宮木あや子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2016年、8冊目は宮木あや子の短編集。6編収録。
今回はネタバレ避けたいので、それぞれの粗筋等は省略します。
コレが「官能か?」と問われると、個人的には「微妙な位置」だと答えざるをえない。もちろん、性的描写、それも、ロリ、ユリ、相互観賞自慰、視姦etc(順不同)と、フェティシュなモノが並んでいる。一方で、コレは代表作(デビュー作)『花宵道中』でも感じたのだが、「男を勃てるため」として機能しないのよ。まぁ、R-18文学賞が「女性のための~」というお冠だからかもしれないけれどね。
全体的に、もっと軽いノリの作品達かと思いきや、少々中だるみはあるものの、ヴァラエティーもあり、興味深い。おかげ -
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ずっと読みたい本リストに載っていたのですが、やっと読めました。
資産家の娘だけが入れる、岬の学校。
学生証をかざせば、キャッシュレスでブランドものからスイーツまで何でも手に入る。手に入らないのは、情報と自由だけ。読ませる設定で、独自の世界観を描いているのが、さすがです。
耽美な世界に溜息がでそうになりながら、それでいてあまりに閉鎖的な世界に息を詰めながら読み切りました。
宮木さんの本はいろいろと読んできましたが、その中でもこの作品の個性は特に強いですね。リアリティがどうとか、そんなの関係なしに、引き込まれます。
この少女たちの年齢特有の潔癖さとか、視野の狭さとか、美しさとか・・・なんでこうも -
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読む度に惹きこまれる宮木さんの小説。
大正から戦後にかけてを強く、逞しく生き抜いた女性を描いたこの短編集は、読み進めていくにつれ連作短編小説だと気付きます。点と点が線になる。
解説は三浦しをんさんが書かれているのですが、これがまた素晴らしく小説の魅力を伝えていて、ページを閉じるその瞬間まで、むしろ読み終えた後も余韻が残り、幸せでした。
何をもって幸福なのか、不幸なのか。
理不尽なことがない人生なんてない中で、登場する女性たちに、幸せなことも、辛いことも訪れて、それはこの小説に限らず、現実に生きている私たちも同じこと。
全体を通して際立つのは、愛する男性の存在。
そして、女性同士の深い繋がり -
Posted by ブクログ
宮木あや子さんの文章が好きなのだ。早川文庫と言うレーベルも好きで見つけた瞬間購入を決定したのだ。
濃密な女性の心理描写に相変わらず頭がくらくらして、なおかつこの作品は今まで読んだ中ではダントツの性愛描写で。いやタイトルに偽りなしって言っちゃえばそりゃそうなんだけど、いやうん、通勤・通学の読書にはちょっと向かない。
官能小説って読んだことはないのだけれど、こんなにも内面が描かれるものなのかしら。同性愛、小児愛、一般には「異常」と言われる愛の形のその裏の、はたまた隣の、歪んだ、むしろ純粋な感情をまざまざと見せつけられているイメージ。
なんだろう、物語の少女たちは愛されたいと、満たされたいと叫んでい -
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ネタバレタイトルからはA面を想定していたが、中身はガッツリどB面。
デビュー前の5人組アイドルグループ、“スノウホワイツ”のファンである5人の女性たちの物語。
この人の本は、艶やかで哀しく美しい世界であるはずのA面よりも、ギャグもあり、ありえない設定やおかしな男女の行動でクスリと笑ってしまうB面の方がグサグサ刺さる。
A面はファンタジーであるがB面はリアル。
私たちの生活に直結しているのはB面だなー、と。
そして女同士の関係は総じて「隣の芝生は青い」ということに集約される。
第二話で益子は桜井に対し「きっと苦労を味わったことなどないのだろう」と感じでいるが、読者は第一話で桜井の苦悩を知っている。
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2016年、20冊目は宮木あや子。
財政界に強い影響力を持つ「永代院」は一般には知られず、地図にも載らない場所にあった。
永代院に纏わる連作短編、5編収録。
『雨の塔』の続編(?)的位置付けの作品。『雨の塔』の全寮制女子大も随所に出てきますし、その成り立ちもわかるので、やはり、ソチラを先に読んだ方が、より楽しめるでしょう。しかし、構成は全く異なります。
個人的には、前半の「野薔薇」「ウツボカズラ」の2編が好み。後半にかけて「永代院」の核心が明らかになっていくんだけど、ソコよりも閉鎖された世界で暮らす「駒也」「和琴」の話に引き込まれた。コチラの方が、宮木あや子の良さ出てる気がする。
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Posted by ブクログ
ある一部の人たちからは神と崇められ、地図には載らない秘密の地、特別な一族がこの日本にはいる。
ぞくぞくするような面白さで、一気に読み切りました。
現実離れした物語を読んでいるような気でいたら、ふいに鋭い問いかけがあったり、世界観に浸りつつも、神のいない世界を想像したら味気なくて寂しい気持ちになりました。
読んでいて新鮮だったのが、永代院に連なる人たちが主となる章で、インターネットもなければスマホも出てこない、情報が随分少ないんですよね。
今私がそんなことになったら不便でしかないんだけど、最初からその状態が通常であればかえって情報に翻弄されることがなくていいかもしれない…なんて思うくらい、ど