宮木あや子のレビュー一覧
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激しい歴史の渦に巻き込まれ、遠い時代にタイムスリップした心があまりの切なさと苦さで痛いです。
運命に翻弄されながらも強く優しく生きたガラシャの気高さに圧倒させられます。
ガラシャに限らず、この時代に生きた人たちは生死が近く、制限が多く、幸せがとても刹那的に見えてそれだけでも苦しいくらい。心の方位磁石を持たないと正気で生き抜くことができない時代ですよね、きっと。
主君殺しという大罪を負った罪人の娘ながら一人生きながらえている罪、
産声すらあげさせることなく冷たい赤子を生んだ絶望感、
いっそ死んでしまえば、いっそ狂ってしまえたらと思いながら日々を送るガラシャの気持ちに寄り添うとこちらまで引きずり込まれてしまいそうに。
そんな暗闇の中に一筋の光となった恋や信仰、それすらも厳しい制限の中にあるんですよね。
史実ではガラシャが亡くなったのは38歳のときのことだといいます。その短い一生の中にどれほど絶望を味わったんでしょうね。
本書の最後の章は、この本の中で唯一の救いでした。
一目会ったときからガラシャを支えると決め慕い続けた次女 "糸"の存在感も大きいです。
真っ直ぐにガラシャしか見えてなかった彼女が大人になるにつれて柔らかくなっていくのも、なんだか愛おしい。
それからやっぱり印象に残っているのはガラシャの夫、忠興。強い想いはプラスに働く分にはいいけど、マイナスに働くと危ない、といういい例ですよね。
そんな彼も母のいない喪失感を抱えながら生きてきたんですものね。
心の平安を保つのはなんて難しいんでしょうね。
気持ちの拠り所があれば、人は狂わずにいられるんでしょうかね。
本書には書かれていませんが、ガラシャの辞世の句が ちりぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ" だと知り、また胸を打たれました。 -
Posted by ブクログ
なんて救いのない物語なのだろう.美しすぎるがゆえに苦難を強いられる少女.来世ではあの少年と結ばれて欲しいと願わずにはいられない.しかし背表紙のあらすじはちょっと難ありだと思うな.あれじゃ低俗な官能小説と勘違いされてしまうだろうに.
以下あらすじ(背表紙より)
人を狂わすほどの美しさを内包した一人の少女。父親や男たちの欲望から逃れ女子校に入学するが、教師に襲われ学園を去る。しかし転校先でも同級生からのいじめと教師からの暴行は繰り返され―。やがて少女は安息を求め、教師の前でスカートを捲り言う。「私をあと二年、守ってください」。桜咲く園は、天国か地獄か。十代の絶望を描く美しき青春小説。 -
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小路さんがいらっしゃるので購入。
電車移動時間等におすすめな読みきりサイズの短編集。
宮下さんはスコーレNo.4のみ読んだことがあり、他の方々の作品は初めて読みました。
本というキーワードを多角的な視点でピックアップして物語が展開しています。
「メアリー・スーを殺して」は、二次創作の畑を通ってきた身としては、お、俺を殺してくれ、と思うような暗黒時代を思い出させるような、そんなリアリティのある空気にえぐられました。面白かった。
やっぱり大好きな作家さんということで贔屓目もりもりな気もしますが、「ラバーズブック」がとても好きです。読み返したい短編。短絡的じゃなくて完結していてなおかつ重量がある文章。すきです。 -
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それぞれ事情がある4人の美しい少女。
人里離れた岬にある全寮制の女子校で出会い‥
端正な文章で淡々と描かれるムードのある世界です。
大変な資産家の娘だけが入ることの出来る特殊な学校。
学生証をかざすだけで、広大な敷地内にあるテーマパークのような店でブランド物の洋服も流行のスイーツも手に入れられるが、出て行くことは出来ず、新聞もテレビもない。
自由と情報はないのです。
卒業すれば、どこの大学の卒業証書も手に入れられるという。
提携している高校では「島流し」と称されていました。
財閥の愛人の娘・三島敦子は、小柄で長い黒髪。
愛人の娘の中では早くから三島翁に認知され、可愛がられてきたが、学校はここになった。
都岡(つおか)百合子は母を知らない。母は名家の娘だったらしく、めったに会うこともない父は外国人。都岡はすらりとした西洋の人形のような外見だ。
やはり資産家の娘だが、三島ほどではなく、都岡をそばにおきたがる三島に気に入られている限り続く関係だった。
ひと気の少ない海沿いの寮に、新入りが入ってくる。
男の子のように短い髪の矢咲(やざき)実。
クラスメートだった黒川財閥の娘さくらと心中未遂を起こし、周囲の視線から逃れるようにここに来た。
少し早く来ていた小津ひまわりは、母が中国人のデザイナーで、リルファンという名も持つ。
少女の頃には人気モデルだったが、母は娘を一時的に利用しただけで本当の関心も愛情もなかった。
閉鎖された空間で、可愛いもの綺麗なものに囲まれつつ、物憂げに日々を過ごす娘達。
都岡はモデルだったリルファンのことを知っていた。
矢咲は、さくらに似ている三島に惹かれ始める‥
互いに少しずつ触れ合い、興味を抱き、人間関係が交差していきます。
そのはかなさ、ほんのひとときの熱さ、動きの取れない切なさ。
嫉妬も愛情も感じるけれど、どう生きたらいいかをまだ知らない脆さ。
大学1年にしては無抵抗で幼い気もするけれど‥
もともと孤独がちな育ち方もあり、こんな場所に入れられてしまったら気力も衰えるだろうか。
しかし、こんな非現実的な4年間を過ごして、家が使う駒としてであっても、役に立つ大人になれるのかな?
現実味はあまりないのですが、さらさら綴られる物語に酔いしれていたくなります。
恩田陸の作品や、萩尾望都の作品を思い出しますね。
もうあれは古典?
宮木あや子が書くと、こうなるのですね。
こうなる必然性はないのではと思う結末も、影響を受けた作品の雰囲気とモチーフの変形という観点からすると、わかるような気もするのです。