河合隼雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
講演を元にした河合氏のカウンセリング論。
すでに他書で重複する部分も多いが、繰り返し述べられていることの重要性は痛感した。
以下、感銘した内容
・自分で考えて他人の役に立つと思ってすることが、かえって有害であることも多い。勝手に「分かった」と思っても、それは真の理解からほど遠いことが多い。
・弱いものの勘は冴えてくる(クライエントがカウンセラーや医師に対抗できるのは勘しかないから相手を見る眼が肥える)
・中学生、高校生のカウンセリングは顔を見たときに決まる。「このおっさん、ましや」と思ってくれるかどうかです。彼らはそういうことを非常によく知っている。
・カウンセラーが「おまえの気持ちは分かる」ということを拡大して、「おまえのやっていることはいいことなんだ」というのはダメ。
・役者の人が役作りにあれだけの苦労を重ねるように、ぼくらはクライエントの人生を共感しようと思ったら、どれだけたいへんなことか。
・教師、大人に問題をくれるのが問題児。こちらがそれを解かなければいけない。
・へたをすると理論とか技術の方にぼくらが縛られていきますと、人間味が薄れてしまう。
・自分の欠点を全部無くしたいという人が来たら、非常に慎重に対応しなければいけない。そのときにホイホイと催眠でなくしてあげましょうなんていうのは大間違い。だいたい人間の欠点をなくしたほうがいいと思っているだけで、カウンセラー失格です。
・早くから秘密を守れずに、自分の秘密をどんどんしゃべるような人は危ない、ということを忘れないでください。
・だいたい弱い人というのは過剰サービスをする傾向があります。 -
Posted by ブクログ
宗教のあたり、とても面白い。河合氏の主張は「常に物事は二律相反する性質を持っている」というもの。宗教に関しても、消長があるのは、とてもよく分かる。その上で、「100人、200人の人のためになるよりも、自分の子どものために尽くす方が人間にとって難しい」という一文は唸ってしまった。
そして、
《カウンセラー》は
・心理学だけ修めていればいいと言うわけではなくて、文学などを通して人間を究める必要がある。
・日本のカウンセラーは母性の上に父性や厳しさを持つ必要がある。
・普通の人が嫁姑、三角関係、不倫などと名前を付けて見るべきところを、そういうところではクライエントを見ない。カウンセリングの理論も含めて、「とらわれないこと」が肝要。
《クライエント》は
・カウンセリングを自己探求の安易な道具とすべきでない。
・カウンセリングを受けること、そして、人間を変えることは大変なこと。
他にも
・(日本人が)外国に行って自分の好きなことをし、どんどん自己主張するような態度になっても、それまでほんとうに強い自我を育て上げるような訓練を受けていませんので、きわめて中途半端な自我ができあがる。
というあたりも鋭い。
最後に、「たましい」との対話の章は、本当に読んで謙虚になれます。簡単に「分かった」とか言うな、と自戒しています。 -
Posted by ブクログ
大抵の日本人は自らを無宗教者としていますが、日本人の日常生活には宗教的行動がたくさん浸透しています。
そのような「宗教」という物の日本人の考え方や宗教の意味、そして人間にとって宗教はなぜ必要なのかなど、4人の著者が幅広く考察して論じています。
私も本書を読むまでは宗教そのものの意味もよく分からず、偏見でしか宗教を見る事ができませんでした。しかし本書によって「宗教」そのものの意味や存在理由を知ることができ、宗教に対する観方がずいぶん変わりました。
国際化していく現代で日本人独特の宗教に対する偏見を見直して、本書によって世界ではあたりまえのように信仰されている宗教について知る事も重要だと思います。 -
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ネタバレこれは、ある程度、ちょっと深く源氏物語を読んでないと、引用が分からないかも。
源氏物語は視点を変えると別なモノになる。
母系社会(古代)と父系社会(キリスト教・中世近代)。
日本は、その二つが複雑に絡み合ってるらしい。
源氏物語に登場する女性たちは、紫式部の分身(当たり前)。
男(光源氏)に対して、母なのか、妻なのか、娘なのか、娼(愛人?)なのか、としての女性たちの生き方、考え方。
書き進めるうちに、それらを越えた個としての女性像を描こうとしたのではないか。それが、ラストを飾る「浮舟」。彼女が高みで心の平安を得たのに対し、薫も匂宮も世俗の域を出られない。
浮舟、万歳!!!(笑。
くううう、こんな勉強したかった!!! -
Posted by ブクログ
"老いるとはどういうことか" は入試の小論文で私が出された課題そのものでした。参考になるかもしれないと本を購入したものの、読むことによって影響を受け、自分自身の考えを書くことができなくなるんじゃないかという不安から、結局今まで読むことができませんでした。いざ読んでみると、110のコラムから成るこの本は私に、新しい考えを次々と分け与えてくれました。
この本はハウツー本ではなく、こういう考え方もあるんだよという様々な引用や著者自身の考えが述べられています。見開き1ページで1つのコラムという形式から気軽に読むこともできるし、何より押し付けが全くないため素直に読むことができます。
中でも特に面白いと感じたのが、アイヌの人たちの考えた「神用語」。アイヌの人たちは、老人の言うことがだんだんわかりにくくなると、老人が神の世界に近づいていくので「神用語」を話すようになり、そのために、一般の人間にはわからなくなるのだと考える、という。痴呆といえば、ただわずらわしいものとして思われがちだけど、そう考えれば見方も変わってくる気がします。
日本はまだ福祉先進国のようなシステムの整わないうちに高齢社会になってしまったために、国としても、また国民としても戸惑いは大きいだろうし、こんなに生きるはずじゃなかったのに、という人も少なくはないはずです。そこで悔やむよりは、前向きな思考でいる方がずっと楽しく過ごせるはずです。この本はそんなきっかけを与えてくれます。 -
Posted by ブクログ
詩人の谷川俊太郎さんと心理学者河合隼雄の対談形式での対話をまとめたもので、1979年が初版だそうです。
副題がユング心理学講義とあります。まずは、河合さんのユング心理学研究所での生活や、なぜに心理学を研究するようになったか・・という話から入っておられます。
その一因が、『死』をとらえる感覚らしいですね。死んだらあの世にいくのだろうが、天国とか地獄なんてようわからん。祈りで救済されるとはおもってないるそんな合理精神が強い少年だったらしい。その点でも、ユングという人物も合理精神で宗教をとらえていた人だったところから、自分と似ており、最終的には彼の研究をすることになったという。
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Posted by ブクログ
今の自分にとって、ジャストタイミングで出会えたと思えた本。
「答えは問処にあり」という言葉がとてもしっくりときて、折に触れて思い出すようになりました。
そのほか、「その人にとってほんとうに幸せか」考えること、「相手が攻撃できる可能性を残すこと」、「そこにいること」、言葉と心を一致させることなど、多くの示唆をいただきました。
また、カウンセリングは本人の心に深くコミットするものであり、連携はコミットのための便宜である、という説明は、とてもすっきりと受け取れるものでした。
これからも、きっと、読み返す機会が訪れる本だろうなと思いました。この本ができるきっかけとなった本も、ぜひ読みたいです。