宮木あや子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
宮木さんの日本語が好き。 あえかな とか初めて現代小説で見かけたのではないだろうか。綺麗で、柔らかで、的確で。すごいなぁ。
隔絶された大学に住まう、訳ありで裕福な四人の少女たちがたおやかに惹かれあい傷つけあうお話。
地の文で気になったのは他者の存在感。確かに学校の在り方として人との接触を極力減らすようになっているんだろうなぁ。と読める描写をしているのだけど、それでも不自然なほど他人が細かく描かれない。興味のない人間はいないと同じ、というある意味当然な感覚なんだけど、その中に気遣いと残酷さと自己愛がない交ぜになったような歪みを感じて、なんだか少し怖い。
愛しいから近づかれたくないみたいな相反する -
Posted by ブクログ
登録数800冊目。
私、時代小説を読むのは好きなのですが
歴史に疎く名前を聞いても何をした人なのか
どの時代に生きた人なのかほぼわからず。
登場人物の数が多いと頭がこんがらがるので
今回の小説はスポットにあたる人数が少なかったので読みやすかったです。
明智光秀、織田信長などの有名どころな人たちの話なのも有難かったです。
史実をもとにしたフィクションなのだろうけれど、
終わり方は大満足。
読み終わった後にガラシャと忠興の夫婦仲は良かったと書かれていたが、本当のところはどうだったのだろう。
明智光秀には都市伝説もたくさんあるし、歴史ってやはり面白いなぁ。 -
Posted by ブクログ
激しい歴史の渦に巻き込まれ、遠い時代にタイムスリップした心があまりの切なさと苦さで痛いです。
運命に翻弄されながらも強く優しく生きたガラシャの気高さに圧倒させられます。
ガラシャに限らず、この時代に生きた人たちは生死が近く、制限が多く、幸せがとても刹那的に見えてそれだけでも苦しいくらい。心の方位磁石を持たないと正気で生き抜くことができない時代ですよね、きっと。
主君殺しという大罪を負った罪人の娘ながら一人生きながらえている罪、
産声すらあげさせることなく冷たい赤子を生んだ絶望感、
いっそ死んでしまえば、いっそ狂ってしまえたらと思いながら日々を送るガラシャの気持ちに寄り添うとこちらまで引きず -
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Posted by ブクログ
なんて救いのない物語なのだろう.美しすぎるがゆえに苦難を強いられる少女.来世ではあの少年と結ばれて欲しいと願わずにはいられない.しかし背表紙のあらすじはちょっと難ありだと思うな.あれじゃ低俗な官能小説と勘違いされてしまうだろうに.
以下あらすじ(背表紙より)
人を狂わすほどの美しさを内包した一人の少女。父親や男たちの欲望から逃れ女子校に入学するが、教師に襲われ学園を去る。しかし転校先でも同級生からのいじめと教師からの暴行は繰り返され―。やがて少女は安息を求め、教師の前でスカートを捲り言う。「私をあと二年、守ってください」。桜咲く園は、天国か地獄か。十代の絶望を描く美しき青春小説。