あらすじ
卑猥な宝石に恋する少女趣味(ロリータ)ファッション店員、美少年の生徒に慕われる幼児体型の養護教諭、アイドルの夫の帰りを待つ幼妻、可愛い恋人がありながら不倫するSM女子、優しく賢く美しい叔父様に引き取られた少女、「眠り姫」と綽名される女子大生……薄い胸、華奢な四肢、可憐な顔立ちで周囲の欲望を絡めとる少女たち。その刹那のきらめきを閉じ込めた異端にして背徳の恋愛短篇集。R-18文学賞受賞作家が描く愛の毒6篇。
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Posted by ブクログ
短編ということもあり、一つ一つが浅くならないか不安だったが、思っていた以上に綺麗に纏まっていてそれぞれに満足出来る作品に感じました。
官能表現も丁寧なので、読んでいて楽しかったです。
作品全体として百合作品が多い印象があったので百合が苦手な方はは向かないかもしれなません。私はこの作品でしっかりとした百合が含まれる小説を初めて読んだのですが初心者にはおすすめかなと思いました。心情表現もしっかりされていますしね。
激しく気ないぬるい官能表現で百合が好き、隙間時間を利用したいから短編が良いなという人にはおすすめできると思います。
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センセーショナルなタイトルで手を出しかねていたのですが「悪意」というキーワードを見かけて手を出すことに。
確かに「官能」と少女(というか発育不良の女性)の物語です。
しかし、何とも靭い物語。
その底には虐げられた、あるいは挫折した人々の切ない愛が流れているようです。
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少女からかけ離れる代わりに折り合いが付けられるようになった寂しさがそのままの状態である。共感するけれど通り過ぎた道を振り返るような封じ込めた願いを思い出すような感覚。「一人きりでは、迷子になることもできなかった」って…泣いちゃいそうになるなあ。
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嘘であってほしいって
願いながら読んでしまった。
本だし作り物なのは解っているけどね。
官能な表現は下品じゃなく
下衆だけどその中にも美しさも
感じられるような文体で
すごい表現だなって思った。
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宮木あや子が2012年に発表した短編集の文庫版。タイトルから連想される、いわゆる少女が主人公の作品もありますが、年齢的なものに縛られるのではなく、少女が持つ危うさや毒を抽出して濃縮したような女性を「少女」と作者は呼称していると感じました。性描写、服装など描写が緻密で、原色がばらまかれたような世界をこれでもかと見せられて眩暈がします。短編集ですが、微妙に話が繋がっていて、多面的に物語を把握できて面白さを感じました。万人にお勧めできないのがもったいない。今井キラのイラストも世界観を彩るのに一役買っています。
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書店の「書店員が本気でお薦めする本」的な棚で見付けた。ハヤカワJA・この表紙・このタイトルということで、ここで買わなかったら一生読まないだろうと思って購入した。
一般的に「メンヘラ」とカテゴライズされるような少女が出てきて、愛情・性欲といった問題に振り回され傷付く短篇集。
「身の回りに愛すべきものたちがあるのに、なぜ人は、人とのつながりばかりに重きを置くのでしょうか。人の気持ちが手に入ったってそれは目に見えないし、離れてゆくさまだって見えません。勝手に人に愛情を注いでおいて、望んでいた量の愛情がその人から戻ってこなかったからといって流す涙よりも、予約期日を過ぎてしまい、入荷当日お店にいったらもうそのお洋服は完売、という状況で流す涙のほうが、よこしまな願望がない分、ずっと綺麗です。」(p.26)など、まぁそういう考えもあるよね、それもアリだよね、と思うような、登場人物独自のフィルターから世間を解釈する描写が多い。
ただし、ごくごく普通の解釈を受け入れてうまくやっていければ人生イージーなのもまた真実で、普通の解釈を受け入れるために自分を加工できるか、それとも加工を諦めて茨の道を傷付きながら進むのか。茨の道を進む人はどうすれば救われるのだろうか。
この物語の少女たちは、恐らくはその容姿のせいなのか、歪んだ性の対象と見られてしまい、世間から見たら歪んだ愛情を抱くようになってしまう。メンヘラは騙しやすいなんて暴言を何かで見たけれど、不安定な道を生きる、ましてや若い人とくれば、そりゃまあ崩れやすいだろう。
相手に悪意がなかったとしても、短篇『春眠』『モンタージュ』の少女と教師のように、関わり方の難しさもある。少女側からすればとんでもない極悪人なんだけど、フツーの世界に無理矢理引っ張ろうとする教師も、それはそれで一つの正解なんだろうし。
タイトルにも含まれる「官能」だが、これはこれで良かったと思う。コンクパールの描写とかすごかったし、他のシーンは物語のどうしようもない悲しさも相まって非常に良かった。こういう悲しいエロさ、何と表現したら良いのだろう。
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表紙買い。宮木あや子作品、初めて読んだ。文章は読みやすいし雰囲気も結構好きだし、他の作品も読んでみようかな。
本の帯に「恋愛小説」って書いてあったけど、恋愛小説とは違うような気がした。恋愛が絡んではいるけど、登場人物同士の心はあんまり通ってない。全部の話に寂しさを感じた。それから、何度か出てくる血の描写が妙に印象に残る。個人的には、この本はエログロ小説。
最初に恋愛小説を期待して読んだからかな、「春眠」がいちばん好きだった。印象のよくない主人公が「モンタージュ」でも再登場したけど、こちらでは良い先生ぶっててシュールだった。最後、ちょっとスカッとしたよね。
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2016年、8冊目は宮木あや子の短編集。6編収録。
今回はネタバレ避けたいので、それぞれの粗筋等は省略します。
コレが「官能か?」と問われると、個人的には「微妙な位置」だと答えざるをえない。もちろん、性的描写、それも、ロリ、ユリ、相互観賞自慰、視姦etc(順不同)と、フェティシュなモノが並んでいる。一方で、コレは代表作(デビュー作)『花宵道中』でも感じたのだが、「男を勃てるため」として機能しないのよ。まぁ、R-18文学賞が「女性のための~」というお冠だからかもしれないけれどね。
全体的に、もっと軽いノリの作品達かと思いきや、少々中だるみはあるものの、ヴァラエティーもあり、興味深い。おかげで、一晩、一気読み。特に「雪の水面」「モンタージュ」(とすると「春眠」も)は良かっただけに、もぅ少し分量欲しかった。
そして最後に、装丁もナイスです。読後表紙を見返すと……(折り込んである部分を開くと更にグッとくる)。
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宮木あや子さんの文章が好きなのだ。早川文庫と言うレーベルも好きで見つけた瞬間購入を決定したのだ。
濃密な女性の心理描写に相変わらず頭がくらくらして、なおかつこの作品は今まで読んだ中ではダントツの性愛描写で。いやタイトルに偽りなしって言っちゃえばそりゃそうなんだけど、いやうん、通勤・通学の読書にはちょっと向かない。
官能小説って読んだことはないのだけれど、こんなにも内面が描かれるものなのかしら。同性愛、小児愛、一般には「異常」と言われる愛の形のその裏の、はたまた隣の、歪んだ、むしろ純粋な感情をまざまざと見せつけられているイメージ。
なんだろう、物語の少女たちは愛されたいと、満たされたいと叫んでいるのだと解釈してもいいのだろうか。ままならないこの世を地獄と思いただ叫んでいるのだろうか、全然わからない。誰かの感想を聞いてみたい。
緑色にも見える灰色の空 という表現が好きだった。
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宮木あや子さんの短編集。
どのお話に出てくる少女も、哀しくて痛々しくて。
官能部分の描写がストーリーの邪魔をしているようにも感じながら読んでいた。
最後のモンタージュに来て、他の話からの意外な流れに感動。
人間の精神は、危うい。
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朝日の書評で見て興味を持ったので。女性の視点で性が描かれている。が、ロリータ、軟禁されている少女、生徒と関係をもつ養護教諭、アイドルの夫を待つ幼妻など、そのシチュエーションは様々。著者の作品は『校閲ガール』を読んでいるが、トンマナが全く違う。著者の、女性の、2面性が垣間見れているのか。
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R指定本なのも知らず、官能の意味も知らず馬鹿な状態で買ってしまったんですけどストーリーは読みやすく、ただまあすごい内容がちゃんと官能表現が綺麗でした。私にはとてもそれが強く印象に残りました。
章のまとまりも綺麗でした。ただ私には官能小説は早かったのかな、一旦途中でリタイア中です。
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コンクパール
武田
「ナインマルス」の販売員。サブチーフ。
マユコ
エンジェルガーデンに勤めている。
リナ
マユコの後輩。
黒川
たくさんのお金を落としてくれる親子連れ。
春眠
岸田
保健室に来る少年。
養護教諭。
中村
和泉
手首を切る女生徒。
光あふれる
柴田亜由
ピンクのうさぎ
須藤
木下
愛子
雪の水面
靖恵
風間ゆあ。
モンタージュ
牧
心療内科の看護師兼受付。
和泉榊
中村
数学教師。
斉藤
養護教諭。
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いろんな本を読んでみようと思い、初官能小説
これがオーソドックスではないとは思うけど、
性が絡めば恋や愛が絡む分、翳りや憂いを感じられる作品が多く雰囲気はかなり好みだった。
性描写が思っていたよりも少なく、
普通の小説でのセックスよりちょっと細かく表現されてるぐらいな文章感
実際にはこんな人たちがいて、
これよりも濃い人達もいるのだろうと思うと、
人間って面白いなと思わされるのです
好みはコンクパール、光あふれる、モンタージュ
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ふーん、えっちじゃん。
官能は官能でも未成熟なグロくて痛くて病んでる感じ。悪くない。
挿絵が可愛い。
春眠の岸田は私のものにしたい。
春眠とモンタージュが繋がりがある。
ピンクのうさぎの恋人(彼女)は一体なんなんやって感じ。
コンクパール
春眠
光あふれる
ピンクのうさぎ
雪の水面
モンタージュ
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私が私であることを誰が証明できる?
誰の言った言葉なのかやっぱり判らないけれど、
まずらそれを証明するのは私でありたい。
『モンタージュ』より
少女が恋する物語が詰まった一冊。
そのお相手は宝石だったり、先生だったり、
色々だったけれど
あまり読んだことがないような内容ばっかりで
面白かったです!
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どの作品も影があって、
「官能」「少女」に「影」が交わるとすごく胸がザワつく。
言葉だけで官能的な表現をするのは
とても難しいと思いますが…
読んでいてどういう意味なのか
スっと頭の中に入ってこないところがちらほら。
Posted by ブクログ
こわいこわいこわいこわいこわ……。
登場人物が全員狂っているか壊れているか変態かだった。
耽美小説として良いのかな……と感じるような、狂った美しい世界ではあったけれど、とにかくこわい。
「コンクパール」
モノしか愛せない女と女の話。
宮木あや子の世界によく出てくる謎の金持ち一族“黒川家”登場。
その元を辿ると『太陽の庭』に行きつくのだが詳細を忘れた。
「春眠」
途中までは、女教師と男子高校生の禁断の恋……的なムードだったのが、一気に変態教師の恐怖の物語に。
中村は、主人公の高校時代の隠し撮りをどうやって撮ったのだろう。
彼女は女子校で、中村の教え子ではないようだったし。
「光あふれる」
こわいこわいこわいこわい……。
児童虐待を受け続けた結果、狂ってしまった少女の話。
初潮も迎えてないのに体を売って、想像妊娠とかこわすぎる。
「ピンクのうさぎ」
なんかおかしい……ヤバい、ヤバい、ヤバい。。。
ターナー症候群と性同一性障害?の恋人同士。
この恋人、一体どういう人なんだろうか……。
「雪の水面」
こわいこわいこわい……キモいキモいキモい……。
この“叔父様”は一体何者なんでしょうねえ。
主人公が見せられているリストは、性犯罪者のリストなのか、テロリストのリストなのか。
あと、叔父様の家に来た男たちは誰なのか?警察?
「モンタージュ」
「春眠」で描かれた世界の裏側&その後。
性被害で受けた心の傷を隠すために、相手を愛していたと記憶を改竄する……ありそうな話だ。
とにかく全編通して恐いしキモいし、ほぼ救いがないし、宮木あや子らしい狂った世界観で嫌いじゃないけど、もう一度読み返したい本ではない……。
あと、どの話も全てが明らかにならないので、真相が気になる。
Posted by ブクログ
男性性に(男性にではなく)消費される事を愛だと思い込まなければならない少女達が痛々しい。
誰もが埋まらない穴(比喩的な)を持っていて、その穴をあけた相手で物理的に埋めようとするのも痛々しい。
もう大人なのに、読んでて辛い。
Posted by ブクログ
オムニバスです
どの作品も、自分もこの頃こんな事考えてたなとかこんな風に感じてたという事を思い出しました
ただ当時の私と大きく違うのは自傷という感覚がなかった事です そこが今時かな