元より深いところに存在しているのだろう、と、しぜん考えさせられる。グリム童話は矢川澄子さんの訳も巻末に付せられているが、岩波のセットを読み込むのもまたひとつと思う。……ただ、まだ未熟な視点しか持たない私のおさない感情ゆえだと思うが、「男性」の中にアニマとアニムスが(女性にも同様に!)同時に存在するということを頭において読み進めないと、ちょっと頭がおかしくなってしまいそうな気もする。“わたし”の中に、“男性”と”女性”が同時に存在するひとは少なくない、

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    2017年04月23日
  • 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話

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    面白い。童話好き、心理学好き(専門家以外)にオススメ。
    著者の知識と洞察力を感じる。
    若干、この話にはそんな深い意味はないんじゃないか?と、思うところがないでもないけれど・・・

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    2017年04月05日
  • 子どもの宇宙

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    どの大人も子供の時代があった。
    しかしながら目は自分のまつげをみえないのと同じように、自分自身の一部である子供時代の心のあり方について大人になっておもいだすのは難しい。
    その結果、大人の視点で子供の心を解釈してしまいがちな親になる。
    「大人になるということは、子供のころにもっていたすばらしい(内的)宇宙の存在をわすれることではないか」と著者は述べている。一方で「大人も自分のなかに宇宙があるのだが、地位や月給などの地位財にこころを奪われがちで、その宇宙の存在にきがつくことが案がいこわいのではないか」と。大人はそのような不安におそわれるのがこわいので、子供の宇宙の存在を無視したりは破壊してしまう。

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    2017年04月04日
  • こころの最終講義

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    講演をまとめたものだが、時系列ではなく、最終章が最も古くのものである。そこには日本人と西洋人の自我に対する考えかた、想いの相違が述べられており、物語に関心をもつきっかけになったという。そもそも人に納得してもらうには科学的であることが大事であり、そうでなければ宗教家とみられる危険もある。著者が煩悶したのはいうまでもない。文庫一冊で語りつくせぬものを感じた。2017.3.21

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    2017年03月21日
  • 絵本の力

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    河合隼雄、松居直、柳田邦男、講演・討議。
    おとながこどもに読んでやる本。おとなでも絵本を。

    C0095

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    2017年02月27日
  • 絵本の力

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    心理学者の河合隼雄、児童文学家で福音館書店のこどものともの編集長松居直、ノンフィクション作家の柳田邦男の絵本についての各々講演と、鼎談。松居の絵本は読んでもらってこその言葉に改めて絵本本質に気付かされた?

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    2017年01月22日
  • 〈物語と日本人の心〉コレクション Ⅲ 神話と日本人の心

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    日本神話の中に古代から通底する日本人の心のあり方を探った著者晩年の集大成。深層心理学に基づいた視点により神話のそこかしこに調和を第一に重んじる日本的精神が息づいていることが本書では明らかにされていく。一人の日本人として自分のルーツがどんどん鮮明になっていくようで感慨深かった。日本神話に表れている心性が私個人の中でも中心的な地位を占めていることをいたく実感した。科学は分解する力だと言い、それと対比して神話は統合する力であるとして現代における神話の力の重要性を指摘しているのは、現代人の一人として深く同感するところである。ただし著者が序章で言っているように、現代を生きる私たちは日本神話の物語にそのま

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    2017年01月14日
  • 働きざかりの心理学

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    近代の働き盛りといわれている中年男性の周辺の心情や問題に関して描かれている。
    結構前の本なのに、子供との問題、家族との問題、社会との問題、同僚との問題など、やっぱりいつの時代も
    課題はあんまり変わらない。

    ただ、心に留めておきたい箇所は「教育」で。
    こんなに豊かになった社会で、子どもは親から与えられすぎてしまって。
    自分で一生懸命、欲しいものを選んで買う楽しさや迷いや葛藤。
    友達や先生との喧嘩の中で学ぶ人間関係や倫理感。
    人格を形成する上での貴重な経験を奪ってはないだろうか?という問い。

    大人になれば、欲しいものを自分で買える。誰かを攻撃したりするのは良くないし、思いやる気持ちが大切なのは

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    2016年12月30日