宮木あや子のレビュー一覧
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明治ブルガリアヨーグルトを舞台にしたなかなか攻めた小説でした。
ただ途中で挟まれる乳酸菌の擬人化小説がどうにも難しいというか、カタカナの乳酸菌名についていけずそこは飛ばさせてもらいました。
以下、心に残った文
彼女の実家は「私たち」と違う者は排斥される小規模な共産主義国のような集落にある。
しかも由寿は3・11で家を失った被災者である。還ってこなかった友達もいた。
生きてて良かったね。
生きてるだけで恵まれてるんだよ。
住む場所があって良かったね。
言うほうは何も意図していなかったであろうその類の言葉を、たぶん由寿は自分でも意識しないまま心の奥で十字架にしてしまった。怖い目に遭うから「女の -
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アメリカの俳優ニック・オファーマンが出演作品について、「なぜ同性愛者の物語にする必要があったのか?」と訊かれて「そういうくだらない質問するやつがいるからだ」って言い返したというニュースを気に入ってたんだけれど消えてる…フェイクだったのかな?
久々に百合アンソロジーなどを。百合でなきゃ得られない養分が…とかってわけではないけれど、やはりなんというか、この関係性じゃないと生まれない痛み、のようなものがある。でもそれって普通の恋愛小説と何が違うの? と思うことも。純度の問題なのだろうか? LGBTQに配慮も忖度もしないオレのような者が、しかしなぁ。
全8編。特に気に入った(そして気に -
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タイトルに惹かれて読んだ本。
頻繁に明治のヨーグルトを食べていることもあり、読書アンテナに引っかかりました。
序盤中盤となかなか面白いと思ったのですが、終わり方が残念。
ぬるっと何も起こらずに終わるので不完全燃焼感あり。
ヨーグルトうんちくはいくつか収集できたので、その点はマル。
東京在住の地方出身者って、色々思うところありますよね。
かくいう私も東京在住地方出身者なわけですが、今は上手く擬態できちゃってるのではないかという自己評価です。
どっちが良いとか悪いとか上とか下とかはもちろんないですが、いずれにせよ、理由のない風習や価値観に誰かの人生が妨害されるのはこの世の中で最悪なことのひ -
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百合って何ーっ!?という気持ちになった。
海外が舞台だったり、ファンタジー設定だったり、メタフィクションだったり、バリエーション豊かな短編集。ちょっとラノベっぽい作品が多いような。BLの女性版みたいな作品を想像していたら、全然違った。表紙から抱いていたイメージとも違った。性描写が激しい、というわけではないけど、なんだか感情が重くて読んでいてちょっと疲れてしまった。
斜線堂有紀の「選挙に絶対行きたくない 家のソファーで食べて寝て映画観たい」と宮木あや子の「エリアンタス・ロバートソン」がよかった。
また、著者の紹介や、それぞれの著者による百合作品紹介のページが充実していて、興味をそそられた。巻末の -
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ネタバレアニメや漫画や映画に関しては百合大好物だが、百合小説には疎い。
カバーイラストを「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」に関わるめばちさんが描いているので、手を伸ばした。
気になっていた作家さんも多かったし。
ネット発の作家さん多し。
とはいえ、カバーイラストが具体的にどれかの作品を表しているかといえばそうではないし、むしろ半分くらいがファンタジーや歴史モノやメタモノなので、イラスト詐欺といえなくもないが、まあ変化球を含んでいるということ。
絵はいい。断然いい。→このイラストの路線を求める方には、むしろ漫画の「エクレア あなたに響く百合アンソロジー」をお勧めしたい。
以下、私的好み度をA、B、Cで -
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今まで読んだ宮木さんの作品は痛快に困難を笑い飛ばして行くような、元気をもらうような作品ばかりだったので今回のテイストは初でした。
誰からの注意を惹きつけてしまうような美少女。守られるべき幼少時代に自分で自分を守るしかなかった。自分をただの子供として扱ってくれる数少ない人と巡り会えたことが唯一の救い。
それでも少女は大人になることなく人生を終えてしまった。ただ一人心を通わせた少年の復習を誓って。
現実離れしているところもあったと思う。そこまですべての人が欲望まみれで美男美女に対して接するとは思えないが、少女の周りのすべての男性は欲望の対象に、すべての女性は敵にという状況は生きにくかっただろうと思 -
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全体的に上手くまとまっている雰囲気。
『選挙に絶対行きたくない(略)』はセクシャルマイノリティによるヘテロセクシュアリティへの反旗の話でもあると感じる。だって確かに選挙にも行かず期日前投票の日すらダラダラ過ごしてても、好きな人との日々を確約されてるなんて、それこそ""ずるすぎる""。二人をすれ違わせたのは結局信条の違いなんかじゃなくて、いつまでも同性婚を認めない政府の方針なんだなと思った。
ガッツリめのファンタジーが苦手なタイプで、ちょこちょこ挟まるファンタジー要素たっぷりのお話を読み進めるのが大変だったので、この評価。
宮木あや子さん目当てで買ったけど -
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うーん。こ、これは‥。こんなにレビューを書くのが躊躇われる作品は、そうそうないです。書きたくない、というよりは、どう書くのが適切かと考えてしまい、自分の価値観や感性が晒される(これはどの作品も同じか)ような気になります。
狂気と幻想‥。脳裏に浮かぶ言葉はこれで、読み手を軽々と非日常・非現実世界へ誘いました。
全編を貫く性暴力からは、性的感覚を享受するような「官能」は感じません。どちらかと言うと、美しさを最高価値とし、傾倒・陶酔する「耽美」なのかと受け止めました。
6つの章で語り手の視点が異なり、少しずつ物語が重なり合っていきます。読み手の心に浮かぶ謎が徐々に明かされる構成は、ミステリ