宮木あや子のレビュー一覧

  • 官能と少女

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    2016年、8冊目は宮木あや子の短編集。6編収録。

    今回はネタバレ避けたいので、それぞれの粗筋等は省略します。

    コレが「官能か?」と問われると、個人的には「微妙な位置」だと答えざるをえない。もちろん、性的描写、それも、ロリ、ユリ、相互観賞自慰、視姦etc(順不同)と、フェティシュなモノが並んでいる。一方で、コレは代表作(デビュー作)『花宵道中』でも感じたのだが、「男を勃てるため」として機能しないのよ。まぁ、R-18文学賞が「女性のための~」というお冠だからかもしれないけれどね。

    全体的に、もっと軽いノリの作品達かと思いきや、少々中だるみはあるものの、ヴァラエティーもあり、興味深い。おかげ

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    2017年02月07日
  • 春狂い

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    少女とは病みで
    美しさとは呪いで

    桜庭一樹の七竈が光としての絶望であるならば ここには何もない
    春が狂っている

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    2017年02月06日
  • ガラシャ

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    明智光秀の娘で細川忠興に嫁いだ細川ガラシャの一代記。
    明智光秀、玉子(洗礼名ガラシャ)、玉子の侍女である糸、そして忠興の父・幽斎の目線で順に物語が綴られていく。

    戦国時代に関しては予備知識がほとんどないので、あまり歴史小説という意識なく読んだ。
    著者の他の作品に比べると、ぐいぐい引き込まれる感じが少し弱いかなと思うけど、充分読み応えある。
    特に、「マリア」の章に入ってから物語が加速度的に展開し、目が離せなくなった。

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    2017年01月08日
  • 喉の奥なら傷ついてもばれない

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    エグり エグられ、
    傷つけて 傷つけられても、
    その愛が欲しい。
    そんな 禁忌を犯した人妻たちの、6編の短編集。
    最初の、「天国の鬼」
    未熟な恋の爪痕を 残そうと、
    『喉の奥なら、傷ついてもばれない。』
    少年の言うセリフが切なくて。
    だけど、青春ラブストーリーで終わらない。
    痛い、辛い、恐ろしい…
    短い物語で、いろんな感情沸き起こり、
    忘れられない一編となった。
    最後の「泥梨(ないり)の天使」
    母親が抱く、娘への
    過保護な愛が、危険すぎる

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    2016年10月17日
  • 春狂い

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    ネタバレ

    ドロドロのどA面。
    私は最近「B面はリアルでA面はファンタジー」と思ってたけど、解説の彩瀬まるが“箱庭”と表現していて、あーなるほどと思った。

    初めから終わりまで、

    「うへぇ、こいつ変態だ」
    「美しすぎるのも大変だな……」
    「うわぁ、うわぁ……(言葉にならない)」

    という3つの感想の繰り返し。
    本当は愛し合っていたのにすれ違っていた夫婦の話は悲しかったな。
    夫の話を読んで、何度妻の話を読み返したことか。
    唯一の救いは、まともだった教師の前原と、少女に体を貸した恋人のミツコが救われたこと。

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    2016年10月12日
  • 雨の塔

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    ずっと読みたい本リストに載っていたのですが、やっと読めました。
    資産家の娘だけが入れる、岬の学校。
    学生証をかざせば、キャッシュレスでブランドものからスイーツまで何でも手に入る。手に入らないのは、情報と自由だけ。読ませる設定で、独自の世界観を描いているのが、さすがです。

    耽美な世界に溜息がでそうになりながら、それでいてあまりに閉鎖的な世界に息を詰めながら読み切りました。
    宮木さんの本はいろいろと読んできましたが、その中でもこの作品の個性は特に強いですね。リアリティがどうとか、そんなの関係なしに、引き込まれます。
    この少女たちの年齢特有の潔癖さとか、視野の狭さとか、美しさとか・・・なんでこうも

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    2016年10月09日
  • 憧憬☆カトマンズ

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    宮木あや子の中でもずっと読みたくて探してたB面作品。
    『セレモニー黒真珠』とか『野良女』に出てきたキャラがちょこっと出演してるのが、個人的に萌える。
    作者はB面作品の世界は全部繋がってるってどこかで言っていたな、そういえば。

    「ウルトラハッピーエンドな小説」というテーマの通り、B面作品の中では一番明るくてハッピーかも。

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    2016年10月08日
  • 白蝶花

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    読む度に惹きこまれる宮木さんの小説。
    大正から戦後にかけてを強く、逞しく生き抜いた女性を描いたこの短編集は、読み進めていくにつれ連作短編小説だと気付きます。点と点が線になる。

    解説は三浦しをんさんが書かれているのですが、これがまた素晴らしく小説の魅力を伝えていて、ページを閉じるその瞬間まで、むしろ読み終えた後も余韻が残り、幸せでした。

    何をもって幸福なのか、不幸なのか。
    理不尽なことがない人生なんてない中で、登場する女性たちに、幸せなことも、辛いことも訪れて、それはこの小説に限らず、現実に生きている私たちも同じこと。
    全体を通して際立つのは、愛する男性の存在。
    そして、女性同士の深い繋がり

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    2016年08月27日
  • 官能と少女

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    宮木あや子さんの文章が好きなのだ。早川文庫と言うレーベルも好きで見つけた瞬間購入を決定したのだ。
    濃密な女性の心理描写に相変わらず頭がくらくらして、なおかつこの作品は今まで読んだ中ではダントツの性愛描写で。いやタイトルに偽りなしって言っちゃえばそりゃそうなんだけど、いやうん、通勤・通学の読書にはちょっと向かない。
    官能小説って読んだことはないのだけれど、こんなにも内面が描かれるものなのかしら。同性愛、小児愛、一般には「異常」と言われる愛の形のその裏の、はたまた隣の、歪んだ、むしろ純粋な感情をまざまざと見せつけられているイメージ。
    なんだろう、物語の少女たちは愛されたいと、満たされたいと叫んでい

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    2016年08月05日
  • 婚外恋愛に似たもの

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    アイドルファンになったことはないけれど、近しい要素は少し持っている、というか似た世界は知っている。
    なので「スノーホワイツ」に全身全霊を注ぐ彼女達に、もちろんドン引きする部分も有りつつ、何となく色々分からなくもなかったりする。
    少なくともそれに没頭している間は他の事一切忘れて元気になれる、という趣味がある人間ってのはとても幸せだと私は思う。

    現状と折り合いをつけて、閉じていた彼女達の世界に横の繋がりが出来て…と単なる「良い話」で終わらない、終章のどうしようもなさがいい。

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    2016年07月27日
  • 官能と少女

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    宮木あや子さんの短編集。
    どのお話に出てくる少女も、哀しくて痛々しくて。
    官能部分の描写がストーリーの邪魔をしているようにも感じながら読んでいた。
    最後のモンタージュに来て、他の話からの意外な流れに感動。
    人間の精神は、危うい。

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    2016年07月23日
  • 花宵道中 3

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    一巻をコンビニで立ち読んで以来、続きを読んでる。綺麗な女性ばかり出てくるし、昔の日本語の言い回しも気持ちが言いし、なにより扱ってるのが恋愛!大人の女子漫画ですな。

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    2016年06月30日
  • 官能と少女

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    朝日の書評で見て興味を持ったので。女性の視点で性が描かれている。が、ロリータ、軟禁されている少女、生徒と関係をもつ養護教諭、アイドルの夫を待つ幼妻など、そのシチュエーションは様々。著者の作品は『校閲ガール』を読んでいるが、トンマナが全く違う。著者の、女性の、2面性が垣間見れているのか。

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    2016年06月12日
  • 喉の奥なら傷ついてもばれない

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    ヒグチユウコさんの怪しげに美しい装画も光る。耽美な世界を感じる。理解不能だけれど美しく醜い。結構好きです、宮木あや子のこの世界観。

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    2016年05月31日
  • サイドストーリーズ

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    またあの人たちに会える喜びとまだ知らない人たちの日常を垣間見れるお試し的感覚。
    何作か読みたい本も見つかってとっても得した気分。

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    2016年05月30日
  • 婚外恋愛に似たもの

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    ネタバレ

    タイトルからはA面を想定していたが、中身はガッツリどB面。
    デビュー前の5人組アイドルグループ、“スノウホワイツ”のファンである5人の女性たちの物語。

    この人の本は、艶やかで哀しく美しい世界であるはずのA面よりも、ギャグもあり、ありえない設定やおかしな男女の行動でクスリと笑ってしまうB面の方がグサグサ刺さる。
    A面はファンタジーであるがB面はリアル。
    私たちの生活に直結しているのはB面だなー、と。

    そして女同士の関係は総じて「隣の芝生は青い」ということに集約される。
    第二話で益子は桜井に対し「きっと苦労を味わったことなどないのだろう」と感じでいるが、読者は第一話で桜井の苦悩を知っている。

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    2016年05月25日
  • 喉の奥なら傷ついてもばれない

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    ネタバレ

    ☆天国の鬼…うーん、「春狂い」思い出す。
    比べれば、全然救いがあるけれど。
    この2人は、結婚には向かないのだろうなあ。
    そんなほのぼのと日なたで笑い合ったり、ささいなことで喧嘩したり、そういう家庭的な風じゃない。もっと余裕がなくて、それしかなくて、求めることも求められることも必然。引き付けあう力が半端ではないというか、だからこそ2人で生きることを現実にしちゃいけないっていうか。今ぐらいの距離がベストなんだと思う。一番愛していても、一番近くにいない方がいいことも、あるのかあ。

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    2016年05月24日
  • 太陽の庭

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    2016年、20冊目は宮木あや子。

    財政界に強い影響力を持つ「永代院」は一般には知られず、地図にも載らない場所にあった。

    永代院に纏わる連作短編、5編収録。

    『雨の塔』の続編(?)的位置付けの作品。『雨の塔』の全寮制女子大も随所に出てきますし、その成り立ちもわかるので、やはり、ソチラを先に読んだ方が、より楽しめるでしょう。しかし、構成は全く異なります。

    個人的には、前半の「野薔薇」「ウツボカズラ」の2編が好み。後半にかけて「永代院」の核心が明らかになっていくんだけど、ソコよりも閉鎖された世界で暮らす「駒也」「和琴」の話に引き込まれた。コチラの方が、宮木あや子の良さ出てる気がする。

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    2016年05月22日
  • サイドストーリーズ

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    アンソロジーは、未読の作家さん探しに持ってこい!
    と、こちら即買い。
    しかし・・・しくじった⁉️
    よくれば、タイトルが、「サイドストーリーズ」
    ということは・・・本編ありきだった(笑)
    既読は、「百瀬〜」と「まほろば駅前〜」のみ。
    いくつか本編読んで、ようやく積読から脱出。
    ドラマ化されてるもの たくさんあって、
    本シリーズ読んでなくても
    イメージ湧いて 十分楽しめました。
    姫川玲子シリーズ、北天の馬シリーズに興味津々

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    2016年05月11日
  • 太陽の庭

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    ある一部の人たちからは神と崇められ、地図には載らない秘密の地、特別な一族がこの日本にはいる。
    ぞくぞくするような面白さで、一気に読み切りました。

    現実離れした物語を読んでいるような気でいたら、ふいに鋭い問いかけがあったり、世界観に浸りつつも、神のいない世界を想像したら味気なくて寂しい気持ちになりました。

    読んでいて新鮮だったのが、永代院に連なる人たちが主となる章で、インターネットもなければスマホも出てこない、情報が随分少ないんですよね。
    今私がそんなことになったら不便でしかないんだけど、最初からその状態が通常であればかえって情報に翻弄されることがなくていいかもしれない…なんて思うくらい、ど

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    2016年05月07日