河合隼雄のレビュー一覧
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ネタバレユング派心理学の日本での第一人者であった
河合隼雄氏によるエッセイ集。
人、本、言葉、家族、など「出会い」にまつわる
内容のものが多く集められています。
河合隼雄さんの著作には、
いくつか、若い頃から触れています。
そうやって、考え方を多少なりとも知っていても、
まだまだいろいろと新しい発見があり、
揺さぶられたりする。
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理解力の浅い人は、よく怒る傾向がある。
ものごとが「理解できない」ときは、
人間は不安になり、不安を打ち消すために感情を爆発させる。
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というのもそう。
うちの親父がそうだなあと思いつつも、
それだけじゃないことが、
その後の「しつけ」「父性」 -
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家族の問題について各現場から河合隼雄に寄せられた質問に、自説を述べながら答えている。目新しいことはないけれど、わかりやすく納得しやすい内容。。
一貫して言われていることは「世の中、何でも自分の思い通りに行くわけではない」ということ。
だからこそ生きていく上で拠り所が必要で、それが今失われつつある宗教やイエが果たしていた役割。
日本社会の質・形の変化を悪者に、「昔は良かった」とするのではなく、変化に適応できていないのをどうにかすべき。
・長い個人主義の歴史をもつ欧米と、最近個人主義を大切にする風潮が出てきた日本。
個人主義が悪いという訳ではない、和を尊ぶことでうまくやってきた日本では強い「個人 -
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ネタバレセラピストとして名高い、故・河合隼雄さんの、
40歳前のころの講座を4つ収録したものです。
カウンセリングの基礎の基礎である、
その立場や姿勢について述べている。
しかしながら、
カウンセリングの技術的なことに終始しているわけではなくて、
一般の人として、他者と向かいあうためだったり、
自分自身を知るためだったりすることに役立つ考えや
知識がたくさんでてきます。
たとえば、
頑張れない人に対して、そのひとのなかに怠け心をみるよりも、
まず劣等感が強いのではないかと見るべきじゃないか、というような考えもそう。
また、
早期解決をまず考えるというのがセオリーかもしれないけれど、
早期解決が本 -
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本当に尊敬する人には先生という言葉をつけたくなる。面識がなくとも、自分の中の一部になった(なってほしいという願望も込めて)気がして、先生、と呼ぶ。
これはユング研究で有名な河合隼雄先生が猫を語る本である。古今東西様々な物語の中に登場する猫という存在を通じて、その猫に人間が託したものを解説してくださる。
化け猫であり招き猫でもある二重性やトリックスター的性格、それは誠実を託されがちな犬にはない魅力。有名どころが多いのでマニアには物足りないだろうが猫小説の案内書として読むも良し。冒頭に説明される、数学の連続体問題を使った魂の捉え方なんかはいかにも先生らしい感じでほっこりする。 -
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河合隼雄さんの読書に関する講演を文字に起こしたもの。河合隼雄という名前は村上春樹関連でちらちら聞いたことがあるだけで正直何故この本を購入したのかも思い出せないんだけど、思いのほか実り多い読書となった。河合隼雄さんは臨床心理学者であり、ユング派学者であり、臨床経験も豊富。タイトルだけ聞いたらありがちな自己啓発系読書本なのだが、文字通り、「こころ」の働きから本を読み解こうというテーマ。つまり、「自我」「エス」「アニマ」「悪」とか。いろいろ。中でも第一章「私とそれ」、第三章「内なる異性」の夏目漱石の、異性、魂についてとか、すごく目から鱗でした。自分がこれまで本を読んできて、何に引っかかりを覚えていた
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人間が成長などの変化をする時に、それまでの自我による規範を超えなければならない。そういう時に人は意識(自我)と無意識(自己)の間を行きつ戻りつし、主体自体を変化させていくというのが、ちょっと違うかもだけど、ユング心理学の考え方なのだろうか。世界に似たような童話というものが多くあって、そこで喩えられるエピソードは、国を超えて人間という生き物全体が一種納得のいく喩えとして選択したものだということができるだろう。そういう童話の中からグリム童話を題材とし、アニマやアニムス、トリックスター、父性原理、母性原理などユング心理学のキーワードを持ちいて人間の深層心理のありようにせまる。心理学になじみのない人で
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河合さんの発言が示唆的だった。松居さん、柳田さんはどこかですでに聞いている話で、新鮮みに欠けた。
ただ、松居さんがバーレイの『わすれられないおくりもの』は危険と発言されていることは、そういう見方もあるか、メッセージが強すぎる絵本のイデオロギー性の危険に気づかされた。あくまで与え手の問題が大きいと思うが。
・絵本というのは実に不思議なものである。0歳から百歳までが楽しめる。小さい、あるいは薄い本でも、そこに込められている内容は極めて広く深い。一度目にすると、それがいつまでもいつまでも残っていたり、ふとしたはずみに思い出されて、気持ちが揺さぶられる。それに、文化の異なるところでも、抵抗なく受け -
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フロイト派とユング派、日本を代表する両派の第一人者である小此木氏と河合氏の対談が収録されていて、とてもおもしろかった。教科書や専門書だけでは分からない、フロイトとユングの細かい人物像や、最後の方は日本文化論にも及んで、読み応えがあった。日本文化論のところでは、今の日本が抱える問題点が、両氏が対談した昭和53年のころから何も変わってないと思えたり、またこのころすでに予見されてたりして、そういう点も興味深かった。
ただ、対談、すなわち口語であるので、とても分かりやすい部分と、いまいち伝わりきれてない部分とがあり、その点が少し残念。これからもフロイトとユングのことは勉強していくことになると思うが、折 -
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1979年初版発行の本です。
もう35年も前ですが、今読んでも面白いです。
ざっくりとしてわかりやすく、
河合さんがご自身のしている心理療法のベースとなる
ユングの考えや経験、ご自身の所見などを語っていきます。
谷川さんはあくまでわき役として、質問を投げかけていきます。
これは!と思ったところを引用すると、
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谷川:普通の人間は、その自己治癒能力ですか、それを不断に働かせているわけですね。
河合:普通は、それが適当にうまく働いているわけです。
だから深く悩むこともなく深く治ることもなく、みんな生きているわけでしょう。
いわば普通の人間は自分で自分なりの治療行為をして