河合隼雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(memo)
◇心的エネルギーの退行
(P71)
"人間の自我はその活動にふさわしい心的エネルギーを必要とする。ところが、その心的エネルギーが自我から無意識へと流れ、自我が利用しうるエネルギーが少なくなるときがある。それを心的エネルギーの退行という。
このような退行状態では、人は活動できないし、意識的統制の少ない空想にふけったり、幼児的な願望が強く前面に出てきたりする。退行状態におちいると、われわれは他人の少しの親切を無闇にありがたく感じたり、少しの冷たい仕打ちを極端に冷酷に感じたりする。それは現実とずれたものではあるが、観点を変えると、より真実を把握している―拡大した形で―とも言うことができる。"
◇グレートマザーの否定的側面、強すぎる母親(未成熟なアニムス)
(P81)
”母親は無意識的なグレートマザーにも比すべき保護と、父親的な強さという役割をしょいこむあまり、人間的な母親の役割がもっとも手薄になってくる。”
”子どもは一方で過保護を体験し、一方では人間的な接触に欠けるという点で、強い拒否を体験している。”
(P82)
”物質的な過保護の裏には、しばしば人間的な愛情の不足がある。"
”かまどの火に身体を焼くほどの苦しみと、死と再生の過程を経なければいけない”
(P256)
"アニムスは女性を苦難を通じて、より高い自我へとひきあげる。"
(P257)
”このような転落はアニムスにとりつかれた女性がしばしば味わうものである。”
(P258)
”アニムスを真に発展させようとする人は母性を発展させなければならない。”
”アニムスに鍛えられない母性はあまりにも泥くさく、母性によって支えられないアニムスはあまりにも冷たい。”
(P281)
・西欧はキリスト教に基づく一夫一妻制の影響で、昔話にもお姫様と結ばれてハッピーエンド(自己実現)のものが多くみられる。
日本においてはこの限りではない。一夫一妻ではなかったから。自然と人は対立する概念でなく、一部である、という自我と世界の境界のユルさ。
人は言いたい事を、事実・こじつけてもっともらしく言うものだ。
力による条件つき正義による歴史。 -
Posted by ブクログ
なかなか微妙だったけど、結論は読んでよかった、面白かったです。
河合隼雄さんという人の本を読んだことなかったので、一度読んでみよう。
というだけの動機でした。
どの本を読もうかなあ、と考えたのは、
①電子書籍であること。合間合間で読みやすいから。
②最近の本であること。物語本じゃないから、あんまり昔のものだと、ピンとこないかも。
③あんまり分厚くないこと。
というわがままな条件にひっかかったのが、この本でした。
内容は、題名の通り、家族の問題について、全国の臨床心理士さんが河合隼雄さんに質問を寄せ、そのいくつかについて答えるカタチで、河合隼雄さんが自説を述べる、という本。
いちおう、2000年以降の本だし、上記の構成なので語り言葉風。読みやすい本でした。
僕の印象で、微妙だったところは。
①全体的に、やや老人的な「とにかく昔がよかったのよ」という発言があり、多少白けました。
②全体的に、「とにかく欧米は日本よりGOODなのよ」という言い方が耳について。多少白けました。
という2点だけですね。
でありつつ、素敵に矛盾しているというか。
昔の良くなかったこともちゃんと言及している。
欧米礼賛については、やや無根拠すぎる節はあります。ただ、「モノゴトの考え方の根っこにキリスト教っていう宗教があるから、その分、地域社会とかの人間関係が希薄になってくる現代、最終的によりどころがあるから、楽だよね」という意見が根っこなんだな、と思いました。
それはそれで、例外異論もいっぱいあると思うけど、一つのジジツではあるよな、と。
で、読んで良かった、面白かったなあ、と思えたのは。
高度成長、そして今不景気社会と、世の中が変動する中で、どうあるべきか、という、いちばん肝心なところの物の考え方、分析、その辺は、僕は好きでした。
要は、「世の中思い通りなんか行くわけないんだから、無駄に深刻に悩みすぎ」
というとらえ方がある一方で、
「今日本で起こっていることは、ある意味前例のない状況。かつての教訓やモラルや習慣では乗り切れない」
「かつての時代の、良かったところというのは分析したり認めたりできる。でも、それを再現しようとするのは、無理」
「結局、西欧的個人主義になってくるんだけど、西欧とちがって宗教というモラルっていうか、軸はない。だから、西欧的理性に基づいて、対話というのをちゃんとしていくしかない」
「敵に突撃しろ!と言われたときに、真っ先に突撃する、という精神よりも、"なぜ突撃しなければならないのか?"と満座の前でも声をあげることが、父性としても大事である」
といったような内容。納得。同感。
また、女性の社会化に伴う母性の在り方とか、いろんな家族についての問題、角度、視点が語られています。
そういう分析はすごくすごく納得で、なるほどなあ。と。
ただ、「じゃあどうしたら良いのか」という論になると。
「前例をあてにせず、対話を。ひとりひとりが考えて、決定して、行くしかない」
という総論は、僕は好き。
で、やや具体論になると、ちょっとユートピア的というか。
理想論すぎるというか(笑)。
そんな印象はありました。
でもね、なるほどなあ。と全体には思いました。最晩期の本のはずだけど、視点や考え方は、新しい古いじゃない。納得できるものだなあ。と。
また別の本も読んでみる気になりました。
と、言いつつ、日本のユング派の巨匠だそうなんで。じゃあユング読めよ、っていう話になるんですけど、実はフロイトすら挫折して読んでないんです。
言い訳ですけどね・・・翻訳で読むのがなんか違和感があってね・・・。
面白くないんだもん・・・。 -
Posted by ブクログ
本から
男性の無意識に存在する女性像の原型の存在をアニムス(アニマの
男性形)と呼んだ。
アニマ
「内なる異性」を外界へと投影し、現実の異性に対して恋愛感情を抱く。
アニマは男性の心の中の女性的な側面と結びついている。われわれが
真に「結合」をはからねばならぬのは、内なる異性との結合なのである。
アニムス
女性のアニムスが強くなると、それは母性を敵対視する。すべての
ものを同様に包み込んでしまう母性の働きは、アニムスの全てを
区別し判断する働きと、中々両立し難いのである。
アニムスは高い知識や、決断力、実行力などを与えてくれるものである。
アニムスは、もともと根付いた存在としての女性を、高みへと連れ出し、
その存在に形を与えてくれる役割を果たすものである。
アニマ、アニムスの存在によって、実のところ、二人の男女関係は
四人の関係にまで複雑化されるので、男女関係というものは、
思いの他に難しく、不可解なものとなるのである。
自ら投影したアニマ、アニムス像を、自らのこととして引き受けることの
出来る人は、そこに人格の成長を経験することになる。これを「投影の
ひきもどし」と呼ぶ。
人間は一方で安定を欲しつつ、一方では変化を求めている。
苦悩や努力なしに人間が成長することはない。
女性の方が自分が「存在する」。男性は何かを「する」。
「死の受け入れ」こそが、われわれの老年をより生き生きとしたものと
するのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
本書は,ずいぶん昔の本だけど,現代の子ども理解にも通用すると思います。心理学が科学ならば,そうじゃないといけませんよね。
1980年代に書かれた文章なので,その当時,何が問題だったのかがよくわかります。
今のような不登校や引きこもり…という行動様式とは違い,当時の子どもたちは,直接,外に訴える形で,自分の生き方の模索をしていました。それを問題行動と捉えないで教師が行動できる視点を与えてくれています。
ベテランと言われる教師の教室でも学級崩壊が起きているといいます。子ども理解の為には,経験だけではなく,ちゃんと学ぶ必要がありますね。
河合隼雄さんの文章は,読みやすくていいですね。