河合隼雄のレビュー一覧

  • 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話

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    まず注意したいのは巻末に原文が全て掲載されているという事!私は一通り読み終わってから気づき膝から崩れ落ちる思いでした(ちゃんと目次読め)
    おとぎ話自体殆ど読んだ事が無い私でも、興味深く読めました。
    伝承のためのお話という普遍的なテーマを、心理学者独特の視点から丹念に分析しています。

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    2013年10月22日
  • 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話

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    (memo)

    ◇心的エネルギーの退行
    (P71)
    "人間の自我はその活動にふさわしい心的エネルギーを必要とする。ところが、その心的エネルギーが自我から無意識へと流れ、自我が利用しうるエネルギーが少なくなるときがある。それを心的エネルギーの退行という。
     このような退行状態では、人は活動できないし、意識的統制の少ない空想にふけったり、幼児的な願望が強く前面に出てきたりする。退行状態におちいると、われわれは他人の少しの親切を無闇にありがたく感じたり、少しの冷たい仕打ちを極端に冷酷に感じたりする。それは現実とずれたものではあるが、観点を変えると、より真実を把握している―拡大した形で―とも言うことができる。"

    ◇グレートマザーの否定的側面、強すぎる母親(未成熟なアニムス)
    (P81)
    ”母親は無意識的なグレートマザーにも比すべき保護と、父親的な強さという役割をしょいこむあまり、人間的な母親の役割がもっとも手薄になってくる。”
    ”子どもは一方で過保護を体験し、一方では人間的な接触に欠けるという点で、強い拒否を体験している。”
    (P82)
    ”物質的な過保護の裏には、しばしば人間的な愛情の不足がある。"
    ”かまどの火に身体を焼くほどの苦しみと、死と再生の過程を経なければいけない”
    (P256)
    "アニムスは女性を苦難を通じて、より高い自我へとひきあげる。"
    (P257)
    ”このような転落はアニムスにとりつかれた女性がしばしば味わうものである。”
    (P258)
    ”アニムスを真に発展させようとする人は母性を発展させなければならない。”
    ”アニムスに鍛えられない母性はあまりにも泥くさく、母性によって支えられないアニムスはあまりにも冷たい。”

    (P281)
    ・西欧はキリスト教に基づく一夫一妻制の影響で、昔話にもお姫様と結ばれてハッピーエンド(自己実現)のものが多くみられる。
     日本においてはこの限りではない。一夫一妻ではなかったから。自然と人は対立する概念でなく、一部である、という自我と世界の境界のユルさ。


    人は言いたい事を、事実・こじつけてもっともらしく言うものだ。
    力による条件つき正義による歴史。

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    2013年09月02日
  • 父親の力 母親の力 「イエ」を出て「家」に帰る

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    なかなか微妙だったけど、結論は読んでよかった、面白かったです。

    河合隼雄さんという人の本を読んだことなかったので、一度読んでみよう。
    というだけの動機でした。
    どの本を読もうかなあ、と考えたのは、
    ①電子書籍であること。合間合間で読みやすいから。
    ②最近の本であること。物語本じゃないから、あんまり昔のものだと、ピンとこないかも。
    ③あんまり分厚くないこと。
    というわがままな条件にひっかかったのが、この本でした。

    内容は、題名の通り、家族の問題について、全国の臨床心理士さんが河合隼雄さんに質問を寄せ、そのいくつかについて答えるカタチで、河合隼雄さんが自説を述べる、という本。
    いちおう、2000年以降の本だし、上記の構成なので語り言葉風。読みやすい本でした。

    僕の印象で、微妙だったところは。
    ①全体的に、やや老人的な「とにかく昔がよかったのよ」という発言があり、多少白けました。
    ②全体的に、「とにかく欧米は日本よりGOODなのよ」という言い方が耳について。多少白けました。
    という2点だけですね。

    でありつつ、素敵に矛盾しているというか。
    昔の良くなかったこともちゃんと言及している。
    欧米礼賛については、やや無根拠すぎる節はあります。ただ、「モノゴトの考え方の根っこにキリスト教っていう宗教があるから、その分、地域社会とかの人間関係が希薄になってくる現代、最終的によりどころがあるから、楽だよね」という意見が根っこなんだな、と思いました。
    それはそれで、例外異論もいっぱいあると思うけど、一つのジジツではあるよな、と。

    で、読んで良かった、面白かったなあ、と思えたのは。
    高度成長、そして今不景気社会と、世の中が変動する中で、どうあるべきか、という、いちばん肝心なところの物の考え方、分析、その辺は、僕は好きでした。
    要は、「世の中思い通りなんか行くわけないんだから、無駄に深刻に悩みすぎ」
    というとらえ方がある一方で、
    「今日本で起こっていることは、ある意味前例のない状況。かつての教訓やモラルや習慣では乗り切れない」
    「かつての時代の、良かったところというのは分析したり認めたりできる。でも、それを再現しようとするのは、無理」
    「結局、西欧的個人主義になってくるんだけど、西欧とちがって宗教というモラルっていうか、軸はない。だから、西欧的理性に基づいて、対話というのをちゃんとしていくしかない」
    「敵に突撃しろ!と言われたときに、真っ先に突撃する、という精神よりも、"なぜ突撃しなければならないのか?"と満座の前でも声をあげることが、父性としても大事である」

    といったような内容。納得。同感。
    また、女性の社会化に伴う母性の在り方とか、いろんな家族についての問題、角度、視点が語られています。

    そういう分析はすごくすごく納得で、なるほどなあ。と。

    ただ、「じゃあどうしたら良いのか」という論になると。
    「前例をあてにせず、対話を。ひとりひとりが考えて、決定して、行くしかない」
    という総論は、僕は好き。

    で、やや具体論になると、ちょっとユートピア的というか。
    理想論すぎるというか(笑)。
    そんな印象はありました。

    でもね、なるほどなあ。と全体には思いました。最晩期の本のはずだけど、視点や考え方は、新しい古いじゃない。納得できるものだなあ。と。

    また別の本も読んでみる気になりました。
    と、言いつつ、日本のユング派の巨匠だそうなんで。じゃあユング読めよ、っていう話になるんですけど、実はフロイトすら挫折して読んでないんです。
    言い訳ですけどね・・・翻訳で読むのがなんか違和感があってね・・・。
    面白くないんだもん・・・。

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    2013年07月03日
  • 父親の力 母親の力 「イエ」を出て「家」に帰る

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    今起こっている問題に関する考察については、うならされる内容だった。
    懐古的な記述内容については、疑問。それほど昔がよかったのかについて、公正な目で検証できているとは思えない内容だった。
    今後に関する考察については、もう少し踏み込んでみて欲しかったな、と思う。

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    2013年06月09日
  • おはなし おはなし

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    とても知性的な文章で、気持ちよく読めた。
    著者の専門と非専門の線引きがしっかりしているのもよかった。

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    2013年06月09日
  • 臨床とことば

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    対話の部分がとても読みやすい。
    偶然で解決したことを言語化しないで居ることは、臨床をやってる人だからこそじゃないだろうか。専門的に学んでて時間があって余裕のない学生なら、下手に言語化してしまう気がする。

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    2013年05月11日
  • 大人の友情

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    「友情」で結ばれていると思っても、何かあれば嫉妬したり不安になったりもするのが人間の常。
    河合隼雄さんが「友情」について易しく教えてくれる本です。

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    2013年03月31日
  • カウンセリングを語る(下)

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    下巻の方は、カウンセリング諸派の比較などから始まり、 より実践的な内容です。

    10年前に買った本を、ひょんなことから手にとりました。
    当時には感じなかったことを、ひしひしと感じます。

    積読もしとくもんだと。

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    2013年02月01日
  • 猫だましい

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    通してずっと面白い!というわけではなかったが、興味を引く箇所多数。村上春樹訳の空飛び猫、大島弓子の漫画、ポールギャリコ、谷崎潤一郎やコレットの、男と女と猫の話、などは原作を読みたくなった。牝猫と男性と同居するのは危ないのか?私の知ってる、猫と相思相愛な関係を築いている人というのは女性ばかりなので、ピンと来ない。

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    2013年01月23日
  • 働きざかりの心理学

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    本から

    男性の無意識に存在する女性像の原型の存在をアニムス(アニマの
    男性形)と呼んだ。

    アニマ
    「内なる異性」を外界へと投影し、現実の異性に対して恋愛感情を抱く。
    アニマは男性の心の中の女性的な側面と結びついている。われわれが
    真に「結合」をはからねばならぬのは、内なる異性との結合なのである。

    アニムス
    女性のアニムスが強くなると、それは母性を敵対視する。すべての
    ものを同様に包み込んでしまう母性の働きは、アニムスの全てを
    区別し判断する働きと、中々両立し難いのである。
    アニムスは高い知識や、決断力、実行力などを与えてくれるものである。
    アニムスは、もともと根付いた存在としての女性を、高みへと連れ出し、
    その存在に形を与えてくれる役割を果たすものである。

    アニマ、アニムスの存在によって、実のところ、二人の男女関係は
    四人の関係にまで複雑化されるので、男女関係というものは、
    思いの他に難しく、不可解なものとなるのである。

    自ら投影したアニマ、アニムス像を、自らのこととして引き受けることの
    出来る人は、そこに人格の成長を経験することになる。これを「投影の
    ひきもどし」と呼ぶ。

    人間は一方で安定を欲しつつ、一方では変化を求めている。

    苦悩や努力なしに人間が成長することはない。

    女性の方が自分が「存在する」。男性は何かを「する」。

    「死の受け入れ」こそが、われわれの老年をより生き生きとしたものと
    するのではないだろうか。

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    2013年01月14日
  • 河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおして

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    ネタバレ

    これもかなり前に読んだ。 河合隼雄さんはユング派、私はアドラーの流派に近いところで学んでいるが、卓越したセラピストは、流派を超えた共通点があるんだと感じた。

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    2012年08月18日
  • 日本人とグローバリゼーション

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    【日本人は歴史感覚がないから、昨日のことをきれいさっぱり水に流して、新しい価値観を取りこんでいくことができる。】

    日本人のあうんの呼吸というか、察するというかそういった日本のグローバル化についてどうしていけばいいの?ということを石井米雄氏との対談形式で記述された本。
    なかなか読みやすかった。これを呼んで思ったことは、もっと日本(自国)の文化と歴史を知ろうということ。

    ちょっとそちらのほうも深堀してきたいなぁ。

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    2012年08月04日
  • 日本人とグローバリゼーション

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    国際化・グローバリゼーションとは何なのかを文化・宗教の側面から考えるのにいい一冊。一般教養としての文化・歴史・宗教を学ぶ大切さを感じる一方で、昨今の国際化教育のおかしさを思う。

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    2012年07月27日
  • 昔話の深層 ユング心理学とグリム童話

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    心理学者である、ユングを読み解く事はなかなか勇気が普通はいるかも
    しれないけれども、こういう民俗学から見た、深層心理って読みやすいし
    気になってとても面白かった。

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    2012年07月18日
  • 日本人とアイデンティティ 心理療法家の眼

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     本書は,ずいぶん昔の本だけど,現代の子ども理解にも通用すると思います。心理学が科学ならば,そうじゃないといけませんよね。
     1980年代に書かれた文章なので,その当時,何が問題だったのかがよくわかります。
     今のような不登校や引きこもり…という行動様式とは違い,当時の子どもたちは,直接,外に訴える形で,自分の生き方の模索をしていました。それを問題行動と捉えないで教師が行動できる視点を与えてくれています。
     ベテランと言われる教師の教室でも学級崩壊が起きているといいます。子ども理解の為には,経験だけではなく,ちゃんと学ぶ必要がありますね。
     河合隼雄さんの文章は,読みやすくていいですね。

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    2012年07月15日
  • 日本人と心理療法 心理療法の本(下)

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    再読なんですが、新鮮に読めました。河合先生のご本は、書いてあることが似ていますが、それでも、ターゲットオーディエンスによって、あるいは時代によって、少しずつ書かれ方が違います。この本はわりと初期の、比較的専門性の高い論考が多くて、さらさら読むというわけにはいかないかもしれませんが、そのぶん、河合先生がその時々に考えていたことがうっすらと見える気がして、よかったです。この本の<上>である「ユングと心理療法」も、読んだような気がするんだけど、出てこない。

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    2012年05月27日
  • コンプレックス

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    私が変わり始めたせいか
    とってもおもしろかった。

    少し大学の頃よりも理解できることが増えた
    …ような気がする(笑)

    でもまだまだ読み足らないと思うから何回か読み直したい。

    普遍的無意識について、今まで本能と何が違うのかなと思っていたけど
    これを読んだら少し違いが見えてきた気がする。
    けどまだまだだなぁ。

    これを読んだら自分にはまだまだ想像力が足らない
    ってことがわかったから
    なんとかしよう。


    ただ私には影とコンプレックスの違いがイマイチわからない…

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    2012年05月20日
  • 働きざかりの心理学

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    「人間は必ず死ぬのであってみれば、人間はすべて進行の遅い癌になっているようなものである。」という言葉が衝撃だった。読む人によっても、そのタイミングによっても、背負ってきたものによっても、それぞれ違う色を見せる本。また読もう、もっと大人になったら。

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    2012年03月31日
  • 心理療法個人授業

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    「村上春樹 河合準雄に会いにいく」以来、河合先生のおっかけ?です。個人のご著書は高尚すぎて歯が立たないこともありますが、対談形式のものはわかりやすくていいですね。南伸坊さんのお顔しか存じませんでしたが、鋭い観察眼と頭良い方なのですね。特に誰の書いたものという表示がなかったので時々どちらの書いたものなのかわからなくなるほど、鋭い指摘が多々あったのが印象的。中でも「物語がミソだった」の章は目からうろこでした。

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    2012年03月26日
  • 対話する人間

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    心理療法という「対話」のプロである著者の考えが味わえる本。

    戦後、個人主義を取り入れ、日本特有のしがらみを悪として取り去ろうと努めた結果、現代の日本人は孤立しているという。
    そこで、これからは「対話」が大切になってくると。

    この本は、様々な他者との対話はもちろん、自分との対話についても書かれています。

    特に私は、矛盾した自分の性質についての第五章「夢と現実」の中の片子の話が印象的でした。

    対話はすごく心のエネルギーが必要で、それから逃げない、という心構えが大切なのかなと思いました。

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    2012年03月18日