宮木あや子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
セレモニー黒真珠という葬儀屋で働くのは、仕事ができる、老け顔のアラサー・笹島、霊の声が聞けるメガネ男子・木崎、アルバイトから社員になった新人・妹尾。
3人を中心に綴られる、連作短編集。
故人とのお別れの儀式を手際よく準備する彼らだが、身近な死にまつわるトラブルに巻き込まれたり…それでも暖かく見送る彼らのプロの姿勢に感動。
誰もを魅了する姿勢や所作の美しさを保つ笹島も、笹島に惚れて守ろうとする木崎も、カッコいい!!
そしてさりげなく(?)登場するセレモニー黒真珠の社長もカッコいい!!
校閲ガールに通じる雰囲気を醸し出す、お仕事小説。
読んだら「明日からもしっかり仕事をしよう」と思えてくる。 -
Posted by ブクログ
読み始める前、それぞれが独立した短編なのかと思っていた。
その頭で読んでいたので、芸者に売られた菊代姉妹の出てくる「天人菊」、破産して自殺した父のせいで財閥の当主の妾になった如月泉美を主人公とする「凌霄花」が、とてもあっけなく感じた。
が、どうやらそういう読み方は間違いであるようで。
一冊の大半を占める分量の「乙女椿」で、それらの因縁がつながっていく。
太平洋戦争が激化する頃、千恵子が女中として働く先で出会うのが泉美の息子、政吉。
身ごもったものの実家にもいられなくなった千恵子を助けるのが、菊代と雛代姉妹。
そうか、そう来るんだ、と驚いた。
もう一方の主要な筋は、気難しいお嬢様の和江と千恵子 -
Posted by ブクログ
幼い頃に出会った真淳と照乃、離れても忘れることができず、女性同士なのに、それはまさに運命の恋だった。境遇の違いや、すれ違う気持ちなど、これが異性との恋愛だったらベタな青春恋愛ものだけど、同性ということ、性的マイノリティの人や引きこもりのオカマが出てくるあたりが面白い。同性に惹かれる葛藤や、スクールカーストなど、もう少し深い方が好みだけど、ライトな分読みやすいとも言える。ただ、全体的にラノベっぽいのに宮木さんらしい艶っぽい表現があったりして、バランスの悪さを感じた。レーベル的にも女性同士の行為の描写なんて珍しいんじゃないかな?主人公2人より奥井が一番好きかも。
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Posted by ブクログ
2016年、18冊目はR-18文学賞のタイトルホルダー、宮木あや子!
岬の女子大は全寮制。ソコに集まるのは、少々ワケありの資産家の令嬢。そして、今年、入学した新入生の四人も……。
メイン・キャストの四人、それぞれの設定、少しずつわかってくることは悪くなかった。一方、全体的に(特にクライマックス&オチ)は好みとは少し違った。それでも、この限定世界の空気感は名作(個人的に)『花宵道中』に通じるモノを感じた。
オッサン向けでないのは、百も承知。ただし、耽美派女子向けと思っていると、足元掬われるかもしれません。
そして、次なる(?)、『太陽の庭』がソコには控えているのであった。